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スマートフォンのロック解除パスワード、ネット銀行の口座、SNSのアカウント――私たちの生活は多くのデジタル資産に支えられています。もし自分が突然亡くなったら、これらのデジタル情報はどうなるのでしょうか。遺族がスマホを開けない、ネット銀行の存在すら知らない、といった事態は珍しくありません。デジタル終活とは、自分の死後や判断能力低下に備えて、デジタル資産やオンラインアカウントの取扱いを整理・記録しておくことです。この記事では、スマホ・SNS・ネット銀行をはじめとするデジタル資産について、何から始めるべきか、死後に何が起こるのか、生前にどのような準備をしておくべきかを整理します。
「家族がスマホを開けられないのが不安」「ネット銀行や暗号資産が見つからないままになりそう」「おひとりさまで、死後のスマホやパソコンの処理を頼める人がいない」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。死後事務委任契約にデジタル資産の処理も盛り込む形で、死後のデジタル対応まで含めた備えをご提案いたします。相談は何度でも無料です。
目次
デジタル終活が必要な理由
総務省の「令和6年通信利用動向調査」によれば、個人のインターネット利用率は13歳から69歳の各年齢層で9割を超えています。ネット銀行やネット証券を利用する高齢者も増えており、通帳や証券が手元にない「目に見えない資産」が増加しています。
問題は、本人が亡くなった後に遺族がこれらの存在を把握できないケースが生じることです。ネット銀行の預金は通帳がないため遺族が気づかず、相続手続きから漏れるリスクがあります。また、SNSアカウントが放置されると、なりすましや不正利用の温床になる可能性も指摘されています。
デジタル終活は、こうしたリスクに備えるために「どのようなデジタル資産があるか」「それぞれの死後の取扱いをどうするか」を生前に整理しておく取り組みです。特に頼める家族がいない「おひとりさま」の場合、誰が自分の代わりにアカウント削除やサブスク解約を行うのか、あらかじめ決めておくことが欠かせません。
整理すべきデジタル資産の種類
| カテゴリ | 具体例 | 死後に放置した場合のリスク |
|---|---|---|
| 金融資産 | ネット銀行・ネット証券・暗号資産(仮想通貨)・電子マネー | 相続財産から漏れる・残高が消失する |
| SNS・通信 | LINE・X(Twitter)・Facebook・Instagram・メールアカウント | なりすまし・不正利用・遺族の精神的負担 |
| サブスクリプション | 動画配信・音楽配信・クラウドストレージ・ニュースサイト | 課金が継続し遺族に不要な費用が発生 |
| 端末・データ | スマートフォン・パソコン・タブレット・外付けHDD | ロック解除できず中のデータにアクセス不能 |
| ポイント・マイル | 各種ポイントカード・航空マイル | 失効して経済的損失が生じる |
| デジタルコンテンツ | 電子書籍・ゲームアカウント・写真データ | 利用規約上、相続できない場合がある |
スマートフォン・パソコンの死後対策
デジタル終活で最初に取り組むべきは、端末のロック解除情報の記録です。遺族がスマートフォンやパソコンにアクセスできなければ、そこに保存されている連絡先・写真・アカウント情報のすべてが失われかねません。
事前に準備しておくこと
- 端末のパスコード・パスワードをエンディングノート等に記録する(ただし盗難リスクを考慮し、保管場所には注意)
- iPhoneの場合は「故人アカウント管理連絡先」機能(iOS 15.2以降)を設定し、指定した連絡先が死亡証明書とアクセスキーをAppleに提出することで故人のデータにアクセスできるようになる
- Googleアカウントでは「アカウント無効化管理ツール」を設定し、一定期間アクセスがない場合の処理(データ削除または指定者への通知)を指定できる
- パスワード管理ツール(1Password・Bitwarden等)を利用している場合は、マスターパスワードまたは緊急アクセス設定を家族と共有する
パスワード記録の安全な残し方
