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終活やることリスト|年代別チェックリストと優先順位を行政書士が解説

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楽天インサイトが2024年に実施した「終活に関する調査」によれば、終活の意向がある人は全体の約7割にのぼります。60代女性に限れば「すでに実施している」と答えた割合は16.0%、「近いうちに始める予定」が19.0%と、この年代での関心の高さが際立っています。一方で、終活に何らかの意向を持ちながら「時期が来たら始めたい」と先送りしている人も多く、「何から手をつければいいか分からない」という声は後を絶ちません。

終活で準備すべきことは多岐にわたりますが、すべてを一度にやろうとする必要はありません。年代によって優先すべき項目は異なり、40代と60代とでは取り組むべきテーマも変わってきます。この記事では、終活支援の専門家の立場から、40代・50代・60代それぞれの状況に応じたやることリストと進め方を具体的にまとめました。

「終活、何から始めればいい?」——まず状況を整理するところから

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終活とは何か——「死の準備」ではなく「今の整理」

「終活」という言葉は2010年ごろから普及し始めましたが、いまでも「縁起でもない」「まだ早い」と感じる方は少なくありません。しかし、終活の本質は「死の準備」ではなく、自分の意思や情報を整理しておくことで、残される家族への負担を減らし、自分自身が安心して生きるための活動です。

実際に終活をすでに始めている人の幸福度・生活満足度が高いというデータもあります(ハルメクホールディングス「終活に関する意識・実態調査2025」)。終活は暗い作業ではなく、むしろ「自分らしい人生の後半をどう歩むか」を考える機会になり得ます。

終活でやることは大きく以下の5つの領域に整理できます。

  • 財産・資産の整理(預貯金、不動産、株式、負債の把握)
  • 身辺の整理(生前整理、デジタル資産の整理)
  • 気持ち・意思の整理(エンディングノート、遺言書)
  • 医療・介護への備え(任意後見契約、尊厳死宣言)
  • 死後の手続きへの備え(死後事務委任契約、葬儀・お墓の準備)

これらをどの順番で、どの年代からやるかは、個人の事情によって大きく異なります。次のセクションから、年代別に具体的なやることリストを見ていきます。

終活の始め方ステップ——まず「現状把握」から

終活を始める前にありがちな失敗が、いきなり「断捨離」や「遺言書作成」に着手してしまうことです。優先順位が定まっていないと、途中で気力が尽きたり、大切な情報が抜け落ちたりします。まずは自分の現状を把握することから始めましょう。

Step 1:自分の状況を書き出す

エンディングノートや普通のノートでかまいません。自分の資産(預金口座、不動産、保険)、借金や保証債務、デジタルアカウント(SNS・メール・ネット銀行)などを一覧化します。この作業が後のすべてのステップの土台になります。

Step 2:家族・身近な人との意向確認

葬儀の規模、お墓の希望、介護が必要になったときの意向——これらは本人だけが決めても意味がありません。配偶者や子どもと「万が一のとき」について話し合う機会を設けることが大切です。家族がいない方は、信頼できる友人・知人との関係整理もこの段階で行います。

Step 3:優先事項を決める

全部を一度にやろうとしないことがコツです。自分の年代・健康状態・家族構成を踏まえて「今すぐやること」「3年以内にやること」「余裕があればやること」の3段階に分けます。この記事の年代別チェックリストを参考にしてください。

Step 4:書類・手続きを進める

エンディングノートの作成、生前整理、遺言書・死後事務委任契約・任意後見契約などの法的手続きへと進みます。法的効力のある書類は内容に応じて適切な方式で作成することが重要であり、特に各種契約書や、確実性を重視する遺言書は公正証書の活用が有力です。

Step 5:定期的に見直す

終活は一度やって終わりではありません。家族構成の変化、資産状況の変化、法改正などに応じて定期的に内容を更新します。目安は2〜3年に一度です。

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年代別チェックリスト|40代・50代・60代以降の優先項目

終活は「60代になってから始めるもの」というイメージがありますが、実際には各年代で取り組むべき内容が異なります。以下のチェックリストは、それぞれの年代で「特に優先して取り組みたい項目」をまとめたものです。すべてが必須ではなく、自分の状況に合わせてカスタマイズして使ってください。

