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任意後見人は誰に頼む?家族・行政書士・NPOの比較

更新: 約12分で読めます

結論: 身近に頼れる家族がいれば家族、いなければ行政書士などの専門家やNPO法人への依頼が安心です。任意後見人を誰に頼むかは、任意後見契約において最も重要な判断の一つです。家族・専門家・NPOにはそれぞれメリット・デメリットがあり、ご自身の家族構成・財産状況・将来の生活設計によって最適な選択は変わります。

この記事では、任意後見人になれる人・なれない人の条件を整理したうえで、家族・行政書士(専門家)・NPO法人の3つの選択肢を比較表で解説します。終活手続きの専門家の視点から、ケース別の判断基準もお伝えしますので、任意後見人選びの参考にしてください。

「誰に任意後見人を頼めばいいかわからない」「家族に頼むか専門家に頼むか迷っている」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。ご本人の状況をヒアリングのうえ、最適な後見プランをご提案します。相談は何度でも無料・全国対応です。

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任意後見人になれる人・なれない人【条件一覧】

任意後見人は、本人が信頼する相手を自由に選べる制度です。法定後見のように家庭裁判所が後見人を決めるのではなく、本人の意思で「誰に」「何を」任せるかを契約で定めます。ただし、以下に該当する方は任意後見人になることができません。

任意後見人になれない人(欠格事由)

任意後見契約に関する法律第4条第1項第3号は、以下の者を任意後見人の欠格事由として定めています。民法第847条の後見人の欠格事由が準用される形です。

  • 未成年者
  • 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人
  • 破産者(復権していない者)
  • 本人に対して訴訟をし、またはした者、ならびにその配偶者および直系血族
  • 行方の知れない者

逆にいえば、上記に該当しなければ誰でも任意後見人になれます。家族・親族はもちろん、友人・知人、行政書士・弁護士・司法書士などの専門家、NPO法人や社会福祉法人といった法人も受任者となることが可能です。

任意後見人は複数人でもよい

任意後見人は1人に限定されません。たとえば「財産管理は行政書士に、身上監護は長女に」というように、役割を分けて複数の任意後見人を選任することも認められています。それぞれの得意分野を活かした分担ができる一方、意思決定に時間がかかる場合がある点には注意が必要です。

任意後見制度の全体像については任意後見契約とは?制度の仕組み・手続き・費用で詳しく解説しています。

家族・行政書士・NPOの比較表

任意後見人の候補は大きく「家族・親族」「行政書士などの専門家」「NPO法人・社会福祉協議会」の3つに分かれます。以下の比較表で全体像を把握してください。

比較項目 家族・親族 行政書士などの専門家 NPO法人・社会福祉協議会
報酬 無報酬が多い 月額2万〜5万円程度 月額1万〜3万円程度(団体により異なる)
身近さ・信頼感 ◎ 最も身近で意思疎通しやすい ○ 契約関係に基づく信頼 ○ 組織的な対応で安定感がある
専門知識 △ 法律・手続きに不慣れなケースが多い ◎ 法的手続き・書類作成に精通 ○ 福祉分野に知見がある
長期的な対応力 △ 後見人自身の高齢化・病気のリスク ○ 法人化されていれば後任を確保しやすい ◎ 組織として継続対応が可能
利益相反のリスク △ 相続人でもある場合は注意が必要 ◎ 第三者のため利益相反が起きにくい ◎ 第三者のため利益相反が起きにくい
本人の希望の反映 ◎ 日頃の付き合いから意向を理解している ○ 契約書で詳細に定めておけば対応可能 ○ マニュアルに基づく対応が中心
適するケース 信頼できる家族が近くにいる場合 財産管理が複雑な場合・家族間にトラブルがある場合 身寄りがない場合・長期的な組織対応を求める場合

