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「営業所技術者等(旧・専任技術者)が退職したが変更届を忘れていた」「次の更新まで放置しても大丈夫か?」「後任の実務経験証明書が間に合わない」——建設業許可の営業所技術者等の変更は、届出期限を守らないと指示処分・営業停止処分のリスクがあります。本記事では、建設業法上の変更届出義務、令和6年12月13日改正による「営業所技術者等」への用語変更、営業所技術者等変更時の2週間以内の届出、後任者の資格確認、不在期間の取扱い、未届出時の罰則、JCIP電子申請の活用まで、行政書士が実務目線で解説します。
本記事の結論:
- 営業所技術者等を変更した場合は、原則として変更後2週間以内に変更届出が必要です(建設業法第11条第4項、同法施行規則第7条の2)。
- 未届出は建設業法上の届出義務違反として指示処分・営業停止処分・罰則等の対象となります。
- 令和6年12月13日改正で「専任技術者」は「営業所技術者等」に名称変更されました。
- 後任者の資格要件確認・実務経験証明書の準備・常勤性立証が必要であり、営業所技術者等を欠いた状態が生じると許可要件を満たさない状態となるため、許可取消しや一部廃業等の検討が必要となる場合があります。
- なお、「2週間以内」は商号・営業所所在地・資本金等の変更(建設業法第11条第1項、30日以内)よりも厳格な期限で、許可の根幹である人的要件の変更について迅速な届出が求められるためです。
目次
建設業許可の営業所技術者等(旧・専任技術者)とは|概要・法的根拠
建設業許可における営業所技術者等は、建設業法第7条第2号(一般建設業の営業所技術者)および第15条第2号(特定建設業の特定営業所技術者)で設置が義務付けられた人的要件です。営業所技術者等を欠いた状態は許可要件の欠落に該当します。
「営業所技術者等」は、営業所技術者(建設業法第7条第2号、一般建設業)及び特定営業所技術者(建設業法第15条第2号、特定建設業)の総称です。
令和6年12月13日改正
令和6年12月13日施行の改正建設業法により、以下の変更がありました。
- 「専任技術者」→「営業所技術者等」に名称変更(建設業法第7条第2号・第15条第2号)
- 専任現場兼務特例の新設(建設業法第26条の5):営業所技術者等が一定要件を満たす専任工事の主任技術者等を兼務可能に
- 当該営業所において締結された工事
- 請負金額1億円(建築一式工事の場合は2億円)未満
- 営業所と工事現場の距離が1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内
- 直接的かつ恒常的な雇用関係
- 連絡員の配置・情報通信技術の活用・人員配置計画書
申請書類・行政指導通知でも順次新称に置き換わっています。
営業所技術者等変更届の提出期限|2週間以内の法的根拠と注意点
営業所技術者等の変更があった場合の届出は、建設業法第11条第4項および同法施行規則第7条の2に基づき、変更後2週間以内に行わなければなりません。未届出は同法第50条(6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の対象となり、指示処分・営業停止処分にもつながります。
建設業法上の届出期限の3区分
建設業法第11条は、変更内容により3つの届出期限を定めています。
| 期限 | 対象事由 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 2週間以内 | 営業所技術者等(旧・専任技術者)の変更、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の変更、建設業法施行令第3条に規定する使用人(支店長等)の変更、健康保険等の加入状況変更 | 建設業法第11条第4項・第5項 |
| 30日以内 | 商号・名称、営業所所在地・名称・電話番号、登記上の本店、資本金額、役員氏名(変更のみ)、営業所の新設・廃止・移転、役員の就任・退任・交代、支配人の新設・変更・廃止 | 建設業法第11条第1項 |
| 事業年度終了後4か月以内 | 決算変更届(工事経歴書・財務諸表等) | 建設業法第11条第2項 |
営業所技術者等の変更は「許可の根幹に関わる人的要件の変更」として、商号・営業所等の変更(30日以内)よりも厳格な「2週間以内」の期限が設けられています。
変更届の対象事由
| 変更事項 | 届出期限 |
|---|---|
| 営業所技術者等の変更(追加・削除・変更) | 変更後2週間以内 |
| 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の変更 | 変更後2週間以内 |
| 建設業法施行令第3条に規定する使用人の変更 | 変更後2週間以内 |
| 役員等の就任・退任・氏名変更 | 変更後30日以内 |
