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「特定技能って何?技能実習とどう違うの?」「1号と2号はどう選べばいい?」——外国人の採用を検討する企業様から、このようなご質問を多くいただきます。
特定技能とは、深刻な人手不足に対応するため2019年4月に新設された在留資格です。2025年6月末時点で約33万6,000人の外国人が特定技能で日本国内で就労しており、制度開始以来、受入れ数は急増を続けています。
この記事では、入管業務専門の行政書士が、特定技能制度の基本から1号・2号の違い、全16分野の一覧、費用の目安、受入れ手続きの流れまで、初めての方にもわかりやすく徹底解説します。「自社で外国人を採用したいが、何から始めればいいかわからない」という企業担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
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目次
特定技能とは?制度の基本をわかりやすく解説
特定技能制度の定義と目的
特定技能とは、国内の人手不足が深刻な産業分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が就労するための在留資格です。2018年12月の入管法改正により創設され、2019年4月から運用が開始されました。
制度の目的は明確で、「生産性の向上や国内人材の確保の取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる」ことです。つまり、日本人だけでは人手が足りない分野に限って、即戦力となる外国人の就労を認める制度です。
特定技能が注目される背景
日本の少子高齢化に伴う労働力不足は年々深刻化しており、特に介護、建設、飲食料品製造業などの分野では慢性的な人手不足が続いています。従来の技能実習制度は「国際貢献(技能移転)」が目的であり、人手不足の解消を正面から掲げた制度ではありませんでした。
そこで、正面から人手不足対策として外国人を受け入れるために特定技能制度が設けられました。2024年3月の閣議決定では、2024〜2028年度の5年間で最大約82万人の受入れが見込まれており、今後さらに拡大が予想されます。
特定技能に関する法律の根拠
特定技能は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づく在留資格です。具体的には、入管法別表第1の2の表に「特定技能1号」「特定技能2号」として規定されています。詳しくは出入国在留管理庁の特定技能制度ページをご確認ください。
特定技能1号と2号の違い【比較表付き】
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、求められる技能水準や在留条件が大きく異なります。以下の比較表で違いを確認しましょう。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 通算5年(上限あり) | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) |
| 日本語要件 | JLPT N4以上 / JFT-Basic A2以上 | なし(技能試験のみ) |
| 支援計画 | 必要(義務的支援10項目) | 不要 |
| 対象分野 | 16分野 | 11分野 |
| 永住権 | 取得困難(通算5年が上限) | 要件を満たせば申請可能 |
在留期間と更新の仕組み
特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です。1年・6か月・4か月ごとに更新が必要で、合計で5年を超えることはできません。
一方、特定技能2号は在留期間の上限がなく、3年・1年・6か月ごとの更新を繰り返すことで、事実上無期限に日本で働くことが可能です。
なお、2024年9月の制度改正により、2号移行試験で合格基準の8割以上を得点した場合は、再受験準備のために最長1年間の在留延長が認められるようになりました。
家族帯同と永住権への道
特定技能1号では原則として家族の帯同が認められていません。しかし特定技能2号では、配偶者と子に限り家族帯同が可能です。
また、特定技能2号は在留期間に上限がないため、要件を満たせば永住許可の申請も可能になります。「育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号 → 永住」というキャリアパスが制度的に整備されつつある点は、外国人にとって大きな魅力です。
1号から2号への移行方法
特定技能1号から2号へ移行するには、各分野の2号技能評価試験に合格する必要があります。2号試験は1号よりも高い技能水準(「熟練した技能」)が求められ、実務経験の蓄積が前提となります。行政書士として申請をサポートしてきた経験からいえば、1号で3年以上の実務経験を積んでから2号試験に臨む方が多い印象です。
特定技能16分野の一覧【2026年最新版】
特定技能の対象分野は、制度開始時から段階的に拡大し、2024年3月の閣議決定により現在は16分野となっています。
| No. | 分野名 | 2号対象 | 受入れ見込数(5年間) |
|---|---|---|---|
| 1 | 介護 | × | 135,000人 |
| 2 | ビルクリーニング | ○ | 37,000人 |
| 3 | 工業製品製造業 ※ | ○ | 173,300人 |
| 4 | 建設 | ○ | 80,000人 |
| 5 | 造船・舶用工業 | ○ | 36,000人 |
