建設業関連

建設業許可の5つの要件|経管・専技・財産・誠実性・欠格事由

約14分で読めます

「建設業許可を取りたいが、要件が多くて何から確認すればいいかわからない」――こうした声は、初めて許可申請を検討する事業者の方から多く聞かれます。建設業許可を取得するには、建設業法が定める5つの要件をすべて満たす必要があります。結論から言えば、経営業務の管理責任者(経管)・専任技術者・財産的基礎・誠実性・欠格事由の5つです。2020年10月の法改正で経管要件が大幅に緩和され、さらに2025年2月には特定建設業の下請金額基準が引き上げられるなど、近年の制度変更も押さえておく必要があります。この記事では、建設業許可申請の専門家である行政書士が、5つの要件を一つずつ整理して解説します。

「自社が要件を満たしているか判断がつかない」「経管や専技の人選で迷っている」といったお悩みがあれば、行政書士法人Treeにご相談ください。建設業許可申請の専門家が状況を整理し、最適な申請プランをご提案します。相談は何度でも無料です。

▶ 行政書士法人Treeに相談してみる

建設業許可の5つの要件とは?【一覧表】

建設業法第7条および第15条では、建設業の許可を受けるための要件が定められています。一般に「5つの要件」と呼ばれるのは、以下の項目です。

要件 概要 根拠条文
1. 経営業務の管理責任者(経管) 建設業の経営経験を持つ常勤役員等を配置する 建設業法第7条第1号
2. 専任技術者(専技) 許可業種に応じた資格・経験を持つ技術者を営業所に常勤配置する 建設業法第7条第2号/第15条第2号
3. 財産的基礎 工事を請け負うのに十分な資金力があること 建設業法第7条第4号/第15条第3号
4. 誠実性 請負契約に関し不正・不誠実な行為をするおそれがないこと 建設業法第7条第3号
5. 欠格事由に該当しないこと 法人の役員等・個人事業主・令3条の使用人が欠格事由に該当しないこと 建設業法第8条

これら5つをすべて満たさなければ許可は下りません。一つでも欠けると申請が通らないため、事前の確認が重要です。なお、一般建設業許可と特定建設業許可では、専任技術者と財産的基礎の要件が異なります。以下、各要件を順に見ていきましょう。

要件1:経営業務の管理責任者(経管)

建設業許可の最初のハードルが「経管」の配置です。法人であれば常勤の役員のうち1人が、個人事業であれば事業主本人または支配人が、建設業の経営経験に関する要件を満たす必要があります。

経管の要件(2020年10月改正後)

2020年10月1日施行の建設業法改正により、経管の要件は大きく緩和されました。従来は「許可を受けようとする業種」と「それ以外の業種」で必要な経験年数が異なっていましたが、改正後は業種による区別が撤廃されています。現在は、以下のいずれかに該当すれば要件を満たします。

パターン 要件の内容
パターン1(イ) 常勤役員等のうち1人が、建設業に関し5年以上の経営業務管理責任者としての経験を有する
パターン2(イ) 常勤役員等のうち1人が、建設業に関し5年以上の経営業務管理責任者に準ずる地位で経営業務を管理した経験を有する
パターン3(イ) 常勤役員等のうち1人が、建設業に関し6年以上の補佐経験を有する
パターン4(ロ) 常勤役員等のうち1人が、建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の役員等経験を有し、かつ財務・労務・業務運営の各分野で補佐者を配置する

特にパターン4(ロ)は2020年改正で新設されたルートです。経営経験が十分でない役員であっても、組織として経営管理体制を整備すれば許可取得が可能になりました。事業承継を控えた建設会社や、他業種から建設業に参入する法人にとって活用しやすい規定といえます。

なお、経管として認められるには常勤性が求められます。他社の代表取締役を兼任している場合や、常勤として勤務していることが確認できない場合は認められません。都道府県によっては常勤性を証明する追加書類(健康保険証の写しなど)を求められることがあるため、事前に管轄窓口に確認しておくと安心です。

要件2:専任技術者(専技)

許可を受けようとするすべての営業所に、業種に応じた専任技術者を常勤で配置しなければなりません。専任技術者の要件は、一般建設業特定建設業で異なります。

一般建設業の専任技術者

一般建設業の場合は、次のいずれかに該当する者を配置します。

  • 許可を受けようとする業種の指定学科を修了し、高卒なら5年以上、大卒なら3年以上の実務経験がある者
  • 許可業種について10年以上の実務経験がある者
  • 許可業種に対応する国家資格(施工管理技士、建築士等)を保有する者

特定建設業の専任技術者

特定建設業ではより厳しい要件が求められ、原則として以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 許可業種に対応する1級の国家資格(1級施工管理技士、1級建築士等)を保有する者
  • 一般建設業の専任技術者要件を満たし、かつ元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的実務経験がある者

