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相続した車の廃車手続き|名義変更せずに廃車できる?

更新: 約15分で読めます

「相続した車を使う予定がない。名義変更せずに、そのまま廃車にできないだろうか?」——故人が乗っていた車を処分したいとき、こうした疑問を持つ方は少なくありません。結論として、普通車の場合は名義変更(移転登録)を経ずに直接廃車することはできません。ただし「移転抹消登録」という手続きを使えば、名義変更と廃車を同時に1回の手続きで完了させることが可能です。一方、軽自動車は相続書類がそもそも不要で、手続きがかなり簡素化されます。

相続した車の廃車手続きの要点は、(1)普通車は「移転抹消登録」で名義変更と廃車を同日に処理できる、(2)遺産分割協議書または遺産分割協議成立申立書(車の価値100万円以下の場合)が必要、(3)移転抹消なら車庫証明は不要、(4)軽自動車は廃車に関しては相続書類が不要で手続きが大幅に簡素、の4点です。

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名義変更せずに廃車はできる?原則と例外

故人名義の車を処分する際、「名義変更をしなくても廃車できるのか」が最初に浮かぶ疑問でしょう。ここでは普通車と軽自動車に分けて、原則を整理します。

普通車は故人名義のまま単独で抹消はできないが、相続移転と抹消を同時申請できる

普通車(登録自動車)の抹消登録は、道路運送車両法第15条(永久抹消)・第16条(一時抹消)に基づき、原則として車検証上の所有者本人が申請する必要があります。所有者が亡くなっている場合、故人名義のままでは抹消登録を単独で申請する権限がないため、相続人への移転登録が前提となります。

ただし、移転登録(名義変更)と抹消登録を別の日に2回行う必要はありません。運輸支局では「移転抹消登録」(相続移転と抹消の同時申請)により、名義変更と廃車を同じ窓口で同日に処理できます。実質1回の訪問で完了するため、手間は大きく軽減されます。

軽自動車は相続手続き不要で廃車可能

軽自動車の場合は仕組みが異なります。軽自動車の廃車(自動車検査証返納届・解体返納)では、普通車で必要な遺産分割協議書・戸籍謄本・印鑑証明書といった相続書類が不要です。必要なのは車検証・ナンバープレート・申請依頼書(認印で可)が中心で、普通車と比べて大幅に簡素化されています。手続き先は軽自動車検査協会です。

比較項目 普通車 軽自動車
故人名義のまま単独で廃車可能か 不可(相続移転と抹消を同時申請で対応) 実質的に可能(廃車では相続書類不要)
遺産分割協議書 原則必要(100万円以下は申立書で可) 不要
戸籍謄本 必要(被相続人の死亡が分かるもの) 不要
印鑑証明書 必要(相続人のもの、3か月以内) 不要
印鑑 実印 認印
手続き先 運輸支局 軽自動車検査協会
車庫証明 移転抹消なら不要 不要

移転抹消登録とは?名義変更と廃車を同時に行う方法

相続した車を廃車にしたい方にとって最も効率的な方法が、移転抹消登録です。移転登録(名義変更)と抹消登録(一時抹消または永久抹消)を同時に申請する手続きで、運輸支局への訪問が1回で済みます。

移転抹消登録の3つのメリット

  • 運輸支局への訪問が1回で済む:移転登録と抹消登録を別々に行うと2回訪問が必要ですが、移転抹消ならすべて1日で完了します
  • 車庫証明が不要:通常の移転登録では新所有者の車庫証明が必要ですが、廃車を前提とする移転抹消では車庫証明の提出が免除されます
  • 自動車税・重量税の還付が受けられる:一時抹消なら自動車税の月割還付、永久抹消なら自動車税に加えて重量税の還付も対象になります

一時抹消と永久抹消、どちらを選ぶべき?

