契約書

雇用契約書の書き方|労働条件通知書との違い・兼用可否・必須記載事項を解説

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2024年4月の労働基準法施行規則改正により、労働条件通知書の明示事項が拡充されました。就業場所・業務内容の「変更の範囲」や、有期雇用労働者への無期転換に関する情報など、新たに明示が義務付けられた項目があります。この改正を受けて、雇用契約書の記載内容も見直しが必要になっています。

雇用契約書とは、使用者と労働者の間で合意した労働条件を書面にまとめた契約書です。労働基準法第15条は使用者に対して労働条件の明示を義務付けていますが、その手段として交付されるのが「労働条件通知書」です。雇用契約書は法的な作成義務こそないものの、双方が署名・押印することで合意内容の証拠として機能し、労務トラブルを未然に防ぐ効果があります。本記事では、雇用契約書と労働条件通知書の違い、記載すべき必須事項、2024年改正への対応ポイントを整理します。

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雇用契約書と労働条件通知書の違い

雇用契約書と労働条件通知書は混同されがちですが、法的な位置づけと機能が異なります。両者の主な違いを整理すると以下の通りです。

比較項目 雇用契約書 労働条件通知書
法的根拠 民法第623条(雇用契約) 労働基準法第15条(労働条件の明示義務)
作成義務 法律上の作成義務なし 使用者に交付義務あり(違反は30万円以下の罰金)
当事者 使用者・労働者双方が署名押印 使用者が一方的に交付
証拠力 双方の合意を証明できる 使用者が提示した条件の記録
書面形式 任意(双方署名が一般的) 書面またはFAX・メール等(労働者が希望した場合)

実務上は、雇用契約書と労働条件通知書を1枚の書面にまとめた「労働条件通知書兼雇用契約書」を作成する方法が効率的です。使用者の明示義務を満たしつつ、労働者の同意を署名で確保できるため、多くの企業がこの一体型の書式を採用しています。

雇用契約書の作成手順

ステップ1:労働条件の確定

まず、労働基準法第15条および同法施行規則第5条に基づく「絶対的明示事項」を確定させます。賃金、労働時間、休日、就業場所、従事すべき業務の内容など、書面で明示しなければならない事項を漏れなく洗い出してください。

ステップ2:2024年改正の追加事項を反映

2024年4月施行の改正により、以下の事項が新たに明示義務の対象になりました。既存のひな型を使用している場合は、これらの項目が含まれているか確認が必要です。

  • 就業場所・業務内容の「変更の範囲」(全労働者が対象)
  • 有期雇用労働者に対する「更新上限の有無とその内容」(更新上限を新設・短縮する場合は事前に理由を説明する義務あり)
  • 有期雇用労働者に対する「無期転換申込機会」(無期転換を申し込むことができる旨の明示)
  • 無期転換後の労働条件

ステップ3:契約書の作成・署名

確定した労働条件を契約書に記載し、使用者・労働者双方が署名・押印します。2通作成して各自が1通ずつ保管するのが原則です。労働条件通知書等を電子的に交付する場合は、①労働者が電子交付を希望していること、②労働者がその電子データを出力して書面として印刷できる形式(PDF・メール等)であることの2要件を満たす必要があります(労働基準法施行規則第5条第4項)。

ステップ4:就業規則との整合性確認

雇用契約書の内容が就業規則の基準を下回る場合、その部分は無効となり就業規則の基準が適用されます(労働契約法第12条)。契約書作成後は、就業規則との矛盾がないか必ず確認してください。

必須記載事項の一覧

労働基準法第15条および同法施行規則第5条は、労働条件の明示事項を「絶対的明示事項」と「相対的明示事項(制度がある場合のみ)」に分けています。雇用契約書には、少なくとも絶対的明示事項を漏れなく記載する必要があります。

