終活関連

死後事務委任契約とは?内容・費用・依頼先をわかりやすく解説

更新: 約11分で読めます

身寄りのない方や、家族に負担をかけたくないと考える方にとって、自分の死後に必要な手続きを「誰がやるのか」は切実な問題です。葬儀の手配、役所への届出、公共料金の解約、自宅の片付け――これらの事務を生前に信頼できる第三者に委託しておく契約が死後事務委任契約です。民法第653条の例外として、委任者の死亡後も契約の効力が続くよう設計されるのが特徴です。この記事では、死後事務委任契約の内容・費用・依頼先について解説します。

「自分の死後のことを今のうちに決めておきたい」「身元保証人がいなくて不安」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。死後事務委任契約の作成をサポートします。相談は何度でも無料です。

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死後事務委任契約とは

契約の定義と法的根拠

死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に必要となる各種事務手続きを、生前に第三者(受任者)に委託しておく契約です。通常の委任契約は委任者の死亡により終了しますが(民法第653条第1号)、判例上、当事者間で「死亡後も契約を存続させる」旨の合意があれば有効とされています(最高裁平成4年9月22日判決)。

遺言書が「財産の承継」を定めるのに対し、死後事務委任契約は「財産以外の事務的手続き」を定める点で役割が異なります。両方を作成しておくことで、死後に必要なことをもれなくカバーできます。

なぜ今、死後事務委任契約が注目されているのか

国立社会保障・人口問題研究所の推計(2024年)によると、2040年には65歳以上の単身世帯が約1,000万世帯に達するとされています。身寄りのない高齢者が増える中、死後の手続きを担う人がいないケースが社会問題化しています。自治体によっては引き取り手のない遺体の対応に追われており、こうした背景から死後事務委任契約への関心が高まっています。

死後事務委任契約で委託できる内容

死後事務委任契約で委託できる事務の範囲は当事者間で自由に定められます。一般的に含まれる内容は以下の通りです。

カテゴリ 委託できる事務の例
行政手続き 死亡届の提出、戸籍関係届出、年金受給停止届、健康保険資格喪失届
葬儀・埋葬 葬儀社への連絡・手配、火葬許可申請、納骨・散骨の手配、菩提寺への連絡
住居関連 賃貸物件の解約・明渡し、遺品整理・家財処分、鍵の返却
契約の解約 電気・ガス・水道の停止、携帯電話・インターネットの解約、クレジットカードの停止
デジタル関連 SNSアカウントの削除依頼、メールアカウントの処理、有料サービスの解約
関係者への通知 親族・友人・知人への死亡通知、勤務先への連絡
ペット ペットの引渡し先への連絡・移送
費用の精算 医療費・入院費の精算、未払い債務の清算

なお、財産の分配や遺産の処分は死後事務委任契約ではなく遺言書の範囲です。死後事務委任契約と遺言書は併用するのが一般的です。遺言書の種類については「遺言書の種類と選び方」をご覧ください。

死後事務委任契約の費用

費用の構成

死後事務委任契約にかかる費用は、大きく以下の3つに分かれます。

費用項目 内容 金額の目安
契約書作成費用 契約書の起草・公正証書化の費用 数万円〜
公正証書作成費用 公証人手数料+用紙代・正本謄本代等 25,000円前後
死後事務の実費 葬儀費用、遺品整理費用、各種手数料等 事務内容により異なる

「精算型」と「預託型」の違い

死後事務の実費をどのように確保するかについて、大きく2つの方式があります。

方式 仕組み メリット デメリット
精算型 死後事務の実費を遺産から精算する 初期費用が少ない、預託金の管理リスクがない 遺産が不足すると事務が履行できない可能性
預託型 生前に実費相当額を預託金として預ける 確実に費用が確保できる 初期費用が高額(100万〜150万円程度)、預託金の管理リスクがある

預託型は確実性が高い反面、預託金を受任者が管理するため、受任者の信頼性が極めて重要です。過去には預託金の流用が問題になった事例もあるため、信頼できる相手を選ぶことが不可欠です。

死後事務委任契約の作成手順

ステップ1:委託する事務内容を決める

自分の死後に必要な手続きを洗い出し、何を委託するかを具体的にリストアップします。葬儀の規模や方法(家族葬・直葬・散骨等)、遺品整理の方針、ペットの引渡し先など、自分の希望を整理しておきます。