移転抹消登録では、一時抹消と永久抹消のどちらと組み合わせるかを選べます。判断基準は「車をもう使わないか」「将来的に売却や再利用の可能性があるか」です。

選択肢 向いているケース 手続き後にできること
移転+一時抹消 売却先を探す時間が欲しい、しばらく保管しておきたい 再登録(中古新規登録)・売却が可能
移転+永久抹消 車が老朽化している、解体済みで再使用の予定がない 再登録不可。重量税の還付を受けられる

迷った場合は、まず一時抹消を選んでおくと柔軟に対応できます。一時抹消後に車を解体した場合は「解体届出」で永久抹消に切り替えられます。廃車手続きの種類と流れの詳細は「廃車手続きの方法と必要書類|一時抹消と永久抹消の違い」で解説しています。

相続した車の廃車手続きはどう進める?【5ステップ】

ここでは、普通車を移転抹消登録で廃車にする流れを5ステップで整理します。

Step 1:車検証で所有者を確認する

最初に車検証(自動車検査証)を確認し、所有者欄が故人の名前になっているかをチェックします。自動車ローンを利用して購入した車は、所有者がディーラーやローン会社になっていることがあります(所有権留保)。この場合は先にローンの残債を清算し、所有権解除を行ってから相続手続きに進む必要があります。

Step 2:相続人を確定し、遺産分割協議を行う

被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本を取得して法定相続人を確定させます。相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行い、車を取得する(=廃車手続きを行う)相続人を決めます。

車の査定額が100万円以下の場合は、遺産分割協議書の代わりに「遺産分割協議成立申立書」を使用できます。この書類は車を取得する相続人1名の署名・押印だけで済むため、相続人全員の実印や印鑑証明書を集める手間が省けます。廃車予定の車は査定額が低いケースが多いため、この簡易書式が使えることが多いでしょう。

Step 3:必要書類を揃える

書類の詳細は次のセクションでまとめていますが、特に時間がかかるのは被相続人の戸籍謄本です。複数の市区町村にまたがることもあるため、早めに取り寄せを始めましょう。2024年3月から始まった広域交付制度を使えば、本籍地以外の窓口でも戸籍を請求できます(郵送請求は不可)。

永久抹消登録を同時に行う場合は、事前に解体業者へ車を引き渡し、「移動報告番号」「解体報告記録日」の連絡を受けておく必要があります。

Step 4:運輸支局で移転抹消登録を申請する

書類が揃ったら、使用の本拠の位置を管轄する運輸支局に出向いて手続きします。窓口で申請書(OCR第1号様式+第3号様式の2または3)と手数料納付書を入手・記入し、書類一式を提出します。ナンバープレート(前後2枚)も返納窓口に提出してください。

手数料は以下のとおりです(永久抹消は改定前後とも無料のため、移転+永久抹消の場合は移転登録分のみ)。

手続き 〜2026年3月31日 2026年4月1日〜(窓口) 2026年4月1日〜(OSS)
移転登録 500円 700円 600円
一時抹消登録 350円 500円 450円
永久抹消登録 無料 無料 無料
移転+一時抹消 合計 850円 1,200円 1,050円

手数料の詳細は国土交通省の案内でご確認ください。

Step 5:自動車税の申告と保険の解約

運輸支局内の自動車税事務所で抹消申告を行います。抹消登録の翌月から年度末(3月)までの自動車税が月割で還付されるため、使わない車は早めに手続きするほうが経済的です。

また、以下の手続きも忘れずに行いましょう。

  • 自賠責保険の解約:加入先の保険会社に連絡し、残期間分の返戻金を受け取ります
  • 任意保険の解約・等級の引き継ぎ確認:同居の親族なら等級を引き継げる場合もあるため、保険会社に相談しましょう
  • 重量税の還付申請(永久抹消の場合のみ):抹消登録日と解体報告受領日のいずれか遅い日を起算日として、車検残存期間が1か月以上あれば還付対象。永久抹消と同時に申請が必要で、後日の単独申請はできません

