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建設業許可の実務経験証明|証明方法・必要書類・年数の数え方を行政書士が解説

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結論から言えば、国家資格がなくても、10年以上の実務経験を適切に証明できれば、建設業許可の営業所技術者等(旧 専任技術者)要件を満たせます。ただし「経験があること」と「経験を書類で証明できること」は別問題です。証拠書類が揃わなければ、いくら長年現場で働いてきた実績があっても、許可は取得できません。建設業許可申請の専門家として、実務経験の証明でつまずく事業者を数多く見てきました。この記事では、実務経験証明書(様式第9号)の具体的な書き方から、裏付け資料の収集方法、資格取得による代替ルートまで、実務的な観点から解説します。

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実務経験で専任技術者になれる条件

建設業許可を取得するには、営業所ごとに「営業所技術者等」(令和6年12月13日施行の建設業法改正以前の旧称:専任技術者)を配置することが義務付けられています(建設業法第7条第2号)。本記事では読みやすさのため「専任技術者」という旧称も使用していますが、現在の正式名称は「営業所技術者等」です。専任技術者になるルートは大きく3つあります。

ルート 要件の概要 実務経験年数
国家資格ルート 1級・2級施工管理技士など、業種に対応する国家資格を保有 不要(資格のみで可)
学歴+実務経験ルート 指定学科卒業+大卒・高専卒3年 or 高卒・中等教育学校卒5年の実務経験 3〜5年
実務経験のみルート 資格・学歴を問わず、許可を受けようとする業種での実務経験 10年以上

資格も指定学科の学歴もない場合は、10年以上の実務経験を証明することで専任技術者の要件を満たせます。なお、複数の業種にまたがって同時期に経験を積んでいた場合、重複して経験年数を計算することはできません。たとえば「とび・土工工事業」と「土木工事業」を同じ期間にこなしていても、どちらか一方の業種にしかカウントできないため、複数業種での許可を目指す場合は注意が必要です。

専任技術者の要件全体については、専任技術者の要件と資格一覧で業種別の対応資格も含めて詳しく解説しています。

実務経験証明の準備ステップ

実務経験による専任技術者要件の証明は、「実務経験証明書(様式第9号)の作成」と「裏付け資料の収集」の2本柱で進めます。以下のステップで準備を進めてください。

Step 1: 対象業種と経験期間を整理する

まず、許可を取りたい業種(例: 塗装工事業、管工事業など)を確定し、その業種に該当する工事に従事していた期間を特定します。在籍していた会社名・期間・担当した工事の種類を時系列で書き出しましょう。同時期に複数業種の経験がある場合は、いずれか1業種にしかカウントできないため、どの業種の許可を優先するか方針を決めます。

Step 2: 裏付け資料の種類を確認する

実務経験証明書だけでは不十分で、都道府県に対して工事の実績を裏付ける資料の提出が必要です。都道府県によって求められる資料の種類や件数が異なりますが、一般的な要件は以下のとおりです。

証明資料の種類 必要件数の目安 補足
工事請負契約書 1年につき1件 代表者印または契約締結権限者の印があるもの
注文書(発注書)+請書のセット 1年につき1件 双方に代表者印があること
注文書または請求書+入金確認資料 1年につき1件 通帳の入金記録とセットで使用する
確定申告書(個人事業主の場合) 各年度分 工事業種の売上記載があるものに限る

10年分の証明が必要な場合でも、必要件数は都道府県の運用によって異なります。「1年につき1件」で足りる場合もあれば、より細かい資料提出を求められる場合もあるため、申請先の手引を必ず確認してください。古い書類は紛失していることも多いため、早めに在籍していた会社や取引先に確認を取り始めることが重要です。

Step 3: 常勤性を証明する書類を用意する

実務経験を積んでいた期間、その会社に「常勤」で在籍していたことを証明する資料も必要です。主な証明書類として、健康保険被保険者証の写し(勤務先名が記載されているもの)、住民税の特別徴収税額通知書(各年度の勤務先が記載)、雇用保険被保険者証などが使われます。なお、健康保険被保険者証は令和6年12月以降の新規発行が廃止されたため、申請時期によっては「厚生年金の被保険者記録照会回答票」等の代替書類が必要となる都道府県があります。事前に申請先の担当窓口にご確認ください。これらは「在籍していた期間」を客観的に示す証拠として機能します。

Step 4: 実務経験証明書(様式第9号)を作成する

証明書の様式は国土交通省のサイトや各都道府県の建設業許可担当窓口のホームページからダウンロードできます。記載項目と注意点は次のセクションで詳しく説明します。

Step 5: 申請書類一式を提出する

実務経験証明書・裏付け資料・常勤性証明書類を揃えたうえで、建設業許可申請書その他の必要書類と合わせて、知事許可は都道府県知事へ、大臣許可は本店所在地を管轄する地方整備局長等へ提出します。書類に不備があると補正を求められ、審査期間が延びるため、事前確認を徹底することが重要です。

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実務経験証明書(様式第9号)の記載方法

実務経験証明書は、「証明する側(雇用主または元雇用主)」が記載・押印する書類です。自分自身が代表者として個人事業を営んでいた場合は、自ら証明者として記載することもできます。主な記載事項は以下のとおりです。

証明者欄

証明者の住所・商号または名称・代表者氏名を記載し、法人の場合は代表者印を押印します。現在の在籍先が証明者となる場合と、過去に在籍した会社が証明者となる場合があります。証明者と被証明者(実務経験を積んだ本人)の関係(「社員」「元社員」等)も明記します。

