建設業関連

一般建設業と特定建設業の違い|どちらの許可が必要かを行政書士が解説

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建設業許可を取得しようとすると、まず「一般建設業」と「特定建設業」のどちらを申請するかを決めなければなりません。結論から言えば、元請として5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の下請契約を締結する場合は特定建設業許可が必要で、それ以外は一般建設業許可で対応できます(2025年2月施行令改正後の基準額)。この記事では、一般建設業と特定建設業の違いを7つの項目で比較し、どちらの許可が必要かの判断基準を解説します。

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一般建設業と特定建設業の違い【比較表】

両者の主な違いを一覧にまとめました。

比較項目 一般建設業 特定建設業
下請代金の制限 下請代金の合計が基準額未満 制限なし
専任技術者 実務経験10年以上 or 指定学科卒+実務経験 or 2級以上の資格 1級の国家資格 or 一般要件+指導監督的実務経験
財産的基礎 自己資本500万円以上 or 資金調達能力500万円以上 欠損比率20%以下 + 流動比率75%以上 + 資本金2,000万円以上 + 自己資本4,000万円以上
財務審査の頻度 新規申請時のみ(更新時は5年の営業実績でOK) 更新時にも毎回審査
下請代金の支払期日 注文者から支払を受けた日から1か月以内(建設業法第24条の3) 50日以内(建設業法第24条の6)
施工体制台帳 公共工事で下請契約を締結した場合 下請代金の合計が基準額以上の場合(公共工事は金額を問わず)
経管・誠実性・欠格事由 一般・特定とも同じ要件

最大の違い:下請代金の基準額

一般建設業と特定建設業を分けるのは、元請として下請に出す工事代金の合計額です。元請(発注者から直接工事を請け負う立場)として、1件の工事について下請契約の合計が以下の基準を超える場合は、特定建設業許可が必要です。

区分 改正前(〜2025年1月) 改正後(2025年2月1日〜)
建築一式工事以外 4,500万円以上 5,000万円以上
建築一式工事 7,000万円以上 8,000万円以上

2025年2月の施行令改正で基準額が引き上げられたため、改正前なら特定建設業が必要だったケースでも、現在は一般建設業で対応できる場合があります。自社の下請契約の状況を改めて確認してみてください。

下請に出さない場合は?

元請として工事を受注しても、すべて自社施工する場合は一般建設業許可で問題ありません。また、下請の立場で工事を受注する場合も、金額にかかわらず一般建設業許可で対応できます。特定建設業が必要になるのは、あくまで「元請として基準額以上の下請契約を締結する場合」に限られます。

専任技術者の要件の違い

専任技術者(専技)の要件は、一般と特定で大きく異なります。特定建設業はより高度な技術力が求められます。

一般建設業の専任技術者

  • 指定学科修了+高卒5年以上 or 大卒3年以上の実務経験
  • 10年以上の実務経験
  • 2級以上の施工管理技士、建築士等の国家資格

特定建設業の専任技術者

  • 1級施工管理技士、1級建築士等の国家資格
  • 一般の要件を満たしたうえで、元請として4,500万円以上の工事の指導監督的実務経験が2年以上

つまり、特定建設業の専技は「1級資格」が原則です。資格がない場合は、大規模工事の現場監督経験が必要となるため、ハードルは相当高くなります。

財産的基礎の要件の違い

財産的基礎の要件は、一般と特定で審査の厳しさが大きく異なります。

一般建設業の場合

以下のいずれか1つを満たせば要件をクリアできます。

  • 自己資本(純資産合計)が500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力(金融機関の残高証明書等)
  • 直前5年間の建設業許可を受けた営業実績(更新時のみ)

特定建設業の場合

以下の4つすべてを同時に満たす必要があります。

基準 具体的な数値
欠損比率 欠損の額が資本金の20%を超えない
流動比率 75%以上
資本金 2,000万円以上
自己資本 4,000万円以上

特に注意が必要なのは、特定建設業では5年ごとの更新時にも毎回この財務基準が審査される点です。一般建設業の場合、更新時は過去5年間の営業実績があれば足りるため、財務審査は事実上免除されます。特定建設業を維持するには、常に健全な財務状態を保つ必要があります。

