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「死後事務委任契約を結びたいが、契約書には何を書けばいいのか」「公正証書で作成するにはどうすればいいのか」——そんな疑問をお持ちの方に向けて、死後事務委任契約書の書き方と公正証書での作成手順を整理しました。結論から言えば、死後事務委任契約書には委任事項を具体的に列挙し、「委任者の死亡後も契約は終了しない」旨の条項を入れることが最大のポイントです。公正証書にすれば証拠力が高まり、受任者が各種手続きを行う際に相手方の信頼を得やすくなります。
「契約書の書き方がわからない」「公証役場での手続きが不安」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。契約書の起草から公正証書の作成まで一括でサポートします。相談は何度でも無料です。
目次
死後事務委任契約書に記載すべき事項
死後事務委任契約には法律上の決まった書式はありませんが、後日のトラブルを防ぐため、以下の事項を漏れなく記載することが重要です。
| 記載事項 | 内容・ポイント |
|---|---|
| 契約当事者の表示 | 委任者(本人)と受任者の氏名・住所・生年月日を正確に記載 |
| 委任事項の列挙 | 葬儀手配、行政届出、契約解約、遺品整理、デジタル情報の処理など、委託する事務を具体的に一つずつ列挙する |
| 契約の存続条項 | 「委任者の死亡によっても本契約は終了しない」旨を明記(民法第653条の任意規定を排除するための条項) |
| 報酬の定め | 受任者への報酬の有無・金額・支払方法を明記。報酬の定めがない場合は「無報酬とする」と記載 |
| 費用の精算方法 | 精算型(遺産から精算)か預託型(生前に預託金を預ける)かを明記 |
| 契約の解除条件 | 委任者・受任者双方の解除権、解除の通知方法、精算の取扱いを定める |
| 受任者の善管注意義務 | 受任者が善良な管理者の注意をもって事務を処理する旨を明記 |
| 受任者の報告義務 | 事務処理の結果について相続人等への報告義務を定める |
委任事項の具体的な書き方
委任事項は曖昧にせず、できるだけ具体的に書くことが実務上のポイントです。「死後の事務一切を委任する」のような包括的な表現だと、受任者が実際に手続きを進める際に委任の範囲をめぐるトラブルが生じかねません。以下のように項目ごとに分けて記載します。
- 行政手続き:死亡届の提出、年金受給停止届、健康保険資格喪失届
- 葬儀・埋葬:葬儀社への連絡・手配(家族葬・直葬等の方式指定)、火葬許可申請、納骨・散骨の手配
- 住居関連:賃貸物件の解約・明渡し、遺品整理・家財処分
- 契約の解約:電気・ガス・水道の停止、携帯電話・インターネットの解約、クレジットカードの停止
- デジタル関連:SNSアカウントの削除依頼、メールアカウントの処理、有料サービスの解約
- 関係者への通知:親族・友人・知人への死亡通知
- ペット:ペットの引渡し先への連絡・移送(該当する場合)
- 費用の精算:医療費・入院費の精算、未払い債務の清算
葬儀の方式(家族葬・直葬・宗教葬など)や散骨の希望がある場合は、契約書の本文または別紙で具体的に指定しておくと、受任者が迷わず対応できます。
「契約の存続条項」はなぜ必要か
民法第653条第1号は「委任者の死亡」を委任の終了事由と定めていますが、最高裁判例(平成4年9月22日判決)により、当事者間で「死亡後も契約を存続させる」旨の合意があれば有効とされています。この判例を根拠に、死後事務委任契約書には必ず「委任者の死亡によっても本契約の効力は失われない」旨の条項を入れます。この一文がなければ、契約の有効性自体が争われるリスクがあるため、省略は禁物です。
死後事務委任契約の基本的な仕組みや委託できる内容の全体像については、死後事務委任契約とは?内容・費用・依頼先をわかりやすく解説で詳しく解説しています。