ステップ2:受任者を決める

死後事務を任せる相手(受任者)を決めます。受任者には特に資格要件はなく、信頼できる友人・知人でも可能ですが、個人に依頼する場合は受任者自身が先に亡くなるリスクがあります。行政書士や弁護士、NPO法人などの専門家・法人に依頼するケースが増えています。

ステップ3:契約書を作成する

委託する事務内容、報酬、費用の精算方法、契約の解除条件などを盛り込んだ契約書を作成します。法的効力を確実にするため、公正証書で作成することを強くおすすめします。公正証書にすることで、契約の真正性が公的に証明され、受任者が各種手続きを行う際に相手方の信頼を得やすくなります。

ステップ4:公証役場で公正証書を作成する

公証役場に予約を取り、委任者と受任者が揃って公証人の面前で契約内容を確認し、公正証書を作成します。公証人手数料(13,000円)に加え、用紙代・正本謄本交付手数料等がかかり、合計で25,000円前後が目安です。

ステップ5:関連書類を受任者に預ける

契約書の正本のほか、預金通帳・印鑑の所在メモ、保険証券、不動産の権利証、デジタル関連のID・パスワードリストなど、死後事務に必要な情報を受任者に預けておきます。

公正証書での作成をおすすめします

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死後事務委任契約の依頼先の比較

依頼先 特徴 注意点
行政書士・弁護士 法律の専門家として契約書の作成・事務の履行に精通 個人事務所の場合、事務所閉鎖リスクを確認
NPO法人・社会福祉協議会 比較的安価な場合がある、組織として継続性がある 対応範囲やサービス内容が限定される場合がある
信託銀行 資金管理の信頼性が高い、預託金の管理が安全 費用が高額になりやすい(100万円以上の預託が一般的)
友人・知人 信頼関係がある、費用を抑えられる 受任者が先に亡くなるリスク、専門知識の不足

死後事務委任契約と関連する契約

死後事務委任契約は、他の終活関連契約と組み合わせることで、より万全な備えになります。

契約名 対象となる場面 死後事務委任契約との関係
遺言書 財産の承継(誰に何を相続させるか) 併用が一般的。死後事務と財産処分で役割分担
任意後見契約 判断能力低下後の財産管理・身上監護 「生前」の備え。死後事務委任契約は「死後」の備え
見守り契約 定期的な安否確認・生活状況の把握 判断能力低下の「予兆発見」。任意後見契約の発動判断に有用
財産管理等委任契約 判断能力はあるが身体的に手続きが困難な場合 任意後見契約の前段階として利用

おひとりさまの終活で必要な備えの全体像は「おひとりさま終活の完全ガイド」で解説しています。

よくある質問

Q. 死後事務委任契約は公正証書でないと無効ですか?

いいえ。死後事務委任契約は私文書(当事者間の合意書)でも法的に有効です。ただし、公正証書にしておくことで契約の真正性が公的に証明され、受任者が各種手続きを行う際に相手方の信頼を得やすくなるため、実務上は公正証書での作成が推奨されます。

Q. 死後事務委任契約はいつでも解除できますか?

はい。委任者はいつでも契約を解除できます(民法第651条第1項)。ただし、預託型の場合は預託金の返還条件や、受任者がすでに準備に要した費用の精算について、契約書で定めておくことが重要です。

Q. 相続人がいる場合でも死後事務委任契約は必要ですか?

相続人がいる場合でも、相続人が遠方に住んでいたり、高齢であったり、相続人との関係が疎遠であったりする場合は、死後事務委任契約を作成しておくことで相続人の負担を軽減できます。死後事務の費用については、遺言書と合わせて事前に取り決めておくと安心です。

Q. 生活保護を受けていても死後事務委任契約はできますか?

契約の締結自体は可能です。ただし、精算型であれば遺産から実費を支出する形になりますが、生活保護受給者の場合は遺産がほとんどないケースが多いため、費用の確保方法について事前に検討が必要です。自治体の福祉部門に相談することも選択肢の一つです。

まとめ

  • 死後事務委任契約は、死後の事務的手続き(葬儀・届出・解約等)を第三者に委託する契約
  • 遺言書が「財産の承継」、死後事務委任契約が「事務手続き」と役割が異なるため併用が基本
  • 費用方式は「精算型」(遺産から精算)と「預託型」(事前に預託金を預ける)の2種類
  • 公正証書で作成すると契約の真正性が公的に証明され、各種手続きが円滑に進む
  • 任意後見契約・見守り契約と組み合わせることで「生前から死後まで」の備えが万全になる

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※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

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