年代別 終活やることリスト
カテゴリ 40代 50代 60代以降
財産・資産の整理 保険の見直し・加入検討
老後資金の積み立て開始
負債・ローンの把握
資産一覧の作成
退職後の収支シミュレーション
相続税の概算確認
銀行口座・証券口座の整理
不動産の処分方針の決定
相続人への財産状況の共有
身辺・モノの整理 不用品の把握(急ぎでなくてよい)
デジタルアカウントの一覧化
生前整理の開始
デジタル資産の整理(パスワード管理)
実家の片付け検討
生前整理の完了
形見分けの検討
デジタル遺品対策の完了
意思・気持ちの整理 エンディングノートの開始
医療・介護の希望を考え始める
エンディングノートの更新
遺言書(自筆証書)の作成検討
葬儀・お墓の希望を記録
公正証書遺言の作成
人生会議(ACP)の実施と医療・介護の希望整理
必要に応じて尊厳死宣言公正証書も検討
葬儀・埋葬の事前手配
医療・介護への備え かかりつけ医の確保
生命保険・医療保険の確認
介護施設・在宅介護の情報収集
任意後見契約の検討開始
任意後見契約の締結
見守りサービスの利用
身元保証の準備
死後の手続きへの備え (急ぎでなくてよい) 死後事務委任契約の情報収集
お墓・葬儀の希望を家族と共有
死後事務委任契約の締結(特におひとりさまは必須)
葬儀社・墓地の事前相談

40代の終活:「知る」と「備える」の時期

40代は終活を意識し始めるには早すぎると感じる方も多いでしょう。しかし、この時期は老後資金の形成・保険の最適化・親の終活サポートという3つの課題が重なる時期でもあります。40代の親御さんの多くはすでに60〜70代に差し掛かっており、親御さん自身の終活を支援しながら、自分の将来についても考えるきっかけになることが少なくありません。

まずやることは「情報の整理」です。自分の保険・ローン・投資状況を把握しておくだけで、万が一の際の家族の負担は大きく軽減されます。エンディングノートを「完成させる」必要はなく、書けるところから記入を始めるだけで十分です。

50代の終活:「本格準備」の時期

50代に入ると、定年退職・子どもの独立・親の介護など、生活環境が大きく変化します。退職後の収入・支出のシミュレーションを行い、資産をどう使い・残すかを具体的に考え始める時期です。

生前整理も本格的に始めたい年代です。特に「デジタル資産の整理」は見落とされがちですが、ネット銀行・仮想通貨・有料サブスクリプションサービスのアカウント情報が残されないと、家族が死後に対処できなくなります。パスワード管理ツールの活用や、アカウント一覧のエンディングノートへの記録を進めましょう。

また、遺言書の作成を検討し始めるのも50代が適切です。法的効力のある遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、家族間のトラブルを防ぐためには公正証書遺言が推奨されます。

この点について詳しくは「生前整理のやり方|何から始める?進め方・費用・注意点を解説」をご覧ください。

60代以降の終活:「仕上げと実行」の時期(人生会議・法的書類の整備)

60代に入ると、終活の本格的な実行フェーズに入ります。楽天インサイトの調査では、終活をすでに実施している60代女性は16.0%、近いうちに始める予定の方は19.0%と、最も行動に移っている年代です。退職により時間的余裕も生まれ、腰を据えて取り組める環境が整います。

この年代で特に重要なのが、法的効力のある書類の整備です。エンディングノートは気持ちの整理には役立ちますが、法的な強制力はありません。遺言書・死後事務委任契約・任意後見契約といった法的書類を、公正証書の形で整えておくことが、残される家族・自分自身の安心につながります。

特に身寄りのない「おひとりさま」の方にとって、死後事務委任契約は有力な備えの一つです。葬儀の手配から各種手続きの届出まで、信頼できる専門家に委任しておくことで、誰にも迷惑をかけることなく最期を迎えることができます。

終活でつまずきやすいポイントと注意点

「エンディングノートがあれば十分」は誤解

終活を始めた方の多くが最初に取り組むのがエンディングノートです。自分の希望や情報をまとめておく点では大変有効ですが、エンディングノートには法的効力がありません。「全財産を長男に」「葬儀は家族葬で」といった希望を書いても、法律上の拘束力はなく、家族が従う義務もないのです。

財産の分配については遺言書、死後の手続き委任については死後事務委任契約、認知症などに備えた財産管理については任意後見契約と、目的に応じた法的文書を別途作成することが必要です。

