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建設業の配置技術者制度|主任技術者・監理技術者の要件と配置ルールを解説

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建設工事を施工する際には、工事現場に一定の資格・経験を持つ技術者を配置しなければなりません。建設業法第26条に基づくこの制度が「配置技術者制度」です。配置すべき技術者は、工事の規模や下請金額に応じて主任技術者または監理技術者のいずれかとなり、配置を怠れば建設業法違反として監督処分の対象になります。この記事では、主任技術者・監理技術者の違い、配置が必要な工事の基準、専任が求められるケース、2020年建設業法改正で導入された特例監理技術者制度について整理します。

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主任技術者と監理技術者の違いとは?

建設業法では、建設業者が工事を施工する場合、工事現場に技術者を配置することを義務づけています。配置すべき技術者は工事の規模によって異なります。

区分 主任技術者 監理技術者
根拠条文 建設業法第26条第1項 建設業法第26条第2項
配置が必要な工事 すべての工事(許可業種にかかわらず) 特定建設業者が元請として施工する工事で、下請契約の合計額が5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)の場合(令和7年2月1日改正後/改正前は4,500万円・建築一式7,000万円)
資格要件 一般建設業の営業所技術者(令和6年12月改正前の呼称:専任技術者)と同等 特定建設業の特定営業所技術者(令和6年12月改正前の呼称:専任技術者)と同等 + 監理技術者資格者証・講習修了
役割 施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理 主任技術者の役割に加え、下請業者の指導監督

主任技術者はすべての建設工事に配置が必要であり、建設業許可の有無にかかわらず配置義務があります。一方、監理技術者は発注者から直接工事を請け負った元請の特定建設業者が、一定金額以上の下請契約を締結する場合にのみ配置が求められます。

主任技術者になれる資格・要件

主任技術者の要件は、一般建設業の営業所技術者(令和6年12月改正前の呼称:専任技術者)の要件と同じです。以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 許可を受けようとする建設業に対応する国家資格を有する者(例: 1級・2級施工管理技士、建築士、技術士など)
  • 許可を受けようとする建設業の工事について10年以上の実務経験を有する者
  • 指定学科を卒業後、大学卒3年以上または高校卒5年以上の実務経験を有する者

監理技術者になれる資格・要件

監理技術者の要件は、特定建設業の特定営業所技術者(令和6年12月改正前の呼称:専任技術者)の要件と同等であり、主任技術者よりも高い資格・経験が求められます。

  • 1級の国家資格を有する者(1級施工管理技士、1級建築士、技術士など)
  • 一般建設業の専任技術者要件を満たしたうえで、元請として4,500万円以上の工事(2年以上の指導監督的実務経験)を有する者

加えて、監理技術者として配置されるには、監理技術者資格者証の交付を受け、かつ監理技術者講習を修了していることが必要です(建設業法第26条第5項)。

配置技術者が「専任」で求められる場合

すべての工事で技術者の配置が必要ですが、工事の請負金額が一定額以上の場合は、その技術者が工事現場に専任で配置されなければなりません。「専任」とは、他の工事現場と兼任せず、配置された工事に専ら従事することを意味します。

区分 専任が必要となる基準額
主任技術者 請負金額 4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)※令和7年2月1日施行の施行令改正後の金額
監理技術者 原則として専任(ただし、法令上の要件を満たす場合は専任現場の兼任や特例監理技術者制度・専任特例1号の活用が可能)

なお、ここでいう請負金額は消費税込みの金額であり、元請・下請を問いません。たとえば下請業者であっても、請負金額が4,500万円以上(建築一式は9,000万円以上)であれば主任技術者の専任配置が必要です(令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正後の基準)。

「専任」の期間

専任の技術者は、契約工期の始期から終期まで配置が求められるのが原則です。ただし、工場製作のみの期間や、工事が完了し事務手続のみが残る期間は、必ずしも専任を要しないとされています(国土交通省通知)。

技術者の兼任が認められるケース|2024年12月施行の専任合理化・営業所技術者等の兼務も解説

原則として専任の技術者は他の工事と兼任できませんが、以下のケースでは例外的に兼任が認められています。

密接な関連がある工事の兼任

同一の建設業者が施工する工事については、現行制度上、請負金額、兼任現場数、現場間の移動時間、下請次数、連絡員の配置、ICT措置など一定の要件を満たす場合に、主任技術者又は監理技術者の専任現場兼任が認められます。

特例監理技術者制度(2020年改正・専任特例2号)