死後事務委任契約書を公正証書で作成する手順
死後事務委任契約書は私文書(当事者間の署名・押印のみ)でも法的に有効ですが、公正証書で作成することが強くおすすめされます。公正証書は公証人が作成する公文書であり、契約の真正性が公的に証明されるため、受任者が葬儀社・金融機関・行政機関と手続きを進める際にスムーズに対応してもらいやすくなります。
ステップ1:委託内容と契約条件を整理する
まず、前述の記載事項をもとに、委任する事務内容・報酬・費用精算方法・解除条件などを整理します。自分の希望を書き出し、受任者と協議して合意内容を固めましょう。この段階で行政書士などの専門家に依頼すれば、漏れのない契約書の原案(ドラフト)を作成してもらえます。
ステップ2:公証役場に予約・事前相談をする
最寄りの公証役場に電話で予約を取り、契約書の原案を持参して公証人と事前相談を行います。公証人が内容を確認し、法的に問題がないかチェックしたうえで、公正証書の文案を作成します。事前相談の所要時間は約30分程度です。
ステップ3:必要書類を準備する
公正証書の作成にあたって、委任者・受任者双方が以下の書類を用意します。
| 必要書類 | 備考 |
|---|---|
| 印鑑登録証明書+実印 | 発行から3か月以内のもの |
| または 顔写真付き本人確認書類+認印 | マイナンバーカード・運転免許証など |
| 住民票 | 公証役場によっては求められる場合あり |
| 戸籍謄本 | 委任者のもの(公証役場によっては求められる場合あり) |
具体的にどの書類が必要かは公証役場ごとに異なる場合があるため、ステップ2の事前相談時に確認してください。
ステップ4:公証役場で調印する
後日、委任者と受任者が揃って公証役場を訪問し、公証人の面前で公正証書の内容を確認します。公証人が内容を読み上げ、双方が署名・押印して公正証書が完成します。原本は公証役場に保管され、委任者と受任者にそれぞれ正本(または謄本)が交付されます。所要時間は約30分程度です。
ステップ5:関連書類を受任者に引き渡す
公正証書の完成後、受任者が死後の事務を円滑に処理できるよう、以下のような関連情報をまとめて引き渡します。
- 預金通帳・印鑑の所在に関するメモ
- 保険証券の写し
- 賃貸借契約書の写し
- デジタル関連のID・パスワードリスト
- 緊急連絡先一覧(親族・友人・かかりつけ医等)
これらの情報は契約後に変更が生じることもあるため、定期的に内容を見直し、受任者と共有しておくことが大切です。
契約書の起案から公証役場との調整まで、まとめてお任せください
行政書士法人Treeでは、死後事務委任契約書の作成をサポートしています。
- ✔ ご希望に沿った委任事項のリストアップから対応
- ✔ 公正証書化に必要な公証役場との事前協議を代行
- ✔ 任意後見契約・遺言書との整合性チェックにも対応
- ✔ 相談は何度でも無料・全国対応
公正証書の作成にかかる費用
死後事務委任契約を公正証書で作成する場合、公証役場に支払う費用の目安は以下の通りです。
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 公証人手数料 | 目的の価額に応じて変動(報酬の定めがない場合は約1万円前後) |
| 正本・謄本の交付手数料 | 数千円程度(1枚300円×枚数) |
| 合計 | 約15,000〜25,000円前後 |
公証人手数料は日本公証人連合会の手数料ページで確認できます。任意後見契約とセットで公正証書を作成する場合は、任意後見契約分の手数料(基本手数料13,000円+登記嘱託手数料1,600円+収入印紙2,600円)が別途加算されます。
なお、行政書士などの専門家に契約書の起案を依頼する場合は、専門家報酬が別途発生します。行政書士法人Treeの「死後事務委任契約サービス」では、精算型であれば初期費用29,800円(税込)のみで、死後事務の実費は遺産から精算する方式を採用しているため、初期コストを大幅に抑えられます。
