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重要事項説明書(35条書面)の必須記載事項一覧|売買・賃貸・中古建物の違いを解説

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不動産の売買や賃貸を扱う宅地建物取引業(宅建業)では、契約が成立するまでの間に、買主や借主へ「重要事項説明書(宅地建物取引業法第35条にもとづくため、いわゆる35条書面)」を交付し、説明する義務があります。本記事では、行政書士の立場から、35条書面の必須記載事項を売買・賃貸・区分所有建物・中古建物の別に整理し、誰がいつ説明するのか、37条書面(契約書面)との違い、書面の電子化(令和4年5月18日から可能)やIT重説(賃貸は平成29年度、売買は令和3年3月30日から本格運用)までを実務目線でわかりやすく解説します。なお、重要事項の説明は宅地建物取引士(宅建士)でなければ行えない事務であり、当事務所が行うのは宅建業免許の取得・開業サポート等の許認可分野です。

重要事項説明書(35条書面)とは

重要事項説明書とは、宅建業法第35条にもとづき、宅建業者が取引の相手方等に対し、契約上重要な事項を記載して交付する書面です。情報量や交渉力で劣りがちな買主・借主を保護し、契約後のトラブルを防ぐことを目的としています。

ここで実務上とても重要なのは、誰がいつ説明するかです。ポイントは次のとおりです。

  • 説明する人:宅建業者に従事する宅地建物取引士(宅建士)が説明します。宅建士でない者は重要事項説明をできません(専任の宅建士である必要はありません)。
  • 説明の時期契約が成立するまでの間(契約締結前)に行います。
  • 宅建士証の提示:説明の際、宅建士は相手方に宅地建物取引士証を提示しなければなりません。
  • 記名:35条書面には宅建業者に従事する宅建士の記名が必要です。

つまり35条書面は、宅建業免許を受けた事業者の宅建士が責任をもって行う手続です。書面の作成・説明自体は行政書士の業務ではない点にご注意ください。

35条書面の必須記載事項一覧|全取引に共通する事項

35条書面の記載事項は、取引が「売買・交換」か「貸借」か、対象が宅地か建物かによって異なりますが、まずは取引の種類を問わず原則として説明が必要な共通事項を押さえましょう。代表的なものは次のとおりです。

  • 登記された権利の種類・内容、登記名義人または表題部所有者の氏名(名称)
  • 法令にもとづく制限(都市計画法・建築基準法等にもとづく制限の概要)
  • 私道に関する負担に関する事項(建物の貸借を除く)
  • 飲用水・電気・ガスの供給および排水のための施設の整備状況
  • 代金・交換差金・借賃以外に授受される金銭(手付金、敷金等)の額および目的
  • 契約の解除に関する事項
  • 損害賠償額の予定または違約金に関する事項
  • 手付金等を受領する場合の保全措置の概要(該当する場合)
  • 支払金・預り金を受領する場合の保全措置の概要(該当する場合)
  • 当該宅地・建物が水防法にもとづく水害ハザードマップ上のどこに所在するか
  • 石綿(アスベスト)使用の有無の調査結果が記録されているときはその内容
  • 建物について耐震診断を受けているときはその内容(一定の旧耐震建物が対象)

これらは「物件そのものに関する情報」と「取引条件(お金・契約)に関する情報」に大別すると整理しやすくなります。

建物の貸借(賃貸)に特有の記載事項

賃貸借契約では、入居後の生活ルールや退去時の精算に直結する事項の説明が重視されます。建物の貸借に特有の主な記載事項は次のとおりです。

  • 台所・浴室・便所その他の設備の整備状況
  • 契約期間および契約の更新に関する事項
  • 定期借家・終身建物賃貸借など、契約の種類・更新の有無に関する事項
  • 用途その他の利用の制限に関する事項(事業用利用の可否、ペット飼育・楽器使用の可否等)
  • 敷金その他契約終了時に精算される金銭の精算に関する事項
  • 管理が委託されているときは、管理を委託された者の氏名(商号・名称)および住所

