公開日:
|最終更新日:
「初めて外国人を採用するけど、手続きは何から始めればいい?」「届出を忘れたら罰則がある?」「在留資格の確認方法がわからない」——こうしたご質問を、外国人雇用を検討する企業様から日常的にいただきます。
2025年10月末時点で、日本で働く外国人労働者は約257万人を超え、過去最高を更新し続けています(厚生労働省発表)。一方で、手続きの不備により30万円以下の罰金や不法就労助長罪(5年以下の懲役・500万円以下の罰金)に問われるリスクもあり、正しい手続きの理解が不可欠です。
この記事では、入管業務専門の行政書士が、外国人雇用の手続きを採用前の確認から入社後の届出まで5ステップで時系列に解説します。ケース別の申請方法や必要書類一覧も網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。
▶ 外国人雇用の手続きについて今すぐ相談したい方はこちらから無料相談をご利用ください(相談は何度でも無料です)。
目次
外国人雇用の手続きとは?全体像を5ステップで把握
外国人雇用が日本人の採用と異なる3つのポイント
外国人を雇用する場合、日本人の採用では不要な手続きが3つ加わります。
- 在留資格の確認・申請: 就労可能な在留資格を持っているか確認し、必要に応じて在留資格の認定・変更を申請する
- 外国人雇用状況の届出: ハローワークへの届出が法律で義務付けられている(届出しないと30万円以下の罰金)
- 在留期間の管理: 在留期間の満了前に更新手続きを行う必要がある
これらを除けば、労働基準法や社会保険の適用は日本人と全く同じです。「外国人だから」という理由で労働条件を下げることは法律で禁止されています。
手続き全体の5ステップ
外国人雇用の手続きは、以下の5ステップで進みます。
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| Step 1 | 在留資格の確認(採用前) | 即日 |
| Step 2 | 雇用契約の締結 | 1〜2週間 |
| Step 3 | 在留資格の申請(ケース別) | 2週間〜3か月 |
| Step 4 | 入社後の届出・社会保険手続き | 入社後5日〜翌月末 |
| Step 5 | 雇用管理(在留期間の更新等) | 継続的 |
海外から新たに外国人を呼び寄せる場合は3〜4か月、国内在住者の採用なら1〜2か月が全体のスケジュール目安です。以下、各ステップを詳しく解説します。
【Step 1】採用前に確認すべき在留資格と就労制限
就労可能な在留資格の一覧
外国人を雇用する前に、まずその方の在留資格で就労が認められているかを確認する必要があります。就労の可否は在留資格の種類によって異なります。
| 区分 | 代表的な在留資格 | 就労の範囲 |
|---|---|---|
| 就労制限なし | 永住者、日本人の配偶者等、定住者 | あらゆる職種で就労可能 |
| 指定範囲内で就労可 | 技術・人文知識・国際業務、特定技能、経営・管理 等 | 許可された活動の範囲内 |
| 原則就労不可 | 留学、家族滞在 | 資格外活動許可で週28時間以内 |
| 就労不可 | 短期滞在 | 就労不可 |
企業での採用に最も多く使われるのは「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)で、2025年6月末時点で約45万8,000人が在留しています。人手不足分野では「特定技能」の活用も急増しています。
在留カードの見方と確認すべき4つの項目
採用面接時や内定時に、必ず在留カードを確認しましょう。以下の4項目をチェックします。
| 確認項目 | 確認内容 | カードの記載位置 |
|---|---|---|
| 在留資格 | 就労可能な資格か | 表面中央 |
| 在留期間(満了日) | 期限切れでないか | 表面右側 |
| 就労制限の有無 | 「就労制限なし」「就労不可」等の記載 | 表面下部 |
| 資格外活動許可 | 留学生等の場合、裏面に「許可」の記載があるか | 裏面 |
また、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」(無料)を使えば、スマートフォンでICチップを読み取り、偽造カードでないかを確認できます。オンラインの「在留カード等番号失効情報照会」でカード番号の有効性も確認可能です。
資格外活動許可とアルバイト雇用の注意点
