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建設分野は特定技能制度の中でも独自のルールが多く、「他の分野と同じように受け入れればいい」と考えていると思わぬ壁にぶつかります。建設業振興基金(FITS)への加入義務、JACを通じた受入計画の認定、そして人数制限――これらは建設分野だけに課されている特別な要件です。この記事では、特定技能「建設」の対象業務・受入れ要件・手続きの流れを整理し、他分野との違いを明確にします。
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目次
特定技能「建設」とは?制度の概要
特定技能「建設」は、深刻な人手不足が続く建設業において即戦力の外国人材を受け入れるための在留資格です。2019年4月の特定技能制度開始と同時に設けられ、2026年3月時点では特定技能1号・2号ともに対象となっています。
建設分野が他の特定技能分野と大きく異なるのは、国土交通省が独自の受入れスキームを設けている点です。受入企業は在留資格の申請に先立ち、国交省から「建設特定技能受入計画」の認定を受けなければなりません。また、建設業振興基金が運営する適正就労監理機関(FITS)の巡回指導を受ける義務があるなど、不正防止・処遇確保のための仕組みが重層的に整備されています。
建設分野の受入れ状況
出入国在留管理庁の統計によると、建設分野の特定技能在留外国人数は年々増加しています。建設業は技能実習生の受入れも多い分野ですが、2027年に施行予定の育成就労制度への移行を見据え、特定技能への切り替えを検討する企業が増えています。
対象となる業務区分
建設分野の特定技能で従事できる業務は、以下の区分に整理されています。2022年8月の告示改正により、従来の19区分から3つの大括り区分に再編されました。
| 業務区分 | 含まれる主な作業 |
|---|---|
| 土木 | 型枠施工、鉄筋施工、コンクリート圧送、トンネル推進工、土工、鋼構造物塗装、配管 など |
| 建築 | 型枠施工、左官、内装仕上げ、表装、とび、建築大工、屋根ふき、タイル張り など |
| ライフライン・設備 | 電気通信、配管、建築板金、保温保冷 など |
大括り化により、同一区分内であれば複数の作業に従事させることが可能になりました。たとえば「土木」区分で受け入れた外国人に、型枠施工と鉄筋施工の両方を任せることができます。ただし、区分をまたぐ作業(土木区分の外国人に建築区分の作業をさせる等)は認められません。
日本人と同等の業務範囲
特定技能外国人には、上記の専門作業に加え、当該業務に従事する日本人が通常行う関連業務(資材の運搬、足場の組立て・解体、清掃等)にも従事させることができます。ただし、関連業務のみに従事させることは認められず、あくまで主たる業務は上記の専門作業である必要があります。
受入れ要件|建設分野特有の条件
建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、他分野と共通の要件に加え、建設業固有の4つの要件を満たす必要があります。
要件1:建設業許可を保有していること
受入企業は、受け入れようとする業務区分に対応する建設業許可を取得していなければなりません。許可の種類(一般・特定)は問いませんが、無許可の事業者は受入れができません。建設業許可の取得要件については「建設業許可の5つの要件」で詳しく解説しています。
要件2:建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
受入企業(事業者)と特定技能外国人(技能者)の双方がCCUSに登録していることが必要です。CCUSは建設技能者の就業履歴や資格を蓄積するシステムで、2023年度からあらゆる工事での活用が原則化されています。登録はCCUSの公式サイトからオンラインで行えます。
要件3:JAC(建設技能人材機構)への加入
受入企業は、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の正会員である建設業者団体の会員になるか、JACの賛助会員として直接加入する必要があります。JACは特定技能外国人の適正な受入れを促進するために設立された団体で、技能評価試験の実施や受入れ後のサポートを担っています。
| 加入方法 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 正会員団体の会員になる | 団体の年会費による | 所属する業種団体がJAC正会員であれば、その団体に加入すればOK |
| JACの賛助会員になる | 年会費24万円 | 業種団体に所属しない場合はこちら |
加えて、受入企業はJACに対して受入負担金を支払う義務があります。受入負担金は外国人1人あたり月額12,500円です(2024年7月以降統一)。この負担金は外国人本人に転嫁することはできません。
要件4:建設特定技能受入計画の認定
在留資格の申請に先立ち、国土交通省に「建設特定技能受入計画」を提出し、認定を受ける必要があります。受入計画には、外国人の報酬額、就業場所、従事させる業務内容などを記載します。
受入計画の認定基準として、特に重要なのが報酬の同等性です。特定技能外国人の報酬は、同等の技能を持つ日本人と同等額以上でなければなりません。月給制が原則とされ、基本給・手当・賞与のいずれも日本人と不当な差がないことが求められます。
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受入れ手続きの流れ
建設分野の特定技能外国人を受け入れるまでの手順は、大きく5つのステップに分かれます。他分野に比べて工程が多いため、スケジュールに余裕を持って準備することが重要です。
