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在留資格の取消し制度とは?取消事由・手続きの流れ・対策を行政書士が解説

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「在留資格が取り消されるかもしれない……」——そんな不安を抱えている外国人の方や、外国人を雇用している企業のご担当者からのご相談が増えています。在留資格はいったん取得すれば安心、というわけではありません。入管法第22条の4には、在留資格が取り消されうる事由が明確に定められており、知らないまま該当してしまうケースが後を絶ちません。

出入国在留管理庁の統計によると、2024年(令和6年)の在留資格取消件数は1,184件でした。在留資格別では技能実習が710件(60.0%)、留学が312件(26.4%)と多く、外国人雇用に関わる企業にとっても他人事ではない問題です。制度の運用状況を把握するためにも、毎年の公表統計を確認しておくことが重要です。

この記事では、申請取次行政書士の立場から、在留資格取消しの事由・手続きの流れ・取消しを防ぐための具体的な対策を実務的に解説します。

「自分のケースは取消し対象になるの?」と不安な方へ

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在留資格の取消し制度とは

在留資格の取消し制度は、2004年(平成16年)の入管法改正によって導入されました。それ以前は、在留資格に関する違反があっても退去強制手続きを経なければ在留資格を剥奪できませんでしたが、改正後は法務大臣の権限で直接在留資格を取り消すことができるようになりました。

取消しが行われるのは、主に「不正な手段で在留資格を取得した場合」や「在留資格に定められた活動を実態として行っていない場合」です。在留資格は日本に合法的に在留するための根拠ですから、その根拠が失われれば在留資格は剥奪されます。

退去強制との違い

在留資格の取消しと退去強制は、しばしば混同されますが、制度の仕組みが異なります。

項目 在留資格の取消し 退去強制
根拠条文 入管法第22条の4 入管法第24条
対象 在留資格に問題がある場合 不法残留・不法入国など
手続き 意見聴取→取消通知→出国猶予or退去強制 違反審査→口頭審理→退去強制令書
自主出国の可否 事由によっては可(猶予期間あり) 原則不可
再入国禁止 自主出国なら記録が残らない場合あり 原則5年〜(上陸拒否事由に該当)

重要なのは、在留資格取消しの場合、事由によっては「出国猶予期間」が与えられ、期間内に自主出国すれば退去強制の記録が残らないという点です。一方、退去強制を受けると上陸拒否事由に該当し、複数年にわたって再入国が禁止されます。この違いを理解した上で、早期に対応することが重要です。

在留資格の種類と各資格の活動範囲については、在留資格の種類一覧で詳しく解説しています。

取消事由一覧(入管法第22条の4)

入管法第22条の4第1項には、在留資格が取り消される事由として第1号から第10号までが規定されています。これらは大きく「不正入国・不正取得型」「活動義務違反型」「住居地届出義務違反型」の3つに分類されます。

分類 取消事由の内容 取消し後の扱い
第1号 不正入国型 上陸拒否事由(犯罪歴等)に該当するにもかかわらず、偽りその他不正の手段により入国審査官の判断を誤らせて上陸許可を受けた場合 直ちに退去強制
第2号 不正入国型 日本で行おうとする活動を偽り、または活動以外の事実を偽って上陸許可を受けた場合(在留資格を偽った場合) 直ちに退去強制
第3号 不正取得型 虚偽の書類を提出して上陸許可を受けた場合(在留資格の申請において虚偽の書類を使用した場合) 出国猶予or退去強制
第4号 不正取得型 偽りその他不正の手段により在留特別許可を受けた場合 出国猶予or退去強制
第5号 活動義務違反型 在留資格に係る活動を行わず、他の活動を行っている、または行おうとして在留している場合(資格外活動を専ら行っている場合) 出国猶予or退去強制
第6号 活動義務違反型 在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合(正当な理由がある場合を除く) 出国猶予or退去強制
第7号 活動義務違反型 「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」として在留する者が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合(正当な理由がある場合を除く) 出国猶予or退去強制
第8号 届出義務違反型 中長期在留者となった後、90日以内に住居地を届け出なかった場合 出国猶予or退去強制
第9号 届出義務違反型 住居地から退去した後、90日以内に新しい住居地を届け出なかった場合 出国猶予or退去強制
第10号 届出義務違反型 虚偽の住居地を届け出た場合(実際とは異なる住所で住民登録を行っていた場合など) 出国猶予or退去強制

取消件数で特に多い事由

実際の取消件数の内訳を見ると、取消事由の適用件数ベースでは第6号が84.5%、第5号が10.3%を占めており、活動義務違反型(第5号・第6号)が約94.8%を占めています(取消事由適用件数は複数号への重複計上を含むため在留資格取消件数と一致しない場合があります)。特に多いのは以下のようなケースです。

なお、2024年6月に成立した改正法により、技能実習制度は廃止され「育成就労制度」へ移行することが決まっています(施行は2027年4月予定)。制度移行後も在留資格取消し制度自体は存続するため、外国人を雇用する企業は引き続き注意が必要です。

  • 技能実習生が実習先から失踪し、別の場所で無許可就労を行っている場合(第5号)
  • 留学生が学校を除籍・退学後も在留し続けている場合(第6号)
  • 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)で転職し、新しい業務内容が在留資格の活動範囲外であるにもかかわらず在留資格の変更申請をしていない場合、または転職後に活動を行わないまま3か月以上経過した場合(第6号)
  • 日本人と離婚後も「日本人の配偶者等」の在留資格でそのまま在留している場合(第7号)

「知らなかった」では通じないのが在留資格取消しの怖さです。特に就労ビザでの転職時は、在留資格の種類によっては在留資格変更申請が必要になります。技人国ビザの転職手続きも参考にしてください。

「転職した」「離婚した」……在留資格は大丈夫?