IDやパスワードをそのままエンディングノートに記載するのは情報漏洩リスクが高いため、以下のような工夫が推奨されます。
- 「母の誕生日+電話番号下4桁」のようなヒント形式で記録する(パスワードそのものを直接書かない)
- 記録したノートは耐火金庫または銀行の貸金庫に保管し、「万一の際はここを見てほしい」と特定の家族に場所だけを伝えておく
- パスワード管理ツール(1Password・Bitwarden等)を使っている場合は、マスターパスワードのみを別の安全な方法で残しておく(緊急アクセス機能の設定も検討)
総務省の国民のためのサイバーセキュリティサイトでは、パスワード管理の基本的な考え方が紹介されています。生前のパスワード管理をしっかり行いつつ、死後の引継ぎにも対応できる体制を整えておくことが重要です。
SNSアカウントの死後の取扱い
主要SNSには、本人の死後にアカウントをどう扱うかについてそれぞれ規約やサービスが用意されています。生前に設定しておけるものは、あらかじめ対応しておくと遺族の負担を減らせます。
| サービス | 死後の対応 | 生前にできる設定 |
|---|---|---|
| 追悼アカウント化またはアカウント削除 | 追悼アカウント管理人の指定・死後のアカウント削除リクエスト設定 | |
| 追悼アカウント化またはアカウント削除(遺族からの申請) | 生前に専用の管理人設定はなし(死後は近親者が追悼化または削除を申請) | |
| X(Twitter) | 遺族からの申請によりアカウント削除 | 特段の生前設定機能なし |
| LINE | 遺族からの申請によりアカウント削除(アカウントの引継ぎは不可) | 特段の生前設定機能なし(トーク履歴のバックアップは可能) |
| Google(YouTube含む) | アカウント無効化管理ツールによる自動処理 | アカウント無効化管理ツールで処理方法を事前設定 |
SNSアカウントの放置は、なりすまし被害だけでなく、故人の投稿を目にした遺族や友人の精神的な負担にもつながります。アカウントの存在と希望する処理方法(削除・追悼化)をエンディングノートに記載しておくことが有効です。
ネット銀行・ネット証券の相続手続き
ネット銀行やネット証券の口座は、通帳や証券が手元にないため、遺族が存在を把握できないリスクがあります。金融庁のインターネット・バンキングに関する情報ページでも、ネット銀行の利用に関する注意事項が案内されています。
遺族が取るべき手続き
ネット銀行の名義人が死亡した場合、基本的な相続手続きの流れは店舗型の銀行と同じです。ただし、以下の点で異なる場合があります。
- 口座の存在確認は金融機関のコールセンターまたはWebサイトからの問い合わせが中心
- 通帳がないため、取引履歴は金融機関に照会して取得する必要がある
- 相続届や必要書類(戸籍謄本・遺産分割協議書等)は郵送でのやりとりが主流
口座の存在が不明な場合の調査方法
ネット銀行・ネット証券の口座を故人が持っていたかどうかが分からない場合、以下の方法で調査できることがあります。
- 証券口座:証券保管振替機構(ほふり)に「登録済加入者情報の開示請求」(有料)を行うことで、故人名義の証券口座の開設先一覧を取得できます
- 銀行口座:故人のスマートフォンのアプリ一覧や銀行からのメール受信履歴が手がかりになります。キャッシュカードや通帳の有無も確認しましょう
- クレジットカード明細・銀行引落し履歴:サブスクリプションや投資信託の引落し先から、紐付いている金融口座を特定できる場合があります
生前にやっておくべきこと
ネット銀行・ネット証券については、口座の存在自体を家族に伝えておくことが最も重要です。金融機関名・口座番号(わかる範囲で)をエンディングノートに記録するか、死後事務委任契約の受任者に伝えておくことで、相続手続きからの漏れを防げます。
暗号資産(仮想通貨)については、秘密鍵やリカバリーフレーズの情報が失われると二度とアクセスできなくなるため、特に慎重な引継ぎが必要です。
デジタル資産の引継ぎも含めた終活をお手伝いします
行政書士法人Treeでは、死後事務委任契約の作成を通じて、デジタル資産の処理(アカウント解約・データ消去依頼等)まで盛り込んだ備えをサポートしています。
- ✔ デジタル資産一覧の整理から死後の処理方針の決定まで相談対応
