「代表者の登記が終わったので、手続きは完了」。宅建業の会社では、ここで止めてしまわないことが大切です。会社の登記と、宅建業免許の変更届は別の手続き。代表者・役員に変更が生じたら、原則として変更日から30日以内に、免許行政庁へ届け出ます。
急いでいるときほど、まず確かめたいのは「誰が、いつ、どの役職から変わったか」です。登記が完了した日を起点にすると、期限の見込みを誤ることがあります。この記事では東京都知事免許の法人を中心に、総務担当者が準備する順番を整理します。
変更日と免許番号が分かれば、準備を始められます
行政書士法人Treeでは、宅建業免許の変更届の書類作成・申請手続きを承ります。新旧役員の情報、議事録等で定めた変更日、現在の免許番号をお知らせください。必要な資料と依頼費用をご案内します。
目次
登記と宅建免許の変更届を、別々の予定に入れる
宅地建物取引業法第9条は、業者名簿の一定の事項に変更があった場合の届出を定めています。法人の代表者や役員の異動も確認対象です。法務局で登記を済ませても、その情報が自動的に宅建業免許の届出として処理されるわけではありません。
東京都の手引では、登記が必要な変更は先に登記を済ませ、その後に書類をそろえて届け出る流れです。一方、30日の計算に使う変更日は、登記した日ではなく、議事録等で定めた変更日。登記の準備と同時に宅建免許の必要書類も確認することで、登記完了後に証明書の取り寄せを始める遅れを避けられます。
| 確認すること | 担当者が押さえるポイント |
|---|---|
| 会社の登記 | 登記が必要な異動か、申請と証明書取得の予定を確認 |
| 宅建免許の変更届 | 実際の変更日と届出期限、変更前後の役員構成を確認 |
| 免許証の書換え | 代表者変更など、免許証の記載内容にも変更があるか確認 |
| 専任宅建士の手続き | 役員異動と同時に専任の勤務先・設置状況も変わるか確認 |
商業登記申請の代理を依頼する場合は司法書士へ、宅建免許の変更届の作成・提出代理は行政書士へ、と依頼先を分けます。「同じ会社の変更だから一つの申請で済む」と考えないことが出発点です。
30日の起算日は、変更を決めた資料で確認する
最初に一枚のメモを作り、変更対象者の氏名、旧役職、新役職、就任・退任日を記入してください。代表者を退任して取締役に留まる場合と、会社の役員から完全に退く場合では、変更後の役員一覧が異なります。退任者の名前を全て消してしまうと、実際の登記内容との食い違いが生まれます。
例えば「役員の交代日」と「新しい代表者の就任日」が異なるなら、ひとまとめに同じ日を書くのではなく、それぞれの変更を整理します。これは日付を自由に選べるという意味ではありません。議事録等と登記事項証明書の記載を照合し、実際の事実に合わせるための作業です。
すでに30日を過ぎている、登記が間に合わない、変更日が資料によって違う。その場合は、更新申請の時まで放置せず、免許行政庁へ提出方法を確認してください。期限を過ぎたから届出を省略してよいわけでも、提出日をさかのぼって記載してよいわけでもありません。
新任・退任・役職変更で、集める書類を分ける
必要書類を新任役員全員に一律送付する前に、変更の種類を分けましょう。東京都の「変更届出等書類一覧説明書」は、代表者、役員、政令使用人、専任宅建士などを区別しています。以下は準備のための確認項目であり、この表だけで提出書類一式が完成するものではありません。
| 変更の内容 | 優先して確認する資料 |
|---|---|
| 代表者が交代 | 新旧の代表者と変更日が分かる登記資料、変更届、書換え交付申請の要否 |
| 取締役・監査役等が新たに就任 | 登記資料、略歴書、身分証明書、登記されていないことの証明書等の該当書類 |
| 役員が退任 | 退任の事実・日付が分かる登記資料、変更後の役員構成 |
| 取締役から監査役などへ役職変更 | 変更届の記載事項と略歴書など、役職変更に応じた資料 |
登記事項証明書は「履歴事項全部証明書」を確認
東京都は、役員変更について現在事項全部証明書では受け付けないと案内しています。履歴事項全部証明書で就任・退任日を確認できなければ、閉鎖事項全部証明書も必要です。今いる役員だけが分かる証明書では、今回の変更前後を証明しきれない場合があります。
官公庁の証明書類は、東京都の手引では受付日現在で発行から3か月以内の原本が原則です。先に取得しすぎると、登記や届出の準備をしている間に取り直しとなることもあります。変更内容を固めてから、提出予定日に合わせて取得するほうが無駄を減らせます。
