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結論から言えば、成年後見(法定後見)の申立てにかかる費用は合計で約1万5千円〜2万円程度が目安です。ただし、本人の判断能力を医学的に確認するための鑑定が必要な場合は、鑑定費用として5万〜10万円程度が追加されます。
申立て手続きの流れは、(1)申立人の確認と書類の準備、(2)家庭裁判所への申立書の提出、(3)家庭裁判所での面接調査、(4)必要に応じた医師の鑑定、(5)審判と後見人の選任、の5ステップです。この記事では、成年後見の申立てに必要な費用・書類・手続きの流れを具体的に解説します。
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目次
成年後見の申立てにかかる費用一覧
成年後見の申立てにかかる費用は、家庭裁判所に納める「法定費用」と、鑑定が命じられた場合の「鑑定費用」、そして専門家に手続きを依頼する場合の「専門家報酬」に分けられます。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 申立手数料(収入印紙) | 800円 | 後見開始審判申立用 |
| 登記手数料(収入印紙) | 2,600円 | 後見登記嘱託用 |
| 郵便切手 | 3,000〜5,000円程度 | 裁判所により金額が異なる |
| 診断書の作成費用 | 数千円程度 | かかりつけ医等に依頼 |
| 戸籍謄本・住民票等 | 数百円〜数千円 | 必要通数による |
| 鑑定費用(必要な場合) | 5万〜10万円程度 | 裁判所が鑑定を命じた場合のみ |
| 合計(鑑定なし) | 約1万5千〜2万円 | 法定費用+書類取得費用 |
| 合計(鑑定あり) | 約7万〜12万円 | 上記に鑑定費用を加算 |
鑑定が実施されるかどうかは家庭裁判所が個別に判断します。近年は診断書の内容で判断能力の程度が十分に確認できるケースでは鑑定が省略されることも多い傾向にあります。申立て費用は原則として申立人が負担しますが、審判後に裁判所が本人負担とする決定をすることも可能です。
なお、弁護士や司法書士に申立て手続きの代理・書類作成を依頼する場合は、上記の法定費用に加えて10万〜30万円程度の専門家報酬が別途発生するのが一般的です。
成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。本記事で解説する申立て手続きは法定後見のうち「後見」類型ですが、判断能力が十分あるうちに将来の備えとして検討する場合は法定後見と任意後見の違いもあわせてご確認ください。
申立て手続きの流れ(5ステップ)
Step 1:申立人の確認と方針の決定
成年後見の申立てができるのは、本人・配偶者・四親等内の親族・市区町村長・検察官など法律で定められた者に限られます(民法第7条)。身寄りのない方の場合は市区町村長が申立てを行う「首長申立て」の制度があります。
まず申立てを行うかどうか、誰が申立人になるかを家族間で確認し、後見人の候補者(親族や専門家)を検討します。なお、候補者を立てても家庭裁判所が別の人物を選任する場合がある点にご留意ください。
Step 2:必要書類の収集と申立書の作成
管轄は本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。各家庭裁判所のウェブサイトや窓口で申立書の書式と必要書類の案内を入手できます。詳細な書式は裁判所の後見開始審判申立てページで確認してください。
書類の収集には1〜2週間程度を見込んでおくと安心です。特に医師の診断書は予約から受け取りまでに時間がかかることがあるため、早めに手配を始めてください。
Step 3:家庭裁判所への申立書の提出
書類が揃ったら、管轄の家庭裁判所に申立書一式を提出します。提出方法は窓口持参が一般的ですが、郵送での提出を受け付けている裁判所もあります。
提出後、書類に不備がなければ受理されます。不備がある場合は裁判所から補正の連絡が入りますので、指示に従って修正・追加してください。なお、一度申立てを行うと、裁判所の許可なく取り下げることはできません(家事事件手続法第121条)。この点は事前に十分理解しておく必要があります。
Step 4:家庭裁判所での面接調査・鑑定
申立て後、家庭裁判所の調査官が申立人や後見人候補者との面接を行います。本人の生活状況・財産状況・申立ての経緯などが確認されます。本人との面接が実施されることもあります。
