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外国籍の相続人がいる場合の相続手続|遺産分割協議書・必要書類・重国籍・無国籍を解説

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結論から言えば、相続人や被相続人が外国籍・重国籍・無国籍であっても日本国内の遺産分割や相続手続きは進められますが、戸籍が存在しない国の場合は「出生証明書」「婚姻証明書」「宣誓供述書(Affidavit)」「署名(サイン)証明」といった代替書類で相続関係や本人を証明する必要があります。また、どの国の法律で相続するか(準拠法)は、法の適用に関する通則法第36条により原則として被相続人の本国法で決まります。当事務所(行政書士法人Tree)は戸籍収集・法定相続人の確認・遺産分割協議書の作成を職域として担い、不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、紛争は弁護士と連携してご対応します。国籍が絡む相続は書類の収集先や翻訳の要否が複雑になりやすいため、早い段階で全体像を整理することをおすすめします。

外国籍・重国籍・無国籍の相続でまず確認すべき「準拠法」

国籍が日本人と異なる相続では、最初に「どの国の法律で相続を判断するか」を確定させる必要があります。日本では、法の適用に関する通則法(平成19年1月1日施行)第36条が「相続は、被相続人の本国法による」と定めています。つまり相続の準拠法は、亡くなった方(被相続人)の国籍国の法律が基準となります。

  • 被相続人が日本国籍:日本の民法が適用されます。相続人が外国籍であっても、相続のルール自体は日本法です。
  • 被相続人が外国籍:原則としてその国の法律(本国法)が適用されます。ただし、その国の国際私法が日本所在の不動産について日本法を指定する場合などは、法の適用に関する通則法第41条の反致により、日本法が適用されることがあります。

準拠法の最終判断や外国法の解釈は弁護士等の領域に及ぶことがあります。当事務所は事実関係の整理と国内手続きの書類作成を担い、判断が必要な場面では連携先へおつなぎします。

被相続人が重国籍の場合の本国法の決め方

相続の準拠法を決める際、被相続人が重国籍(複数の国籍を持つ)である場合は、法の適用に関する通則法第38条第1項のルールにより被相続人の本国法を一つに決めます。相続人が重国籍であるだけで、相続全体の準拠法が変わるわけではありません。

  • 複数の国籍のうち一つが日本国籍であるときは、日本法を本国法とします。
  • 日本国籍を含まない複数の外国籍の場合、国籍国のうちに常居所がある国があればその国の法を本国法とします。
  • 常居所のある国籍国がないときは、当事者に最も密接な関係がある国の法を本国法とします。

なお、日本の国籍法第14条は、重国籍となった日本国民に国籍選択の義務を課しています。令和4年4月1日施行の改正により、18歳に達する前から重国籍の方は20歳に達するまでに、18歳に達した後に重国籍となった方は重国籍となったときから2年以内に、いずれかの国籍を選択することとされています。期限内に選択がない場合、法務大臣は国籍選択を催告でき、催告を受けた日から1か月以内に日本国籍を選択しないと、原則として日本国籍を失います。被相続人が生前に日本国籍を選択していたか・喪失していたかは、相続の準拠法に直結するため、戸籍や除籍の記載で必ず確認します。

無国籍の相続人・被相続人の取扱い

被相続人や相続人が無国籍(いずれの国籍も有しない)の場合、本国法を基準にできません。この場合、法の適用に関する通則法第38条第2項により、常居所地法(その方が継続して生活の本拠としている国の法律)が本国法に代わって適用されます。さらに、常居所地法によるべき場合でその常居所が知れないときは、第39条により居所地法によることとされています。

無国籍の証明は容易ではなく、在留資格に関する記録や難民認定の有無など複数の資料を組み合わせて常居所を立証することになります。判断が難しい事案では弁護士等と連携して進めます。

戸籍がない国の相続人をどう証明するか

日本のような戸籍制度を持つ国は限られています。戸籍がない国の相続人については、相続関係を一通の戸籍で証明できないため、以下のような書類を組み合わせて法定相続人であることを立証します。

場面 日本人の場合 戸籍のない国の相続人の場合
身分関係(親子・婚姻)の証明 戸籍謄本 出生証明書・婚姻証明書・死亡証明書、宣誓供述書
住所の証明 住民票 在留証明・居住証明書、宣誓供述書
本人確認・実印 印鑑登録証明書 署名(サイン)証明、宣誓供述書

宣誓供述書(Affidavit)は、本人の身分事項、被相続人との関係、ほかに相続人がいないことなどを宣誓し、現地の公証人その他の権限ある機関による認証を受ける書類です。ただし、宣誓供述書だけで戸籍・住所証明・印鑑登録証明書に代わるとは限らず、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書、住所証明書等との組合せが必要です。海外居住の日本国籍者については、日本の在外公館が発給する証明を利用できる場合がありますが、外国籍者は原則として日本の在外公館の署名証明等の対象外です。必要書類及び日本語訳文の要否は、法務局や金融機関などの提出先に事前確認する必要があります。当事務所は必要書類の洗い出しと取得段取り、訳文準備を支援します。

署名(サイン)証明と遺産分割協議書への対応

日本に住民登録のない海外居住者や、印鑑登録証明書を取得できない外国籍の相続人については、遺産分割協議書への署名と、その署名が本人のものであることを証明する署名(サイン)証明等が必要になることがあります。海外居住の日本国籍者は、原則として現地の日本の在外公館で署名証明を取得します。外国籍者は日本の在外公館の署名証明の対象外であるため、本国の領事機関、現地の公証人その他の権限ある機関による証明を用いるのが一般的です。必要書類は国籍、居住国及び提出先によって異なります。

