相続関連

数次相続とは?相続人の確定・遺産分割協議書の書き方|代襲相続との違いも解説

約19分で読めます

数次相続(すうじそうぞく)は、被相続人Aが亡くなった後、Aの遺産分割協議が終わらないうちに相続人の一人Bも亡くなり、Bの相続人がAの遺産分割協議に参加してくる現象を指します。実務では「相続人が誰なのか確定できない」「分割協議書に誰の名前を、どの肩書きで載せればよいのか分からない」というご相談が非常に多いテーマです。本記事では、数次相続を「遡及型」と「並列型」に整理した上で、代襲相続との違い、戸籍広域交付や相続関係説明図の活用、中間省略型の遺産分割協議書の論点まで、実務目線で解説します。

【お困りの方へ】行政書士法人Tree|数次相続の遺産分割協議書作成

「祖父の遺産分割が終わらないうちに父も亡くなり、相続人が10人を超えてしまった」「数次相続が起きているが、誰がどの肩書きで協議書に署名するのか分からない」――こうした数次相続案件は戸籍収集量が通常の2〜3倍に膨らみ、相続関係説明図の作成にも専門知識が必要です。当事務所では、依頼者ご本人が戸籍広域交付制度(2024年3月1日施行)を利用できる範囲を整理し、取得すべき戸籍のリストアップと、職務上請求による補完取得を組み合わせて、相続関係説明図と遺産分割協議書の作成を行います。

料金プラン:遺産分割協議書作成 43,780円〜(税込・ミニマムプラン)、数次相続案件で戸籍取得や相続関係説明図を含める場合は87,780円〜(税込・スタンダードプラン)をご案内しています。事案の複雑度に応じて個別にお見積りいたします。なお、相続登記は司法書士、相続税申告は税理士の業務範囲のため、提携専門家をご紹介します。

▶ 無料相談はこちら

1. 数次相続とは何か|定義と発生メカニズム

数次相続とは、被相続人Aの死亡後、Aの遺産分割協議や相続手続きが完了しないうちに、Aの相続人の一人Bが死亡し、Bの相続人がAの遺産分割協議に参加することになる現象をいいます。学説上の固有概念ではなく、登記実務・税務実務で広く使われる呼称です。

典型例は次のとおりです。父Aが2024年1月に死亡し、相続人は配偶者B(母)と子C・Dの3名でした。BCD間で遺産分割協議が進まないまま、2024年12月に母Bも死亡し、Bの相続人はC・Dの2名となりました。この場合、Aの遺産については当初の相続人BCDに加えて、Bが本来取得すべきだった相続分を承継したC・D(Bの相続人として)が関与することになります。

民法898条は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」と定め、民法899条は「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」と定めます。Bが遺産分割未了のまま死亡した場合、Bが有していた「Aの遺産に対する共有持分」と「遺産分割協議をする地位」が、Bの相続人にそのまま承継されるのが数次相続の本質です。

重要な点は、Bが遺産分割協議の意思表示をする前に死亡しているという時系列です。Bが「Aの遺産はすべてCに相続させる」という遺産分割協議に署名押印した後に死亡した場合は、Aの相続は協議成立で完結しており、その後はBの単独相続の問題となるため、数次相続には該当しません。

2. 「遡及型」数次相続と「並列型」数次相続の実務的整理

数次相続を実務で整理するとき、筆者は便宜的に「遡及型」「並列型」という呼称を用いることがあります。これは学説的に確立した分類ではなく、現場で相続人を確定する際に「どの順序で考えるか」を整理するための実務的整理です。

遡及型(最初の被相続人を起点に考える型)は、最初の被相続人Aの相続を出発点として、「Aの相続人BがAの遺産分割協議をする地位を、Bの相続人へ承継させた」という構成で捉えます。Aの遺産分割協議書には、生存している当初相続人と、Bの相続人が「Bを通じてAの相続人としての地位を承継した者」として参加します。中間相続人Bの記名は「被相続人(B)」あるいは「相続人兼被相続人(B)」のように肩書きを付して表示するのが実務慣行です。

