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離婚調停の管轄裁判所|相手方住所地原則と合意管轄の制度解説

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結論から言えば、離婚調停(夫婦関係調整調停)の申立先は、家事事件手続法第245条第1項により「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」が原則であり、例外として当事者双方が書面で合意すれば、合意で定めた家庭裁判所(合意管轄)に申し立てることができます。別居で夫婦が遠く離れて暮らす場合、合意管轄のほか移送・自庁処理、ウェブ会議といった制度を知っているかどうかで手続の負担は大きく変わります。行政書士法人Treeは、調停に入る前の協議離婚の段階で離婚協議書や公正証書原案の作成・事実整理を担う行政書士法人であり、調停・訴訟の代理が必要な場面では提携弁護士と連携して対応しています。本記事では、管轄の原則と例外を条文に即して整理します。

離婚調停の管轄は「相手方の住所地」が原則

離婚調停の手続を定めるのは、家事事件手続法(平成23年法律第52号。平成25年1月1日施行)です。同法第245条第1項は「家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する」と規定しており、基準となるのは申立人の住所地ではなく、申し立てられる側である相手方の住所地です。

申立人に不便な設計に見えますが、調停は裁判所を介した話合いの手続であり、呼び出される相手方が出頭しやすい裁判所でなければ話合い自体が始まらない、という考え方に基づきます。ここでいう住所地とは生活の本拠を指し、住民票上の住所と実際の居住地が異なる場合には、実際に生活している場所を基準に判断されます。各家庭裁判所の管轄区域は裁判所ウェブサイトで確認できます。

合意管轄――書面の合意があれば家庭裁判所を選べる

第245条第1項の後段は、当事者が合意で定める家庭裁判所にも管轄を認めています。これが合意管轄です。同条第2項は民事訴訟法第11条第2項・第3項を準用しており、管轄の合意は書面でしなければ効力を生じません(電磁的記録による合意は書面によるものとみなされます)。実務では、双方が署名した管轄合意書を調停申立書に添付する運用が一般的です。活用例は次のとおりです。

  • 双方の住所地の中間にある家庭裁判所を選び、出頭の負担を分け合う
  • 子どもの監護や通院などの事情から、申立人の住所地の家庭裁判所で行う
  • 別居前に夫婦で暮らしていた地域の家庭裁判所で行う

ただし合意管轄は相手方の協力が前提で、署名が期待できない場合は次に述べる自庁処理・移送やウェブ会議の活用を検討します。なお、複数の家庭裁判所が管轄権を持つ場合には、先に申立てを受けた家庭裁判所が事件を扱います(同法第5条・優先管轄)。

遠方で申立てが難しい場合――移送と自庁処理

管轄のない家庭裁判所に申し立てられた事件は、原則として管轄裁判所に移送されます(家事事件手続法第9条第1項本文)。もっとも同項ただし書により、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、管轄権のない家庭裁判所が事件を自ら処理できます(自庁処理)。また同条第2項により、手続の遅滞を避けるためなどの理由で他の家庭裁判所へ移送されることもあります。整理すると次のとおりです。

ルート 根拠条文 内容
原則管轄 第245条第1項前段 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
合意管轄 第245条第1項後段・第2項 書面の合意で定めた家庭裁判所
自庁処理 第9条第1項ただし書 特に必要があるとき、管轄権のない裁判所が自ら処理
移送 第9条第1項本文・第2項 管轄違いの場合の移送、遅滞回避等のための移送

DV被害から避難して転居した場合や、乳幼児を抱えて長距離移動が困難な場合には、申立人住所地の家庭裁判所に申し立て、上申書で事情を説明して自庁処理を求める運用が見られます。認めるかどうかは裁判所の裁量で、確実な方法ではありません。移送の裁判には即時抗告ができます(同条第3項)。

離婚調停はウェブ会議で成立可能|2025年3月1日施行済み

家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いたうえで、電話会議やウェブ会議の方法により調停期日の手続を行うことができます(家事事件手続法第258条第1項が準用する第54条第1項)。遠方に住む当事者が、期日ごとに相手方住所地の裁判所へ出向かなくても手続に関与できる仕組みです。

さらに、民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)による改正で、令和7年3月1日からは、当事者双方が裁判所に出頭しなくても、ウェブ会議によって離婚調停を成立させることができるようになりました(法務省・民事訴訟法等の一部を改正する法律について)。ただし、離婚又は離縁についての調停は、音声のみの電話会議では成立させることができず、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話できる方法、すなわちウェブ会議による場合に限られます(家事事件手続法第268条第3項)。管轄が遠方でも申立てから成立まで現地へ行かずに終えられる可能性が開かれ、相手方住所地原則の負担は以前より緩和されています。

離婚訴訟では合意管轄が使えない――調停前置主義との関係

離婚について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停を申し立てなければなりません(家事事件手続法第257条第1項・調停前置主義)。調停を経ずに訴えを提起すると、原則として職権で調停に付されます(同条第2項)。