下請保護に関する義務の違い

特定建設業者には、下請業者を保護するための追加義務が課されています。

下請代金の支払期日(50日ルール)

特定建設業者は、下請業者から工事の目的物の引渡しの申出があった日から50日以内に下請代金を支払わなければなりません(建設業法第24条の6第1項)。この規定に違反すると、行政処分の対象となります。

施工体制台帳の作成

特定建設業者が元請として下請に出す場合、下請代金の合計が基準額(5,000万円/建築一式は8,000万円)以上のときは施工体制台帳を作成する義務があります(建設業法第24条の8)。なお、公共工事の場合は入契法第15条により、一般・特定を問わず下請契約を締結した時点で施工体制台帳の作成義務が生じます。

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どちらの許可が必要か?判断フローチャート

以下のフローで、自社に必要な許可の種類を判断できます。

  1. 元請として工事を請け負うか? → No → 一般建設業でOK
  2. 下請に工事を出すか? → No(全て自社施工) → 一般建設業でOK
  3. 1件の工事で下請代金の合計が基準額以上か?
    • 建築一式工事以外:5,000万円以上 → 特定建設業が必要
    • 建築一式工事:8,000万円以上 → 特定建設業が必要
    • 基準額未満 → 一般建設業でOK

なお、建設業許可は業種ごとに一般・特定を選択できます。たとえば、とび・土工工事業は特定建設業、内装仕上工事業は一般建設業といった組み合わせも可能です。ただし、同一業種で一般と特定の両方を持つことはできません。

よくある質問

Q. 一般建設業から特定建設業への変更(般特新規)は可能ですか?

はい、可能です。「般特新規」と呼ばれる手続きで、一般建設業許可を特定建設業許可に変更できます。ただし、新規の許可申請と同じ審査基準が適用されるため、専任技術者の1級資格や財産的基礎の4要件を満たす必要があります。なお、知事許可の場合の申請手数料は一般の新規と同じく90,000円です。

Q. 特定建設業の許可を取れば一般建設業の工事もできますか?

はい、特定建設業の許可があれば、基準額未満の下請契約で工事を行う場合(一般建設業に相当する工事)も対応できます。特定建設業は一般建設業の上位互換と考えて問題ありません。

Q. 知事許可と大臣許可は一般・特定と関係がありますか?

知事許可・大臣許可は営業所の所在地による区分であり、一般・特定とは別の軸です。1つの都道府県にのみ営業所がある場合は知事許可、2つ以上の都道府県に営業所がある場合は大臣許可となります。一般・特定の区分と組み合わせて「知事・一般」「大臣・特定」等の許可が存在します。

Q. 2025年2月の基準額引き上げの影響は?

基準額の引き上げにより、一部の事業者は特定建設業から一般建設業への「格下げ」が可能になっています。たとえば、建築一式工事で下請代金の合計が7,500万円の場合、改正前は特定建設業が必要でしたが、改正後は基準額(8,000万円)未満のため一般建設業で対応できます。特定建設業の維持には厳しい財務基準が求められるため、該当する場合は許可の見直しを検討してみてください。

まとめ

  • 一般と特定の分かれ目は元請としての下請代金の合計額
  • 2025年2月改正後の基準:建築一式以外5,000万円以上、建築一式8,000万円以上で特定が必要
  • 特定建設業は1級資格の専技自己資本4,000万円以上など要件が厳しい
  • 特定建設業は更新時にも財務審査があり、財務管理が不可欠
  • 業種ごとに一般・特定を選択可能(同一業種の併有は不可)

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※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

※ 2026年3月時点の建設業法に基づく解説です。都道府県ごとに運用が異なる場合があります。最新情報は国土交通省の建設業許可ページでご確認ください。

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