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遺産分割調停の流れと費用|話し合いがまとまらない場合の手続き

更新: 約11分で読めます

遺産分割の話し合いで最も問題になるのは、「合意できない」まま時間だけが過ぎることです。相続人同士の関係が複雑だったり、不動産の評価額で意見が食い違ったりすると、当事者間の協議では解決の糸口が見えなくなります。こうした場合に利用できるのが、家庭裁判所の遺産分割調停です。調停委員が間に入り、法的な枠組みの中で合意形成を目指す手続きで、申立費用は1,200円(収入印紙)+郵便切手代と、裁判に比べて低コストで利用できます。

遺産分割調停の手続きは、(1)申立書と必要書類を家庭裁判所に提出、(2)調停期日に出席して調停委員を通じて話し合い、(3)合意すれば調停調書が作成され法的拘束力が発生、という流れです。不成立の場合は自動的に審判手続へ移行します。

「相続人同士の話し合いがまとまらない」「調停を申し立てるべきか判断に迷っている」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。戸籍収集・財産調査から遺産分割協議書の作成まで、相続手続きをワンストップでサポートします。相談は何度でも無料です。

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遺産分割調停とは?どんなときに使う手続きか

遺産分割調停とは、被相続人(亡くなった方)の遺産の分け方について、相続人間で協議がまとまらない場合に、家庭裁判所の調停委員会(裁判官1名+調停委員2名)を介して話し合いを行う手続きです(家事事件手続法第244条、第274条)。

調停では、各相続人が調停委員に対して個別に意見や希望を伝え、調停委員が双方の言い分を整理したうえで解決案を提示します。当事者同士が直接顔を合わせずに進行するため、感情的な対立が激しい場合にも比較的冷静に話し合いを進められるのが特徴です。

調停と審判はどう違う?

項目 遺産分割調停 遺産分割審判
性質 話し合い(合意を目指す) 裁判官が判断を下す
結果の効力 調停調書(確定判決と同一の効力) 審判書(確定判決と同一の効力)
当事者の意思 合意が必要 合意不要(裁判官が決定)
不服申立て なし(合意に基づくため) 2週間以内に即時抗告可能
移行 不成立→自動的に審判へ移行

なお、遺産分割は法律上いきなり審判を申し立てることも可能ですが、実務上は家庭裁判所の判断で調停に付される(付調停)のが通常です(家事事件手続法第274条)。そのため、まずは調停から手続きを始めるケースがほとんどです。

遺産分割調停の申立てに必要な書類は?

遺産分割調停を申し立てる際に必要な書類は多岐にわたります。不備があると補正を求められ、手続きが遅れる原因になるため、事前に漏れなく準備しておくことが重要です。

書類 取得先・備考
申立書(及び写し:相手方の人数分) 裁判所公式サイトからダウンロード可能
当事者目録 申立書に添付
遺産目録 不動産・預貯金・有価証券等の一覧
相続関係図 被相続人と相続人の関係を図示
被相続人の出生から死亡までの全戸籍謄本 本籍地の市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本 各相続人の本籍地の市区町村役場 ※金融機関での手続きでは3か月以内を求められることが多い
相続人全員の住民票 各相続人の住所地の市区町村役場
被相続人の住民票除票(または戸籍附票) 最後の住所地の市区町村役場
不動産登記事項証明書 法務局(遺産に不動産がある場合)
固定資産評価証明書 市区町村役場(遺産に不動産がある場合)
預貯金の残高証明書または通帳写し 各金融機関
事情説明書・進行に関する照会回答書 申立先の家庭裁判所で書式を入手

特に、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍の収集は手間がかかります。転籍や改製が多い場合、複数の市区町村に請求する必要があり、郵送での取得には数週間かかることもあります。行政書士に戸籍収集を依頼すれば、この作業を代行してもらうことが可能です。

遺産分割調停はどう進む?申立てから解決までの流れ

Step 1:遺産と相続人の確定

調停の申立て前に、相続人の範囲と遺産の内容を確定させる必要があります。被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得して法定相続人を確認し、不動産・預貯金・有価証券などの遺産を漏れなく洗い出します。遺産の範囲が不明確なまま調停を申し立てると、手続きが長期化する原因になります。

Step 2:申立書と必要書類の準備

前述の必要書類を揃え、申立書に必要事項を記入します。申立書には、遺産の内容、各相続人の法定相続分、申立人が希望する分割方法などを記載します。遺産目録は不動産・預貯金・その他の財産に分けて正確に記載することが求められます。

Step 3:家庭裁判所への申立て

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出します(家事事件手続法第245条第1項)。当事者の合意があれば、別の家庭裁判所に申し立てることも可能です。窓口への持参または郵送で提出できます。管轄裁判所は裁判所の遺産分割調停ページから確認できます。

Step 4:調停期日への出席(複数回)

申立てが受理されると、第1回調停期日が指定されます(通常、申立てから1〜2か月後)。以降、月1回程度のペースで期日が開かれ、調停委員を通じて話し合いを進めます。各期日では、申立人と相手方が交互に調停室に入り、調停委員に自分の主張や希望を伝えます。期日の回数は事案によりますが、6〜10回程度で終結するケースが多いとされています。

Step 5:調停成立または不成立

当事者全員が合意に至れば調停成立となり、合意内容を記載した調停調書が作成されます。調停調書は確定判決と同一の効力を持ち、相手方が内容に従わない場合は強制執行が可能です。合意に至らない場合は調停不成立となり、自動的に審判手続へ移行します。

遺産分割の手続きでは、戸籍収集・財産調査・遺産目録の作成など、調停の申立て前に必要な準備が多くあります。「何から手をつけていいかわからない」という方は、まず専門家にご相談ください。相談は何度でも無料です。

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遺産分割調停にかかる費用はいくら?