調停が不成立となり離婚訴訟へ進む場合、管轄のルールは変わります。人事訴訟法第4条第1項により、離婚の訴えは、夫婦(身分関係の当事者)が普通裁判籍を有する地を管轄する家庭裁判所の専属管轄とされ、調停と異なり合意で管轄裁判所を定めることはできません。もっとも、人事訴訟法第6条により、調停事件が係属していた家庭裁判所は、離婚訴訟がその管轄に属しない場合でも、調停の経過や当事者の意見等を考慮して特に必要があると認めるときは、自ら審理及び裁判をすることができます(自庁処理)。合意管轄で調停を行った裁判所でそのまま訴訟まで進められる可能性がある一方、認められなければ別の裁判所に係属する点は押さえておくべき違いです。

離婚調停の申立費用(収入印紙1,200円)と必要書類

夫婦関係調整調停(離婚)の申立てに必要な費用は、収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手(金額は裁判所ごとに異なります)です。標準的な添付書類は夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)で、年金分割の割合を求める場合は年金分割のための情報通知書も必要になります。このほか、事情説明書(夫婦関係調整)、子についての事情説明書、進行に関する照会回答書の提出も求められます(裁判所・夫婦関係調整調停(離婚))。調停では離婚そのものに加え、未成年の子がいる場合に親権者を父母の双方とするか一方とするかの定め(令和8年4月1日施行の改正民法第819条)、親子交流、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料もあわせて話し合うことができます。

なお、調停申立書をはじめとする裁判所提出書類の作成や、調停・訴訟・交渉の代理は行政書士の業務範囲外です。申立書の作成はご本人が行うほか司法書士に依頼することもでき(司法書士法第3条第1項第4号)、調停・訴訟の代理は弁護士に依頼することになり、当事務所にご相談いただいた場合も、調停が必要な局面では提携弁護士をご紹介して役割を分担します。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeが担うのは、調停に進む前の段階、すなわち夫婦間の話合いで離婚条件をまとめる協議離婚の支援です。当事者間で合意した養育費・財産分与・親子交流などの取り決めを離婚協議書として書面化し、書面作成に必要な事実関係を整理します。強制執行認諾文言付きの公正証書とする場合は、公証役場との調整を含めた原案作成をサポートします(公証人手数料は令和7年10月1日改正後の額が別途かかります)。当事者間で条件を十分に話し合い、合意内容を書面化しておくことは、後日の認識違いや紛争を予防するうえで重要です。協議段階でのご相談は離婚協議書作成サポートのご案内をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

  • ミニマムプラン:21,780円(税込)
  • スタンダードプラン:27,500円(税込)
  • 公正証書作成サポートプラン:32,780円(税込)
  • 超特急お急ぎサービス:+5,000円(税込)/代理人作成サポート(1名追加につき):+15,000円(税込)

詳しくは離婚協議書作成サポートのご案内をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

離婚調停の管轄は、家事事件手続法第245条第1項により相手方の住所地の家庭裁判所が原則で、書面による合意があれば合意管轄を選べます。遠方の場合には自庁処理・移送(第9条)の余地があり、令和7年3月1日からはウェブ会議による調停成立も可能になりました。一方、調停不成立後の離婚訴訟は人事訴訟法第4条の専属管轄で、合意管轄は使えません。管轄の負担まで見据えると、まず調停前の協議で条件を固められないかを検討する価値は十分にあります。

離婚調停の管轄裁判所に関するよくある質問

Q:別居中で相手が遠方に住んでいます。自分の住所地の家庭裁判所に申し立てられますか?

A:原則としてできません(家事事件手続法第245条第1項)。書面で合意できれば合意管轄が使えるほか、DV避難や育児・疾病など特別な事情があれば、申立人住所地の裁判所に事情を上申して自庁処理(第9条第1項ただし書)を求める余地があります。認められるかは裁判所の判断です。

Q:管轄の合意は口頭でも有効ですか?

A:口頭の合意では効力が生じません。家事事件手続法第245条第2項が準用する民事訴訟法第11条第2項により、管轄の合意は書面が必要です。電磁的記録による合意も書面とみなされますが、実務では双方が署名した管轄合意書を申立書に添付する方法が確実です。

Q:相手の住所が分からないときはどの裁判所に申し立てますか?

A:住所地は生活の本拠で判断されます。相手方の住民票は正当な理由や請求要件がなければ取得できないため、所在調査の方法を含めて弁護士へ相談してください。所在が不明だと呼出しができず話合いが機能しないため、調停前置主義の例外として調停を経ずに訴訟へ進む扱いが認められることがあります(第257条第2項ただし書参照)。

Q:調停が不成立になった後の離婚訴訟も、同じ裁判所に起こせますか?

A:同じとは限りません。離婚訴訟は人事訴訟法第4条第1項により、当事者が普通裁判籍を有する地を管轄する家庭裁判所の専属管轄で、合意管轄は認められません。ただし人事訴訟法第6条により、調停が係属していた家庭裁判所は、特に必要があると認めるときは管轄がなくても自ら審理・裁判をすることができます(自庁処理)。認められない場合は調停を行った裁判所と訴訟の管轄裁判所が異なることになる点に注意してください。

Q:ウェブ会議だけで離婚調停を成立させることはできますか?

A:令和7年3月1日以降は可能です。当事者双方が出頭しなくてもウェブ会議で成立させられますが、映像のない電話会議では成立できません(第268条第3項)。利用の可否は裁判所が判断するため、期日調整の際に確認してください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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