並列型(複数の被相続人を同時に整理する型)は、被相続人Aと、後に死亡した中間相続人Bの双方について、同時に遺産分割協議を整える方式です。AとBの遺産が地続きで分割される場合(例:Aの自宅にBも住んでいた、AとBで共同口座を持っていたなど)、1通の協議書でA・B双方の遺産分割を整理することがあります。これを「数次相続の同時分割」と呼ぶことがあります。

どちらの整理を採用するかは、(i)A・B双方の遺産が物理的・経済的に一体性を持つか、(ii)Aの相続税申告期限(相続開始から10か月)が迫っているか、(iii)中間相続人Bに固有の債権債務があるか、などを総合考慮して判断します。なお、相続税の計算や申告については、必ず税理士にご確認ください。

3. 数次相続と代襲相続の違い|時系列で見分ける

数次相続と代襲相続は、いずれも「Aが死亡した時点でAの子Bが受け取るはずだった相続分を、Bの子(Aの孫)が引き継ぐ」場面で似たように見えるため、混同されがちです。両者の決定的な違いは「Bが死亡したタイミング」にあります。

代襲相続(民法887条2項)は、相続人となるべき子Bが、被相続人Aの相続開始以前に死亡(または相続欠格・廃除)していた場合に、Bの子(Aの孫)が代わってA の相続人となる制度です。「相続開始以前」には、AとBが同時死亡した場合(民法32条の2の同時死亡推定)も含まれます。

数次相続は、被相続人Aの相続開始後にBが死亡した場合の問題です。BはAの相続開始時点では生存していたため、いったんAの相続人としての地位を取得し、その地位がBの相続人へ承継されます。

違いが具体的に表れるのは、Bの配偶者の扱いです。代襲相続では、Bの配偶者はAの相続人にはなりません(代襲相続人になるのはBの直系卑属に限られる、民法887条2項)。一方、数次相続では、Bの配偶者もBの相続人としてAの遺産分割協議に参加します。

もう一つの違いは、相続分の計算です。代襲相続では、代襲相続人はBが受けるはずだった相続分をBの直系卑属の間で頭割りします。数次相続では、Bが受けるはずだった相続分を、Bの相続人全員(配偶者・子)で民法上の法定相続分(配偶者2分の1、子2分の1を頭割り等)に従って分けます。代襲相続と数次相続を見分けるには、まず除籍謄本でBの死亡日を確認し、Aの死亡日との前後関係を必ず特定することが実務の第一歩です。代襲相続の要件と効果については代襲相続の要件と効果|民法887条2項・3項を行政書士が解説もあわせてご参照ください。

4. 戸籍広域交付(2024年3月1日施行)で数次相続の調査が劇的に楽になった

数次相続案件で最も負担が大きいのが戸籍収集です。被相続人Aの出生から死亡までの戸籍に加え、Bの出生から死亡までの戸籍、さらにBの相続人の現在戸籍まで、本籍地が複数の自治体にまたがる場合は郵送請求の往復だけで数か月かかることもありました。

2024年3月1日から施行された戸籍広域交付制度(戸籍法120条の2)により、本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍であれば、本籍地以外の市区町村窓口でも一括して請求できるようになりました。これにより、東京の窓口で北海道の祖父の除籍謄本、福岡の伯父の改製原戸籍を同時に取得することが可能となり、数次相続の戸籍収集期間は大幅に短縮されました。

ただし、注意点が3つあります。第一に、職務上請求は広域交付の対象外です。行政書士・司法書士・弁護士等が職務上請求書で取得する場合は、従来どおり本籍地の市区町村への個別請求となります。広域交付は本人・親族による請求のみが対象です。第二に、兄弟姉妹・甥姪の戸籍は広域交付の対象外です。兄弟姉妹相続のケースでは、依然として個別請求が必要となります。第三に、窓口での本人確認が厳格化されており、運転免許証・マイナンバーカード等の顔写真付き身分証明書が必須です。代理人請求もできません。