| 6 | 自動車整備 | ○ | 10,000人 |
| 7 | 航空 | ○ | 4,400人 |
| 8 | 宿泊 | ○ | 23,000人 |
| 9 | 農業 | ○ | 78,000人 |
| 10 | 漁業 | ○ | 17,000人 |
| 11 | 飲食料品製造業 | ○ | 139,000人 |
| 12 | 外食業 | ○ | 53,000人 |
| 13 | 自動車運送業(2024年追加) | × | 24,500人 |
| 14 | 鉄道(2024年追加) | × | 3,800人 |
| 15 | 林業(2024年追加) | × | 1,000人 |
| 16 | 木材産業(2024年追加) | × | 5,000人 |
※ 工業製品製造業は、旧「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連製造業」の3分野が2022年に統合されたものです。
※ 受入れ見込数は2024年度〜2028年度の5年間の合計(出入国在留管理庁資料より)
分野別の受入れ状況【最新データ】
2025年6月末時点で、特定技能の在留外国人数は約33万6,000人(1号: 約33万3,000人、2号: 約3,000人)に達しています。分野別では以下のとおりです。
| 分野 | 在留者数(概数) | 構成比 |
|---|---|---|
| 飲食料品製造業 | 約81,000人 | 約25% |
| 介護 | 約53,000人 | 約16% |
| 工業製品製造業 | 約49,000人 | 約15% |
| 建設 | 約43,000人 | 約13% |
| 外食業 | 約34,000人 | 約10% |
| 農業 | 約34,000人 | 約10% |
| その他6分野 | 約42,000人 | 約11% |
国籍別ではベトナムが約47%で最多、次いでインドネシア(約19%)、フィリピン、ミャンマーと続きます。
2024年に追加された4分野
2024年3月の閣議決定により、以下の4分野が新たに追加されました。
- 自動車運送業: トラック・バス・タクシーの運転手不足に対応
- 鉄道: 運転士・車掌・駅係員等の人材確保
- 林業: 山林の維持管理に従事する人材の確保
- 木材産業: 製材・合板製造等に従事する人材の確保
なお、この4分野は現時点では特定技能1号のみが対象であり、2号への移行はまだ認められていません。
特定技能2号の対象分野
特定技能2号は、2023年6月の閣議決定で大幅に拡大され、現在は11分野が対象です。介護分野は別途「在留資格:介護」が存在するため2号の対象外となっています。また、2024年追加の4分野も現時点では2号対象外です。
特定技能と技能実習の違い【比較表付き】
特定技能と技能実習は混同されやすい制度ですが、目的も仕組みも大きく異なります。行政書士として両制度の申請を数多く担当してきた経験から、実務上のポイントも交えて解説します。
| 比較項目 | 特定技能 | 技能実習 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 人手不足の解消(就労) | 国際貢献(技能移転) |
| 転職の可否 | 同一分野内で可能 | 原則不可 |
| 在留期間 | 1号: 通算5年 / 2号: 上限なし | 最長5年(1〜3号の合計) |
| 受入れ方式 | 直接雇用 | 監理団体を通じた受入れ |
| 日本語要件 | N4以上(試験合格が必要) | 入国時は要件なし |
| 家族帯同 | 2号のみ可能 | 不可 |
| 技能試験 | 合格が必要(実習修了者は免除あり) | 入国時は不要 |
特定技能の最大の特徴は「即戦力としての就労」が制度の目的に組み込まれている点です。転職も認められているため、外国人の権利保護の面でも進んだ制度といえます。
また、技能実習2号を良好に修了した方は、同一分野への特定技能1号への移行時に技能試験と日本語試験の両方が免除される点も実務上の重要なポイントです。
育成就労制度への移行(2027年4月〜)
技能実習制度は2027年4月1日に「育成就労制度」へ移行することが閣議決定されています(2025年9月決定)。
新制度のポイントは以下のとおりです。
- 目的が「国際貢献」から「人材の育成・確保」に変更
- 基本3年間の就労期間
- 対象分野は特定技能の「特定産業分野」と一致させる方針
- 技能実習で問題とされていた転籍(転職)制限を緩和
これにより、育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(無期限)という一貫したキャリアパスが制度的に整備されます。外国人材の長期的な活用を検討している企業にとって、大きな転換点となるでしょう。
特定技能外国人の受入れ手続きの流れ【5ステップ】
特定技能外国人を受け入れるまでの一般的な流れを、5つのステップで解説します。
Step 1: 人材の確保・マッチング
海外から採用する場合は人材紹介会社や送出機関を通じて候補者を探します。国内在住の外国人(技能実習修了者や留学生等)を採用する場合は、ハローワークや求人サイトも利用できます。
なお、行政書士法人Treeのグループでは外国人材の有料職業紹介事業も行っています。「人材探しから在留資格申請、義務的支援までまとめて任せたい」という企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
Step 2: 雇用契約の締結
外国人と特定技能雇用契約を締結します。報酬額は日本人と同等以上が必須条件で、フルタイムの直接雇用が原則です(農業・漁業分野のみ派遣形態が認められています)。
Step 3: 支援計画の策定・登録支援機関への委託