生活の変化が在留資格に影響するケースは少なくありません。現在の状況が取消し事由に該当しないか、申請取次行政書士に確認を依頼することをおすすめします。

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意見聴取通知書が届いたら|在留資格取消しの手続きの流れ

在留資格の取消しは、法務大臣(実際には地方出入国在留管理局)が一方的に行うものではなく、外国人本人に意見を述べる機会が与えられる手続きが設けられています。取消しの手続きは「意見聴取通知書」の送付から始まります。この通知が届いた時点では取消しは確定しておらず、適切に対応すれば取消しを回避できる可能性があります。以下に、手続きの流れを解説します。

Step 1|意見聴取通知書の送付

取消しの対象となりうる事実が確認された場合、入国審査官から「意見聴取通知書」が本人に送付されます。この通知書には、取消しの対象となる事由と、意見聴取の期日・場所が記載されています。

通知を受け取ったからといって、即座に在留資格が取り消されるわけではありません。この段階で正当な理由を示すことができれば、取消しを回避できる可能性があります。通知を受け取ったら、速やかに専門家に相談することを強くおすすめします。

Step 2|意見聴取

指定された期日に、入国審査官が本人から意見を聴取します。本人はこの場で意見を述べ、証拠を提出することができます。聴取への出席を拒否したり、正当な理由なく出席しなかった場合は、意見聴取の機会を放棄したとみなされ、手続きが進められます。

意見聴取では、たとえば「3か月以上活動を行っていない正当な理由」(病気・怪我による就労不能、会社都合の解雇後に求職活動中など)を証明する書類を提出することで、取消しを回避できるケースがあります。

Step 3|取消しの可否を判断・通知

意見聴取の結果を踏まえ、法務大臣が取消しの可否を判断します。取消しが決定された場合は、本人に「在留資格取消通知書」が交付されます。この時点で在留資格は失われます。

Step 4|出国猶予期間の指定 or 退去強制手続き

取消し後の扱いは、該当する事由によって異なります。

事由 取消し後の扱い
第1号・第2号(不正入国型) 直ちに退去強制手続きの対象となり、収容される可能性があります
第3号〜第10号かつ逃亡のおそれがある場合 退去強制手続きの対象となります
第3号〜第10号かつ逃亡のおそれがない場合 30日を上限とする出国猶予期間が指定され、期間内の自主出国が促されます

自主出国と退去強制の大きな違い

出国猶予期間内に自主出国した場合と退去強制を受けた場合では、その後の日本への再入国可否に大きな差が出ます。退去強制を受けた場合は入管法第5条第1項第9号の「上陸拒否事由」に該当し、原則として5年間(再犯の場合は10年間)の再入国禁止となります。

一方、出国猶予期間内に自主出国した場合は退去強制の記録は残らないため、将来的に改めて在留資格を取得して再入国できる可能性があります。取消しが避けられない状況でも、できる限り自主出国の形をとれるよう、早期の専門家相談が鍵になります。

取消しを防ぐための具体的対策

在留資格の取消しは、多くの場合「制度を知らなかった」または「届出をうっかり忘れた」ことが原因で起きています。以下に、外国人本人と雇用企業それぞれが取るべき具体的な対策をまとめます。

外国人本人が取るべき対策

1. 在留資格の活動範囲を正確に把握する

在留資格にはそれぞれ許可されている活動の範囲があります。就労ビザの場合、在留資格と実際の業務内容が一致していなければなりません。転職や業務内容の変更があった場合は、在留資格が現在の活動に対応しているか確認し、必要であれば在留資格変更申請を行いましょう。

在留資格変更の申請が不許可になる理由については、在留資格変更が不許可になる5つの理由を参考にしてください。

2. 活動実績を継続的に記録・保持する

3か月以上(配偶者系は6か月以上)活動を行わないと取消し事由に該当します。やむを得ない事情(病気・解雇・育児など)がある場合は、その事情を証明できる書類(診断書・解雇通知書など)を保管しておきましょう。正当な理由を証明できれば、取消しを回避できる場合があります。

3. 住居地の届出を必ず行う

引越しをした場合は、新住所が確定してから14日以内に市区町村の窓口で住民票の転入届を行い、在留カードの住居地記載も更新してください。この手続きを怠ると、第8号・第9号の取消し事由に該当する可能性があります。新住所での住民登録後、在留カードへの新住所記載が行われます(入管への別途届出は不要)。