留学生や家族滞在の方をアルバイトとして雇う場合は、資格外活動許可を取得していることが必須条件です。許可があれば週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内)の就労が可能です。
この時間制限はすべての就労先の合計です。他のアルバイト先と合わせて週28時間を超えていないか、採用時に必ず確認しましょう。超過させた場合、企業側も不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
【Step 2】雇用契約書の作成と労働条件の明示
外国人向け雇用契約書に記載すべき項目
労働基準法第15条に基づき、雇用契約を締結する際は労働条件通知書の交付が義務付けられています。外国人の場合、以下の点に特に注意が必要です。
- 母国語または理解できる言語での説明: 法的義務ではありませんが、厚生労働省が英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語など8か国語のモデル労働条件通知書を公開しています
- 日本人と同等以上の報酬: 在留資格の審査基準として「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」が要件です
- 就業場所・業務の変更の範囲: 2024年4月の労働条件明示ルール改正により、将来の変更範囲の明示が義務化されました
在留資格申請における雇用契約書の重要性
雇用契約書は、在留資格の認定・変更申請時に提出が必要な書類の一つです。契約内容と申請する在留資格の活動内容が一致していないと、申請が不許可になるケースがあります。
行政書士としての実務経験から、「契約書の業務内容が在留資格の活動範囲と合っていない」ことが不許可理由の上位に挙がります。例えば、「技術・人文知識・国際業務」で申請しているのに、契約書の業務内容に単純労働が含まれているようなケースです。
【Step 3】在留資格の申請手続き(ケース別に解説)
在留資格の申請手続きは、外国人の現在の状況によって3つのケースに分かれます。
ケース1: 海外在住の外国人を呼び寄せる場合
海外にいる外国人を日本に招いて雇用する場合、まず在留資格認定証明書交付申請を行います。
- 企業(代理人)が地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請を提出
- 審査期間: 1〜3か月
- 認定証明書が交付されたら、外国人本人に送付
- 外国人が現地の日本大使館・領事館でビザ(査証)を申請(1〜2週間)
- 日本入国 → 在留カード受取
認定証明書の有効期間は交付日から3か月です。この期間内に入国しないと失効するため、スケジュール管理が重要です。
ケース2: 国内在住の外国人が転職する場合
すでに日本に在留している外国人が転職する場合、在留資格によって手続きが異なります。
| 状況 | 必要な手続き | 審査期間 |
|---|---|---|
| 同じ在留資格の範囲内の転職 | 就労資格証明書の取得(任意だが推奨) | 2週間〜1か月 |
| 異なる在留資格への変更が必要な転職 | 在留資格変更許可申請 | 2週間〜1か月 |
転職後は、外国人本人が14日以内に出入国在留管理局へ「契約機関に関する届出」を提出する義務があります。雇用企業としても、届出を行うよう本人に案内しましょう。
ケース3: 留学生を新卒採用する場合
留学生を卒業後に正社員として採用する場合は、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」等への在留資格変更許可申請が必要です。
申請のポイント:
- 申請時期: 卒業前(在留期間満了の3か月前)から申請可能
- 審査期間: 1〜3か月
- 要件: 大学・専門学校での専攻と業務内容の関連性が審査される
在留資格申請に必要な書類一覧
在留資格の認定・変更申請では、企業側と外国人本人の双方で書類を用意します。
| 提出者 | 主な必要書類 |
|---|---|
| 企業側 | 雇用契約書の写し、会社の登記事項証明書、決算書(直近年度)、会社案内、雇用理由書 |
| 外国人本人 | 申請書、写真、パスポートの写し、卒業証明書(又は卒業見込証明書)、履歴書、日本語能力を示す資料 |
企業の規模(カテゴリ1〜4)によって提出書類が簡略化される場合があります。上場企業やカテゴリ1・カテゴリ2に該当する企業は提出書類が大幅に少なくなります。
在留資格の申請でお困りですか?