特定技能1号の場合、受入れ企業は「1号特定技能外国人支援計画」を策定する義務があります。この支援計画には、事前ガイダンス・送迎・住居確保・生活オリエンテーションなど10項目の義務的支援が含まれます。
自社で支援体制を整えることが難しい場合は、登録支援機関に支援業務を委託することで、支援体制の基準を満たすことができます。
Step 4: 在留資格の申請
海外からの場合は「在留資格認定証明書交付申請」、国内からの切替えの場合は「在留資格変更許可申請」を出入国在留管理局に行います。審査期間は通常1〜3か月程度です。
Step 5: 入国・就労開始・届出
在留資格が許可されたら、入国(または在留資格変更)後に就労を開始します。受入れ企業はハローワークへの「外国人雇用状況の届出」(届出を怠ると30万円以下の罰金)や、出入国在留管理庁への各種届出を行う必要があります。
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行政書士法人Treeでは、特定技能の在留資格申請から登録支援機関としての義務的支援まで、ワンストップでサポートいたします。グループで外国人材の紹介事業も運営しており、人材探しからお任せいただけます。初回相談は無料です。
特定技能の受入れにかかる費用の目安
特定技能外国人の受入れにかかる費用は、大きく初期費用と毎月のランニングコストに分かれます。
初期費用の内訳
| 費用項目 | 目安金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介料 | 10万〜30万円 | 紹介会社により異なる |
| 送出機関手数料 | 10万〜60万円 | 海外採用の場合のみ |
| 在留資格申請費用 | 12万〜20万円 | 行政書士報酬を含む |
| 渡航費・住居確保費 | 5万〜15万円 | 海外採用の場合のみ |
毎月のランニングコスト
| 費用項目 | 目安金額(1人あたり) |
|---|---|
| 登録支援機関への委託費(業界平均) | 月額2万〜3万円 |
| 行政書士法人Treeの委託費 | 月額9,800円(税抜) |
| 建設分野のJAC受入負担金 | 月額12,500円(建設のみ) |
登録支援機関への委託費は企業にとって継続的な負担となります。行政書士法人Treeでは月額9,800円(税抜)/人と、業界平均の約1/3の費用で義務的支援をサポートしています。コストを抑えながら確実に支援を実施したい企業様はぜひご検討ください。
特定技能に関するよくある質問
Q1: 特定技能1号と2号の違いは何ですか?
特定技能1号は「相当程度の知識・経験」が求められる在留資格で、在留期間は通算5年、家族帯同は原則不可です。特定技能2号は「熟練した技能」が求められ、在留期間に上限がなく、家族帯同も可能です。2026年現在、1号は16分野、2号は11分野が対象です。
Q2: 特定技能と技能実習の違いは何ですか?
最大の違いは制度の目的です。特定技能は日本の人手不足を解消するための「就労制度」、技能実習は途上国への技能移転を目的とした「国際貢献制度」です。特定技能は同一分野内で転職が可能ですが、技能実習は原則転職できません。なお、技能実習制度は2027年4月に「育成就労制度」へ移行します。
Q3: 特定技能外国人の受入れにかかる費用はいくらですか?
初期費用として人材紹介料10〜30万円、在留資格申請費用12〜20万円が必要です。ランニングコストとして登録支援機関への委託費が毎月発生し、業界平均は月額2〜3万円/人です。行政書士法人Treeでは月額9,800円(税抜)/人でご提供しています。
Q4: 特定技能の対象分野は何種類ありますか?
2026年現在、特定技能1号の対象は16分野です。介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野に加え、2024年に自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が追加されました。
Q5: 登録支援機関への委託は必須ですか?
法律上は必須ではありません。受入れ企業が自社で支援体制を整え、支援計画を作成・実施できれば委託は不要です。ただし、義務的支援は10項目にわたり実務負担が大きいため、多くの企業が登録支援機関に委託しています。全部委託すると、支援体制の基準を満たしたとみなされるメリットもあります。
まとめ:特定技能制度を正しく理解して外国人採用を成功させよう
この記事のポイントを整理します。
- 特定技能は人手不足解消を目的とした在留資格で、1号(通算5年)と2号(上限なし)の2種類がある
- 対象分野は16分野に拡大し、2024〜2028年度で最大約82万人の受入れが見込まれている
- 受入れには支援計画の策定が必要だが、登録支援機関への委託で負担を大幅に軽減できる
2027年には技能実習に代わる「育成就労制度」もスタートし、外国人材の受入れ環境は今後さらに整備が進みます。制度を正しく理解し、早めに準備を進めることが、外国人採用を成功させる鍵です。
特定技能の受入れは行政書士法人Treeにご相談ください
行政書士法人Treeは登録支援機関として、特定技能外国人の受入れをトータルサポートしています。登録支援機関としての委託料は月額9,800円(税抜)/人と業界平均の約1/3。さらに、グループで外国人材の有料職業紹介事業も運営しているため、人材探し・在留資格申請・義務的支援まで一括でお任せいただけます。相談は何度でも無料です。
※ 本記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。個別のケースについては専門家にご相談ください。