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義務的支援10項目を1つずつ解説|事前ガイダンスから定期面談まで

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「特定技能1号の外国人を受け入れるけど、義務的支援って具体的に何をすればいいの?」——そんな疑問をお持ちの企業担当者の方は多いのではないでしょうか。

義務的支援とは、特定技能1号の外国人が日本で安定して働き、生活できるよう、受入れ企業または登録支援機関が法律上必ず実施しなければならない10項目の支援です。支援を怠ると、30万円以下の罰金5年間の受入れ停止といった厳しい処分の対象になります。

この記事では、入管業務専門の行政書士が、義務的支援10項目を事前ガイダンスから定期面談まで1つずつ丁寧に解説します。各項目の実施タイミング・方法・注意点まで網羅していますので、支援計画の作成や実務にお役立てください。

※ 特定技能2号には義務的支援の適用はありません。本記事は特定技能1号に関する内容です。

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義務的支援とは?任意的支援との違い

義務的支援は、出入国在留管理庁が定める「1号特定技能外国人支援計画の基準」に基づき、受入れ機関が必ず実施しなければならない支援です。一方、任意的支援は実施が望ましいとされる努力義務にとどまります。

区分 義務的支援 任意的支援
法的性質 法定義務(不履行で処分対象) 努力義務(推奨)
項目数 10項目 定めなし
費用負担 全額企業負担(外国人への転嫁禁止) 企業負担が望ましい
不履行の場合 罰金・受入れ停止・登録取消し 直接の罰則なし

注意:支援計画書に任意的支援を記載した場合、その実施も義務となります。実施できない支援を計画書に書かないよう注意してください。

義務的支援10項目の一覧

まず全体像を把握しましょう。以下が義務的支援10項目の一覧と実施タイミングです。

No. 支援項目 実施タイミング
1 事前ガイダンスの提供 入国前(在留資格申請前)
2 出入国する際の送迎 入国時・帰国時
3 住居確保・生活に必要な契約支援 入国前〜入国直後
4 生活オリエンテーションの実施 入国直後(就労開始前後)
5 公的手続等への同行 入国後(随時)
6 日本語学習の機会の提供 在留期間全体(継続的)
7 相談・苦情への対応 在留期間全体(常時)
8 日本人との交流促進 在留期間中(定期的)
9 転職支援(人員整理等の場合) 非自発的離職時
10 定期的な面談・行政機関への通報 3ヶ月に1回以上

ここからは、各項目を詳しく解説していきます。

① 事前ガイダンスの提供

実施内容

在留資格認定証明書の交付申請前に、外国人に対して以下を説明します。

  • 労働条件(業務内容・報酬額・労働時間・休日・休暇等)
  • 日本で行うことができる活動の内容
  • 入国手続き(上陸手続き・在留カードの受領等)
  • 保証金の徴収や違約金契約が禁止されていること
  • 支援の内容(住居確保・送迎・相談窓口等)
  • 支援費用を外国人本人に負担させないこと

実施方法と注意点

対面またはビデオ通話で、相手の表情が確認できる方法で実施します。文書の郵送やメール送信のみでは認められません。

また、外国人が十分に理解できる言語での実施が必須です。「日本語が少し話せるから」と日本語のみでガイダンスを行うのは不可とされています。

対象者 所要時間の目安
海外からの新規入国者 3時間程度
技能実習からの移行者等 最低1時間以上

② 出入国する際の送迎

実施内容

  • 入国時:到着空港(港)から事業所または住居までの送迎
  • 帰国時:住居から出国空港(港)までの送迎+保安検査場の入場まで見届ける

注意点

帰国時は「最寄り駅まで送った」では不十分です。法的には保安検査場の入場まで見届ける必要があります。また、交通費は原則企業負担で、外国人本人に負担させることはできません。

なお、国内在住者(技能実習からの在留資格変更等)の場合は送迎不要です。一時帰国も対象外です。

③ 住居確保・生活に必要な契約支援

住居確保の支援

以下のいずれかを実施します。

  • 賃貸物件の情報提供・不動産仲介業者の紹介・内覧への同行
  • 受入れ機関が連帯保証人になる、または保証会社を利用できるようにする
  • 受入れ機関が所有する社宅を提供する