専任技術者は営業所ごとに常勤が必須であり、原則として現場の監理技術者・主任技術者との兼務はできません。ただし、営業所に近接した工事現場であって一定の条件を満たす場合は兼務が認められるケースもあります。

要件3:財産的基礎(金銭的信用)

建設工事は着工から完成まで一定の資金が必要となるため、工事を請け負う事業者には相応の資金力が求められます。財産的基礎の要件も一般建設業と特定建設業で大きく異なります。

一般建設業の財産的基礎

次のいずれか1つを満たせば要件をクリアできます。

  • 自己資本(純資産合計)が500万円以上あること
  • 500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の残高証明書等で証明)
  • 許可申請の直前過去5年間、建設業の許可を受けて継続して営業した実績があること(更新時のみ)

特定建設業の財産的基礎

特定建設業ではすべての要件を同時に満たす必要があり、審査が厳格です。

項目 基準
欠損比率 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
流動比率 75%以上であること
資本金 2,000万円以上であること
自己資本 4,000万円以上であること

特定建設業の財産的基礎は、新規申請時だけでなく5年ごとの更新時にも審査されます。決算内容が基準を下回ると更新が認められないため、日頃の財務管理が欠かせません。一般建設業の場合、更新時は「過去5年間の営業実績」があれば足りるため、ここが大きな違いです。

要件を満たしているか不安な方へ

行政書士法人Treeでは、建設業許可申請の専門家が要件充足の事前診断を行います。

  • ✔ 経管・専技の経験年数を書類ベースで確認
  • ✔ 決算書から財産的基礎の充足状況を事前チェック
  • ✔ 許可申請から決算変更届まで一括対応
  • ✔ 相談は何度でも無料

▶ まずはお気軽にお問い合わせください

要件4:誠実性

建設業法第7条第3号は、許可を受けようとする者(法人の場合はその役員等、個人の場合は事業主本人・支配人)が、請負契約の締結や履行に関して「不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかでない」ことを求めています。

具体的に「不正な行為」とは、請負契約の締結や履行に際して詐欺・脅迫・横領などの法律に違反する行為を指します。「不誠実な行為」とは、工事内容や工期等について請負契約に違反する行為を指します。

誠実性の要件は、実務上は宅地建物取引業法・建築士法等の規定により「不正又は不誠実な行為」を理由に免許取消等の処分を受けた場合などに問題となります。暴力団関係者に該当する場合も誠実性を満たさないとされますが、これは欠格事由とも重なるため次の項目で詳しく解説します。

通常の事業者であれば、過去に行政処分等を受けていない限り誠実性の要件で不許可になるケースはまれです。ただし、過去に建設業法違反による営業停止処分を受けた経歴がある場合は、申請時に慎重な対応が必要となります。

要件5:欠格事由に該当しないこと

建設業法第8条では、許可を受けられない「欠格事由」が列挙されています。法人の役員等、個人事業主、令3条の使用人(支店長等)のいずれかが以下に該当する場合、許可は受けられません。

主な欠格事由

  • 破産者で復権を得ない者
  • 精神の機能の障害により建設業を適正に営むことができない者
  • 建設業の許可を取り消された日から5年を経過しない者
  • 許可取消処分の通知があった日から処分日までの間に廃業届を提出し、届出の日から5年を経過しない者
  • 営業の停止を命じられ、その停止期間中の者
  • 営業を禁止され、その期間が経過しない
  • 禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行が終わった日から5年を経過しない者
  • 建設業法・建築基準法・暴力団対策法等の特定の法律に違反し、罰金刑に処せられた日から5年を経過しない者
  • 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  • 許可申請書や添付書類に虚偽の記載をした場合、または重要な事実の記載が欠けている場合

欠格事由は個人だけでなく、法人のすべての役員(取締役・監査役・相談役・顧問等を含む)および令3条の使用人(支店長・営業所長等)にも適用される点に注意が必要です。会社の取締役が入れ替わった際には、新任の役員が欠格事由に該当しないかを確認しておくことが実務上重要です。

2025年以降の建設業法改正と許可要件への影響

建設業許可の5つの要件を理解するうえで、近年の法改正の動きも押さえておく必要があります。許可の種類(一般・特定)の判断に直結する金額基準や、2025年12月の全面施行に伴う実務上の変更点を整理します。

2025年2月施行:特定建設業の下請金額基準の引き上げ

2025年2月1日施行の建設業法施行令改正により、特定建設業許可が必要となる下請代金の基準額が引き上げられました。

区分 改正前 改正後(2025年2月1日〜)
建築一式工事以外 4,500万円以上 5,000万円以上
建築一式工事 7,000万円以上 8,000万円以上

つまり、元請として下請に出す工事代金の合計が上記基準に満たなければ、一般建設業許可で対応可能です。近年の建設工事費の高騰を踏まえた改正であり、「特定が必要だと思っていたが一般でよかった」というケースも出てくる可能性があります。自社の受注状況を見直し、許可の種類が適切か確認してみてください。