数次相続で配偶者と子しか相続人がいないケースでは、依頼者ご自身に広域交付窓口へ行っていただき、当事務所で取得すべき戸籍のリスト(請求すべき本籍地・必要通数)を事前にお作りすることで、短期間で戸籍を揃えることが可能です。戸籍調査の進め方の全体像は相続人調査と戸籍収集の進め方|被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどる方法にまとめています。

5. 中間省略型の遺産分割協議書と中間省略登記の可否

数次相続の登記実務でしばしば論点になるのが「中間省略登記」「中間省略型の遺産分割協議書」です。これは、A→B→Cと相続が連続した場合に、AからCへ直接所有権移転登記をすることができるか、という問題です。

登記実務上、原則として中間の相続も登記する必要がありますが、中間の相続が単独相続となっている場合には、Aから最終取得者への直接の相続登記(中間省略登記)が認められることがあります(昭和30年12月16日民甲2670号通達)。ここでいう中間単独相続には、最初から中間相続人が1人であった場合だけでなく、遺産分割・相続放棄等の結果として中間の取得者が1人に確定した場合も含まれます。中間の取得者が複数のままの場合は、いったん中間相続の登記を経由する必要があるのが原則です。

最高裁判所平成17年10月11日決定(民集59巻8号2243頁)は、Aの遺産分割が未了のうちにAの相続人Bが死亡した数次相続の事案について、Bが有していたAの遺産に対する未分割の共有持分は、Bの共同相続人に承継される具体的な財産権として遺産分割の対象となり、Bから特別受益を受けた相続人があるときはその持戻しをして各相続人の具体的相続分を算定すべきである、と判示しました。数次相続において「Aの遺産はすべて亡Bが取得する」旨(中間単独相続)の遺産分割を協議書で定めた場合に、前記の昭和30年12月16日民甲2670号通達により、AからCへの直接相続登記(中間省略登記)が認められることがあります。これが登記実務上の根拠です。

実務では、(i)Aの相続について「亡Bが単独取得する」と分割を確定し、(ii)Bの相続についてC(およびBの他の相続人)の間で分割を確定する、という2段階の協議書を作成することで、結果として中間省略登記に近い登記処理が可能となるケースがあります。ただし、登記実務上の最終判断は司法書士の業務範囲のため、登記の可否や登記申請書の作成については必ず司法書士にご確認ください。再代襲相続の範囲との関係については再代襲相続の範囲|民法887条3項と兄弟姉妹相続の非適用を解説もご参照ください。

6. 数次相続の遺産分割協議書|記載例と肩書きの付け方

数次相続案件の遺産分割協議書では、誰がどの立場で署名押印するのかを明示するため、相続人の肩書きを正確に記載することが極めて重要です。以下は典型的なケースの記載例です。

事案設定:被相続人A(父)が2024年6月1日死亡、相続人は配偶者B(母)と子C・Dの3名。B(母)が2024年12月20日死亡。Bの相続人は子C・Dの2名(Bには再婚配偶者なし)。Aの遺産分割協議が未了のまま、Aの遺産(自宅不動産・預貯金)について遺産分割協議を行う場合。

協議書冒頭の記載例:「被相続人A(令和6年6月1日死亡、最後の本籍 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番、最後の住所 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号)の遺産について、相続人全員で次のとおり遺産分割協議を行った。なお、被相続人Aの相続人であった亡B(令和6年12月20日死亡、最後の本籍 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番)の相続人としての地位は、下記のC・Dが承継した。」

署名欄の記載例:「被相続人Aの相続人兼亡Bの相続人 C 印」「被相続人Aの相続人兼亡Bの相続人 D 印」のように、C・DがAの直接相続人である立場と、亡Bを経由してAの相続人としての地位を承継した立場を兼ねていることが明確に表現されます。提出先(金融機関・登記所等)の要求に応じて表記を調整しますが、同一人物に機械的に複数の署名欄を設けるのではなく、兼ねる立場を一つの肩書きで統一するのが実務的です。