どの選択肢にも一長一短があります。ここからは、それぞれのメリット・デメリットを掘り下げて確認していきます。

家族に頼むメリット・デメリット

任意後見人の候補として最初に思い浮かぶのは、やはり家族や親族ではないでしょうか。配偶者・子ども・兄弟姉妹など、日常的に関わりのある方を選ぶケースが実務上も多く見られます。

メリット

  • 本人の生活習慣や価値観を理解している:長年の付き合いがあるため、食事の好み、生活リズム、人付き合いの傾向など、細かな希望を汲み取りやすい点は大きな強みです
  • 報酬が不要なケースが多い:家族が任意後見人を引き受ける場合、無報酬とする契約が一般的です。ただし、任意後見監督人の報酬(月額1万〜3万円程度)は別途発生する点には留意が必要です
  • 日常的なコミュニケーションが取りやすい:定期的に顔を合わせる関係であれば、判断能力の変化にも早く気づけます

デメリット

  • 後見人自身が高齢化する可能性:配偶者に頼んだ場合、配偶者自身も高齢化し、認知症や病気で後見事務が困難になるリスクがあります。子どもに頼む場合でも、転勤や遠方への転居で物理的に対応しづらくなるケースは想定しておくべきです
  • 相続をめぐる利益相反の懸念:子どもが任意後見人を務める場合、将来の相続人でもあるため、「自分に有利なように財産を管理しているのでは」という疑念が他の家族から生じることがあります。任意後見監督人の監督があるとはいえ、家族間の信頼関係に影響を及ぼす場合があります
  • 法律・手続きの知識が不足しがち:預金の管理・不動産の維持管理・介護サービスの契約など、後見事務には法的知識が求められる場面が少なくありません。手続きに不慣れな家族が抱え込むと、心理的・時間的な負担が大きくなります

家族に頼む場合のポイントは、「後見人が先に倒れたらどうするか」を事前に話し合っておくことです。予備的な受任者(バックアップの後見人候補)を契約で定めておく方法もあります。

行政書士・専門家に頼むメリット・デメリット

行政書士、司法書士、弁護士といった専門家に任意後見人を依頼するケースは、家族間にトラブルがある場合や、管理すべき財産が複雑な場合に特に有効です。

メリット

  • 法的手続きに精通している:財産管理や各種契約の締結は、法律知識を要する事務です。行政書士は「権利義務に関する書類」の作成を業とする専門家であり、後見事務を適切に遂行するための知識とスキルを備えています
  • 第三者として中立的に対応できる:家族間で財産をめぐる意見の対立がある場合でも、利害関係のない第三者の専門家であれば公正な立場で後見事務を行えます
  • 任意後見契約書の起案から公証役場との調整までワンストップで対応可能:任意後見契約は公正証書で締結する必要がありますが、行政書士に依頼すれば契約内容の設計から公証人との事前打ち合わせ、必要書類の取得まで一括して任せることができます

デメリット

  • 報酬が継続的に発生する:専門家が任意後見人を引き受ける場合、月額報酬の目安は2万〜5万円程度です。これに加えて任意後見監督人の報酬も別途発生するため、長期間になるほど費用総額は大きくなります
  • 個人の専門家は廃業・死亡リスクがある:個人の行政書士に依頼した場合、その方が廃業や死亡した際に後任の確保が課題になります。法人化された事務所であれば、担当者が変わっても組織として対応を継続できるため、リスクを抑えられます
  • 日常の生活状況が見えにくい:家族と比べると日常的な接点が少ないため、定期的な面談や連絡の取り決めを契約に盛り込んでおくことが重要です

専門家に依頼する際は、任意後見の受任実績があるか、法人として組織的に対応できる体制があるかを確認しておくと安心です。

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NPO・社会福祉協議会に頼むメリット・デメリット

身寄りがない方や、家族に頼みにくい事情がある方の選択肢として、NPO法人や社会福祉協議会(社協)に任意後見人を依頼する方法があります。裁判所の後見ポータルサイトでも、法人が後見人となるケースについて言及されています。

