建設業関連

専任技術者の要件と資格一覧|国家資格・実務経験の認定基準

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国土交通省の技術検定(施工管理技士)には毎年10万人以上が受験しており、建設業許可の取得において技術者の確保がいかに重要なテーマかがうかがえます。建設業許可の要件の中でも、営業所技術者等(旧・専任技術者)の配置は、経営業務管理責任者と並んで申請のハードルとなる要件です。営業所技術者等の要件を満たす方法は、国家資格、指定学科の卒業+実務経験、10年以上の実務経験の3ルートがあります。この記事では、各ルートの詳細と業種別の対応資格、証明方法を整理します。

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営業所技術者等(旧・専任技術者)とは?

営業所技術者等とは、建設業許可を受けた営業所ごとに常勤で配置しなければならない技術者のことです。建設業法第7条第2号(一般建設業)および第15条第2号(特定建設業)に定められた許可要件の一つです。

2024年12月13日の建設業法改正により、従来の「専任技術者」から「営業所技術者等」に名称が変更されました。名称変更に伴う基本要件自体に大きな変更はありませんが、兼務の合理化など周辺の運用は変化しています。本記事では改正後の正式名称「営業所技術者等」を使用しつつ、馴染みのある「専任技術者(専技)」も併記します。

営業所技術者等は、許可を受ける業種ごとに配置が必要です。たとえば「塗装工事業」と「防水工事業」の2業種で許可を取る場合、それぞれの業種に対応した技術者を営業所に常勤させる必要があります。1人の技術者が複数業種の要件を満たしていれば、兼任が可能です。

営業所技術者等の要件を満たす3つのルート

一般建設業の営業所技術者等になるための要件は、大きく分けて以下の3つのルートがあります。

ルート 要件の概要 必要な実務経験
1. 国家資格 許可業種に対応する国家資格を保有 不要(資格によっては実務経験が受験要件)
2. 指定学科卒業 + 実務経験 許可業種に関連する指定学科を卒業し、所定年数の実務経験を有する 大学・高専卒: 3年以上 / 高校卒: 5年以上
3. 実務経験のみ 許可業種の工事について一定年数の実務経験を有する 10年以上

最も確実で手続き上もスムーズなのは、ルート1の国家資格による証明です。資格証の写しを提出するだけで要件を満たせるため、実務経験の証明に必要な大量の裏付け書類を用意する必要がありません。

ルート1: 国家資格で要件を満たす

各業種に対応する国家資格を取得していれば、その資格だけで営業所技術者等の要件を満たせます。一般に、2級の施工管理技士は一般建設業の営業所技術者等の有力な資格ルートであり、1級であれば特定建設業にも対応し得ます。ただし、対応できる業種や特定建設業への該当可否は、資格の種別や取得後の実務経験年数によって異なるため、国土交通省の資格対応表で必ず確認してください。

2024年度の制度改正により、1級施工管理技術検定の第一次検定は19歳以上(2級は17歳以上)であれば実務経験なしで受験できるようになりました。技術者確保の間口が広がっています。

ルート2: 指定学科の卒業 + 実務経験で要件を満たす

許可を受けようとする業種に関連する「指定学科」を卒業している場合、学歴に応じて必要な実務経験年数が短縮されます。

最終学歴 必要な実務経験年数
大学(指定学科卒)/ 高等専門学校(指定学科卒) 3年以上
高等学校(指定学科卒)/ 中等教育学校(指定学科卒) 5年以上
専修学校の専門課程(指定学科・専門士又は高度専門士) 3年以上
専修学校の専門課程(指定学科・上記以外) 5年以上

指定学科とは、たとえば土木工事業であれば「土木工学科」「建設工学科」「都市工学科」など、建築工事業であれば「建築学科」「建築工学科」などが該当します。卒業証明書と成績証明書で指定学科の修了を証明します。

ルート3: 10年以上の実務経験で要件を満たす

学歴や資格がなくても、許可を受けようとする業種の工事について10年以上の実務経験があれば、営業所技術者等の要件を満たせます。ただし、この10年分の経験を証明する書類を揃える必要があるため、手続き上の負担は最も大きくなります。