専任宅建士の書類省略を、役員にも当てはめない
専任宅建士については、2024年5月25日以降、免許申請等で身分証明書と登記されていないことの証明書の提出が不要になりました。しかし、代表者・役員等についてまで一律に不要になったわけではありません。新任役員が宅建士資格を持っている場合も、「宅建士だから不要」と判断しないでください。
逆に、従前から届け出ている役員が別の役職へ変わる場合などは、新任者と同じ資料を全部取り直すかどうかを一覧表で確認します。不要な証明書まで集めることと、必要な証明書を省いてしまうことの両方を避けたいところです。
代表者変更と専任宅建士の異動を取りこぼさない
代表者変更では、変更届に加えて免許証書換え交付申請を確認します。社内で書類を準備する人と、免許証原本を保管する人が別なら、原本の所在も早めに押さえましょう。変更届を出した後で免許証が見つからず、書換えの準備が止まるのを防ぐためです。
また、代表者や役員が専任宅建士を兼ねていると、役員変更だけでは整理できない場合があります。勤務先の変更を伴う専任宅建士の異動では、資格登録簿の変更登録と、宅建業者側の届出を区別します。東京都の手引は、勤務先等の変更登録をあらかじめ行うよう案内しています。
人数・常勤性などの要件は、専任宅建士の設置と従業者数の数え方を確認してください。役員変更と合わせて支店設置も予定しているなら、事務所ごとの営業保証金・保証協会の手続きも別に確認が必要です。
よくある質問
役員登記が終われば、宅建免許の届出は不要ですか?
不要にはなりません。会社の登記と宅建業免許の変更届は別です。届出対象の変更があれば、免許行政庁への手続きも行います。
30日は登記が完了した日から数えますか?
東京都の手引では、登記した日ではなく議事録等で定めた変更日です。就任・退任等の実際の変更日を資料で確認してください。
退任する役員だけの場合も、届出が必要ですか?
役員の退任も変更届の確認対象です。変更前後の役員と退任日が分かる資料をそろえ、該当する届出書類を東京都等の手引で確認します。
代表者が変わると、宅建免許を取り直す必要がありますか?
同じ法人の代表者が変わるだけなら、通常は代表者変更の届出と免許証書換えを確認します。別法人への事業移転や個人から法人への切替えとは区別してください。
新しい代表者が専任宅建士なら、証明書は省略できますか?
専任宅建士としての書類省略と、代表者・役員として必要な資料は別です。代表者等の身分証明書などまで一律に不要とは判断できません。
登記と宅建免許の手続きをまとめてTreeに頼めますか?
Treeが承るのは宅建免許の変更届など行政書士の業務です。商業登記申請の代理は司法書士の業務として分けます。宅建免許側に必要な資料と日程は、ご相談時に確認できます。
役員変更の書類を、提出できる形に整えたい方へ
Treeの宅建業免許の変更届は33,000円(税込)から。変更内容と対象人数を確認して見積もりをご案内します。官公庁の証明書取得費・郵送費などの実費は別途です。東京都の変更届自体の手数料は無料ですが、書類作成・提出を依頼する報酬とは別になります。
- 変更前後の役員構成と届出事項を確認
- 現行様式による変更届書類の作成
- 書換え・専任宅建士の関連手続きを確認
まとめ
役員変更の宅建免許届出は、会社登記とは別です。東京都では登記が必要な変更を先に登記したうえで届け出ますが、30日の起算日は登記完了日ではなく実際の変更日。異動が決まった段階で、両方の予定を組んでおくと準備を進めやすくなります。
新任、退任、役職変更を区別し、履歴事項全部証明書で日付を確認してください。代表者変更なら免許証の書換え、専任宅建士の異動もあれば資格登録側の手続きまで確認します。書類を集める前に対象を整理することが、取り直しを減らす近道です。
Treeへご相談の際は、免許番号、変更日、新旧役員の情報をお知らせください。宅建免許の変更届の作成・提出について、必要な資料と費用をご案内します。登記申請の担当も別に確認し、変更日からの期限に間に合う準備を進めましょう。
根拠・参考資料
2026年10月2日確認。東京都以外の免許、大臣免許では管轄の最新手引を確認してください。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


