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事実上の養子と相続権|縁組届未提出の場合の法定相続人該当性を整理

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結論から言えば、長年「親子同然」に暮らしてきた事実上の養子であっても、市区町村役場へ養子縁組届を提出していなければ、原則として法定相続人にはなりません。養子縁組は届出によって初めて法律上の親子関係が生じる「創設的届出」であり、戸籍に縁組の記載がなければ、どれほど実態が親子であっても相続権は発生しないのが民法の原則です。当事務所は行政書士として戸籍収集・法定相続人の確認・遺産分割協議書の作成を担い、相続登記は司法書士、相続税は税理士、相続人間に争いがある場合は弁護士と連携してご対応します。本記事では、縁組届が未提出の場合の相続上の取扱いと、それでも財産を受け取り得る制度を整理します。

養子縁組は「届出」で成立する創設的届出

養子縁組は、血縁関係のない者の間に法律上の親子関係を新たに創り出す制度です。民法第799条は、婚姻の届出に関する第739条を準用しており、養子縁組は当事者双方および成年の証人2人以上が署名した書面で届け出ることによって、その効力を生じます。つまり、養親と養子の合意があるだけでは足りず、市区町村役場へ縁組届を提出して受理されて初めて、法律上の親子関係が成立します。これを「創設的届出」といいます。

この点が、すでに発生した事実を後から届け出る「報告的届出」(出生届や死亡届など)と異なります。養子縁組は届出が効力発生の要件そのものであり、「縁組届を書いたが提出していなかった」「提出前に養親が亡くなった」という場合には、法律上の養子縁組は成立していません。

縁組届未提出の事実上の養子は法定相続人にならない

相続において第1順位の相続人となるのは、被相続人の「子」です(民法第887条第1項)。ここでいう子は、実子のほか、届出により法律上の親子関係が成立した養子を含みます。逆にいえば、戸籍上の親子関係がない「事実上の養子」は、この「子」に当たりません。

そのため、たとえ次のような事情があっても、縁組届が提出されていない限り、原則として法定相続人にはなれません。

  • 幼少期から養親に引き取られ、実子同然に育てられた
  • 長年にわたり同居し、家業や家計を共に支えてきた
  • 養親の療養看護を一身に担い、最期を看取った
  • 周囲から「親子」と認識され、戸籍以外の書類で子として扱われていた

実態がどれほど親子であっても、養子縁組の届出がされていなければ、法律上の養親子関係は成立しません。実務上は戸籍を取り寄せ、養子縁組の記載や届出の経緯を確認します。相続が発生した後で「事実上の養子だったから相続人にしてほしい」と主張しても、原則として認められない点に注意が必要です。

縁組の意思がなければ届出があっても無効

逆に、形式的に届出がされていても、当事者に縁組をする意思がなければ縁組は無効です。民法第802条第1号は、人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないときは縁組は無効と定めています。たとえば、節税や扶養手当など別の目的のためだけに、親子になる意思を伴わずに届出だけを整えたようなケースでは、後にその有効性が相続人間で争われることがあります。

つまり相続権の有無は、「届出があるか」と「縁組をする意思があったか」の両面で判断されます。事実上の養子のケースは前者(届出)を欠くために相続人になれず、一方で意思を欠く形式的な縁組は後者を欠くために無効となる、という整理になります。

連れ子・事実上の養子に共通する落とし穴

同じ構造の問題は、再婚相手の連れ子にも当てはまります。配偶者は常に相続人となりますが(民法第890条)、配偶者の連れ子は、養子縁組をしない限り再婚相手(継親)の法定相続人にはなりません。継親と連れ子の間に血族関係はなく、婚姻だけでは親子関係が生じないためです。

連れ子・事実上の養子へ確実に財産を引き継ぎたい場合は、生前の養子縁組届の提出か、遺言の作成が基本となります。いずれも放置すれば財産は渡らないため、早めの対策が重要です。

事実上の養子が財産を受け取る方法|遺言による遺贈・特別縁故者への財産分与・生前贈与

縁組届が未提出で法定相続人になれない場合でも、まったく救済がないわけではありません。主に次の方法が考えられます。

方法 根拠・ポイント
遺贈(遺言) 被相続人が遺言で「事実上の養子に遺贈する」と定めていれば、相続人でなくても財産を受け取れます(民法第964条)。受遺者が被相続人の配偶者や一親等の血族以外の場合、相続税額の2割加算の対象となるため、具体的な課税関係は税理士に確認が必要です。
特別縁故者への財産分与 法定相続人がいない場合に、家庭裁判所が相続財産の全部または一部を与えることができる制度(民法第958条の2)。
生前贈与 被相続人の生前に贈与を受けておく方法。贈与税の取扱いは税理士の確認が必要です。