2020年10月施行の建設業法改正により、特例監理技術者の制度が設けられました。監理技術者補佐を配置することで、監理技術者が最大2つの工事現場を兼任できるようになっています(後述)。

専任特例1号(令和6年12月13日施行・新設)

令和6年12月13日施行の改正建設業法(建設業法第26条第3項第1号)により、監理技術者補佐を配置しなくても、情報通信技術の活用など一定の要件を満たせば、監理技術者・主任技術者が最大2つの専任工事現場を兼任できる「専任特例1号」制度が新設されました。対象は請負代金が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)の工事に限られます。主な要件は以下のとおりです。

  • ICT(情報通信技術)による施工体制の確認
  • 連絡員の配置
  • 2現場間の移動が概ね2時間以内
  • 人員配置計画書の作成・保存

営業所技術者等の現場兼務特例(建設業法第26条の5・令和6年12月13日施行)

同じく令和6年12月13日施行の改正により、建設業法第26条の5が新設され、一定の要件を満たす場合には、営業所技術者等(旧:専任技術者)が当該営業所で締結された専任工事の主任技術者等を兼務できるようになりました。対象は請負代金が1億円未満(建築一式は2億円未満)の工事に限られ、営業所と現場の距離、下請次数、連絡員配置、ICT措置等の要件があります。

2020年建設業法改正の影響|特例監理技術者と監理技術者補佐

建設業界の技術者不足に対応するため、2020年10月の建設業法改正で新たな制度が導入されました。

特例監理技術者制度とは

改正法により、監理技術者の補佐となる者(監理技術者補佐)を工事現場に専任で配置した場合、監理技術者は2つの工事現場を兼任できるようになりました(建設業法第26条第4項)。これが「特例監理技術者」制度です。

項目 従来の制度 特例監理技術者制度
監理技術者の兼任 不可(1工事に専任) 2つの工事現場まで可能
条件 各工事現場に監理技術者補佐を専任配置
監理技術者補佐の要件 1級施工管理技士補 または 1級施工管理技士等

監理技術者補佐の資格要件

監理技術者補佐は、以下のいずれかに該当する者でなければなりません。

  • 1級施工管理技士補(技術検定の第一次検定に合格した者に付与される称号。2021年度以降の試験から適用)
  • 1級施工管理技士等の国家資格を有する者

監理技術者補佐は、その工事現場に専任で配置される必要があり、兼任は認められません。補佐は監理技術者の指導のもとで施工管理を行い、監理技術者が不在の間も適切な現場管理を行う役割を担います。

技士補制度の導入

2021年度の試験制度改正により、施工管理技術検定の第一次検定に合格すると「技士補」の称号が付与されるようになりました。1級技士補は監理技術者補佐の資格要件を満たすため、監理技術者不足の解消に寄与することが期待されています。2級技士補についても、実務経験等の要件を満たせば主任技術者として配置できます。

配置技術者に関する詳しい制度解説は、国土交通省「配置技術者制度」のページをご確認ください。

監理技術者資格者証と講習

監理技術者資格者証の交付申請

監理技術者として配置されるには、監理技術者資格者証の交付を受ける必要があります。資格者証の交付申請は、一般財団法人建設業技術者センターに行います。

項目 内容
交付申請先 一般財団法人建設業技術者センター
有効期間 5年間
更新 有効期間満了前に更新申請が必要
携帯義務 工事現場に携帯し、発注者から請求があったときは提示する義務あり

監理技術者講習

監理技術者資格者証の交付を受けた者は、監理技術者講習を受講する必要があります。講習は国土交通大臣の登録を受けた機関が実施しており、有効期間は受講日から5年間です。工事現場に配置される時点で有効な講習修了証を保持していなければなりません。

よくある不備・失敗と対策

営業所技術者等(旧:専任技術者)を工事現場にも配置してしまう

営業所技術者等(令和6年12月13日施行改正前の呼称:専任技術者)は、原則として営業所に常勤しなければなりません。専任の配置技術者と兼任することは原則として認められていません。ただし、以下の場合には兼務が認められます。

  1. 従来からの取扱い:営業所と工事現場が近接し、かつ当該営業所との間で常時連絡が取れる体制にある場合で、請負金額が基準額未満の工事に限り、兼任が例外的に認められるケース
  2. 建設業法第26条の5(令和6年12月13日施行・新設):情報通信機器の活用など一定の要件を満たす工事(請負代金1億円未満、建築一式は2億円未満)に限り、営業所技術者等が当該工事の主任技術者等を兼務することが認められるようになりました(営業所技術者等の職務特例)