| 営業所の新設・廃止・所在地変更 | 原則30日以内(営業所技術者等や令3条使用人の配置・変更を伴う場合は2週間以内書類も確認) |
| 商号・代表者氏名・営業所名称の変更 | 変更後30日以内 |
| 資本金額の変更 | 変更後30日以内 |
| 決算終了後の決算変更届 | 事業年度終了後4か月以内 |
変更届の要件・プロセス
- ✔ 新たな営業所技術者等が資格要件(国家資格または実務経験10年等)を満たすこと
- ✔ 営業所ごとに専任で勤務できること(他社兼務・遠隔地勤務は原則不可)
- ✔ 変更届出書(様式第22号の2)その他、変更内容に応じた届出書類の作成
- ✔ 営業所技術者等証明書(様式第8号)の作成(追加・削除・担当業種変更・営業所変更等に応じて区分・記載内容を確認)
- ✔ 資格証明書・実務経験証明書等の添付
- ✔ 常勤性を証する書類(健康保険・厚生年金保険の資格取得確認資料、資格確認書、資格情報のお知らせ、標準報酬決定通知書、賃金台帳、出勤簿等)
- ✔ 許可行政庁(都道府県知事・国土交通大臣)への提出
営業所技術者等の資格要件(再確認)
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 一般建設業の営業所技術者(建設業法第7条第2号) | 許可業種に対応する国家資格等、10年以上の実務経験、または指定学科卒業後の所定年数の実務経験等。資格区分・指定学科・実務経験年数は業種ごとに確認 |
| 特定建設業の特定営業所技術者(建設業法第15条第2号) | 原則として許可業種に対応する1級国家資格者等、または一般建設業の営業所技術者等要件に加えて所定の指導監督的実務経験を有する者。ただし指定建設業では、原則として1級国家資格者等が必要 |
令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正
- 特定建設業許可を要する下請代金額の下限:4,500万円→5,000万円(建築工事業は7,000万円→8,000万円)
- 主任技術者・監理技術者の専任要件金額:4,000万円→4,500万円(建築一式工事は8,000万円→9,000万円)
上記改正により、特定建設業許可の判断基準・配置技術者の専任要件金額が変更されています。営業所技術者等の選任時は、改正後の金額基準に基づいて配置体制を再検討することが重要です。
営業所技術者等変更届の必要書類|様式第8号・実務経験証明書・常勤性資料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 変更届出書(様式第22号の2) | 変更内容を記載 |
| 営業所技術者等証明書(様式第8号) | 新任者の配置を証明 |
| 営業所技術者等一覧表等 | 変更後の営業所・担当業種・技術者配置を整理(行政庁の手引きにより要否確認) |
| 資格証明書または実務経験証明書 | 合格証・卒業証明等 |
| 常勤を証する書類 | 健康保険・厚生年金保険の資格取得確認資料、資格確認書、資格情報のお知らせ、標準報酬決定通知書、賃金台帳、出勤簿、住民票等 |
| 退任者の確認書類 | 退任日を確認できる資料(退職届、退職証明書、辞令、雇用保険資格喪失関係資料等。行政庁の手引きにより確認) |
| 担当業種・営業所業種を変更する場合 | 営業所技術者等証明書の区分、営業所一覧、営業所の業種追加・廃止、一部廃業届等の要否を確認 |
料金
法定手数料
変更届出書の提出に法定手数料はかかりません(無料)。
行政書士法人Treeの代行報酬(税込)
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 変更届(営業所技術者等変更) | 27,500円 |
| 変更届(複数事項同時) | 個別見積 |
| 建設業許可(新規・知事) | 110,000円+決算書確認22,000円 |
| 建設業許可(更新・知事) | 55,000円 |
未届出のリスク
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 指示処分 | 建設業法第28条に基づく監督処分 |
| 営業停止処分 | 悪質な場合は1年以内の営業停止 |
| 許可取消 | 営業所技術者等を欠いた状態は許可要件不充足となるため、許可取消し・一部廃業等のリスク(建設業法第29条) |
| 更新時の不利益 | 更新申請時に過去の届出懈怠が指摘される、更新申請が受理されない場合あり |
| 罰則(主) | 建設業法第50条第1項第2号:変更届出書の不提出または虚偽記載は6月以下の拘禁刑(2025年6月1日改正前は懲役)または100万円以下の罰金 |
営業所技術者等が退職・後任不在の場合の対応|一部廃業・許可取消リスク
営業所技術者等の退職と後任者の選任に時間差がある場合、以下の対応を検討します。
1. 暫定対応
- 社長・代表者等が資格要件・常勤性・専任性を満たす場合は、営業所技術者等として配置できる可能性があります(営業所ごとの専任性の確保が必要、複数営業所兼任は不可)