区分 明示事項 備考
絶対的明示事項 労働契約の期間 無期の場合は「期間の定めなし」と明記
期間の定めがある場合の更新基準 更新の有無・判断基準を記載
就業場所・従事すべき業務 2024年改正で「変更の範囲」も明示義務化
始業・終業の時刻 変形労働時間制の場合はその旨も記載
所定労働時間を超える労働の有無 残業の有無
休憩時間・休日・休暇 年次有給休暇の付与日数も含む
賃金の決定・計算・支払方法・締切日・支払日 固定残業代がある場合はその内訳を明示
退職に関する事項(解雇の事由を含む) 定年・自己都合退職の手続きも記載
相対的明示事項 退職手当に関する事項 制度がある場合のみ
賞与・臨時に支払われる賃金 制度がある場合のみ
安全衛生・職業訓練・災害補償・表彰・制裁等 該当制度がある場合のみ

試用期間がある場合の記載

試用期間を設ける場合は、雇用契約書に試用期間の長さ(例:入社後3か月)と試用期間中の労働条件(本採用後と異なる場合はその旨)を明記してください。試用期間中の賃金が本採用後より低い場合は、その金額を具体的に記載する必要があります。なお、試用期間中であっても労働基準法・社会保険等の適用は通常の労働者と同様です。

固定残業代(みなし残業代)を導入している場合は、基本給と固定残業代の金額・対応する残業時間数・超過分は別途支給する旨を明記しなければなりません。この内訳が不明確な雇用契約書は、労使間の紛争で使用者側に不利に働く可能性があります。

【記載例:固定残業代がある場合】
「基本給:250,000円 固定残業手当:30,000円(月20時間分の時間外労働に対する割増賃金として支給。20時間を超える時間外労働が発生した場合は別途割増賃金を支給する)」

厚生労働省が公開している「2024年4月からの労働条件明示ルール」のページでは、改正に対応したモデル労働条件通知書の様式がダウンロードできます。

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よくある質問

Q. 雇用契約書を作成しないと違法になりますか?

雇用契約書の作成自体は法律上の義務ではありません。ただし、労働基準法第15条は使用者に対し労働条件の書面明示を義務付けており、これを怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があります(同法第120条)。労働条件通知書の交付は必須であり、雇用契約書はそれに加えて双方の合意を記録する役割を果たします。

Q. パート・アルバイトにも雇用契約書は必要ですか?

パート・アルバイトであっても労働条件の書面明示義務は同じです。さらに、パートタイム・有期雇用労働法第6条により、①昇給の有無、②退職手当の有無、③賞与の有無、④雇用管理の改善等に関する相談窓口の4項目も文書で明示しなければなりません(違反は10万円以下の過料)。雇用形態を問わず、雇用契約書を取り交わすことを推奨します。

Q. 雇用契約書と労働条件通知書を1枚にまとめてよいですか?

まとめて作成することは認められており、厚生労働省も「労働条件通知書兼雇用契約書」の形式を案内しています。明示義務のある事項を漏れなく記載し、労働者の署名・押印欄を設ければ、1枚の書面で通知と合意の両方を兼ねることができます。

Q. 雇用契約書の内容と就業規則が矛盾した場合はどちらが優先されますか?

労働契約法第12条により、雇用契約書の内容が就業規則の基準を下回る場合はその部分が無効となり、就業規則の基準が適用されます。一方、雇用契約書が就業規則を上回る条件を定めている場合は、雇用契約書の内容が優先されます。

まとめ

  • 雇用契約書は法的な作成義務はないが、双方の合意を証明する証拠として作成が強く推奨される
  • 労働条件通知書は労働基準法に基づく使用者の義務。2024年改正で「変更の範囲」等が追加
  • 実務上は「労働条件通知書兼雇用契約書」として一体化するのが効率的
  • 固定残業代の内訳や有期雇用の更新基準など、記載漏れが紛争の原因になりやすい項目に注意

雇用契約書の書き方に関連する契約書全般の知識は「契約書の種類一覧|目的別の選び方と注意点」でも解説しています。

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※ 2026年4月時点の労働基準法・労働契約法に基づく一般的な解説です。個別の法的判断は弁護士にご相談ください。

※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

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