メリット

  • 組織的な対応で長期継続が可能:NPO法人や社会福祉協議会は組織として活動しているため、特定の担当者が病気や退職となっても後任がカバーできます。個人に依頼する場合と比べて「後見人不在」になるリスクが低い点は、長期にわたる後見で大きなメリットです
  • 福祉サービスとの連携がスムーズ:社会福祉協議会は地域の福祉ネットワークの中核を担っており、介護サービスや生活支援との連携が取りやすい立場にあります。NPO法人も高齢者支援を専門に活動している団体であれば、福祉の知見に基づいたサポートが期待できます
  • 費用が比較的抑えられる場合がある:社会福祉協議会が後見人を務める場合、報酬が低額に設定されていることがあります。ただし団体によって料金体系は異なるため、事前の確認が必要です

デメリット

  • 対応がマニュアル的になる場合がある:組織的な対応は安定性がある反面、本人の細かな希望や好みに柔軟に対応しきれない面があります。「この料理が好き」「この施設を希望する」といった日常的な希望をどこまで汲み取れるかは、担当者の個人的な努力に左右される部分があります
  • すべての地域で対応しているとは限らない:NPO法人は都市部に集中しがちで、地方では選択肢が限られる場合があります。社会福祉協議会も、後見業務に対応している地域とそうでない地域があるため、事前に確認が必要です
  • 個人の専門家ほど法的知識が深くない場合がある:福祉の専門性はあっても、複雑な財産管理や法律問題については対応が難しいケースがあります。不動産の処分や相続が絡む場合は、別途専門家と連携する必要が出てきます

NPO法人に依頼する場合は、団体の運営実態・財務状況・過去の後見受任実績を確認し、信頼できる団体かどうかを慎重に見極めることが重要です。任意後見契約の3つの類型(将来型・移行型・即効型)については「任意後見契約の3つの類型」で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 任意後見人を途中で変更することはできますか?

任意後見監督人が選任される(効力発生前)であれば、現在の契約を解除して新たな受任者と任意後見契約を結び直すことで変更できます。公証人の認証を受けた書面による通知が必要です。監督人選任(効力発生後)は、正当な事由がある場合に限り家庭裁判所の許可を得て解任し、別の後見人に変更する手続きとなります。

Q. 任意後見人と任意後見監督人の違いは何ですか?

任意後見人は本人が選んだ代理人で、契約に基づいて財産管理や身上監護を行います。一方、任意後見監督人は家庭裁判所が選任する監督役で、後見人が不正なく適切に事務を行っているかをチェックする立場です。監督人の報酬は本人の財産から支払われ、月額1万〜3万円程度が目安です。詳しくは「任意後見監督人とは?」をご覧ください。

Q. 家族がいても専門家に任意後見人を頼んでよいのですか?

もちろん問題ありません。家族間で財産管理の方針に意見の違いがある場合や、相続が複雑になりそうな場合は、あえて第三者の専門家を任意後見人に選ぶことで公平性を保てます。「家族がいるから家族に頼まなければならない」という法律上の制約はありません。

Q. 任意後見人への報酬はどのように決まりますか?

任意後見人の報酬は、任意後見契約の中で当事者間の合意により自由に定めることができます。家族が後見人を務める場合は無報酬とするのが一般的ですが、専門家に依頼する場合は月額2万〜5万円程度が相場です。なお、任意後見監督人の報酬は家庭裁判所が決定するため、当事者の合意では決められません。

まとめ

  • 任意後見人は未成年者や破産者などの欠格事由に該当しなければ誰でもなれる。法人の受任も可能
  • 家族に頼む場合は報酬不要で意思疎通しやすいが、高齢化リスクや利益相反に注意
  • 行政書士などの専門家は法的手続きに精通し中立的だが、継続的な報酬が発生する
  • NPO法人・社会福祉協議会は長期継続と福祉連携に強いが、地域差がある
  • 複数の任意後見人を選任し、役割分担する方法もある

成年後見制度全体の仕組みについては「成年後見制度とは?」でも解説しています。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

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