1人が複数の肩書きを持つ場合、それぞれの肩書きごとに署名押印するのが登記実務上の原則です(実印・印鑑証明書は同一のもので構いません)。さらに、別の被相続人Bの相続についても同じ協議書内で分割を整理する場合(並列型)は、「被相続人B の遺産について、相続人全員で次のとおり遺産分割協議を行った。」という第2の項目を設けて、A・B両方の遺産分割を1通で整える形が実務的です。具体的な記載パターンは数次相続の遺産分割協議書の書き方|相次いで相続が発生した場合の対応を解説もあわせてご参照ください。

7. 中間相続人の数次相続放棄|BがAの相続を放棄する前に死亡したらどうなるか

もう一つの重要論点が「中間相続人の相続放棄(再転相続)」です。Aの死亡後、相続人Bが「自分はAの相続を放棄したい」と考えていたが、家庭裁判所への申述(民法938条)をする前にB自身も死亡してしまった場合、Bの相続放棄の権利はBの相続人に承継されるのか、という問題です。

民法916条は「相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第1項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する」と定めています。これにより、BがAの相続について承認・放棄の意思表示をしないまま死亡した場合、Bの相続人はBの相続を承認したうえで、Aの相続についても自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に承認・放棄を選択できることになります。

具体的には、Bの相続人Cが、(i)Bの相続を承認した上で、(ii)Aの相続については放棄する、という組み合わせを選択することができます(最判昭和63年6月21日参照)。逆に、Bの相続を放棄してしまうと、CはBの権利義務を承継しないため、Aの相続についての承認・放棄の選択権そのものも失います。順序を間違えると取り返しがつかないため、慎重に判断する必要があります。

相続放棄の申述自体は家庭裁判所への申立てであり、申述書の作成は司法書士の業務範囲(司法書士法3条1項4号)、家事事件の代理は弁護士の業務範囲(弁護士法72条)です。行政書士は申述書の作成や代理はできません。なお、相続放棄をご検討の場合でも、戸籍収集や相続財産の事実関係整理書面の作成、相続放棄ではなく遺産分割協議で相続を進める場合の遺産分割協議書作成については、当事務所でお手伝いが可能です。詳しくは遺言書がない場合の相続手続き|遺産分割協議の流れ・期限・相続人申告登記を解説もご参照ください。

8. 相続登記義務化(2024年4月1日)と数次相続|3年以内の起算点

2024年4月1日に施行された相続登記義務化(不動産登記法76条の2)は、数次相続案件にも重要な影響を及ぼします。原則として、相続により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となります。

数次相続の場合、起算点が複雑になります。たとえば、祖父Aが2010年に死亡し、長年遺産分割が未了のまま、父Bが2025年に死亡したとします。父Bの相続人Cにとっての3年の起算点は、(i)Aの死亡を知った日ではなく、(ii)Bの死亡により自己がAの不動産の所有権を取得したことを知った日となるのが原則です(2024年4月1日より前に発生した相続については、施行日である2024年4月1日が起算点となる経過措置があります)。

数次相続で複数の被相続人の不動産が絡む場合、どの不動産について、いつまでに登記をしなければならないのか、案件ごとに個別判断が必要です。なお、相続登記の申請そのものは司法書士の業務範囲(司法書士法3条1項1号・2号)であり、行政書士が登記申請の代理を行うことはできません。

3年以内の申請が間に合わない場合は、相続人申告登記(不動産登記法76条の3)を活用することで、過料の対象外となります。相続人申告登記は、相続が発生したことと、自分が相続人であることを登記官に申し出る制度で、遺産分割協議が長引いている数次相続案件で特に有用です。詳しくは遺言書がない場合の相続手続き|遺産分割協議の流れ・期限・相続人申告登記を解説で解説しています。

9. 数次相続における相続関係説明図の作成

数次相続案件では、関係者が10人を超えることも珍しくなく、相続人を一覧で把握する相続関係説明図の作成が極めて重要となります。当事務所では、戸籍を全件収集した上で、被相続人ごとに相続関係説明図を作成し、誰がどの被相続人の相続人として遺産分割協議に参加するのかを視覚化します。

記載例としては、被相続人Aを中央上部に配置し、配偶者B・子C・子Dを横並びで結線。Bの下に「令和6年12月20日死亡」と記載した上で、Bの相続人C・Dを点線で囲み、「亡Bの相続人」と注記します。Aの相続人としての立場とBの相続人としての立場を、線種(実線・点線)や色分けで区別すると、視覚的に理解しやすくなります。