Step 1:建設業許可・CCUS登録の確認
まず自社が建設業許可を保有しているか、CCUSに事業者登録済みかを確認します。未取得の場合はこの段階で申請を進めます。
Step 2:JACへの加入
正会員団体経由または賛助会員として加入手続きを行います。加入には審査があり、1〜2週間程度かかる場合があります。
Step 3:建設特定技能受入計画の認定申請
国土交通省の「外国人就労管理システム」を通じてオンラインで申請します。標準処理期間は約1〜2か月です。繁忙期はさらに時間がかかることがあるため、早めの申請が推奨されます。
Step 4:在留資格の申請
受入計画の認定を受けた後、出入国在留管理庁に在留資格認定証明書交付申請(海外からの場合)または在留資格変更許可申請(国内在住の場合)を行います。申請には受入計画の認定通知書の写しが必要です。
Step 5:CCUS技能者登録・就労開始
在留資格が許可されたら、外国人本人のCCUS技能者登録を行います。就労開始後は、FITS(建設業振興基金)による巡回指導が定期的に実施されます。受入企業は適正な就労環境の維持が常に求められます。
特定技能「建設」の人数制限
建設分野には、他の特定技能分野にはない受入れ人数の上限が設けられています。具体的には、1つの受入企業が受け入れられる特定技能外国人の数は、受入企業の常勤職員(技能者)の総数以下でなければなりません。
たとえば、常勤の技能者が10人いる会社であれば、特定技能外国人は最大10人まで受け入れ可能です。この制限は、建設業における安全管理・指導体制を確保するために設けられています。他の特定技能分野では原則として人数制限がない(介護分野を除く)ため、建設分野特有の注意点です。
特定技能1号と2号の違い(建設分野)
建設分野は特定技能2号の対象であり、1号から2号への移行が可能です。2号に移行すると在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も認められるため、長期的な人材確保の観点から注目されています。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年が上限 | 上限なし(更新可能) |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 家族の帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) |
| 試験 | 技能評価試験 + 日本語試験 | 班長としての実務経験 + 技能検定1級等 |
| 支援計画 | 必要(登録支援機関への委託可) | 不要 |
| 受入計画 | 必要 | 必要 |
特定技能2号(建設)への移行には、建設分野の技能検定1級への合格に加え、班長(職長)としての実務経験が求められます。具体的には、建設現場で複数の技能者を指導・管理しながら作業に従事した経験が必要です。詳しくは「特定技能2号とは?対象分野・在留期間・1号との違い」をご覧ください。
よくある質問
Q. 技能実習から特定技能「建設」への移行は可能ですか?
はい、技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能評価試験と日本語試験が免除され、特定技能1号に移行できます。ただし、建設特定技能受入計画の認定やJACへの加入など、建設分野固有の手続きは別途必要です。技能実習の職種と特定技能の業務区分が対応している必要がある点にも注意してください。
Q. 一人親方でも特定技能外国人を受け入れられますか?
建設業許可を保有し、常勤の職員がいる場合は受け入れの対象となり得ます。ただし、人数制限(常勤職員の総数以下)があるため、実質的に受入れ可能な人数は限られます。また、受入計画の認定審査では適切な指導体制や安全管理体制が確認されるため、組織体制が整っていることが求められます。
Q. 受入負担金(JAC)は外国人本人に負担させてもよいですか?
いいえ、受入負担金は受入企業が全額負担する義務があります。外国人本人への転嫁は禁止されています。給与からの天引きや、負担金相当額の控除も認められません。違反した場合は受入計画の取消し事由となります。
Q. 特定技能「建設」の外国人が転職することは可能ですか?
特定技能は転職が認められている在留資格です。ただし、転職先の企業も建設業許可・JAC加入・受入計画の認定など、すべての要件を満たしている必要があります。転職に際しては、在留資格の変更許可申請と新たな受入計画の認定が必要になるため、手続きには一定の期間がかかります。
まとめ
特定技能「建設」は、他の分野にはない独自の要件が複数あり、受入れまでのハードルはやや高い分野です。主なポイントを整理します。
- 建設業許可とCCUS登録が前提条件
- JAC加入義務と受入負担金(月額12,500円/人)が発生する
- 在留資格申請の前に建設特定技能受入計画の認定が必要
- 人数制限あり(常勤職員の総数以下)
- FITS(建設業振興基金)による巡回指導を受ける義務がある
- 業務区分は土木・建築・ライフライン設備の3区分に大括り化済み
- 特定技能2号への移行で在留期間の上限なし・家族帯同可能
受入れ手続きは国交省への受入計画申請と入管への在留資格申請の二本立てとなるため、準備期間として3〜4か月程度を見込んでおくのが無難です。
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※ 2026年3月時点の特定技能制度・建設業法に基づく解説です。受入計画の認定基準やJACの負担金額は変更される場合があります。最新情報は国土交通省の建設分野における特定技能制度ページをご確認ください。