下請金額の計算を誤り、主任技術者のままにしてしまう

監理技術者の配置が必要かどうかを判断する「下請契約の合計額5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)」(令和7年2月1日改正後)は、元請業者が締結するすべての下請契約の合計額で判定します。1社ごとの金額ではなく、複数の下請業者への発注額を合算して基準額以上になれば監理技術者が必要です。見落としがちなポイントですので、工事着手前に必ず確認してください。

監理技術者資格者証・講習の有効期限切れ

資格者証と講習修了証はいずれも有効期間が5年です。有効期限切れの状態で監理技術者として配置すると建設業法違反となり、監督処分の対象になります。更新手続きは余裕をもって行うことが重要です。

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よくある質問

Q. 主任技術者と監理技術者の両方を同じ工事に配置する必要はありますか?

いいえ、同じ工事に両方を配置する必要はありません。監理技術者を配置する工事では、主任技術者の配置は不要です。監理技術者は主任技術者の役割を包含しているためです。つまり、監理技術者の配置が必要な工事では監理技術者のみ、それ以外の工事では主任技術者のみを配置します。

Q. 元請ではなく下請業者にも監理技術者は必要ですか?

下請業者に監理技術者の配置が求められることはありません。監理技術者の配置義務は、発注者から直接工事を請け負った元請の特定建設業者にのみ生じます。下請業者は工事の金額にかかわらず主任技術者を配置すれば足ります。

Q. 建設業許可を持っていない場合、主任技術者の配置は不要ですか?

建設業法上、主任技術者の配置義務は建設業許可の有無にかかわらず課されています(建設業法第26条第1項)。ただし、許可不要の軽微な工事(請負金額500万円未満、建築一式は1,500万円未満等)のみを施工する事業者については、実務上は行政指導にとどまることが多いです。

Q. 監理技術者補佐を配置すれば、監理技術者は現場に常駐しなくてよいのですか?

特例監理技術者は2つの工事現場を兼任できますが、完全に不在でよいわけではありません。特例監理技術者は各工事現場を定期的に巡回し、主要な工程の立会いや重要な打合せに出席するなど、適切な頻度で現場管理を行う必要があります。監理技術者補佐が不在時の日常的な管理を担い、監理技術者とは常時連絡が取れる体制を確保することが求められます。

Q. 技術者の途中交代は認められますか?

配置技術者の途中交代は原則として認められません。ただし、病気・死亡・退職等のやむを得ない事情がある場合や、工事の規模が大幅に変更された場合には、発注者の了承を得たうえで交代が認められることがあります。交代する場合は、後任者が同等以上の資格・経験を有し、工事の継続性に支障がないよう引継ぎを適切に行う必要があります。

Q. 特例監理技術者が兼任できる工事に距離の制限はありますか?

法令上、特例監理技術者が兼任する2つの工事現場の距離について明確な数値基準はありません。ただし、監理技術者としての職務を適切に果たせることが前提であり、一方の現場で緊急事態が発生した場合に速やかに対応できる範囲であることが必要です。国土交通省の通知では、合理的な時間内に移動可能であることが求められるとされています。

まとめ

建設業の配置技術者制度について、要点を整理します。

  • すべての工事に主任技術者の配置が必要。元請で下請合計額5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)の場合は監理技術者を配置(令和7年2月1日改正後)
  • 請負金額4,500万円以上(建築一式は9,000万円以上/令和7年2月1日施行令改正後)の工事では技術者を専任で配置
  • 2020年改正(専任特例2号)で特例監理技術者制度が導入、令和6年12月13日施行改正で専任特例1号(ICT活用等で請負1億円未満等の工事を2現場兼任可能)と営業所技術者等の現場兼務特例(建設業法第26条の5)が新設
  • 監理技術者には資格者証の交付と講習修了が必須(いずれも有効期間5年)

配置技術者の要件は建設業法の遵守において極めて重要であり、まず「監理技術者が必要な工事か」、次に「専任工事に当たるか」、最後に「兼任特例(専任特例1号・特例監理技術者制度)や営業所技術者等の兼務が使えるか」の順で判断することが重要です。違反すれば監督処分や指示処分の対象となります。建設業許可の取得・維持に関する詳細は「建設業許可の5つの要件」をご覧ください。

また、専任技術者の資格要件については「専任技術者の要件と資格一覧」で詳しく解説しています。

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※ 本記事は2026年4月時点の建設業法に基づく一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。記載内容には細心の注意を払っておりますが、都道府県ごとに運用が異なる場合があります。最新情報は国土交通省でご確認ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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