相続関係説明図は、遺産分割協議書とセットで金融機関の窓口や登記申請に添付されるため、誤記・脱漏は致命的です。特に、養子・認知された子・先妻の子・離婚した配偶者との間の子など、戸籍の追跡で見落としやすいケースが数次相続では多数発生します。被相続人Aの戸籍だけでなく、Bの戸籍についても出生から死亡まで全件確認する必要があるため、調査負担は通常の2〜3倍に膨らみます。

なお、法定相続情報一覧図(法務局保管・無料で交付される公的一覧図)も数次相続で活用可能ですが、法定相続情報一覧図は1人の被相続人につき1通作成する制度であり、数次相続では被相続人ごとに別個に作成することになります。法定相続情報一覧図の写しは、金融機関等の相続手続で戸籍原本の代替として利用できる場合があります。一方、法定相続情報番号による添付省略は、不動産登記の申請手続に限定された制度です。

10. 数次相続が発生しやすい典型ケース

実務では、数次相続が発生しやすいパターンがいくつかあります。第一に、遺産分割協議が長期化しているケースです。相続人間で意見対立があり、何年も協議がまとまらないうちに高齢の相続人が次々と亡くなり、相続人が雪だるま式に増えていくパターンです。20年間放置された遺産が、相続人が30人を超える状態で発覚することもあります。

第二に、高齢の配偶者が単独相続するケースです。例えば父Aが死亡し、配偶者B(80代)と子C・Dの3名が相続人となり、「とりあえずBが全部相続する」という合意で実際の協議書作成を先送りしているうちにBも亡くなる、というパターン。Bが正式に協議書に署名する前に亡くなれば、数次相続として処理する必要があります。

第三に、海外在住の相続人がいるケースです。海外在住者から署名証明書(在外公館発行)を取得する手続きで時間がかかり、その間に他の相続人が亡くなって数次相続化することがあります。

第四に、遺産分割協議書未了のまま不動産だけ放置されているケースです。被相続人名義のまま固定資産税だけ支払い続けて、いざ売却しようとした時に数次相続化していることが発覚するパターンです。相続の特殊ケースの全体像については相続の特殊ケース完全ガイド|代襲相続・数次相続・相続放棄もあわせてご参照ください。

11. よくある質問(FAQ)

Q1. 数次相続と代襲相続が同時に起きることはありますか?

あります。たとえば祖父Aの死亡前に長男Bが死亡しており、Bの子Cが代襲相続人となるはずだったところ、A の死亡後にCも死亡した場合、Cの相続人D(Cの配偶者・子)がBの代襲相続人としての地位を数次相続的に承継するケースです。代襲相続と数次相続が混在する案件では、戸籍を時系列で精査し、誰がどの法的構成で相続人となるのかを慎重に整理する必要があります。

Q2. 中間相続人Bが遺産分割協議書に署名押印した直後に死亡した場合は、数次相続になりますか?

なりません。Bが遺産分割協議書に署名押印した時点でA の相続については分割が確定しており、その後は単にBの遺産分割の問題となります。ただし、署名押印の事実を疎明できる証拠(協議書の原本、印鑑証明書の取得日付など)が必要となるため、署名のタイミングは記録しておくことが重要です。

Q3. 数次相続の遺産分割協議書に、最終的な不動産取得者だけを記載すればよいですか?

中間相続人が1人だけの場合(中間単独相続)は中間省略登記が認められるため、最終取得者を記載すれば登記が通る可能性があります。しかし、中間が複数相続人の場合は、原則としていったん中間相続の分割を経由する必要があるため、A の遺産分割協議で「中間相続人Bが単独取得する」と確定する内容を含めるのが安全です。最終的な登記申請の可否は司法書士にご確認ください。

Q4. 数次相続の場合、相続税の申告期限はどうなりますか?