2025年12月全面施行:改正建設業法(第三次担い手3法)

2024年6月に成立した改正建設業法は、段階的に施行され、2025年12月12日に全面施行されました。この改正は「第三次担い手3法」と呼ばれ、建設業の持続可能性確保を目的としています。許可要件に直接関わる主な変更点は以下のとおりです。

  • 労務費の確保:著しく低い労務費での契約締結が禁止され、適正な労務費の確保が制度化された
  • ICT活用による技術者配置の合理化(2024年12月13日先行施行):遠隔通信技術で施工現場を確認できる場合、請負代金1億円未満(建築一式は2億円未満)の工事で技術者の2現場兼務が可能に
  • 資材高騰への対応:資材価格の著しい変動があった場合、元請から下請への協議に応じる義務が明文化された
  • 著しく短い工期の禁止:通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期での契約が禁止された

ICT活用による技術者配置の見直し(2024年12月先行施行済み)は、専任技術者の運用にも影響する可能性があります。今後の許可申請や更新に際しては、これらの新ルールを踏まえた対応が求められます。詳しくは国土交通省の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q. 個人事業主でも建設業許可を取得できますか?

はい、個人事業主でも建設業許可の取得は可能です。経営業務の管理責任者は事業主本人が該当しますので、建設業に関して5年以上の経営経験があれば要件を満たせます。専任技術者についても、10年以上の実務経験や国家資格の保有で要件をクリアできます。なお、2020年10月の法改正により、事前に事業承継の認可を受けることで個人の許可を法人に引き継ぐことが可能になりました(建設業法第17条の2)。将来の法人化を検討している場合は、認可手続きも含めて事前に計画を立てておくことが大切です。

Q. 経管と専技を同一人物が兼務することは可能ですか?

はい、同一の営業所内であれば、経営業務の管理責任者と専任技術者を1人で兼務することが可能です。小規模な事業者の場合、代表者が経管と専技を兼ねるケースは多く見られます。ただし、両方の要件(経営経験と技術的な資格・実務経験)をその1人が満たしている必要があります。

Q. 自己資本が500万円に満たない場合はどうすればよいですか?

一般建設業の場合、自己資本が500万円に満たなくても、500万円以上の資金調達能力を証明できれば要件を満たせます。具体的には、金融機関の預金残高証明書(500万円以上)を提出する方法が一般的です。残高証明書は申請直前の時点で発行されたものが必要となるため、取得のタイミングには注意してください。

Q. 建設業許可の申請から取得までどのくらいの期間がかかりますか?

標準処理期間は、知事許可の場合おおむね30〜45日程度(都道府県により異なる)、大臣許可の場合は約120日程度が目安です。ただし、これは申請書類に不備がなく受理されてからの期間です。書類の準備期間を含めると、全体で2〜3か月程度を見込んでおくのが無難です。書類の不備があると補正指示が出され、さらに時間がかかるため、事前に管轄窓口へ相談しておくか、行政書士に依頼することで手続きがスムーズに進みます。

まとめ

建設業許可を取得するために必要な5つの要件を改めて整理します。

  • 経営業務の管理責任者:建設業の経営経験を持つ常勤役員等の配置(2020年改正で要件緩和済み)
  • 専任技術者:資格または実務経験を持つ技術者の営業所常勤配置
  • 財産的基礎:一般は自己資本500万円以上等、特定はより厳格な財務基準
  • 誠実性:不正・不誠実な行為のおそれがないこと
  • 欠格事由非該当:役員等・令3条使用人が欠格事由に該当しないこと

なお、上記5要件に加え、2020年10月の法改正により適切な社会保険への加入も建設業許可の要件として追加されています(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)。適用事業所であるにもかかわらず未加入の場合は許可を受けることができません。

2025年2月の下請金額基準引き上げや、同年12月の改正建設業法の全面施行など、制度は変化し続けています。許可の種類選択(一般・特定)や要件充足の判断は、最新の法令に基づいて行うことが重要です。

建設業許可の全体像については「建設業許可とは?種類・取得要件・申請の流れをわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

建設業許可の申請は専門家にお任せください

  • ✔ 経管・専技の要件確認から申請書類の作成まで丸ごと対応
  • ✔ 許可取得後の決算変更届・更新手続きも継続サポート
  • ✔ 特定建設業の財務要件チェックにも対応
  • ✔ 建設業許可申請は100,000円(税抜)〜
  • ✔ 相談は何度でも無料

まずはお気軽にお問い合わせください。現在の状況をヒアリングし、許可取得に向けた最適なプランをご提案いたします。

▶ 専門家に状況を相談する(無料)

※ 2026年3月時点の建設業法に基づく解説です。都道府県ごとに運用が異なる場合があります。最新情報は国土交通省の建設業許可ページでご確認ください。

行政書士法人Tree