行政書士法人Treeでは、在留資格の認定申請・変更申請を89,800円(税込)、更新申請を33,000円(税込)で一律対応しております。グループで外国人材の紹介事業も運営しており、人材探しから在留資格申請までワンストップで対応可能です。
【Step 4】入社後に必要な届出と社会保険手続き
外国人雇用状況の届出(ハローワーク)
外国人を雇い入れた場合、労働施策総合推進法第28条に基づき、ハローワークへの届出が義務付けられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出対象 | 外交・公用の在留資格を除く全ての外国人(特別永住者も除く) |
| 届出期限 | 雇入れ・離職とも翌月末日まで |
| 届出内容 | 氏名、在留資格、在留期間、在留カード番号、国籍、生年月日等 |
| 届出方法 | ハローワーク窓口、e-Gov電子申請、外国人雇用状況届出システム |
| 罰則 | 届出しない又は虚偽の届出をした場合: 30万円以下の罰金 |
雇用保険の加入者の場合は、雇用保険被保険者資格取得届の提出で届出を兼ねることができます。雇用保険に加入しない短時間労働者等の場合は、別途「外国人雇用状況届出書」を提出します。
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続き
外国人にも日本人と同じ基準で社会保険が適用されます。
- 届出先: 管轄の年金事務所
- 届出期限: 雇用開始から5日以内
- 加入要件: 常時使用される者(フルタイム)。短時間労働者は週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・従業員51人以上の企業(2024年10月〜)
なお、日本と社会保障協定を締結している国(23か国)の出身者は、本国の社会保険に加入し続けることで日本の厚生年金等が免除される場合があります。帰国時には脱退一時金の請求(最大5年分)も可能です。
雇用保険の手続き
- 届出先: ハローワーク
- 届出期限: 雇入れ翌月10日まで
- 加入要件: 週所定労働時間20時間以上、31日以上の雇用見込み
- 注意点: 在留資格「留学」の昼間学生は原則加入対象外
【Step 5】入社後の雇用管理で気をつけるべきこと
在留期間の更新管理
在留資格には期限があり、在留期間が満了する前に更新手続きを行う必要があります。期限が切れた状態で就労させると、企業も不法就労助長罪に問われます。
実務上のポイント:
- 在留期間満了の3か月前から更新申請が可能
- 外国人の在留期限を一覧表で管理し、3か月前にアラートを出す仕組みを作る
- 更新申請中でも、在留期間満了後2か月間は引き続き在留・就労が認められる(特例期間)
退職・離職時の届出義務
外国人が退職した場合も、雇入れ時と同様にハローワークへの届出が必要です(届出期限: 翌月末日まで)。外国人本人も14日以内に出入国在留管理局へ届出を行う必要があるため、退職時に案内しましょう。
特定技能で雇用する場合の登録支援機関の活用
特定技能1号の外国人を受け入れる場合は、義務的支援(生活オリエンテーション、日本語学習支援、相談対応等の10項目)を実施する必要があります。自社で全て対応することもできますが、多くの企業は登録支援機関に委託しています。
外国人雇用で必要な届出・手続きの一覧表
入社前から入社後まで、企業が行うべき届出・手続きを一覧にまとめます。
| 時期 | 届出・手続き | 届出先 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 入社前 | 在留資格認定証明書交付申請(海外から) | 出入国在留管理局 | 入社の3〜4か月前 |
| 在留資格変更許可申請(国内転職・留学生) | 出入国在留管理局 | 入社前まで | |
| 入社後 | 健康保険・厚生年金 資格取得届 | 年金事務所 | 入社から5日以内 |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | ハローワーク | 翌月10日まで | |
| 外国人雇用状況の届出 | ハローワーク | 翌月末日まで | |
| 契約機関に関する届出(本人) | 出入国在留管理局 | 14日以内 | |
| 在留中 | 在留期間更新許可申請 | 出入国在留管理局 | 満了3か月前〜 |
| 退職時 | 外国人雇用状況の届出(離職) | ハローワーク | 翌月末日まで |
| 契約機関に関する届出(本人) | 出入国在留管理局 | 14日以内 |
外国人雇用の手続きでよくある失敗と注意点
不法就労助長罪のリスク【2025年6月に厳罰化】
在留資格で認められていない業務に従事させたり、在留期間が切れた外国人を就労させた場合、企業は不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われます。
2025年6月の法改正により罰則が大幅に強化されました。
| 項目 | 改正前 | 改正後(2025年6月〜) |
|---|---|---|
| 懲役 | 3年以下 | 5年以下 |
| 罰金 | 300万円以下 | 500万円以下 |
| 併科 | なし | 懲役と罰金の併科が可能 |
| 法人両罰規定 | なし | 法人に対し最大1億円の罰金 |
「知らなかった」は免責理由になりません。在留カードの確認を怠る等の過失がある場合も処罰対象です。採用時の在留カード確認を徹底しましょう。
在留資格と業務内容の不一致による不許可
行政書士として多くの申請を担当してきた中で、不許可になる理由として最も多いのが「学歴・職歴と業務内容の不一致」です。
- 文系の大学を卒業した方がエンジニア職に就くケース
- 「技術・人文知識・国際業務」で申請しているが、実際の業務が単純作業中心のケース
- 専門学校卒の場合に、専攻と業務の関連性が不十分なケース
申請前に在留資格の要件と業務内容の整合性を確認することが、許可を得るための最も重要なポイントです。
2027年の育成就労制度への移行に備える
2027年4月1日に技能実習制度が廃止され、新たに「育成就労制度」がスタートします。「国際貢献」から「人材の育成・確保」に目的が変わり、一定条件下での転籍(転職)も認められるなど、大きな制度変更です。現在技能実習生を受け入れている企業は、早めの情報収集と準備をおすすめします。
外国人雇用の手続きに関するよくある質問
Q1: 外国人を雇用する際、ハローワークへの届出は必須ですか?