退去時の原状回復や敷金精算をめぐるトラブルは賃貸で特に多いため、これらの記載は実務上きわめて重要です。

区分所有建物(マンション等)に特有の記載事項

分譲マンションのような区分所有建物では、共用部分や管理組合のルールが居住者全体に関わるため、追加の説明事項が定められています。主なものは次のとおりです。

  • 敷地に関する権利(敷地利用権)の種類・内容
  • 共用部分に関する規約の定め(その案を含む)
  • 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(事業用禁止、ペット禁止等)
  • 専用使用権(専用庭・駐車場等)に関する規約の定め
  • 計画的な維持修繕のための費用(修繕積立金等)に関する規約の定めと既に積み立てられている額
  • 通常の管理費用の額
  • 管理が委託されているときは、その委託先の氏名(名称)・住所
  • 建物の維持修繕の実施状況が記録されているときはその内容

中古建物(既存建物)に特有の記載事項

中古住宅の取引では、建物の状態に関する情報提供が重視され、次の事項が記載対象となります。

  • 建物状況調査(インスペクション)を、原則として実施後1年以内(鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等は2年以内)に実施しているかどうか、実施しているときはその結果の概要
  • 設計図書・点検記録その他、建物の建築・維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況

これらは買主が建物の劣化状況やリフォームの要否を判断するうえで重要な手がかりとなります。なお、建物状況調査の対象期間について、共同住宅等の取扱い(2年以内)は令和6年4月1日施行の改正で整理された点に留意してください。

35条書面と37条書面の違いを比較|電子化・IT重説の対応状況

実務でよく混同されるのが、35条書面と37条書面(契約締結後に交付する契約書面)の違いです。要点を表で整理します。

項目 35条書面(重要事項説明書) 37条書面(契約書面)
交付・説明の時期 契約成立 契約成立
説明義務 あり(宅建士が説明) なし(交付すれば足りる)
宅建士証の提示 必要 不要
宅建士の記名 必要 必要

また、デジタル社会形成整備法による宅建業法の改正により、令和4年5月18日から、35条書面・37条書面について宅建業者(宅建士)の押印は不要となり、相手方の承諾を得れば電磁的方法(電子書面)による提供が可能になりました。あわせて、テレビ会議等を用いたIT重説(ITを活用した重要事項説明)も認められています。電子交付には相手方の事前の承諾が必要であり、書面の電子化とIT重説は別の制度である点に注意が必要です。

宅建業を始める・許認可でお困りの方へ

重要事項説明そのものは宅建業免許を受けた事業者の宅建士が行う業務ですが、その前提となる宅地建物取引業免許の取得や、不動産業の開業に伴う建設業許可・会社設立などの許認可は、行政書士の職域です。当事務所では、宅建業免許申請や開業準備に関する許認可について、必要に応じて司法書士・税理士・弁護士等の提携専門家と連携してご対応します。宅建業免許に関するご相談はこちらから、まずはお気軽にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

重要事項説明書(35条書面)は、契約成立前に宅建士が宅建士証を提示して説明し、記名する書面です。記載事項は、全取引共通の事項(権利関係・法令制限・お金・解除等)に加え、賃貸・区分所有建物・中古建物それぞれに特有の事項が定められています。令和4年5月18日からは押印不要・電子提供・IT重説も可能です。書面の作成・説明は宅建業者の宅建士が担う業務であり、当事務所は宅建業免許の取得など許認可面でサポートします。

重要事項説明書(35条書面)に関するよくある質問

Q:重要事項説明書は誰が説明しなければなりませんか。

A:宅建業者に従事する宅地建物取引士(宅建士)が説明します。宅建士でない従業者が重要事項説明を行うことはできません。専任の宅建士である必要はありませんが、説明の際は宅建士証を相手方に提示する必要があります。

Q:重要事項説明はいつ行いますか。

A:契約が成立するまでの間(契約締結前)に行います。これに対し、契約書面である37条書面は契約成立後に交付します。

Q:重要事項説明書に押印は必要ですか。電子書面でもよいですか。

A:令和4年5月18日の改正以降、宅建業者(宅建士)の押印は不要で記名で足ります。相手方の承諾を得れば電磁的方法(電子書面)による提供も可能で、テレビ会議等を使ったIT重説も認められています。

Q:35条書面と37条書面はどう違いますか。

A:35条書面は契約前に交付・説明する重要事項説明書で説明義務があります。37条書面は契約後に交付する契約内容を記載した書面で、交付義務はありますが説明義務はありません。いずれも宅建士の記名が必要です。

Q:行政書士に重要事項説明書の作成を依頼できますか。

A:重要事項説明書の作成・説明は宅建業免許を受けた事業者の宅建士が行う業務であり、行政書士が代わりに行うことはできません。当事務所では、宅建業免許の取得や開業手続といった許認可分野でサポートします。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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