このうち特別縁故者の制度は、被相続人と生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者、その他特別の縁故があった者が対象となり、事実上の養親子関係にあった者が認められた裁判例もあります。ただし、相続人不存在が確定し、相続人捜索の公告期間が満了した後3か月以内に家庭裁判所へ申立てをする必要があり、この期間を1日でも過ぎると申立てができなくなります。あくまで相続人がいない場合の補充的な制度である点に留意してください。

相続発生後の確認手順と登記義務

事実上の養子をめぐる相続では、まず戸籍をたどり、縁組届が提出されているかを客観的に確認することが出発点です。被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍を収集し、養子縁組の記載の有無・縁組日・続柄を確認します。縁組届が確認できれば法定相続人として扱い、確認できなければ法定相続人には含めず、遺言や特別縁故者制度の検討に移ります。

なお、相続によって不動産を取得した場合、2024年(令和6年)4月1日施行の改正不動産登記法により、相続登記の申請が義務化されています。自己のために相続の開始があったこと及び不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。遺産分割が成立した場合は、その成立日から3年以内が期限です。施行日前に開始した相続も対象で、その場合は令和9年(2027年)3月31日までが原則の期限となります。登記の代理申請は司法書士の職域です。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、事実上の養子をめぐる相続について、戸籍の収集と読み解き、法定相続人の確認、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成を行います。縁組届が提出されているかどうかを戸籍上で確認し、行政書士の職域内で相続関係を整理します。特別縁故者への相続財産分与など家庭裁判所への申立てが必要となる場合は、対応可能な弁護士をご案内します。

遺産分割協議書の作成は、ミニマムプラン43,780円、スタンダードプラン87,780円、すべてお任せいただける丸投げプラン217,800円(いずれも税込)でご用意しています。相続登記が必要な場合は司法書士、相続税の申告や2割加算の検討が必要な場合は税理士、相続人間で養子縁組の有効性や遺産分割に争いがある場合は弁護士と連携し、ワンストップでつなぎます。なお、相続放棄の申述は家庭裁判所への手続であり、行政書士は代理できないため、必要な場合は弁護士・司法書士をご案内します。詳しくは遺産分割サポートのページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

相続手続でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、戸籍の収集による相続人調査から遺産分割協議書の作成までをサポートします。書類作成に関するご相談は何度でも無料です。※相続登記は司法書士、相続税申告は税理士、相続放棄など家庭裁判所へ提出する書類の作成は司法書士・弁護士の業務であり、当法人では取り扱いません。

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まとめ

養子縁組は届出によって効力が生じる創設的届出であり、縁組届が未提出の「事実上の養子」は、実態が親子同然であっても原則として法定相続人にはなりません。再婚相手の連れ子も、養子縁組をしない限り継親の相続人にはならない点で同じ構造です。法定相続人になれない場合でも、遺言による遺贈、相続人不存在時の特別縁故者への財産分与(民法第958条の2)、生前贈与などにより財産を受け取り得る余地があります。相続が発生したら、まず戸籍で縁組届の有無を確認することが第一歩です。判断に迷われる場合は、戸籍収集の段階からお気軽にご相談ください。

事実上の養子と相続権に関するよくある質問

Q:30年一緒に暮らした養親の財産を相続できますか。縁組届は出していません。

A:縁組届が提出されていない場合、原則として法定相続人にはならず、当然には相続できません。ただし、養親が遺言で遺贈を定めていた場合や、ほかに相続人がいないケースで特別縁故者として家庭裁判所に認められた場合には、財産を受け取れる可能性があります。まずは戸籍で縁組の有無を確認することをおすすめします。

Q:養子縁組届を書いたものの提出前に養親が亡くなりました。相続人になれますか。

A:養子縁組は届出が受理されて初めて効力を生じるため、提出前であれば法律上の養子縁組は成立しておらず、原則として相続人にはなりません。死亡後に提出することもできません。遺言の有無や特別縁故者制度の検討に移ることになります。

Q:再婚相手の連れ子は、私が亡くなったとき相続人になりますか。

A:養子縁組をしていなければ、連れ子は継親であるあなたの法定相続人にはなりません。確実に財産を引き継がせたい場合は、生前に養子縁組届を提出するか、遺言で遺贈を定める方法があります。どちらが適切かは状況によりますので、ご相談ください。

Q:戸籍に養子縁組が記載されているか、どう確認すればよいですか。

A:被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍を取り寄せ、養子縁組の記載・縁組日・続柄を確認します。当事務所では戸籍の収集と読み解き、相続人の確定までお手伝いできますので、収集の段階からお任せいただけます。

Q:特別縁故者として財産をもらうには、いつまでに手続が必要ですか。

A:相続人を捜索するための公告で定められた期間の満了後、3か月以内に家庭裁判所へ申立てをする必要があります。この期間を過ぎると申立てができなくなります。あくまで相続人が存在しない場合の制度であり、家庭裁判所への申立てについては、対応可能な弁護士をご案内します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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