相続税の申告期限はそれぞれの被相続人ごとに別個に進行します。A の相続については原則として相続開始から10か月、Bの相続についてはBの相続開始から10か月です。ただし、A の相続人であったBが申告期限前に死亡した場合は、Bの相続人について申告期限の延長措置があります(相続税法27条2項)。具体的な計算・申告については、必ず税理士にご確認ください。

Q5. 戸籍広域交付制度は数次相続案件でどこまで使えますか?

直系尊属・直系卑属の戸籍については広域交付が利用できるため、祖父・父・子・孫のラインで数次相続が起きているケースでは大幅に戸籍取得の負担が減ります。一方、兄弟姉妹相続が絡む数次相続(例:被相続人A に子がなく、兄弟Bが相続人となった後にBが死亡し、Bの子が相続人として参加するケース)では、兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象外のため、従来どおり個別請求が必要です。また、職務上請求書による行政書士・司法書士の取得は広域交付の対象外のため、依頼者ご自身に窓口へ行っていただく方が早いケースもあります。

【記事のまとめに代えて】行政書士法人Tree|数次相続の戸籍収集・相続関係説明図・遺産分割協議書作成

数次相続案件は、戸籍収集量が通常の2〜3倍に膨らみ、相続人を確定するだけでも数か月を要することがあります。当事務所では、戸籍広域交付制度(2024年3月1日施行)を活用して必要な戸籍をリストアップし、依頼者ご自身による広域交付窓口での一括取得と、職務上請求での補完取得を組み合わせて、効率的に相続人を確定します。その上で、相続関係説明図・遺産分割協議書を作成し、署名押印に必要な肩書きまで明確に整理します。

料金プラン:遺産分割協議書作成(原案作成+PDF納品)ミニマムプラン 43,780円〜(税込)。戸籍等の取得代行・法定相続情報一覧図・製本郵送まで含むスタンダードプラン 87,780円〜(税込)。数次相続案件は事案の複雑度に応じて個別お見積りいたします。なお、相続登記の申請は司法書士、相続税の申告は税理士の業務範囲のため、必要に応じて提携専門家をご紹介します。

▶ 無料相談・お見積りはこちら

まとめ

数次相続の定義の核心:数次相続とは、被相続人A の死亡後、A の遺産分割協議が完了する前に相続人Bも死亡し、Bの相続人がA の遺産分割協議に参加する現象です。民法898条・899条により、Bが有していたA の遺産に対する共有持分と分割協議をする地位は、Bの相続人にそのまま承継されます。Bが協議書に署名押印した後に死亡した場合は数次相続には該当しません。

遡及型と並列型の整理の核心:本記事では、数次相続を「A を起点に整理する遡及型」と「A・B双方の遺産を同時に分割する並列型」に分けて解説しました。どちらの整理を採るかは、A・B双方の遺産の一体性、相続税の申告期限、中間相続人の固有債権債務などを総合考慮して判断します。

代襲相続との違いの核心:代襲相続は被相続人A の相続開始以前にBが死亡している場合、数次相続は相続開始にBが死亡している場合の問題です。代襲相続ではBの配偶者は相続人になりませんが、数次相続ではBの配偶者もA の遺産分割協議に参加します。除籍謄本でBの死亡日を確認し、A の死亡日との前後関係を必ず特定することが実務の第一歩です。

2024年制度改正の活用の核心:戸籍広域交付制度(2024年3月1日)により、直系尊属・直系卑属の戸籍を本籍地以外で一括取得できるようになり、数次相続の戸籍収集は大幅に効率化しました。一方、相続登記義務化(2024年4月1日)により、数次相続でも3年以内に登記または相続人申告登記をしなければ過料の対象となるため、長期放置案件は早期の対応が必要です。

行政書士業務範囲と次の一歩:行政書士法人Treeでは、数次相続案件における戸籍収集(職務上請求)、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成、各種事実関係整理書面の作成までを業務範囲としています。相続登記の申請は司法書士、相続税の申告は税理士の業務範囲となるため、提携専門家と連携してお手続きを進めます。数次相続が発生してお困りの方は、まずは無料相談で相続人の見取り図と戸籍収集の必要範囲を整理することから始めましょう。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree