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「特定技能と技能実習、どちらで外国人を受け入れるべき?」——これは外国人材の採用を検討する企業が最初に直面する疑問です。
結論から言えば、即戦力の人材を確保したいなら特定技能、時間をかけて育成したいなら技能実習が基本の考え方です。ただし、技能実習制度は2027年4月に「育成就労制度」へ移行するため、今後の受入れ戦略を考える上では特定技能を軸に検討するのが現実的です。
この記事では、入管業務専門の行政書士が、特定技能と技能実習の違いを8つの比較項目で徹底解説します。費用・在留期間・転職の可否など、企業が判断に必要な情報を比較表つきで整理しました。
行政書士法人Treeでは、特定技能外国人の受入れに関するご相談を無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。
目次
【比較表】特定技能と技能実習の違い一覧
まずは全体像を把握しましょう。以下が特定技能と技能実習の主な違いです。
| 比較項目 | 特定技能 | 技能実習 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 人材確保(労働力) | 技術移転(国際貢献) |
| 在留期間 | 1号:最長5年/2号:上限なし | 最長5年(1号1年+2号2年+3号2年) |
| 転職 | 同一分野内で可能 | 原則不可 |
| 対象分野 | 16分野 | 92職種169作業 |
| 家族帯同 | 1号:不可/2号:可 | 不可 |
| 受入れ人数枠 | 原則なし(建設・介護は制限あり) | 常勤職員数に基づく制限あり |
| 受入れ方法 | 直接雇用+登録支援機関 | 監理団体経由(団体監理型が約98%) |
| 技能水準 | 技能試験+日本語試験(N4以上) | 入国時は不要 |
| 報酬基準 | 日本人と同等以上 | 最低賃金以上 |
| 初期費用目安 | 約30〜50万円/人 | 約70〜90万円/人 |
| 制度の将来 | 継続 | 2027年に育成就労制度へ移行 |
ここから、各項目を詳しく解説していきます。
特定技能と技能実習の8つの違い
① 制度の目的
特定技能は、深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を持つ即戦力の外国人材を受け入れる制度です。2019年4月に改正入管法の施行により創設されました。
技能実習は、開発途上国への技能・技術の移転を通じた国際貢献を目的とする制度です。2017年施行の技能実習法が法的根拠です。「労働力確保」ではなく「人づくり」が建前ですが、実態として労働力として活用されていることが国内外から指摘されています。
② 在留期間
| 区分 | 期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 通算で最長5年 | 3年・1年・6か月・4か月ごとに更新 |
| 特定技能2号 | 上限なし | 3年・2年・1年・6か月ごとに更新。永住権申請も可能 |
| 技能実習1号 | 1年以内 | 入国1年目(うち約2か月は座学講習) |
| 技能実習2号 | 2年以内 | 入国2〜3年目 |
| 技能実習3号 | 2年以内 | 入国4〜5年目(優良認定が必要) |
技能実習3号修了後に特定技能1号へ移行すれば、通算で最長10年の在留が可能です。さらに特定技能2号へ移行すれば在留期間に上限はなくなります。
③ 転職の可否
特定技能は同一の特定産業分野内であれば転職が可能です。企業にとっては待遇や職場環境が悪いと転職されるリスクがある一方、外国人の権利保護の観点では大きな前進です。
技能実習は原則として転職(転籍)は認められていません。ただし、実習先の倒産・賃金不払い・暴行やハラスメントなど「やむを得ない事情」がある場合に限り、転籍が認められます。2024年11月の運用要領改正で、この転籍の運用が改善されました。
④ 対象分野
特定技能は2024年3月の閣議決定で12分野から16分野に拡大されました。新たに自動車運送業・鉄道・林業・木材産業が追加されています。
技能実習は92職種169作業と、より細かく分類されています。介護・農業・建設・飲食料品製造など両制度で重なる分野もありますが、宿泊・航空・鉄道・自動車運送業は特定技能のみ、繊維・衣服関係は技能実習のみ対象です。
⑤ 受入れ人数枠
特定技能は原則として企業ごとの受入れ人数に上限がありません(建設分野と介護分野は常勤職員数を超えてはならないという制限あり)。
技能実習は常勤職員数に応じた受入れ人数枠が設定されています。例えば常勤職員30人以下の企業は技能実習1号の基本人数枠が3人です。
⑥ 家族帯同の可否