契約書を書くときによくある不備と注意点
委任事項が曖昧なまま契約してしまう
「葬儀や届出等の一切の死後事務を委任する」のような包括的な記載だけでは、具体的にどこまでが委任の範囲なのか不明確です。たとえば「遺品整理」と書いても、処分の基準や保管すべき物品の指定がなければ、受任者が判断に迷い、相続人とのトラブルにつながることがあります。委任事項は項目ごとに分け、方式や範囲をできるだけ具体的に記載しましょう。
相続人との関係を整理していない
死後事務委任契約は相続人の権利を制限するものではありません。相続人がいる場合は、契約の存在と内容を事前に伝えておくことが望ましいでしょう。相続人に知らせないまま契約を進めると、死後に「そんな契約は聞いていない」と異議が出る可能性があります。
遺言書との整合性を確認していない
死後事務委任契約は「事務手続き」を委任するものであり、「財産の分配」は遺言書の役割です。両方を作成する場合は、内容が矛盾しないよう整合性を確認する必要があります。たとえば、遺言書で全財産を特定の相続人に遺贈しているのに、死後事務の費用を遺産から精算する旨の契約を結んでいると、費用の支出について相続人との間でトラブルになることがあります。遺言書に「死後事務委任契約に基づく費用を遺産から支出する」旨を明記しておくと安心です。
よくある質問
Q. 死後事務委任契約書は自分で書いても有効ですか?
はい、法的には自分で作成しても有効です。死後事務委任契約には法定の書式がなく、当事者間の合意があれば私文書でも成立します。ただし、記載事項の漏れや法的に不備のある条項があると、いざ事務を執行する段階で問題が生じかねません。専門家への相談を併用するのが安全です。
Q. 公正証書で作成しないとどうなりますか?
私文書でも法的効力はありますが、受任者が金融機関や行政機関で手続きを行う際に、契約書の真正性を疑われ対応を断られるケースが起こり得ます。公正証書であれば公証人が本人確認と内容確認を行った公文書となるため、相手方の信頼を得やすく、手続きが円滑に進むのが大きな利点です。
Q. 任意後見契約と同じ公正証書にまとめられますか?
はい、可能です。任意後見契約は任意後見契約に関する法律により公正証書での作成が法律上義務付けられているため、死後事務委任契約もあわせて一つの公正証書にまとめるケースが実務上よく見られます。それぞれ別々に作成することも可能ですが、セットにまとめたほうが手間と費用を節約できます。
Q. 契約書の内容は後から変更できますか?
はい、委任者と受任者の合意があれば変更できます。公正証書で作成した場合は、変更内容についても改めて公正証書を作成するのが確実です。委任事項の追加・削除、費用精算方法の変更などが生じた場合は、速やかに契約の見直しを行いましょう。
まとめ
- 死後事務委任契約書には委任事項の具体的な列挙と「死亡後も契約が終了しない」旨の存続条項が必須
- 公正証書で作成すれば、公的な証拠力が確保され各種手続きが円滑に進む
- 公正証書の作成手順は、①委任内容の整理 → ②公証役場への事前相談 → ③必要書類の準備 → ④調印 → ⑤関連書類の引渡しの5ステップ
- 遺言書や任意後見契約との整合性を確認し、矛盾のない設計にすることが重要
死後事務委任契約の作成は行政書士法人Treeにお任せください
| サービス | 料金 |
|---|---|
| 死後事務委任契約書の作成(精算型) | 初期費用 29,800円(税込)のみ |
- ✔ 精算型なので死後事務の実費は遺産から精算(初期コストがほとんどかからない)
- ✔ 契約書の起案から公証役場との調整まで一括対応
- ✔ 任意後見契約・遺言書とのセット作成にも対応
- ✔ 相談は何度でも無料・全国対応
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。


