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告訴状と被害届の違いとは?法的効力・提出方法の違いを行政書士がわかりやすく解説

約13分で読めます
ツリーちゃんツリーちゃん

先日、犯罪の被害に遭ってしまいました。警察に届けたいのですが、「被害届」と「告訴状」のどちらを出せばいいのでしょうか?

ツリーちゃんツリーちゃん

そもそも、この2つはどう違うのですか?

行政書士行政書士

被害届と告訴状は、どちらも犯罪被害を警察に伝える手段ですが、法的な効力がまったく異なります。

行政書士行政書士

本記事では、被害届と告訴状の違いを5つの観点から詳しく解説いたします。どちらを提出すべきかの判断基準や、告訴状の書き方まで網羅的にご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

犯罪の被害に遭ったとき、多くの方がまず思い浮かべるのが「被害届」ではないでしょうか。しかし、被害の内容や状況によっては、「告訴状」を提出したほうが、より確実に捜査が進むケースがあります。実際のところ、告訴状と被害届の違いを正しく理解している方はそれほど多くありません。

この記事では、告訴状と被害届の違いを法的根拠に基づいてわかりやすく解説します。さらに、どちらを選ぶべきかの判断基準や告訴状の書き方まで詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

告訴状と被害届の違い ― そもそも何が違う?

告訴状と被害届の違いを理解するために、まずそれぞれの書面がどのような役割を持つのか、基本的な定義から確認しましょう。

被害届とは

被害届とは、犯罪による被害の事実を警察に届け出るための書面です。法的根拠は犯罪捜査規範第61条にあり、警察が犯罪の発生を認知するきっかけとなります。

つまり、被害届はあくまで「こういう被害がありました」という届出であり、犯人の処罰を求める意思表示は含まれていません。したがって、被害届を受理した警察には、法律上の捜査義務は発生しません

告訴状とは

告訴状とは、犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示を行う書面です。法的根拠は刑事訴訟法第230条にあります。

告訴状が受理されると、警察は刑事訴訟法第242条に基づき、速やかに書類および証拠物を検察官に送付する義務が生じます。つまり、告訴状には被害届にはない法的拘束力があるのです。

ツリーちゃんツリーちゃん

なるほど、「処罰を求める意思表示」があるかどうかが大きな違いなんですね。

行政書士行政書士

おっしゃるとおりです。この違いが、その後の捜査の進み方に大きく影響します。次の項目で、5つの観点から詳しく比較してみましょう。

告訴状と被害届の5つの違い

告訴状と被害届には、大きく分けて5つの違いがあります。はじめに一覧表で全体像を確認し、その後で各項目を詳しく解説します。

比較項目告訴状被害届
法的根拠刑事訴訟法第230条犯罪捜査規範第61条
法的効力捜査義務あり(検察送致義務)捜査義務なし
提出者被害者本人・法定代理人等被害者本人(比較的柔軟)
提出期限親告罪は犯人を知った日から6か月期限なし(時効の範囲内)
取り下げ取り下げ後の再告訴は不可再提出が可能

それでは、各項目について詳しく見ていきましょう。

告訴状と被害届 それぞれの法的根拠と効力

1.法的根拠の違い

告訴状は刑事訴訟法第230条に規定されており、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる」と定められています。刑事訴訟法は国会で制定された「法律」であり、強い法的拘束力を持ちます。

一方、被害届は犯罪捜査規範第61条に基づくものです。犯罪捜査規範は国家公安委員会が定めた「規則」であり、あくまで警察内部の事務手続きに関する定めです。

つまり、告訴状は「法律」に基づく手続き、被害届は「内部規則」に基づく手続きという根本的な違いがあります。

2.法的効力の違い(最大の違い)

告訴状と被害届の違いの中で、これが最も重要なポイントです。

告訴状が受理されると、刑事訴訟法第242条により、司法警察員は速やかに書類および証拠物を検察官に送付しなければならないという義務が生じます。さらに、検察官は起訴・不起訴の処分を行い、その結果を告訴人に通知する義務があります(刑事訴訟法第260条・第261条)。

一方、被害届が提出された場合、警察には捜査を行う法的義務はありません。もちろん実務上は捜査が行われることもありますが、あくまで警察の裁量に委ねられています。

ポイント:告訴状の法的効力

告訴状が受理されると、①捜査の実施、②検察官への書類送付、③起訴/不起訴の通知、という一連の手続きが法的に義務づけられます。被害届にはこのような義務が発生しないため、確実に捜査を進めたい場合は告訴状の提出が有効です。