社宅を提供する場合、自己の利益を上乗せした金額で家賃を徴収してはなりません(実費相当額のみ)。居室の広さは1人あたり7.5㎡以上が基準とされています。

生活に必要な契約支援

  • 銀行口座の開設
  • 携帯電話の契約
  • 電気・ガス・水道等ライフラインの契約手続き

④ 生活オリエンテーションの実施

実施内容

入国直後に、以下の6分野について説明します。

  1. 日本での生活一般:気候・生活習慣・ごみ出しルール・交通ルールとマナー
  2. 公共機関の利用方法:市区町村役場・警察・消防・病院
  3. 医療機関の利用方法:受診方法・健康保険の仕組み
  4. 法的保護に関する情報:労働関係法令・入管法・犯罪被害時の対応
  5. 防災・防犯・緊急時対応:地震や台風への備え・110番や119番の利用方法
  6. 相談・苦情窓口の情報:受入れ機関の相談窓口・外部の相談先

所要時間

対象者 必要時間
新規入国者 8時間以上
技能実習修了者が同一企業で移行する場合等 4時間以上

「忙しいから」と2〜3時間に短縮するケースが多く見られますが、支援計画書に記載した時間と実態が乖離すると虚偽届出とみなされるリスクがあります。資料を配布しただけで「実施済み」とすることも不可です。

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⑤ 公的手続等への同行

住民登録(転入届)やマイナンバーカード申請、国民健康保険・厚生年金の加入手続き、納税に関する手続きなど、必要に応じて市区町村役場等への同行と窓口での説明補助を行います。

入国直後の住民登録を後回しにして期限を過ぎてしまうケースが多いため、入国後すみやかに対応しましょう。

⑥ 日本語学習の機会の提供

以下のいずれかの方法で、在留期間を通じて継続的に日本語学習の機会を提供します。

  • 近隣の日本語教室・ボランティア講座の情報提供
  • オンライン日本語講座の紹介
  • 自習用教材(テキスト・E-ラーニング等)の情報提供
  • 受入れ機関が日本語教師と契約して直接指導を行う

情報提供だけで最低限の義務は満たせますが、日本語能力の向上は業務効率や定着率にも直結します。業務の繁忙を理由に学習時間を確保しないケースは実地調査で指摘されやすい点です。

⑦ 相談・苦情への対応

職業生活・日常生活・社会生活に関する相談や苦情に対して、外国人が理解できる言語で対応できる体制を整備します。

  • 相談内容に応じた適切な助言・指導
  • 必要に応じて関係行政機関(労基署・ハローワーク等)への案内・同行
  • 相談内容と対応結果の記録・保管(雇用契約終了後1年以上)

「平日9時〜17時」の窓口だけでは不十分です。緊急時にも連絡が取れる体制の構築が求められます。また、相談記録を残していないことは入管の実地調査で最も指摘されやすいミスの一つです。

⑧ 日本人との交流促進

地域の自治会やイベント情報の提供、社内での交流行事(歓迎会・懇親会等)の開催など、外国人が地域社会で孤立しないための支援を行います。

  • 地域の祭り・行事への参加案内
  • 地域の防災訓練への参加促進
  • 参加できるようシフト調整等で配慮

⑨ 転職支援(人員整理等の場合)

外国人の責めによらない離職(人員整理・労働条件の重大な問題・有期契約の終了等)の場合に、以下の転職支援を行います。

  • 求人情報の提供・推薦状の作成
  • 求職活動のための有給休暇の付与
  • ハローワークへの同行・相談支援
  • 社会保険の切替え手続き等の情報提供

転職支援を実施せずに退職させてしまうと、支援義務違反に問われます。

⑩ 定期的な面談・行政機関への通報

定期面談

3ヶ月に1回以上、支援責任者または支援担当者が外国人本人およびその上司と面談を行います。確認項目は、労働条件の遵守状況・業務内容・生活状況・メンタルヘルスなどです。

重要:外国人本人と上司を同時に面談してはいけません。外国人が本音を話しにくくなるため、必ず別々に実施します。

2025年4月以降、外国人本人の同意があればオンライン面談も認められるようになりました。

行政機関への通報

面談等で労働基準法違反その他の法令違反を知った場合は、関係行政機関(労基署等)への通報義務があります。

面談記録は「いつ・誰が・誰と面談し・何を話し・どう対応したか」を客観的に記録し、雇用契約終了後1年以上保管する必要があります。面談記録の不備は入管の実地調査で最も指摘されやすいポイントです。

