入管・ビザ関連

経営管理ビザ完全ガイド|取得要件から申請手順まで

更新: 約16分で読めます

「日本で会社を設立して事業を始めたいが、経営管理ビザの要件がよくわからない」「事業計画書をどう書けば審査に通るのか不安」――外国籍の方が日本で経営や管理業務に携わるためには、在留資格「経営・管理」(いわゆる経営管理ビザ)の取得が必要です。

経営管理ビザの取得要件は、大きく分けて「事業所の確保」「事業規模(資本金500万円以上または常勤職員2名以上の雇用)」「事業の安定性・継続性」の3点です。これらの要件を満たしたうえで、具体的かつ実現可能な事業計画書を作成することが許可取得の鍵になります。

この記事では、経営管理ビザの取得要件・事業計画書の作成ポイント・申請手続きの流れ・不許可事例と対策を体系的に解説します。日本での起業を検討している方、現在の在留資格から経営管理ビザへの変更を考えている方は、ぜひ最後までご確認ください。

「経営管理ビザの要件を満たしているか自分では判断が難しい」「事業計画書の書き方に不安がある」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。申請取次行政書士が、会社設立の準備段階からビザ取得までをトータルでサポートいたします。相談は何度でも無料・全国対応です。

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経営管理ビザとは?対象者と在留期間

在留資格「経営・管理」は、外国籍の方が日本において事業の経営を行う場合、または事業の管理に従事する場合に必要な在留資格です。かつては「投資・経営」という名称でしたが、2015年4月の入管法改正により「経営・管理」に変更され、外国人自身による出資が必ずしも必要ではなくなりました。

項目 内容
在留資格名 経営・管理(Business Manager)
在留期間 5年、3年、1年、6月、4月、3月
対象となる活動 日本における貿易その他の事業の経営・事業の管理
初回許可時の在留期間 1年が一般的(事業の実績に応じて更新時に延長)
就労の制限 許可された事業の経営・管理活動に限定
家族の帯同 在留資格「家族滞在」で配偶者・子を呼び寄せ可能

経営管理ビザは、会社の設立・株式の取得の有無を問わず、事業の経営や管理に実質的に関与するのであれば取得の対象になり得ます。なお、「経営」と「管理」の違いとして、「経営」は事業の運営について重要事項の決定に関与する活動(代表取締役・取締役等)を、「管理」は事業の管理に従事する活動(部長・工場長等)を指します。管理活動のみで経営管理ビザを取得する場合は、3年以上の事業経営・管理の経験が必要とされています。

在留資格の種類全体の概要については、在留資格の種類一覧|就労・身分・留学ビザの違いと選び方もあわせてご参照ください。

経営管理ビザの取得要件【一覧表】

経営管理ビザの許可を得るためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。出入国在留管理庁の在留資格「経営・管理」のページで公式の情報を確認できます。

要件 具体的な基準 備考
事業所の確保 日本国内に事業を営むための適切な事業所が存在すること バーチャルオフィス不可。自宅兼事務所は一定の要件を満たす場合のみ
事業規模(以下のいずれか) (a) 資本金の額または出資の総額が500万円以上
(b) 常勤職員2名以上を雇用
(c) (a)(b)に準ずる規模
最も一般的なのは(a)の500万円以上出資
事業の安定性・継続性 事業計画の具体性、売上見込みの合理性、資金計画の裏付け 事業計画書で立証する
経営・管理活動への従事 申請人が経営または管理に実質的に関与すること 名義だけの役員は不許可の原因に
出資金の出所の正当性 出資金の形成過程が説明できること 預金通帳・送金記録等で立証

事業所の要件について

「適切な事業所」とは、原則として独立した事業用の物件(賃貸借契約で事業使用が認められているもの)を指します。住居専用マンションの一室を事業所とすることは原則として認められません。自宅兼事務所の場合は、居住スペースと事業スペースが明確に区分されていること、公共料金の負担関係が明確であること等の要件を満たす必要があります。

レンタルオフィス(個室型)は事業所として認められるケースがありますが、シェアオフィスやコワーキングスペースの共有デスクのみでは、独立性の要件を満たさないとして認められない場合があります。

出資金500万円の考え方

「資本金500万円以上」は、会社設立時の資本金に限らず、事業に投じた資金の総額で判断されます。設備投資・事務所の初期費用・仕入れ資金なども含めて500万円以上の投資を行っていれば、要件を満たすと判断される場合があります。

出資金の出所についても厳格に審査されます。親族からの贈与や海外からの送金の場合は、その経緯を預金通帳の入出金記録・送金明細書・贈与契約書等で合理的に説明できるように準備してください。出資金の出所が不明確な場合は、それだけで不許可になる可能性があります。

