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育成就労制度とは?技能実習制度からの移行と企業が準備すべきこと

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2024年6月に成立した改正入管法により、現行の技能実習制度は廃止され、2027年4月1日から「育成就労制度」がスタートします。育成就労制度は、外国人材の「育成」と「人材確保」を正面から目的に掲げた新しい在留資格制度であり、対象分野の統一・転籍の容認・日本語能力要件の新設など、企業の受入れ体制に直結する変更点が多数あります。育成就労制度のポイントは、(1)目的が「国際貢献」から「人材育成・確保」へ転換、(2)対象17分野が特定技能と原則一致、(3)3年間の育成で特定技能1号水準への到達を目指し、要件を満たせば移行、(4)本人意向による転籍が一定要件のもと可能になる、の4点です。

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育成就労制度とは?なぜ技能実習制度は廃止されるのか

育成就労制度は、「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に基づいて創設される新しい外国人受入れ制度です。2024年6月14日の参議院本会議で改正法が可決・成立し、同年6月21日に公布されました。

従来の技能実習制度は「技能移転による国際貢献」を建前の目的としていましたが、実際には多くの企業で人手不足を補う労働力として機能してきた実態がありました。この建前と実態の乖離が、劣悪な労働環境や失踪問題の温床になっていたと指摘されています。育成就労制度は、この構造的な問題を解消するために技能実習制度を発展的に解消し、「人手不足分野における人材の育成・確保」を正面から目的に掲げることで、制度の建付けと運用実態を一致させるものです。

2025年9月26日の閣議決定を経て、同年12月1日の政令公布により施行日は2027年4月1日と正式に確定しました。関係省令等は2025年9月30日に公布されており、現在は施行に向けた準備期間に入っています。

技能実習制度と育成就労制度は何が違う?7つの比較項目

技能実習制度から育成就労制度への移行で、企業にとって何が変わるのかを項目ごとに整理します。

比較項目 技能実習制度 育成就労制度
制度の目的 技能移転による国際貢献 人手不足分野における人材の育成・確保
在留期間 最長5年(1号1年+2号2年+3号2年) 原則3年
対象分野 91職種168作業 17分野(特定技能と原則一致)
転籍(転職) 原則不可 やむを得ない事情+本人意向により可能
日本語能力要件 なし 就労開始前にA1相当(N5相当)の試験合格または100時間以上の日本語講習修了等
監理・支援体制 監理団体(許可制) 監理支援機関(許可制・外部監査人設置義務)
特定技能への移行 職種が一致しない場合は困難 分野が一致しているため円滑に移行可能

最も大きな変更は対象分野の統一です。技能実習制度では独自の職種・作業区分が設けられ、特定技能の分野と一致しないケースが多く、移行が困難という問題がありました。育成就労制度では対象分野が特定技能とほぼ一致するため、3年間の育成就労を経て特定技能1号に移行するという一貫したキャリアパスが設計されています。

特定技能制度の全体像については「特定技能とは?1号・2号の違いと16分野を行政書士が解説」で詳しく整理しています。また、現行の技能実習制度との比較は「特定技能と技能実習の違いとは?8つの比較項目を行政書士が解説」もあわせてご確認ください。

育成就労制度の対象17分野とは?

育成就労制度の対象分野は、特定技能制度の19分野から「航空」と「自動車運送業」を除いた17分野です。現時点ではこの2分野には育成就労産業分野が設定されていません。

区分 対象分野
既存14分野 介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、鉄道、林業、木材産業
新設3分野 リネンサプライ、物流倉庫、資源循環
対象外 航空、自動車運送業

技能実習制度の91職種168作業と比べると分野数は大幅に絞り込まれていますが、これは特定技能との分野統一を優先した結果です。企業としてまず確認すべきなのは、自社の事業が17分野のいずれかに該当するかどうかです。該当しない場合は育成就労制度による受入れはできないため、他の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)での雇用を検討する必要があります。

転籍(転職)のルールはどう変わる?