遺言書は「争族」防止の最重要ツール

「うちに財産なんてないから遺言書は不要」と考える方は多いですが、相続トラブルは必ずしも高額の遺産がある家庭だけで起きるわけではありません。不動産が1件あるだけで、売却・共有・分割をめぐって兄弟間で意見が割れることはよくあります。自分の意思を明確にしておく遺言書の作成は、残された家族へのもっとも現実的な配慮です。

認知症になると「本人の意思」では動かせない

終活の備えで見落とされがちなのが、認知症リスクへの対応です。判断能力が低下した後は、本人名義の銀行口座が凍結されたり、不動産の売却ができなくなる場合があります。任意後見契約は、判断能力が低下する前に信頼できる人物(後見人)を自分で選び、代理権を付与しておく制度です。法定後見と異なり、「誰に」「何を」任せるかを自分で決められる点が大きなメリットです。

任意後見制度の詳細は「任意後見契約とは?制度の仕組み・手続き・費用を行政書士が解説」でも解説しています。

死後事務は家族だけでは対処しきれないことがある

亡くなった後には、死亡届の提出、年金関係の届出や未支給年金請求、各種契約の解約、デジタルアカウントの整理など、数多くの手続きが発生します。これらを家族が対処するのは想像以上に負担が大きく、特に身寄りがない方の場合は誰が手続きを行うかが深刻な問題になります。死後事務委任契約を締結しておくことで、信頼できる専門家がこれらの手続きを代行します。

死後事務委任契約の仕組みについては「死後事務委任契約とは?手続きの流れと費用を行政書士が解説」をご参照ください。

よくある質問

Q1. 終活はいつから始めるのが適切ですか?

A. 「何歳から」という決まりはなく、思い立ったときが始め時です。ただし、情報整理やエンディングノートの記入は40代から始めておくと、50〜60代での本格的な手続きがスムーズになります。特に法的書類(遺言書・任意後見契約など)は、判断能力があるうちに作成しておく必要があるため、健康なうちの早期着手が重要です。

Q2. おひとりさまの場合、何を最優先すべきですか?

A. 死後事務委任契約と任意後見契約の2つが最優先です。配偶者や子どもがいない場合、亡くなった後の手続きを担ってくれる人がいません。死後事務委任契約で「誰が何をするか」を事前に決めておくことが、周囲への迷惑を最小化する最も現実的な備えになります。また、認知症など判断能力の低下に備えた任意後見契約も、早めに検討することをお勧めします。

Q3. 遺言書は自分で書てもいいですか?

A. 自筆証書遺言(自分で手書きする遺言書)は、一定の要件を満たせば法的に有効です。ただし、要件(全文自筆・日付・氏名・押印など)を1つでも欠くと無効になります。また、相続人間でのトラブル防止や確実な執行を考えると、公正証書遺言(公証役場で作成)の方が安心です。公証役場の手数料は財産額によって異なります。詳しくは厚生労働省や公証役場のウェブサイトでご確認ください。

Q4. 死後事務委任契約はどこに頼めばいいですか?

A. 弁護士・司法書士・行政書士などの専門家や、NPO法人・信託銀行などに依頼できます。依頼先によって費用や対応できる業務の範囲が異なるため、事前に複数の専門家に相談することをお勧めします。行政書士は手続き書類の作成・各種届出の代行を得意としており、費用面でも比較的リーズナブルなことが多いです。

Q5. 終活の費用はどれくらいかかりますか?

A. ハルメクホールディングスの調査(2025年)では、終活にかかった費用の平均は約503万円とされていますが、この数字には葬儀・墓地費用なども含まれています。専門家への相談・書類作成に限れば、死後事務委任契約の初期費用29,800円(税込)から始められるケースもあり、必ずしも多額の費用が最初から必要なわけではありません。何から始めるかによって費用感は大きく変わります。

まとめ

終活でやることは多いように見えて、年代別に優先順位を整理すれば一つひとつ着実に進められます。40代は情報の把握と長期的な備え、50代は本格的な生前整理と法的書類の検討、60代以降は法的書類の完成と死後対策の実行——このような流れで取り組むことで、焦らず・無理なく終活を完了させることができます。

とはいえ、一人で全てを判断・実行するのは容易ではありません。特に法的効力のある書類(遺言書・死後事務委任契約・任意後見契約)は、専門家のサポートを受けながら進めることで、ミスや見落としを防げます。

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※ 2026年4月時点の情報に基づく解説です。各制度の詳細や手続きは変更される場合があります。具体的な備えについては専門家にご相談ください。


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