不動産登記について、法務省は、外国に居住する日本国籍者が印鑑登録証明書を取得できない場合、日本の領事が作成した署名証明を添付できるとしています。また、在外公館から遠隔地に居住している場合など、領事の署名証明を取得することが困難なときは、外国の公証人が作成した署名証明を添付できる場合があります。代表的な先例として、オーストラリア在留邦人についての昭和48年4月10日民三第2999号、ブラジル在留邦人についての昭和54年6月29日民三第3548号・第3549号があります。外国籍者については、本国官憲や現地公証人等が作成した書類の要否を個別に確認する必要があります。具体的な登記書類の要件は事案ごとに異なるため、登記手続きそのものは連携先の司法書士が担当します。

翻訳・認証・期限など実務上の注意点

  • 翻訳:外国語の証明書・宣誓供述書・署名証明には日本語訳文を添付し、翻訳者名を明記するのが一般的です。
  • 認証(アポスティーユ・領事認証):提出先によっては外国公文書にアポスティーユや領事認証が求められます。金融機関・法務局等の要件を事前に確認します。
  • 相続登記の義務化:不動産を相続する場合、令和6年(2024年)4月1日施行の改正不動産登記法により、相続による所有権取得を知った日から3年以内の相続登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。海外在住相続人の書類収集には時間がかかるため、早めの着手が重要です。
  • 相続税:被相続人・相続人の住所や国籍により、課税対象財産の範囲(国内財産のみか全世界財産か)が変わります。相続税の判断・申告は税理士の職域です。
  • 相続放棄:相続放棄の申述は家庭裁判所に対して行う手続きで、行政書士は代理できません。海外居住者でも期間(自己のために相続の開始を知った時から3か月以内が原則)に注意が必要です。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、国籍が絡む相続について、日本国内で取得できる戸籍・除籍・改製原戸籍の収集、日本法が適用される場合の相続関係の確認及び相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成、海外居住者・外国籍相続人に必要となる証明書類の整理や訳文準備を行います。外国法に基づく相続人の範囲や準拠法の判断、紛争性のある事案は弁護士、相続登記は司法書士、相続税申告は税理士と連携してご案内します。

遺産分割協議書作成の料金(いずれも税込)は、遺産分割協議書の作成とPDF納品を行うミニマムプラン43,780円、戸籍等の書類取得代行・法定相続情報一覧図の作成・製本郵送を含むスタンダードプラン87,780円、預貯金口座の解約送金等を提携専門家・事業者と連携して行うすべて丸投げお任せプラン217,800円です。国籍の異なる相続人がいるケースは書類が増えやすいため、まずは現状をお聞かせください。詳しくは遺産分割サポートのページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

国籍が異なる相続人・被相続人が関わる相続では、まず法の適用に関する通則法第36条に基づき被相続人の本国法を特定し、重国籍なら第38条第1項、無国籍なら第38条第2項のルールで本国法を一つに確定します。戸籍がない国の相続人については、出生・婚姻証明書や宣誓供述書、署名(サイン)証明などで相続関係と本人を立証し、外国語書類には訳文を添付します。相続登記は2024年4月1日から3年以内の義務化(10万円以下の過料)が始まっており、海外との書類やり取りには時間がかかるため、早期に全体像を整理し、行政書士・司法書士・税理士・弁護士の役割分担を踏まえて進めることが、確実な手続きにつながります。

国籍の異なる相続人と相続に関するよくある質問

Q:相続人の一人が外国籍で日本に戸籍がありません。遺産分割はできますか。

A:できます。戸籍に代わり、出生証明書・婚姻証明書・宣誓供述書などで相続関係を立証し、遺産分割協議書には署名と署名(サイン)証明を添付します。外国語の書類には日本語訳文を付けて提出します。

Q:被相続人が重国籍でした。どの国の法律で相続しますか。

A:法の適用に関する通則法第36条で相続は被相続人の本国法によります。重国籍の場合は第38条第1項により、国籍の一つが日本なら日本法、日本国籍を含まないときは常居所のある国籍国の法、それもないときは最も密接な関係がある国の法を本国法とします。

Q:被相続人が無国籍の場合はどうなりますか。

A:本国法を基準にできないため、法の適用に関する通則法第38条第2項により常居所地法が適用されます。常居所が知れないときは第39条により居所地法によります。無国籍の立証は資料が複雑になるため、弁護士等と連携して進めます。

Q:印鑑登録のない国に住む相続人は、実印の代わりに何を用意しますか。

A:海外居住の日本国籍者は、原則として現地の日本の在外公館で署名証明を取得します。外国籍者は日本の在外公館の署名証明の対象外であるため、本国の領事機関、現地の公証人その他の権限ある機関による署名証明等を用いるのが一般的です。必要な証明書の種類や認証方法は、国籍、居住国及び提出先によって異なるため、事前確認が必要です。

Q:海外在住の相続人がいると、相続登記の期限は延びますか。

A:原則として延長されません。2024年4月1日施行の改正不動産登記法で、相続による取得を知った日から3年以内の登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。書類収集に時間を要するため早めの着手をおすすめします。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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