4. 在留期間の更新を忘れない

在留期間の満了日が近づいたら、早めに更新申請の準備を始めてください。在留期間が満了すると不法残留となり、在留資格取消しではなく退去強制の対象になります。在留期間満了の3か月前から申請が可能です。

雇用企業が取るべき対策

1. 採用時の在留資格確認を徹底する

外国人を採用する際は、在留カードで在留資格・在留期間・就労制限の有無を必ず確認してください。「就労不可」や「資格外活動許可なし」の外国人を雇用すると、企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。

不法就労助長罪のリスクについては、不法就労助長罪とは?で詳しく解説しています。

2. 雇用後の在留資格・在留期間を定期的に確認する

採用時だけでなく、在留期間の満了前に更新申請が必要であることを本人に伝え、更新手続きのサポートを行う体制を整えましょう。また、業務内容が変わった場合は在留資格との整合性を確認してください。

3. 意見聴取通知書を受け取ったら速やかに対応する

雇用している外国人が意見聴取通知書を受け取った場合、会社として本人の状況を確認し、必要に応じて専門家への相談を促してください。意見聴取の段階で正当な理由を示せれば、取消しを回避できる可能性があります。放置することが最も危険な対応です。

4. 失踪・連絡不能時は速やかに届出を行う

外国人従業員が失踪し、連絡が取れなくなった場合は、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」(離職時)を14日以内に行ってください。失踪者を在籍扱いのままにしておくと、会社の管理責任が問われる可能性があります。

よくある質問

Q1. 在留資格が取り消されると、すぐに日本を出なければなりませんか?

事由によります。不正入国・不正取得型(第1号・第2号)の場合は直ちに退去強制手続きの対象となります。一方、活動義務違反や届出義務違反(第3号〜第10号)で逃亡のおそれがないと判断された場合は、30日を上限とする出国猶予期間が指定されます。この期間内に自主出国すれば、退去強制の記録を残さずに出国することができます。

Q2. 意見聴取通知書が来たが、どうすればいいですか?

まず落ち着いて、通知書に記載されている取消し事由の内容を確認してください。通知書が届いた段階では、まだ取消しは確定していません。意見聴取の場で正当な理由を示し、証拠書類を提出することで取消しを回避できる可能性があります。ただし、適切な対応をするためには在留資格制度に精通した専門家(申請取次行政書士等)のサポートが有効です。通知を受け取ったら速やかに相談することをおすすめします。

Q3. 転職後、在留資格の変更をしていませんでした。取り消されますか?

転職後の業務内容が現在の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)の活動範囲に収まっていれば、在留資格の変更申請は必要ない場合があります。ただし、在留資格に対応しない業務に就いたまま3か月以上経過すると、第6号の取消し事由に該当する可能性があります。転職後は早めに在留資格との整合性を確認し、変更が必要な場合は速やかに申請することが重要です。また、転職先が決まった場合は、所属機関の変更届出を14日以内に出入国在留管理庁へ提出する義務があります(入管法第19条の16)。

Q4. 離婚しましたが、「日本人の配偶者等」の在留資格を持っています。どうなりますか?

離婚後に「日本人の配偶者等」としての活動(配偶者としての婚姻生活)を継続して6か月以上行わない場合、第7号の取消し事由に該当します。離婚後は、就労その他の適切な在留資格への変更申請を早急に検討する必要があります。なお、離婚した日から14日以内に、法務大臣(出入国在留管理庁)への届出義務があります(入管法第19条の16第3号)。在留資格の変更には一定の要件があるため、専門家への相談をおすすめします。

Q5. 住所変更の届出を忘れていました。今からでも届け出れば取消しを回避できますか?

90日を超えて届出をしていなかった場合でも、すぐに市区町村の窓口で転入届(住民票の異動)を行い、在留カードの住居地を更新してください。届出を怠った期間や経緯、正当な理由の有無によっては、意見聴取の段階で考慮される可能性があります。届出が遅れた理由(日本語が読めなかった、制度を知らなかったなど)を説明できる準備をした上で、専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

在留資格の取消し制度について、重要なポイントを整理します。

  • 入管法第22条の4には10の取消事由が定められており、不正入国型・活動義務違反型・届出義務違反型の3つに分類される
  • 取消件数の約94.8%(取消事由適用件数ベース)が活動義務違反型(第5号・第6号)——転職・退学・失踪などが主な原因
  • 意見聴取通知書が届いた段階では取消しは確定していない。正当な理由を示すことで取消し回避の可能性がある
  • 出国猶予期間内の自主出国は退去強制の記録が残らず、将来の再入国に有利
  • 予防策として「活動範囲の確認」「住居地の届出」「在留期間の更新」を確実に行うことが基本

在留資格取消しのリスクは、制度を正確に知り、適切なタイミングで手続きを行うことで大幅に軽減できます。「自分のケースは大丈夫だろうか」と少しでも不安を感じたら、申請取次行政書士に相談することを強くおすすめします。

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※ 本記事の内容は2026年4月時点の入管法令に基づきます。制度・手数料・様式は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。

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