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必要書類一覧|普通車の移転抹消登録

相続した普通車を移転抹消登録で廃車にする場合に必要な書類を一覧にまとめます。事前に用意するものと、運輸支局の窓口で入手するものに分かれます。

書類名 取得先 備考
被相続人の戸籍謄本(除籍謄本) 本籍地の市区町村役場 死亡の事実と相続人が確認できるもの
遺産分割協議書 相続人全員で作成 相続人全員の署名・実印押印。車の記載が必要
または 遺産分割協議成立申立書 運輸支局ウェブサイト等で様式取得 車の査定額100万円以下の場合に使用可。取得する相続人1名の署名・実印のみ
相続人の印鑑証明書 市区町村役場 発行から3か月以内
車検証(自動車検査証) 車に備え付け 原本
ナンバープレート(前後2枚) 車両から取り外し 返納用。紛失の場合は理由書が必要
OCR申請書(第1号様式+第3号様式の2または3) 運輸支局窓口 移転登録分と抹消登録分の2枚
手数料納付書 運輸支局窓口 印紙貼付。2026年3月まで:移転500円+一時抹消350円(永久抹消無料)。4月以降:移転700円+一時抹消500円(窓口)
委任状 自作 代理人が申請する場合。相続人の実印を押印
移動報告番号・解体報告記録日 解体業者から通知 永久抹消の場合のみ必要
重量税還付申請書 運輸支局窓口 永久抹消で車検残1か月以上の場合のみ

車検証の住所・氏名と戸籍の記載が一致しない場合は、住民票の除票戸籍の附票で住所のつながりを証明する書類が追加で必要です。

相続による移転登録で必要な書類の詳細は「車の相続手続き|名義変更の流れと必要書類」でも解説しています。

軽自動車の相続廃車はどう進める?

軽自動車の廃車手続きは普通車に比べて大幅にシンプルです。相続に関する書類(戸籍謄本・遺産分割協議書・印鑑証明書)が不要で、車検証・ナンバープレート・申請依頼書(認印で可)を中心に手続きが完了します。

手続き先と名称の違い

軽自動車の廃車は軽自動車検査協会で行います。手続きの名称も普通車とは異なり、一時抹消は「自動車検査証返納届」、永久抹消は「解体返納」と呼ばれます。

必要書類(軽自動車の場合)

  • 車検証(自動車検査証)
  • ナンバープレート前後2枚
  • 申請依頼書(認印で可)
  • リサイクル券(解体返納の場合)
  • 移動報告番号・解体報告記録日のメモ(解体返納の場合)

軽自動車の廃車では印鑑証明書も実印も不要です(なお、相続による名義変更の場合は別途、死亡と相続関係を確認できる書面が必要になることがあります)。また、軽自動車税には月割還付制度がないため、年度途中で廃車しても税金の還付はありません。4月1日を過ぎると翌年度の軽自動車税が課税されるため、廃車するなら3月末までに手続きを完了するのが得策です。

軽自動車の手続き全般については「軽自動車の名義変更手続き|普通車との違いと必要書類」も参考にしてください。

相続廃車で見落としがちなポイント

手続き自体は書類を揃えれば1日で完了しますが、事前準備の段階でつまずくケースがあります。以下の4点は特に注意が必要です。

所有権留保(ローン中の車)に注意

自動車ローンで購入した車は、車検証の所有者がディーラーやローン会社のままになっていることがあります。この場合、まずローンの残債を清算し、所有権解除(所有者をディーラーから故人名義へ変更)を行ってから相続手続きに入ります。ローン会社に被相続人が亡くなった旨を連絡し、残債の取り扱いと所有権解除の書類を確認しましょう。

遺産分割が終わらないと廃車できない

相続人が複数いて遺産分割協議がまとまらない場合、移転抹消登録を進めることができません。車を使う予定がなくても、自動車税は毎年4月1日時点の車検証上の所有者に課税されるため、協議が長引くと故人宛ての自動車税が発生し続けることになります。車の処分だけでも先に決められるよう、遺産分割協議の中で車に関する取り決めを優先的に話し合うのも一つの方法です。