実務経験の証明には、各年度の工事請負契約書、注文書、請求書、施工台帳などの提出が求められます。前職での経験を含める場合は、前の勤務先の実務経験証明書も必要です。都道府県によっては、10年分の年金記録(厚生年金の加入履歴)で在籍期間を確認する運用もあります。

業種別の対応資格一覧(主要業種)

29業種のうち、主要な業種について営業所技術者等となり得る代表的な国家資格を整理します。資格の区分として、一般建設業のみに対応する資格(○印)と、特定建設業にも対応する資格(◎印)があります。

業種 一般建設業(○) 特定建設業(◎)
土木一式工事 2級土木施工管理技士 1級土木施工管理技士、技術士(建設部門)
建築一式工事 2級建築施工管理技士、2級建築士 1級建築施工管理技士、1級建築士
大工工事 2級建築施工管理技士(躯体・仕上げ)、2級建築士 1級建築施工管理技士、1級建築士
とび・土工・コンクリート工事 2級土木施工管理技士(土木)、2級建築施工管理技士(躯体) 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士
電気工事 2級電気工事施工管理技士、第一種電気工事士 1級電気工事施工管理技士、技術士(電気電子部門)
管工事 2級管工事施工管理技士 1級管工事施工管理技士、技術士(機械・衛生工学部門)
舗装工事 2級土木施工管理技士(土木) 1級土木施工管理技士、技術士(建設部門)
内装仕上工事 2級建築施工管理技士(仕上げ)、2級建築士 1級建築施工管理技士、1級建築士
塗装工事 2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)、2級建築施工管理技士(仕上げ) 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士
防水工事 2級建築施工管理技士(仕上げ) 1級建築施工管理技士
解体工事 2級土木施工管理技士(土木)、2級建築施工管理技士(躯体) 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士
造園工事 2級造園施工管理技士 1級造園施工管理技士、技術士(建設部門)
電気通信工事 2級電気通信工事施工管理技士 1級電気通信工事施工管理技士、技術士(電気電子部門)

上記は代表的な資格のみを記載しています。業種によっては技能士(1級・2級)や消防設備士などの資格でも営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。全資格の対応表は、国土交通省の許可要件ページまたは各都道府県の建設業許可の手引きに掲載されています。

一般建設業と特定建設業で要件はどう違う?

営業所技術者等の要件は、一般建設業と特定建設業で大きく異なります。

区分 営業所技術者等の要件
一般建設業 3つのルート(国家資格 / 指定学科卒+実務経験 / 実務経験10年以上)のいずれか
特定建設業 1級の国家資格保有者、または一般建設業の要件を満たした上で指導監督的実務経験2年以上を有する者

特定建設業の営業所技術者等になるには、原則として1級の国家資格が必要です。ただし、指定建設業(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種)以外の業種については、一般建設業の営業所技術者等としての要件を満たした上で、元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験があれば、1級資格がなくても特定建設業の営業所技術者等として認められます。

2025年2月1日の建設業法施行令改正により、特定建設業が必要となる下請代金額の基準は、建築一式工事で8,000万円以上、その他の工事で5,000万円以上に引き上げられています。特定建設業の許可が必要かどうかの判断基準が緩和されたことになりますが、営業所技術者等の要件自体は変わりません。

一般建設業と特定建設業の違いは別記事で詳しく比較しています。

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実務経験の証明で詰まりやすいポイント

前職での経験を使う場合の注意点

前の勤務先での実務経験を使って営業所技術者等の要件を証明する場合、前の勤務先が発行する実務経験証明書が必要です。前の勤務先が廃業している、協力を得られないなどの事情がある場合、証明書の取得が困難になります。そのため、可能であれば資格取得による証明を優先したほうが手続き上はスムーズです。

10年の実務経験は「1業種あたり」で計算する

実務経験は許可を受けようとする業種ごとに必要です。「塗装工事の経験5年 + 防水工事の経験5年」を合計して10年とすることはできません。ただし、とび・土工・コンクリート工事のうち一定の工事経験は、解体工事の実務経験としても認められる場合があるなど、業種間の読み替えが認められるケースもあります。