義務的支援10項目 実施チェックリスト

支援の漏れを防ぐため、以下のチェックリストをご活用ください。

No. 支援項目 確認事項
1 事前ガイダンス ビデオ通話以上の方法で実施したか/理解できる言語で行ったか/確認書に署名をもらったか
2 送迎 入国時:空港→住居の送迎をしたか/帰国時:保安検査場の入場まで見届けたか
3 住居・契約支援 住居を確保したか/銀行口座・携帯・ライフラインの契約を支援したか
4 生活オリエンテーション 8時間以上実施したか(移行者は4時間以上)/確認書に署名をもらったか
5 公的手続同行 住民登録・マイナンバー・社会保険等の手続きに同行したか
6 日本語学習 学習機会の情報提供をしたか/学習時間を確保しているか
7 相談・苦情対応 多言語対応の相談窓口があるか/相談記録を保管しているか
8 交流促進 地域イベント等の情報提供をしたか/参加のためのシフト配慮をしたか
9 転職支援 非自発的離職時に求人情報提供・有給休暇付与等を行ったか
10 定期面談 3ヶ月に1回以上実施したか/本人と上司を別々に面談したか/記録を保管しているか

義務的支援を怠った場合の罰則

違反の種類 罰則・処分内容
支援計画の不履行 欠格事由に該当 → 5年間の受入れ停止
届出の不履行(定期届出・随時届出) 30万円以下の罰金または10万円以下の過料(届出の種類による)
虚偽届出 刑事罰の対象 + 欠格事由該当
登録支援機関の義務違反 登録取消し

受入れ停止期間中は新規の受入れが不可能になるだけでなく、既に雇用している特定技能外国人の転籍・転職支援も必要になります。

2025年4月の制度変更ポイント

2025年4月から義務的支援に関連する制度が一部変更されています。

項目 旧制度 新制度(2025年4月〜)
定期届出の頻度 四半期ごと(年4回) 年1回(毎年4〜5月に提出)
定期面談 対面のみ 外国人の同意があればオンラインも可
自己都合退職時の届出 受入れ困難届出が必要 受入れ困難届出は不要に変更(雇用契約終了届出は引き続き必要)

詳しくは出入国在留管理庁の公式ページをご確認ください。

自社支援と登録支援機関への委託、どちらを選ぶ?

義務的支援は自社で実施することも可能ですが、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 支援責任者・支援担当者を選任していること
  • 過去2年以内に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある者がいること
  • 外国人が理解できる言語で支援できる体制があること

要件を満たせない場合は、登録支援機関に全部委託することで基準を満たしたとみなされます(一部のみの委託では基準を満たしたことにはなりません)。一方、自社支援の要件を満たしている企業であれば、一部のみを委託することも可能です。

比較項目 自社支援 登録支援機関への委託
費用 人件費のみ(ただし通訳費用等が別途発生) 月額1.5〜4万円/人(業界平均 約28,000円/月)
多言語対応 自社で確保が必要 機関側が対応
実地調査対応 自社で書類整備 機関がサポート
おすすめ 外国人雇用の実績が豊富な企業 初めて受け入れる企業

よくある質問

Q1. 義務的支援を怠った場合、どのような罰則がありますか?

支援計画の不履行は欠格事由に該当し、5年間の受入れ停止処分を受けます。届出の不履行には30万円以下の罰金、虚偽届出には刑事罰が科されます。登録支援機関の場合は登録取消しの対象となります。

Q2. 義務的支援の費用は誰が負担しますか?

全額受入れ企業が負担します。義務的支援に要する費用を外国人本人に直接・間接的に負担させることは法律で禁止されています。

Q3. 生活オリエンテーションは何時間必要ですか?

新規入国者は8時間以上、技能実習修了者が同一企業で移行する場合等は4時間以上の実施が必要です。外国人が十分に理解できる言語で実施する義務があります。

Q4. 義務的支援は自社で実施できますか?

過去2年以内に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある者がいること等の要件を満たせば自社実施が可能です。要件を満たせない場合は登録支援機関への全部委託が必要です(一部のみの委託では基準を満たせません)。要件を満たしている企業であれば一部委託も可能です。

Q5. 定期面談はどのくらいの頻度で行う必要がありますか?

3ヶ月に1回以上の実施が必要です。外国人本人と上司は別々に面談し、面談記録は雇用契約終了後1年以上保管します。2025年4月以降、外国人の同意があればオンライン面談も認められています。

まとめ

義務的支援10項目は、特定技能1号の外国人が日本で安心して働き、生活するための基盤です。要点を整理すると:

  • 10項目は法定義務であり、不履行で5年間の受入れ停止30万円以下の罰金の対象になる
  • 支援費用は全額企業負担(外国人への転嫁禁止)
  • 自社実施には要件があり、満たせない場合は登録支援機関への全部委託が必須(要件を満たす企業は一部委託も可)

義務的支援の委託をお考えですか?

行政書士法人Treeは登録支援機関として、月額9,800円(税抜)/人で支援業務を承っております。入管業務専門の行政書士が、支援計画の作成から届出までサポートいたします。

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※ 本記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。
最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。
個別のケースについては専門家にご相談ください。

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