特定技能1号と技能実習はいずれも家族帯同が認められていません。特定技能2号のみ、配偶者と子の帯同(「家族滞在」の在留資格)が可能です。
⑦ 受入れ方法(登録支援機関 vs 監理団体)
特定技能は企業が外国人を直接雇用し、義務的支援の実施を自社で行うか登録支援機関に委託します。
技能実習は全体の約98%が監理団体(事業協同組合等)を経由する「団体監理型」です。監理団体が受入れ企業の指導・監査を行います。
| 比較項目 | 登録支援機関(特定技能) | 監理団体(技能実習) |
|---|---|---|
| 役割 | 義務的支援10項目の実施 | 実習生の監理・監査・指導 |
| 費用相場 | 月額1.5〜3万円/人 | 月額3〜5万円/人 |
| 登録/許可 | 出入国在留管理庁への登録 | 主務大臣の許可 |
⑧ コスト・費用
制度利用に伴う追加コスト(外国人本人の給与・社会保険料等を除く)の目安です。
| 費用項目 | 特定技能 | 技能実習 |
|---|---|---|
| 送出機関手数料 | 15〜20万円 | 20〜30万円 |
| 監理団体加入金・講習費 | — | 20〜30万円 |
| 渡航費・住居整備費 | 10〜15万円 | 10〜15万円 |
| 申請代行費 | 10〜15万円 | 8〜10万円 |
| 初期費用 合計 | 約30〜50万円 | 約70〜90万円 |
| 月額費用(支援/監理) | 1.5〜3万円 | 3〜5万円 |
特定技能の方が初期費用で約20〜40万円、月額費用でも約1.5〜2万円安い傾向にあります。
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特定技能と技能実習のメリット・デメリット
特定技能のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 試験合格者で即戦力になりやすい | 同一分野内で転職される可能性がある |
| 受入れ人数枠の制限が原則なし | 試験合格者に限られるため母数が小さい |
| 初期費用・月額費用が比較的安い | 義務的支援の実施体制が必要 |
| 2号に移行すれば永住権取得も可能 | — |
技能実習のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 原則転職不可で計画的な人材配置が可能 | 初期費用・月額費用が高い |
| 入国時に試験合格が不要で母集団が大きい | 即戦力ではなく教育コストがかかる |
| 段階的に技能を向上させられる | 受入れ人数枠に制限がある |
| 監理団体のサポートを受けられる | 2027年に育成就労制度へ移行予定 |
技能実習から特定技能への移行方法
技能実習2号を良好に修了していれば、特定技能1号への移行が可能です。
移行の条件
- 技能実習2号を2年10か月以上修了していること
- 技能検定3級相当の試験に合格、または実習実施者による評価調書の提出
- 移行先が同一の業務区分であること
試験免除のメリット
技能実習2号を良好に修了した場合、同一分野への移行であれば技能試験・日本語試験ともに免除されます。異なる分野への移行の場合は、移行先の技能試験のみ受験が必要です(日本語試験は免除)。
【2027年】技能実習は「育成就労制度」へ移行
2027年4月1日、技能実習制度は廃止され、新たに「育成就労制度」がスタートします。
| 項目 | 技能実習 | 育成就労(2027年〜) |
|---|---|---|
| 目的 | 技術移転(国際貢献) | 人材育成と人材確保 |
| 在留期間 | 最長5年 | 原則3年 |
| 対象分野 | 92職種169作業 | 特定技能と同じ16分野 |
| 転籍 | 原則不可 | 一定条件下で本人意向の転籍が可能 |
| 特定技能への接続 | 移行は可能だが制度的な連携は弱い | 特定技能1号への移行を前提に設計 |
育成就労制度では、育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(上限なし)というキャリアパスが制度的に確立されます。
転籍の条件(本人意向による転籍)
以下のすべてを満たす場合、本人の意思による転籍が可能になります。
- 同一受入れ機関での就労が1年又は2年(分野により異なる)
- 技能検定試験基礎級に合格
- 日本語能力試験N5相当以上に合格
- 同一業務区分内に限定
企業が今から準備すべきこと
現在の監理団体は許可制の「監理支援機関」への移行が必要です。2026年夏頃から許可申請の受付が開始される見込みです。技能実習で受け入れている企業は、育成就労制度への移行スケジュールを確認しておきましょう。
詳しくは出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aをご確認ください。
企業はどちらを選ぶべき?