事業計画書の書き方と審査ポイント

事業計画書は、経営管理ビザの審査において最も重視される書類の一つです。事業の具体性・実現可能性・継続性を入管に対して説得力をもって示す必要があります。

事業計画書に含めるべき項目

項目 記載のポイント
事業概要 事業の目的・提供するサービスや商品の内容・ターゲット市場を明確に記載
市場分析 業界の規模・競合状況・自社の差別化ポイントを具体的なデータ(出典付き)で説明
売上計画 月別・年別の売上予測を根拠とともに提示。楽観的な数字だけでなく保守的なシナリオも示すと説得力が増す
資金計画 初期投資額の内訳、運転資金の見込み、資金調達方法(自己資金・融資等)を明示
人員計画 採用予定人数・職種・雇用時期を記載。常勤職員の雇用で事業規模要件を満たす場合は特に重要
収支予測 少なくとも3年分の損益計算書(予測値)を作成。売上・原価・販管費・営業利益の内訳を示す
申請人の経歴・実績 これまでの職歴・事業経験・保有資格など、事業を遂行する能力があることの裏付け

審査で注目されるポイント

入管の審査官は、事業計画書の「数字の合理性」と「実現可能性」を重点的に確認します。売上計画が非現実的に高い場合や、逆に初年度から赤字が続く計画では「事業の安定性・継続性がない」と判断される可能性があります。

特に注意すべきは以下の点です。

  • 売上の根拠:「見込みの顧客数 × 客単価」のように、算出根拠を具体的に示す。既に取引先候補がある場合は、仮契約書や見積書を添付すると説得力が増す
  • 経費の現実性:家賃・人件費・仕入原価等の固定費が実態に即しているか。相場とかけ離れた数字は不信感を招く
  • 資金の持続性:仮に初年度に売上が計画どおりに達しなかった場合でも、事業を継続するための運転資金が確保されているか

事業計画書は日本語で作成するのが基本です。申請人が日本語で作成できない場合は翻訳を添付する対応も可能ですが、入管に対する説明文書として、審査官が内容を正確に把握できる品質であることが求められます。

申請手続きの流れ

Step 1:会社設立と事業所の確保

まず日本国内で会社を設立します。外国籍の方が海外にいる場合は、日本国内に協力者(発起人・取締役等)が必要になります。株式会社の設立には定款認証・登記手続きが必要で、設立から登記完了まで2〜4週間程度が目安です。合同会社であれば定款認証が不要なため、より短期間で設立できます。

並行して、事業所となる物件を確保し、賃貸借契約を締結します。物件の契約名義は設立した会社名義とし、使用目的に「事務所」「事業用」と明記されていることを確認してください。

Step 2:必要書類の収集・作成

主な必要書類は以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書(または在留資格変更許可申請書)
  • 証明写真(4cm×3cm)
  • 会社の登記事項証明書
  • 定款のコピー
  • 事業計画書
  • 直近の決算書類(新設会社の場合は事業計画の収支予測で代替)
  • 事業所の賃貸借契約書のコピー
  • 事業所の写真
  • 出資金の形成過程を示す資料(預金通帳コピー・送金記録等)
  • 申請人の履歴書(学歴・職歴)
  • 返信用封筒(認定証明書の場合)

書類の不足や不備は審査の遅延につながるため、提出前に入念に確認してください。

Step 3:地方出入国在留管理局への申請

海外から新たに来日する場合は「在留資格認定証明書交付申請」を、日本に在留中の方が在留資格を変更する場合は「在留資格変更許可申請」を、管轄の地方出入国在留管理局に提出します。

申請取次行政書士に依頼すれば、申請人本人が入管に出頭する必要がなく、行政書士が代わりに申請書類を提出できます。

Step 4:審査・追加書類への対応

審査期間は、在留資格認定証明書交付申請で1〜3か月程度、在留資格変更許可申請で2週間〜1か月程度が目安です。審査中に入管から追加書類の提出や質問事項への回答を求められることがあるため、迅速に対応できる体制を整えておく必要があります。

Step 5:許可の取得と在留カードの受領

認定証明書が交付されたら、海外の日本大使館・総領事館でビザ(査証)を取得し、来日時に空港で在留カードが交付されます。在留資格変更の場合は、入管で新しい在留カードを受け取ります。