技能実習制度では原則として認められなかった転籍が、育成就労制度では「やむを得ない事情」と「本人意向」の2つのパターンで認められるようになります。ただし、いずれの場合も転籍先は同一の業務区分内に限られます。

やむを得ない事情による転籍

暴行・ハラスメント、賃金未払い、法令・契約違反行為など、育成就労実施者(受入れ企業)側に問題がある場合の転籍です。育成就労制度では手続きが柔軟化され、外国人の保護がより重視される設計になっています。

本人意向による転籍の要件

以下のすべてを満たすことで、外国人本人の意向による転籍が認められます。

  • 同一の育成就労実施者のもとで転籍制限期間(1年〜2年)を超えて就労していること
  • 分野別に定められた一定水準の技能試験等(技能検定基礎級相当など)に合格していること
  • 日本語能力A1相当以上(N5相当。分野によってはA2まで)の試験に合格していること
  • 転籍先が同一の業務区分内であること
  • 転籍先が優良な育成就労実施者であること

転籍制限期間は分野ごとに1年〜2年の間で設定されます。当面は1年を目指しつつ、人材育成や人材確保の観点から分野ごとの事情に応じて調整される方針です。

企業にとっては、転籍制度の導入により「せっかく育てた人材が流出するリスク」が生じます。転籍を防ぐためには、給与水準・労働環境・キャリアパスの提示といった外国人材にとっての魅力ある職場づくりがこれまで以上に重要になります。

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監理支援機関とは?監理団体から何が変わる?

育成就労制度では、技能実習制度の「監理団体」に代わり「監理支援機関」が受入れ監理を担います。名称変更だけでなく、許可要件の厳格化と独立性の強化が図られています。

項目 監理団体(技能実習) 監理支援機関(育成就労)
制度根拠 技能実習法 育成就労法
外部監査 外部役員または外部監査の措置 外部監査人の設置が義務
独立性 受入れ企業との兼務に一定の制限あり 受入れ企業との密接な関係を有さないことが要件
人員要件 事業所ごとに担当職員を配置 常勤役職員2人以上、1人あたり育成就労実施者8者未満かつ育成就労外国人40人未満

外部監査人は、弁護士・社会保険労務士・行政書士などの有資格者で、養成講習を受講した者でなければなりません。監理支援機関と受入れ企業の間に密接な関係がないことが条件となるため、これまで以上に第三者性のある監理体制が求められます。

監理支援機関の許可に係る施行日前申請は2026年4月15日から受付が開始されます。現行の監理団体が育成就労制度下でも監理支援機関として活動を続けるためには、新基準を満たした上での許可申請が必要です。

育成就労から特定技能へのキャリアパス

育成就労制度が特定技能制度と一体的に設計されている最大のポイントが、育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(在留期間更新の上限なし)という段階的なキャリアパスです。

段階 在留資格 在留期間 移行に必要な要件
Step 1 育成就労 原則3年 就労開始前:日本語A1相当(N5相当)の試験合格または100時間以上の日本語講習修了
Step 2 特定技能1号 通算5年 技能検定3級相当+日本語A2相当(N4相当)
Step 3 特定技能2号 上限なし(更新可) 分野別の技能試験+実務経験

技能実習制度では職種の不一致により特定技能への移行が困難なケースが少なくありませんでした。育成就労制度では対象分野が特定技能と原則一致しているため、3年間で培った技能と経験をそのまま活かして特定技能1号に移行できます。さらに特定技能2号に進めば、在留期間の更新回数に上限がなくなり、家族帯同や永住権取得への道も開けます。

企業側から見ると、育成就労で3年間かけて育てた人材に最長8年以上(育成就労3年+特定技能1号5年)継続して働いてもらえる可能性が生まれることになります。長期的な人材確保の観点から、計画的な育成プログラムを設計することの重要性が増すでしょう。

企業が2027年4月までに準備すべき5つのこと

施行日まで残り約1年。受入れ企業が今から取り組むべき準備事項を整理します。

1. 自社の事業が対象17分野に該当するか確認する

育成就労制度の対象は17分野に限定されます。現行の技能実習で受け入れている職種が、育成就労の業務区分に含まれるかどうかを出入国在留管理庁の育成就労制度の制度概要ページで確認してください。