| こんな企業には | おすすめの制度 |
|---|---|
| すぐに現場で働ける人材が必要 | 特定技能 |
| 初期費用・ランニングコストを抑えたい | 特定技能 |
| まとまった人数を採用したい | 特定技能(原則人数枠なし) |
| 長期的な定着・永住も視野に入れたい | 特定技能(2号で無期限) |
| 時間をかけて育成する余裕がある | 技能実習(→2027年以降は育成就労) |
| 監理団体のサポートを受けたい | 技能実習(→2027年以降は育成就労) |
2026年現在の実務的な判断として、新規に外国人材の受入れを検討する企業は特定技能を軸に検討するのが現実的です。技能実習制度は2027年4月に育成就労制度へ移行するため、新規の技能実習計画認定は段階的に終了していきます。
よくある質問
Q1. 特定技能と技能実習はどちらが企業にとってメリットが大きいですか?
即戦力の人材を柔軟に採用したい企業には特定技能、時間をかけて育成・定着させたい企業には技能実習が向いています。特定技能は受入れ人数に上限がなく(建設・介護を除く)、初期費用も20〜40万円程度安い傾向にあります。ただし2027年4月以降は技能実習が育成就労制度に移行するため、今後は特定技能を中心に検討するのが現実的です。
Q2. 技能実習から特定技能に切り替え(移行)できますか?
技能実習2号を良好に修了(2年10か月以上の実習修了+技能検定3級相当の合格)していれば、特定技能1号への移行が可能です。同一分野への移行であれば技能試験・日本語試験ともに免除されます。
Q3. 2027年に技能実習制度はなくなるのですか?
はい、技能実習制度は2027年4月に「育成就労制度」へ移行します。育成就労制度は国際貢献ではなく「人材育成と人材確保」を目的とし、特定技能への移行を前提とした制度設計です。本人意向による転籍も一定条件下で認められます。
Q4. 特定技能の受入れに登録支援機関は必要ですか?
特定技能1号の外国人を受け入れる場合、義務的支援10項目の実施が必要です。自社で支援体制を整えることも可能ですが、要件を満たせない場合は登録支援機関への全部委託が必要です。委託費用の相場は月額15,000〜30,000円/人です。
Q5. 特定技能と技能実習で受け入れられる業種はどう違いますか?
特定技能は16分野(介護・建設・外食業・宿泊・農業など)、技能実習は92職種169作業が対象です。重なる分野もありますが、宿泊・航空・鉄道・自動車運送業は特定技能のみ、繊維・衣服関係は技能実習のみ対象など、制度ごとに対象範囲が異なります。
まとめ
特定技能と技能実習の違いを8つの項目で比較しました。要点を整理すると:
- 特定技能は人材確保が目的で、即戦力・転職可・人数枠なし・コスト低め
- 技能実習は国際貢献が目的で、育成型・転職不可・人数枠あり・コスト高め
- 技能実習は2027年4月に育成就労制度へ移行予定。新規受入れは特定技能が現実的
外国人材の受入れでお悩みですか?
行政書士法人Treeでは、登録支援機関として月額9,800円(税抜)/人で支援業務を承っております。在留資格の申請から届出まで、入管業務専門の行政書士がワンストップでサポートいたします。
※ 本記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。
最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。
個別のケースについては専門家にご相談ください。