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経営管理ビザが不許可になるケースと対策

経営管理ビザの申請は、他の就労ビザに比べて審査が厳格です。不許可となる主な原因と対策を整理します。

事業計画の具体性が不足している

「貿易事業を行う予定」「飲食店を開業する」といった概括的な記載だけでは、事業の安定性・継続性を判断できません。取扱商品・仕入先・販路・月間の取引見込み件数など、具体的な数字と根拠を示すことが重要です。対策として、業界の市場データ(出典付き)を引用し、なぜその事業が成立するのかを論理的に説明してください。

出資金の出所が不明確

500万円の出資金がどのように形成されたかを合理的に説明できない場合、不許可となるリスクが高くなります。「親からの贈与」であれば贈与契約書と親の預金通帳の出金記録、「海外からの送金」であれば送金明細書と海外の銀行口座の残高証明書など、資金の流れを追跡できる書類を用意してください。

事業所の独立性が認められない

自宅のリビングの一角を事業所として申告したり、住居専用の賃貸物件を事業所としたりする場合は、独立性の要件を満たさないとして不許可になることがあります。対策として、事業専用のスペースを確保し、賃貸借契約の使用目的に「事業用」と明記されている物件を選んでください。

経営活動の実態がない(名義貸し)

形式上は代表取締役に就任しているものの、実際の経営活動は別の人物が行っているケースは「名義貸し」と判断され、不許可や在留資格の取消しの対象となります。申請人自身が経営判断に関与していることを、議事録・業務日誌・取引先との連絡記録等で示す必要があります。

売上実績が極端に少ない(更新時)

在留期間の更新申請時には、事業の実績が審査されます。設立から1年以上経過しても売上がほぼゼロ、または大幅な赤字が続いている場合は、事業の継続性に疑問を持たれます。初年度は売上が少なくても、2期目以降に改善の見込みがあることを決算書と更新時の事業計画書で示すことが求められます。

経営管理ビザ以外の就労ビザとの比較については、技術・人文知識・国際業務ビザの要件もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 経営管理ビザで飲食店を開業できますか?

はい、飲食店の経営は経営管理ビザの対象です。ただし、調理や接客などの現場作業を主たる業務とすることはできません。あくまで経営者として事業全体の管理・運営に従事することが求められます。小規模な飲食店で経営者が自ら調理・接客を行うケースでは、経営活動の実態があるかどうかが審査で問題になることがあります。

Q. 資本金500万円は設立後すぐに使ってもよいですか?

会社設立後、事業のために使用する分には問題ありません。資本金は「事業に投資するための資金」ですので、設備投資・仕入れ・家賃の支払い等に充てるのは通常の事業活動です。ただし、設立直後に全額を個人口座に戻すなど、事業目的でない出金が行われた場合は、審査において事業の実態がないと判断される可能性があります。

Q. 経営管理ビザから永住許可は取得できますか?

要件を満たせば可能です。一般的には、原則として引き続き10年以上日本に在留しており、かつ直近5年以上は就労系の在留資格(経営管理ビザを含む)で在留していることが求められます。納税義務の履行、公的義務の遵守なども審査対象です。永住許可の要件の詳細は永住許可の要件で解説しています。

Q. 既存の会社を買収して経営管理ビザを取得できますか?

可能です。新規に会社を設立する方法のほか、既存の会社の株式を取得して経営権を得る方法でも経営管理ビザを取得できます。この場合は、会社の決算状況・事業の継続性・買収資金の出所等が審査されます。既に事業実績がある会社を買収するほうが、新設会社より事業の安定性・継続性を立証しやすい面があります。

Q. 経営管理ビザの申請にはどれくらいの期間がかかりますか?

在留資格認定証明書交付申請の場合は1〜3か月程度、在留資格変更許可申請の場合は2週間〜1か月程度が目安です。事業計画の内容が複雑な場合や、追加書類の提出が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。会社設立の準備期間も含めると、着手から在留カード取得までトータルで3〜6か月程度を見込んでおくのが現実的です。

まとめ

  • 経営管理ビザの取得要件は「事業所の確保」「事業規模(500万円以上の出資 or 常勤職員2名以上)」「事業の安定性・継続性」の3点
  • 事業計画書が審査の鍵。売上根拠・資金計画・収支予測を具体的な数字で示す
  • 出資金の出所は預金通帳・送金記録等で合理的に説明できるよう準備する
  • 不許可の多くは「事業計画の具体性不足」「出資金の出所不明」「事業所の独立性の問題」が原因
  • 申請取次行政書士に依頼すれば、本人の入管出頭が不要になり、書類の品質も高まる

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※ 本記事の内容は2026年4月時点の入管法令に基づきます。制度・手数料・様式は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。

※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。


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