- ✔ SNSアカウント削除・サブスク解約等の死後事務に組み込み可能
- ✔ 初期費用29,800円(税込)のみ・精算型で実費は死後に遺産から精算
- ✔ 相談は何度でも無料・全国対応
デジタル終活チェックリスト
デジタル終活で最低限やっておきたい項目を以下にまとめます。一度に全てを終わらせる必要はなく、まずは金融資産の整理から始めるのがおすすめです。
| 項目 | やること | 優先度 |
|---|---|---|
| 端末のロック解除情報 | パスコード・パスワードをエンディングノートに記録 | 最優先 |
| 金融口座の一覧 | ネット銀行・ネット証券・暗号資産の口座情報を記録 | 最優先 |
| サブスクリプション一覧 | 月額・年額課金サービスを洗い出し記録 | 高 |
| SNSアカウント | 利用サービス一覧と死後の希望(削除or追悼化)を記録 | 高 |
| メールアカウント | 主要メールアドレスとパスワードを記録 | 高 |
| 写真・データの保存場所 | クラウド・外付けHDDの情報と、残したいデータの指示を記録 | 中 |
| ポイント・マイル | 高額残高がある場合は家族に伝達 | 中 |
よくある質問
Q. デジタル終活はエンディングノートだけで十分ですか?
エンディングノートは情報の記録には有効ですが、法的な拘束力がない点に注意が必要です。「このアカウントを削除してほしい」という希望をエンディングノートに書いても、相続人以外の第三者がそれを実行する法的根拠にはなりません。確実に実行してもらうには、死後事務委任契約にデジタル資産の処理を明記しておく方法が有効です。
Q. ネット銀行の口座は相続できますか?
相続できます。ネット銀行の預金も通常の銀行預金と同様に相続財産に含まれ、相続人は法定相続分に応じた権利を有します。ただし、口座の存在に気づかないまま相続手続きが終了してしまうリスクがあるため、口座の存在を家族に伝えておくことが最も重要です。
Q. 故人のSNSアカウントを遺族が削除することはできますか?
主要なSNSサービスでは、遺族からの申請によりアカウントの削除が可能です。ただし、死亡を証明する書類(死亡診断書等)の提出が求められる場合が多く、手続きに時間がかかることもあります。Facebookでは追悼アカウントへの切り替えも選択できます。
Q. 暗号資産(仮想通貨)の相続はどうなりますか?
暗号資産も相続財産に含まれます。取引所に預けている場合は、取引所に相続手続きを申請することで引き継ぎが可能です。ただし、ハードウェアウォレットなどで自己管理している場合、秘密鍵やリカバリーフレーズが失われるとアクセスが永久に不可能になります。安全な方法で引継ぎ情報を残しておくことが不可欠です。
まとめ
デジタル終活は、現代の終活において避けて通れないテーマです。まずは自分がどのようなデジタル資産を持っているかを一覧化し、それぞれの死後の取扱いを決めておくことから始めましょう。
- 端末のロック解除情報と金融口座の一覧化が最優先
- SNSアカウントは生前設定(追悼アカウント管理人・アカウント無効化管理ツール等)を活用
- エンディングノートに記録しつつ、確実な実行を担保するなら死後事務委任契約への組み込みが有効
デジタル資産の処理まで含めた死後の備えを
| サービス | 料金 |
|---|---|
| 死後事務委任契約の作成 | 29,800円(税込) |
- ✔ 初期費用29,800円のみ・実費は死後に遺産から精算する精算型
- ✔ デジタル資産の処理(アカウント削除・解約等)も契約に盛り込み可能
- ✔ 任意後見契約・見守り契約とのセット作成にも対応
- ✔ 相談は何度でも無料・全国対応
デジタルの時代だからこそ、「見えない資産」の引継ぎ対策が重要です。まずはお気軽にご相談ください。
※ 2026年4月時点の情報に基づく解説です。各サービスの利用規約・相続手続きの対応は変更される場合があります。具体的な相続手続きについては各金融機関や専門家にお問い合わせください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定のサービスを推奨するものではありません。個別の状況に応じた対応については専門家へのご相談をおすすめいたします。