証明書類は都道府県によって異なる

実務経験の証明に求められる書類の種類や年数分の必要量は、都道府県によって運用が異なります。東京都では10年分の実務経験を裏付ける確認資料の提出が厳格に求められますが、実務経験期間確認表の提出を前提に一定の省略が認められる運用もあります。他の県ではこれより簡略な扱いの場合もあるため、申請先の最新の手引きで必要書類リストを必ず確認してください。

2024年12月改正のポイント:営業所技術者等の兼務が可能に

2024年12月13日施行の建設業法改正により、営業所技術者等が一定の条件のもとで工事現場の技術者(監理技術者・主任技術者)を兼務できるようになりました。

改正前は、営業所技術者等は営業所に常勤し、工事現場の技術者とは兼任できないのが原則でした。改正後は、営業所技術者等が配置される営業所で請負契約が締結された工事で、職務を適正に遂行できる場合に限り、兼務が認められます。もっとも、専任が必要な現場との兼務には請負代金額(建築一式工事は2億円未満、その他は1億円未満)や工事現場との距離など細かな要件があり、「改正で自由に兼務できるようになった」わけではありません。詳細は国土交通省の建設業法関連資料をご確認ください。

よくある質問

Q. 営業所技術者等と経営業務管理責任者を1人で兼任できますか?

兼任できます。同一の営業所に常勤し、両方の要件を満たしている場合は1人で兼任可能です。個人事業主や小規模法人では、代表者自身が経管と営業所技術者等を兼ねるケースが一般的です。

Q. 2級施工管理技士の資格で特定建設業の営業所技術者等になれますか?

原則としてなれません。特定建設業の営業所技術者等には1級資格が必要です。ただし、指定建設業7業種以外の業種であれば、2級資格で一般建設業の営業所技術者等の要件を満たした上で、元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的実務経験があれば、特定建設業の営業所技術者等として認められます。

Q. 資格がなく、実務経験も10年に満たない場合はどうすればいいですか?

指定学科の卒業歴があれば、必要な実務経験年数が短縮されます。大学の指定学科卒なら3年、高校の指定学科卒なら5年の実務経験で要件を満たせます。いずれにも該当しない場合は、まずは資格取得を目指すのが現実的です。1級施工管理技士の第一次検定は19歳以上(2級は17歳以上)であれば受験できます。

Q. 複数の営業所がある場合、営業所技術者等は各営業所に必要ですか?

必要です。建設業許可を受けた営業所ごとに、許可業種に対応した営業所技術者等を常勤で配置する必要があります。同一人物が複数の営業所を掛け持ちすることはできません。ただし、同一営業所内で複数業種を兼任することは可能です。

Q. 「常勤」の基準はどの程度厳密ですか?

厳密に判断されます。常勤とは、原則として営業日に営業所に出勤して職務に従事していることを指します。他社の常勤役員・常勤技術者との兼任は認められません。常勤性の確認は、健康保険の加入状況や住民票上の住所と営業所の距離などで行われます。2024年12月のマイナンバーカードへの健康保険証一体化に伴い、確認方法は各都道府県で運用が異なる場合があるため、最新の取り扱いを申請先に確認してください。

まとめ

営業所技術者等(旧・専任技術者)は、建設業許可の取得・維持に欠かせない要件です。要件を満たすルートを正しく把握し、自社の技術者が対応可能かどうかを早い段階で確認することが、スムーズな許可取得の鍵となります。

  • 要件充足ルートは国家資格 / 指定学科卒+実務経験 / 実務経験10年以上の3つ
  • 国家資格による証明が最もスムーズ。ただし対応業種は資格種別で異なるため資格対応表で確認が必要
  • 指定建設業7業種の特定建設業は1級資格者の配置が必須(実務経験のみでは不可)
  • 2024年12月改正で営業所技術者等の工事現場技術者との兼務が可能
  • 実務経験の証明は都道府県により求められる書類が異なる。資格取得のほうが手続き上は有利

建設業許可の要件全体については「建設業許可の5つの要件」で解説しています。また、経管の要件については「経営業務管理責任者(経管)の要件」をあわせてご確認ください。

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※ 2026年3月時点の建設業法・同施行令に基づく解説です。都道府県ごとに運用が異なる場合があります。最新情報は国土交通省でご確認ください。

※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

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