車検切れ・不動車でも廃車手続きは可能

車検が切れている車や、故障して動かない車でも抹消登録の手続きは問題なく行えます。ただし、車検切れの車は公道を走行できないため、運輸支局まで自走することはできません。レッカー移動するか、仮ナンバー(臨時運行許可)を取得する必要があります。永久抹消であれば、解体業者に引き取りを依頼すれば車を動かす必要もありません。

リサイクル料金の支払状況を確認する

永久抹消登録(解体)の場合、自動車リサイクル料金が未払いだと解体業者への引き渡し時に支払いが発生します。リサイクル券が車に保管されているか確認しましょう。紛失した場合は自動車リサイクルシステムのウェブサイトでリサイクル料金の預託状況を確認できます。

廃車と売却、どちらが得?判断のポイント

相続した車を処分する方法は廃車だけではありません。売却という選択肢もあるため、どちらが経済的に有利かを検討してから手続きに入ることをおすすめします。

判断基準 廃車が向いているケース 売却が向いているケース
車の状態 走行不能・修理費が高額・車検切れ 走行可能・年式が新しい・人気車種
査定額 0〜数万円程度 数十万円以上の値がつく
手間 移転抹消で1回の手続き いったん名義変更→売却先探し→譲渡手続き
費用負担 登録手数料のみ。廃車買取なら無料になることも 登録手数料+車庫証明取得費用が必要

なお、廃車買取業者に依頼すれば、解体費用・レッカー代が無料になるだけでなく、車の金属価値分の買取金額が付くケースもあります。複数の業者に見積もりを取ったうえで判断するとよいでしょう。売却する場合の名義変更手続きは「自動車の名義変更(移転登録)の手続き方法と必要書類」をご確認ください。

よくある質問

Q. 故人名義のまま車を乗り続けてもいいですか?

法律上は名義変更の届出義務がありますが、故人名義のまま走行しても即座に取り締まられるわけではありません。ただし、自動車税の通知が届かなくなる、事故時に保険金の請求でトラブルになる、売却・廃車ができないといった実害があります。相続が確定したら速やかに名義変更か廃車の手続きを行うことをおすすめします。

Q. 相続放棄した場合、車の廃車手続きはどうなりますか?

相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったとみなされるため、車に関する権利も義務もなくなります。相続放棄した人は車の名義変更や廃車の手続きを行うことはできません。相続人全員が放棄した場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、清算人が車の処分を行うことになります。

Q. 遺言書に車の記載がある場合はどうなりますか?

遺言書で車の取得者が指定されている場合は、遺産分割協議書に代えて遺言書を提出します。自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認済証明書も必要です(法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合は検認不要)。公正証書遺言の場合も検認は不要です。

Q. 廃車手続きに期限はありますか?

抹消登録自体に法定の期限はありません。ただし、自動車税は毎年4月1日時点の車検証上の所有者に課税されるため、年度をまたぐと1年分の税金が発生します。使わない車は年度末までに手続きを完了させるのが経済的です。

まとめ

相続した車を廃車にする手続きのポイントを整理します。

  • 普通車は名義変更なしで直接廃車することはできないが、「移転抹消登録」で名義変更と廃車を同日に1回の手続きで完了できる
  • 移転抹消なら車庫証明は不要で、通常の名義変更より手間が少ない
  • 車の査定額が100万円以下なら「遺産分割協議成立申立書」で書類を簡素化できる
  • 軽自動車は廃車であれば相続書類不要で、車検証・ナンバー・申請依頼書(認印可)で手続きが完了する
  • 自動車税は月割で還付されるため、使わない車は早めに手続きするのが得策

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※ 2026年3月時点の道路運送車両法・車庫法に基づく解説です。自治体や管轄運輸支局により手続きが異なる場合があります。

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