判断能力の程度をより正確に判定する必要がある場合は、裁判所が医師による鑑定を命じます。鑑定が命じられた場合は鑑定費用(5万〜10万円程度)を申立人が予納する必要があります。
Step 5:審判と後見人の選任
調査・鑑定の結果を踏まえ、家庭裁判所が後見開始の審判を行い、成年後見人を選任します。申立てから審判までの期間はおおむね1〜3か月程度です。審判が確定すると、裁判所の嘱託により東京法務局に後見の登記がなされます。
後見人には、申立時の候補者が選任されるとは限りません。家庭裁判所が本人にとって最も適切と判断した人物(弁護士・司法書士等の第三者を含む)を選任します。また、成年後見人が選任されると、後見人の報酬(月額2万〜6万円程度)が本人の財産から支払われます。報酬額は家庭裁判所が本人の財産状況等を考慮して決定します。
必要書類一覧
後見開始の申立てに必要な主な書類は以下の通りです。家庭裁判所によって追加書類が求められる場合があります。
| 書類名 | 入手先 | 備考 |
|---|---|---|
| 申立書 | 家庭裁判所 | 裁判所所定の書式 |
| 申立事情説明書 | 家庭裁判所 | 本人の生活状況等を記載 |
| 親族関係図 | 申立人が作成 | 相続関係の把握に使用 |
| 本人の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 発行から3か月以内 |
| 本人の住民票 | 市区町村役場 | または戸籍の附票 |
| 後見人候補者の住民票 | 市区町村役場 | 候補者を立てる場合 |
| 医師の診断書 | かかりつけ医等 | 裁判所所定の書式を使用 |
| 診断書付票 | かかりつけ医等 | 診断書とセットで提出 |
| 本人の財産目録 | 申立人が作成 | 預貯金・不動産・保険等の一覧 |
| 本人の収支予定表 | 申立人が作成 | 月々の収入と支出の見込み |
| 財産関係の資料 | 各種機関 | 通帳コピー・固定資産評価証明書・保険証券のコピー等 |
| 登記されていないことの証明書 | 東京法務局 | 後見登記がないことの証明 |
| 収入印紙(800円+2,600円) | 郵便局・コンビニ等 | 申立手数料+登記手数料 |
| 郵便切手 | 郵便局 | 裁判所指定の金額 |
書類の準備で特に手間がかかるのが「財産目録」と「収支予定表」です。本人の預貯金残高・不動産・保険・年金受給額・介護費用などを正確に把握する必要があり、金融機関への残高照会等が必要になることもあります。
任意後見契約をあらかじめ締結しておけば、法定後見の申立てという負担の大きい手続きを経ずに、判断能力低下時に速やかに対応できます。任意後見の仕組みについては任意後見契約とは?制度の仕組み・手続き・費用を解説をご参照ください。
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よくある質問
Q. 成年後見の申立てから後見人が選任されるまでどれくらいかかりますか?
申立てから審判までの期間は、おおむね1〜3か月程度です。鑑定が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。書類の不備があると補正を求められ、手続きが長引く原因になるため、提出前に裁判所の窓口で事前確認するのが効果的です。
Q. 申立て費用を本人の財産から支払うことはできますか?
申立て費用は原則として申立人の負担です。ただし、審判確定後に家庭裁判所が「費用を本人の負担とする」旨の決定をすることが認められています(家事事件手続法第28条)。経済的に困難な場合は、法テラス(日本司法支援センター)の立替払い制度が利用できる場合もあります。
Q. 成年後見人には親族と専門家のどちらが選ばれますか?
家庭裁判所が本人にとって最適な人物を選任します。親族間に対立がある場合、本人の財産が高額な場合、法的な問題を抱えている場合などは、弁護士・司法書士等の第三者が選任される傾向があります。後見人候補者として親族を申立書に記載できますが、必ずしも候補者が選任されるわけではない点にご留意ください。
まとめ
- 成年後見の申立て費用は約1万5千〜2万円(鑑定ありの場合は7万〜12万円程度)
- 申立てから後見人選任までの期間は1〜3か月程度
- 必要書類は多岐にわたるが、特に医師の診断書と財産関連書類の準備に時間がかかる
- 任意後見契約をあらかじめ締結しておけば、法定後見申立ての手続き負担を避けられる
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