被証明者欄

実務経験を積んだ本人の氏名・生年月日・使用された期間(在職期間)・使用された期間中の職名を記載します。「現場主任」「施工技術者」「工事主任」など、実際に担当していた職名を記入します。

工事名・経験の内容欄

従事した工事の名称・工事の内容(業種に対応する工事であることが分かる記載)・注文者名・工期・実務経験年数を記載します。注文者名は個人の場合「A氏」のように個人名を特定できない表記にします。1行(1件)につき1つの工事を記載し、経験年数の合計が10年以上になるよう積み上げていきます。

よくある誤りとして、「工事の内容」欄に業種と関係のない工事(例: 電気工事業の許可を申請するのに、土木工事の経験を記載する)を記載してしまうケースがあります。記載する工事は、申請する業種に対応するものでなければ経験年数に算入できません。

実務経験を証明できないときの対処法

過去の契約書や注文書が10年分揃わないというのは、実務ではよく起きることです。以下の対処法を検討してください。

在籍していた会社が廃業・倒産している場合

証明者となる会社が存在しない場合は、当時の実態を示す間接的な証拠を組み合わせて対処します。当時の工事に係る発注者(元請会社や施主)から証明を受けられないか確認する方法のほか、登記事項証明書で法人の存在期間を確認したうえで、都道府県の担当窓口に個別相談することが現実的なアプローチです。廃業した会社については代表者個人が証明者になれる場合もあるため、担当行政庁に確認することを強くお勧めします。

会社が証明書の作成を拒否する場合

在籍先の会社が証明書の作成を拒否するケースでは、拒否そのものを強制することはできません。こうした場合には、当時の請求書・通帳・源泉徴収票など、間接的に在職と工事実績を示せる資料をできるだけ多く収集し、都道府県の担当窓口に相談のうえ、認められる範囲での証明方法を探ることになります。

なお、建設業許可の要件全体については、建設業許可の5つの要件でも整理していますので、合わせてご確認ください。

資格取得による代替ルートとの比較

10年の実務経験証明は書類収集の手間がかかります。一方、国家資格を取得すれば実務経験の証明なしに専任技術者になれるため、資格取得という選択肢も念頭に置くことが重要です。

項目 10年実務経験ルート 国家資格ルート
証明書類 実務経験証明書+裏付け資料(最低10件)+常勤性証明 合格証書(または資格者証)のみ
準備期間 書類収集に数週間〜数ヶ月かかる場合がある 資格取得後、すぐ申請可能
適用できる業種数 原則1業種(同一期間の重複不可) 対応資格により複数業種に対応できる場合あり
コスト 書類収集費用(通帳の取得費等)のみ 受験費用・学習費用が発生する
難易度・リスク 書類が揃わないリスクがある 試験合格が必要(合格率は業種・試験種別で異なる)
こんな人に向いている 資格を持たないが長年の現場経験がある人 資格を持つか、これから取得できる人

現時点で資格がなく、すぐに許可を取りたい場合は10年実務経験ルートが現実的です。将来的に複数業種への拡大を考えているなら、資格取得を視野に入れた計画も合わせて検討することをお勧めします。

よくある質問

Q1. 複数の会社での経験を合算して10年にできますか?

複数の会社での実務経験は合算できます。ただし、各社での経験について、それぞれの会社が実務経験証明書の証明者となり、会社ごとに裏付け資料と常勤性証明書類を用意する必要があります。証明者が複数になるため、書類準備の手間は増しますが、制度上は問題ありません。

Q2. 個人事業主として自ら経営していた期間の経験も含めることができますか?

個人事業主として自ら施工に従事していた期間も実務経験に含めることができます。この場合、証明者は本人自身となり、確定申告書(工事業の売上が記載されているもの)や請求書・工事契約書などが主な裏付け資料となります。ただし、請負契約のない単なる労務提供は実務経験に該当しない場合もあるため、記載内容が適切かどうかは事前に確認することをお勧めします。

Q3. 実務経験の「10年」はどのように計算しますか?

実務経験の年数は「月数の合計を12で割った年数」で計算するのが基本ですが、工事と工事の間の空白期間をどこまで経験年数に算入できるかは、申請先都道府県の運用によって差があります(例: 大阪府では工事と工事の間が12ヶ月以内であれば連続した経験と扱われます)。「自分の都道府県ではどのルールが適用されるか」が気になる場合は、お気軽にご相談ください。

Q4. 資格なしで複数の業種の専任技術者になれますか?

資格なし・実務経験のみで複数の業種の専任技術者になることは可能ですが、業種ごとに10年以上の実務経験が必要であり、同一期間を複数業種にまたがって計算することはできません。たとえば「大工工事業」と「内装仕上工事業」の両方で専任技術者になりたい場合は、それぞれの業種について独立した10年分の経験証明が必要です。資格を持つ場合は1つの資格で複数業種に対応できるケースもあるため、資格取得との比較検討をお勧めします。

まとめ

建設業の実務経験証明のポイントを整理すると、次の3点になります。

  • 実務経験証明書(様式第9号)は証明者(元雇用主等)が記載・押印する書類で、申請業種に対応した工事経験を10年分記載する
  • 証明書だけでは不十分で、工事請負契約書・注文書・請求書+入金通帳など10年分の裏付け資料と、常勤性を示す書類を合わせて提出する
  • 書類収集が困難な場合は国家資格による代替ルートも検討する。資格があれば実務経験証明書は不要で、申請手続きが大幅にシンプルになる

建設業許可の要件や手続き全体の流れについては、建設業許可とは?の記事もご参考ください。

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※ 2026年4月時点の建設業法に基づく解説です。都道府県ごとに運用が異なる場合があります。最新情報は国土交通省でご確認ください。

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