3.提出者(提出権者)の違い

告訴状と被害届の提出者・期限・取り下げの違い

告訴状を提出できるのは、原則として以下の者に限定されています。

  • 被害者本人(刑事訴訟法第230条)
  • 被害者の法定代理人(刑事訴訟法第231条第1項)…未成年者の親権者、成年後見人など
  • 被害者が死亡した場合の配偶者・直系親族・兄弟姉妹(刑事訴訟法第231条第2項)

これに対して、被害届は犯罪捜査規範に基づく届出であるため、告訴ほど厳格な制限はなく、比較的柔軟に受理される傾向があります。ただし、実務上は被害者本人が提出するのが一般的です。

なお、被害者以外の第三者が犯罪事実を申告して処罰を求める場合は、「告発」刑事訴訟法第239条)という別の手続きになります。

4.提出期限の違い

まず、被害届には法律上の提出期限はありません。そのため、公訴時効の範囲内であれば、いつでも提出することが可能です。

一方、告訴状には親告罪の場合に期限があります。刑事訴訟法第235条により、親告罪の告訴は「犯人を知った日から6か月以内」に行わなければなりません。

親告罪の具体例

親告罪とは、告訴がなければ起訴できない犯罪のことです。代表的なものとして、以下があります。

  • 名誉毀損罪(刑法第230条)
  • 侮辱罪(刑法第231条)
  • 器物損壊罪(刑法第261条)
  • 信書開封罪(刑法第133条)
  • 未成年者略取・誘拐罪(刑法第224条、営利目的等を除く)

これらの犯罪被害に遭った場合は、犯人を知ってから6か月以内に告訴する必要があるため、迅速な対応が重要です。

ちなみに、非親告罪(窃盗罪、詐欺罪、傷害罪など)の場合は期限がなく、公訴時効の範囲内であればいつでも告訴することができます。

5.取り下げと再提出の違い

まず被害届については、取り下げた後でも改めて提出し直すことが可能です。

しかし、告訴状の取り下げ(告訴の取消し)については、刑事訴訟法第237条に重要な規定があります。

告訴の取消しをした者は、さらに告訴をすることができない(刑事訴訟法第237条第2項)。

すなわち、一度告訴を取り下げてしまうと、同じ事実について再び告訴することはできません。とりわけ親告罪の場合、告訴の取消しは起訴の可能性を完全に断つことになりますので、取り下げは非常に慎重に判断する必要があります

ツリーちゃんツリーちゃん

告訴状のほうが効力は強いけれど、取り下げたら再告訴できないというリスクもあるんですね。

行政書士行政書士

そのとおりです。だからこそ、どちらを提出するかは慎重に判断することが大切です。次の項目で、状況に応じた選び方をご案内しますね。

どちらを出すべき?状況別の判断基準

ここまで告訴状と被害届の違いを見てきましたが、実際にはどちらを提出すべきでしょうか。結論としては、被害の内容や目的によって異なります。以下の判断基準を参考にしてください。

被害届が適しているケース
  • とりあえず犯罪の事実を警察に記録しておきたい場合
  • 保険金請求のために「警察に届けた」という証明が必要な場合
  • 犯人の処罰よりも被害の記録を優先したい場合
  • まだ犯人が特定されていない段階での初動対応
告訴状が適しているケース
  • 犯人の処罰を強く求めたい場合
  • 被害届を出したが捜査が進展しない場合
  • 親告罪に該当する犯罪の被害に遭った場合(名誉毀損、器物損壊など)
  • 確実に捜査を進め、検察に送致してほしい場合
  • 悪質な犯行で厳しい処分を求めたい場合

迷ったら段階的に進める方法も

段階的アプローチもおすすめ

必ずしも最初から告訴状を出す必要はありません。以下のような段階的なアプローチも有効です。

まず被害届を提出し、犯罪事実を警察に記録します。
次に、捜査の進展を見守りながら、必要に応じて警察と相談します。
それでも捜査が進まない場合や処罰を求めたい場合は、告訴状を提出します。

ただし、親告罪の場合は6か月の期限があるため、段階的に進める場合でも期限には十分ご注意ください。

告訴状の書き方と注意点

告訴状と被害届の違いとして、書面の記載内容にも大きな差があります。告訴状は記載すべき項目が多く、書き方にも一定のルールがあります。ここでは、具体的な記載項目と受理されにくいケースについて解説します。