2. 現行の技能実習生の移行計画を策定する

原則として2027年4月1日時点で実施中の技能実習に加え、施行日前に技能実習計画の認定と在留資格認定証明書の交付を受けた案件は2027年6月30日までに入国すれば経過措置の対象となります。該当する技能実習生は現行制度のまま在留を継続できます。ただし、新規の受入れは育成就労制度に切り替わるため、既存の技能実習生と新制度での受入れが並行する期間が生じます。それぞれの管理体制を整理しておく必要があります。

3. 監理支援機関との連携体制を確認する

現在利用している監理団体が、新制度の監理支援機関としての許可要件を満たすかどうかを確認しましょう。監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から受付開始されているため、すでに準備は進んでいるはずですが、外部監査人の選任状況など具体的な体制を把握しておくことが重要です。

4. 日本語学習の支援体制を整備する

育成就労制度では就労開始前にA1相当(N5相当)の日本語能力試験合格または認定日本語教育機関での100時間以上の講習修了が必須です。さらに特定技能1号への移行にはA2相当(N4相当)が求められます。企業側にも日本語学習の機会提供についての努力義務が課される見込みです。オンライン日本語学習ツールの導入や社内での日本語教育体制の整備を検討してください。

5. 転籍リスクに備えた労働環境の見直し

転籍制度の導入により、労働条件が劣悪な企業からは外国人材が流出する可能性が高まります。給与水準の適正化、ハラスメント防止体制の構築、キャリアパスの明確な提示など、外国人材に「選ばれる企業」になるための取組みが求められます。

外国人雇用の手続き全体については「外国人雇用の手続き完全ガイド|採用から届出まで時系列で解説」で時系列に沿って解説しています。

よくある質問

Q. 育成就労制度はいつから始まりますか?

2027年4月1日から施行されます。2025年9月26日の閣議決定を経て、同年12月1日の政令公布により正式に確定しました。改正入管法および育成就労法の関係省令等は2025年9月30日に公布済みです。

Q. 現在受け入れている技能実習生はどうなりますか?

原則として2027年4月1日時点で実施中の技能実習に経過措置が適用されます。加えて、施行日前に技能実習計画の認定と在留資格認定証明書の交付を受けた案件は2027年6月30日までの入国で対象となります。該当する技能実習生は現行制度のまま在留を継続でき、在留期間満了後に育成就労または特定技能への移行を検討することになります。

Q. 育成就労制度と特定技能制度の違いは何ですか?

育成就労は「育成段階」の在留資格であり、3年間で特定技能1号の水準に到達することを目標とします。特定技能は「即戦力」としての就労を前提とした在留資格です。育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(上限なし)と、段階的にステップアップするキャリアパスとして設計されています。

Q. 育成就労外国人は自由に転職できますか?

自由に転職できるわけではありません。転籍制限期間(分野ごとに1年〜2年)を超えて就労し、分野別に定められた一定水準の技能試験等(技能検定基礎級相当など)と日本語能力A1相当以上の合格を満たした場合に、同一業務区分内での転籍が認められます。転籍先は優良な育成就労実施者であることも条件です。

Q. 不法就労助長罪の罰則は変わりましたか?

改正法により、不法就労助長罪の法定刑が引き上げられました。従来の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から、「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金」に厳罰化されています(2025年6月の刑法改正により「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に一本化)。在留資格を確認せずに外国人を雇用するリスクはこれまで以上に高くなっています。

まとめ

育成就労制度は、技能実習制度の構造的な問題を解消し、外国人材の育成・確保を正面から目的とする新制度です。2027年4月1日の施行に向けて、対象17分野の確認、監理支援機関との連携体制の整備、日本語学習支援の準備、転籍リスクに備えた労働環境の改善など、企業が取り組むべき課題は多岐にわたります。育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号という一貫したキャリアパスを活かし、計画的な人材育成を行うことが、長期的な外国人材確保の鍵となります。

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※ 本記事の内容は2026年3月時点の入管法令に基づきます。制度・手数料・様式は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。

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