遺産分割調停の費用は、裁判所への申立費用と、専門家への依頼費用に大きく分かれます。申立て自体の費用は低額ですが、弁護士に依頼する場合はまとまった費用が必要です。

費用項目 金額の目安 備考
収入印紙(申立手数料) 被相続人1人につき1,200円 申立書に貼付
郵便切手(予納郵券) 数千円程度 裁判所により異なる(例:東京家裁は相手方5名まで約2,760円)
戸籍謄本の取得費用 現在の戸籍450円/除籍・改製原戸籍750円 相続手続きでは750円のものが多い
不動産登記事項証明書 1通あたり600円 法務局で取得
固定資産評価証明書 1件あたり200〜400円 市区町村により異なる
弁護士費用(依頼する場合) 着手金20〜50万円+報酬金(経済的利益の数〜十数%) 遺産額や争点の複雑さにより変動
不動産鑑定費用(必要な場合) 20〜50万円程度 不動産の評価額に争いがある場合

弁護士に依頼せず本人で申し立てる場合、裁判所への実費は合計1万円前後で済むケースが大半です。一方、弁護士に調停の代理を依頼すると、着手金・報酬金を合わせて数十万円〜百万円以上になることもあります。

調停が不成立になったらどうなる?審判への移行

調停期日を重ねても当事者間で合意に至らない場合、調停委員会は調停不成立を宣言します。遺産分割調停が不成立になると、自動的に遺産分割審判の手続きに移行します(家事事件手続法第272条第4項)。改めて申立書を提出したり、追加の手数料を納付したりする必要はありません。

審判ではどのように決まるのか

審判手続では、裁判官が当事者の主張・証拠を検討し、法定相続分や遺産の性質を考慮して分割方法を決定します。調停と異なり当事者の合意は必要なく、裁判官の判断で結論が出されます。審判の結果に不服がある場合は、審判の告知を受けた日から2週間以内に即時抗告を行うことができます。

調停から審判まで含めた全体の所要期間は、争点が多い事案では2〜3年以上に及ぶこともあります。手続きの長期化を避けるためにも、調停の段階で可能な限り合意を目指すことが重要です。

遺産分割協議を行政書士に依頼するメリット

遺産分割調停・審判は裁判所の手続きであり、行政書士の業務範囲外です。調停の代理人になれるのは弁護士に限られます。

行政書士が対応できるのは、相続人全員の話し合いで遺産の分け方を決める「遺産分割協議」に関する書類作成です。

  • 戸籍収集の代行:被相続人の出生から死亡までの全戸籍を取得し、法定相続人を確定させます
  • 財産調査:預貯金・不動産・有価証券等の遺産の全体像を把握し、遺産目録を作成します
  • 遺産分割協議書の作成:相続人全員が合意した内容を法的に有効な遺産分割協議書としてまとめます
  • 各種名義変更等の手続き代行:預貯金の解約・名義変更などの相続手続きをサポートします

相続人間で合意ができている場合や、話し合い自体は可能な場合は、行政書士に書類作成を依頼するのが費用面でも合理的な選択肢です。不動産の登記が必要な場合は司法書士、相続税の申告が必要な場合は税理士との連携も可能です。

よくある質問

Q. 遺産分割調停の申立てから解決までどのくらいの期間がかかりますか?

事案により大きく異なりますが、調停の平均的な審理期間は6か月〜1年程度です。期日は月1回程度のペースで開かれ、回数としては6〜10回程度が多いとされています。遺産の範囲や評価額に争いがある場合は1年以上かかることもあります。

Q. 遺産分割調停は弁護士なしでもできますか?

はい、弁護士に依頼せず本人で申し立てることが可能です。調停は話し合いの手続きであり、訴訟のような厳格な主張・立証は求められません。ただし、遺産額が大きい場合や相続人間の対立が深刻な場合は、弁護士に依頼したほうが有利な結果につながる可能性があります。

Q. 調停に出席しないとどうなりますか?

正当な理由なく調停期日に出席しない場合、家庭裁判所から5万円以下の過料に処される可能性があります(家事事件手続法第258条第1項、第51条第1項・同第3項)。また、欠席が続くと調停不成立となり、審判に移行して裁判官が一方的に分割方法を決定することになります。

Q. 遺産分割調停で決まった内容に従わない相続人がいる場合は?

調停調書は確定判決と同一の効力を持つため、相手方が内容に従わない場合は強制執行の手続きを取ることができます。たとえば、金銭の支払いを命じられた相続人が支払わない場合は、預貯金や給与の差押えが可能です。

まとめ

遺産分割調停は、相続人間の話し合いがまとまらない場合に利用できる家庭裁判所の手続きです。調停委員が間に入ることで、当事者だけでは解決できなかった問題に合意点を見出せる可能性があります。

  • 申立費用は収入印紙1,200円+郵便切手代で、裁判所への実費は1万円前後
  • 申立先は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 期日は月1回ペースで開かれ、解決まで6か月〜1年程度が目安
  • 調停不成立の場合は自動的に審判へ移行
  • 調停に至る前に、戸籍収集・財産調査・遺産分割協議書の作成を行政書士に依頼することで、協議段階での解決を目指せる

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  • ✔ 遺産分割協議書の作成は39,800円(税抜)〜
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※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

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