告訴状の記載必須項目
  1. 宛先:提出先の警察署長または検察官の名称
  2. 告訴人の情報:氏名、住所、生年月日、連絡先
  3. 被告訴人の情報:犯人の氏名・住所(不明の場合は特徴や状況を記載)
  4. 告訴の趣旨:「下記の被告訴人の行為について、厳重な処罰を求めるため告訴します」等の定型文
  5. 犯罪事実:いつ、どこで、誰が、何を、どのように行ったかを具体的に記載(5W1H)
  6. 罪名と適用法条:該当する犯罪の罪名と条文(例:詐欺罪・刑法第246条)
  7. 告訴に至る経緯:被害発覚の経緯や告訴を決意した理由
  8. 証拠書類の一覧:添付する証拠の目録(メール、写真、契約書など)

特に、告訴状の作成にあたっては犯罪事実の記載や刑法上の構成要件を満たしているかという点が最も重要です。そのため、客観的な事実を具体的に記載することが求められます。

告訴状が受理されにくいケース

実務上、以下のような場合は告訴状が受理されにくいことがあります。

  • 犯罪事実が曖昧で、構成要件を満たしているか不明確な場合
  • 証拠が不十分で、犯罪の立証が困難と判断される場合
  • 民事上のトラブル(単なる契約不履行など)を刑事事件として告訴しようとする場合(民事上の解決には示談書の作成が有効です)
  • 告訴状の記載内容に不備が多い場合

告訴状の受理を確実にするためには、法的な知識に基づいた適切な書面の作成が不可欠です。弁護士、行政書士などの専門家に相談されることをおすすめいたします。

告訴状と被害届の違いに関するよくある質問

告訴状と被害届の違いについて、よくいただくご質問をまとめました。

Q1.被害届を出した後から告訴状に切り替えることはできますか?

はい、もちろん可能です。実際に、被害届を提出した後でも、告訴状を別途提出することができます。被害届と告訴状はそれぞれ独立した手続きですので、被害届の取り下げは不要です。

ただし、親告罪の場合は犯人を知ってから6か月以内という期限がありますので、切り替えのタイミングにはご注意ください。

Q2.告訴状を提出すれば犯人は逮捕されますか?

必ずしも告訴状の提出が直ちに逮捕につながるわけではありません。確かに告訴状が受理されると捜査が行われますが、逮捕するかどうかは、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれなどを考慮して、捜査機関が判断します。

とはいえ、告訴状によって捜査義務が生じるため、被害届のみの場合と比べて、捜査が確実に進展する可能性が高いといえます。

告訴状の提出先と告発との違い

Q3.告訴状はどこに提出すればよいですか?

告訴状の提出先は、犯罪が発生した場所を管轄する警察署または検察庁です。

一般的には、まず管轄の警察署に提出するケースが多いです。しかし、警察で受理してもらえない場合は、検察庁に直接提出することも可能です。

Q4.告訴と告発はどう違いますか?

告訴と告発の違いは「提出者が被害者かどうか」にあります。

  • 告訴(刑事訴訟法第230条):犯罪被害者またはその法定代理人が行う
  • 告発(刑事訴訟法第239条):被害者以外の第三者(誰でも可)が行う

要するに、告発も告訴と同様に犯罪事実を申告して処罰を求める意思表示ですが、被害者本人でなくても行うことができます。例えば、犯罪行為を目撃した第三者や、不正行為を発見した関係者が告発を行うケースがあります。

まとめ

ここまで、告訴状と被害届の違いについて5つの観点から詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

告訴状と被害届の違い まとめ
  • 被害届は犯罪被害の届出、告訴状は犯罪申告+処罰を求める意思表示
  • 告訴状が受理されると、捜査義務・検察送致義務が法律上発生する
  • 親告罪の告訴には犯人を知った日から6か月の期限がある
  • 告訴を取り消すと再告訴はできないため、慎重な判断が必要
  • 確実に捜査を進めたい場合は、告訴状の提出が有効

なお、弊所では告訴状の作成以外にも、時効援用の内容証明郵便養育費の公正証書作成など、各種法的書類の作成をサポートしております。

ツリーちゃんツリーちゃん

被害届と告訴状の違いがよくわかりました!でも、告訴状を自分で書くのは難しそうです…

行政書士行政書士

ご安心ください。弊所では、警察署に提出するための告訴状の作成をサポートしております。法的な要件を満たした書面を作成し、スムーズな受理につなげます。

行政書士行政書士

告訴状の書き方がわからない、受理されるか不安、という方はぜひお気軽にご相談ください。

弊所の告訴状作成サポート(警察署提出用)

弊所では、警察署に提出するための告訴状の作成をサポートしております。犯罪被害の内容を丁寧にヒアリングし、法的要件を満たした告訴状を作成いたします。

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行政書士法人Tree