はい、法律上の義務です。労働施策総合推進法第28条に基づき、外交・公用の在留資格及び特別永住者を除く全ての外国人について、雇入れ・離職の際にハローワークへ届出が必要です。届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金が科されます。
Q2: 在留カードを持っていれば誰でも雇用できますか?
いいえ、在留カードを持っているだけでは雇用できません。在留カードに記載された在留資格が就労を認めるものであるか、また就労制限の有無を確認する必要があります。「留学」や「家族滞在」の在留資格では原則就労できず、アルバイトの場合でも資格外活動許可が必要です。
Q3: 外国人雇用の手続きにかかる費用はどのくらいですか?
在留資格認定証明書交付申請の収入印紙代は無料、変更許可申請・更新許可申請は各4,000円です。行政書士に申請を依頼する場合の費用は事務所により異なりますが、行政書士法人Treeでは認定申請・変更申請を89,800円(税込)、更新申請を33,000円(税込)で一律対応しております。
Q4: 特定技能と技術・人文知識・国際業務の違いは何ですか?
「技術・人文知識・国際業務」は大卒等の学歴要件があり、専門性のある業務(エンジニア、通訳、マーケティング等)に従事する在留資格です。一方「特定技能」は学歴不問で、人手不足が深刻な16分野で即戦力として働くための在留資格です。特定技能では技能試験と日本語試験に合格する必要があります。
Q5: 手続きを行政書士に依頼するメリットは何ですか?
行政書士に依頼する主なメリットは、申請書類の作成精度が上がり、不許可リスクを低減できる点です。在留資格の審査では、業務内容と在留資格の整合性、提出書類間の一貫性が厳しく審査されます。入管業務に精通した行政書士であれば、審査のポイントを押さえた書類作成が可能です。また、企業の人事担当者の事務負担を大幅に軽減できます。
まとめ:外国人雇用の手続きを正しく理解してリスクを回避
この記事のポイントを整理します。
- 外国人雇用の手続きは5ステップ: 在留資格確認 → 雇用契約 → 在留資格申請 → 届出・社会保険 → 雇用管理
- ハローワークへの届出は法律上の義務で、届出しないと30万円以下の罰金
- 2025年6月に不法就労助長罪が厳罰化(懲役5年・罰金500万円・法人は最大1億円)され、在留資格の確認がこれまで以上に重要に
外国人雇用の手続きは複雑に見えますが、正しい手順で進めれば問題なく対応できます。初めての外国人採用や在留資格の申請に不安がある場合は、専門家に相談することで確実かつスムーズに進められます。
外国人雇用の手続きなら行政書士法人Treeにお任せください
行政書士法人Treeでは、在留資格の認定・変更申請(89,800円・税込)から更新申請(33,000円・税込)まで一律料金で対応。登録支援機関としての義務的支援(月額9,800円/人・税抜)や、グループの外国人材の有料職業紹介事業による人材紹介まで、外国人の受入れをトータルサポートしています。相談は何度でも無料です。
※ 本記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。最新の情報は厚生労働省および出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。個別のケースについては専門家にご相談ください。