- 同社内の有資格者の異動・新規配置(変更後の営業所で常勤・専任となること、元の営業所で技術者不在や担当業種不足が生じないことを確認)
- 新規採用の急ぎ手配
- 2週間以内の届出義務は不在期間中も変わらない(後任が決まってからの届出ではなく、変更時点で速やかに)
2. 廃業・許可返納
- 後任者選任が困難な場合は廃業届
- 該当業種のみの一部廃業も可能
- 建設業法第12条による廃業届出
3. 工事継続の制約
- 営業所技術者等を欠く状態では、許可業種に係る営業体制が許可要件を満たさないため、新規契約・営業活動・更新申請等に重大な支障が生じます
- 既存工事についても、現場配置技術者の要件、請負契約の履行、営業所の許可要件不充足による監督処分リスクを個別に確認
- 不在状態の長期化は許可取消リスク
JCIP電子申請で営業所技術者等変更届を提出する方法|GビズIDと添付書類
2023年1月10日に国土交通大臣許可分から運用開始されたJCIPにより、変更届出書の電子申請が可能となりました(都道府県知事許可分は2023年4月以降段階的に運用開始)。ただし、対応する許可行政庁・手続・添付書類の取扱いは確認が必要です。
- GビズIDプライム(または委任を受けたGビズIDメンバー)の取得が必要
- GビズIDプライム:法人代表者・個人事業主が取得(印鑑登録証明書等が必要)
- GビズIDエントリー(簡易版)はJCIP電子申請には使用不可
- 添付書類はPDF化して電子提出
- 申請状況の進捗確認も電子で可能
- 過去の申請履歴も電子保管
よくあるケース
- 中小建設会社で営業所技術者等が定年退職し、後任の実務経験証明が間に合わない
- 常勤役員等を兼務していた場合の同時変更
- 新規採用者の資格要件確認
- 営業所新設・廃止に伴う技術者再配置
- 業種追加に伴う追加技術者選任
- 退職した営業所技術者等が同業他社へ転職した場合の届出
よくある質問
Q1. 届出が遅れた場合どうなりますか?
届出懈怠として行政庁から事情説明や是正対応を求められるほか、悪質な場合は指示処分・営業停止処分等の監督処分が問題となります。建設業法第50条第1項第2号により、変更届出書の不提出または虚偽記載は6月以下の拘禁刑(2025年6月1日改正前は懲役)または100万円以下の罰金の対象となります。実務上は数日の遅れで直ちに罰則適用となることは稀ですが、長期間放置や度重なる遅延、悪質と判断された場合は処分の対象となり得ます。最も実務的なリスクは、変更届が出ていない状態では5年ごとの許可更新や業種追加の申請が受理されないことです。気付き次第速やかに届出することが重要です。
Q2. 後任がすぐ決まらない場合は?
営業所技術者等不在の状態が生じると許可要件を欠くため、後任者の選任、営業所間の配置見直し、一部業種の廃業、廃業届等を検討する必要があります。暫定的に代表者等を配置する場合も、資格要件・常勤性・専任性を満たすか確認します。
Q3. 変更届と更新申請が近接している場合は?
営業所技術者等の変更は原則2週間以内に届出が必要であり、更新申請が近い場合でも放置はできません。更新申請書には最新情報を反映し、変更届との提出方法・同時提出の可否は許可行政庁の運用を確認します。
Q4. 退職届と新任者の選任日が同日でも届出は必要ですか?
はい、変更があれば届出義務が発生します。退任と就任を1通の届出で対応可能です。
Q5. JCIP電子申請で変更届を出せますか?
JCIPに対応している許可行政庁・手続であれば、変更届を電子申請できる場合があります。GビズIDプライムの取得が必要であり、添付書類や原本確認の取扱いは行政庁の運用を確認します。
Q6. 過去の届出懈怠が今になって判明したらどうすればいいですか?
速やかに変更届を提出し、行政庁の指導を受けます。隠蔽は更に悪質性が高まるため避けてください。
Q7. 営業所技術者等の住所変更も届出が必要ですか?
営業所技術者等個人の住所変更自体は、通常、建設業法上の変更届対象ではありません。ただし、営業所への通勤可能性や常勤性に影響する場合は、許可行政庁から確認資料を求められる可能性があります。営業所所在地の変更は届出対象です(30日以内)。
Q8. 業種追加と営業所技術者等変更が同時の場合は?
業種追加申請では、追加業種に対応する営業所技術者等の資格要件・担当業種を確認する必要があります。業種追加申請、営業所技術者等証明書、担当業種変更届等の提出方法・順序は許可行政庁の運用に合わせて整理します。
Q9. 営業所技術者等の変更届出はなぜ「2週間以内」と短期間なのですか?
建設業法第11条第4項により、営業所技術者等(旧・専任技術者)・常勤役員等(旧・経営業務管理責任者)・令第3条の使用人(支店長等)の変更は2週間以内とされています。これらは許可の必須要件を満たすための中核となる人物であり、変更や欠如は許可の存続に関わる重大な事態とみなされるため、商号・営業所等の変更(30日以内、第11条第1項)よりも厳格な期限が設けられています。
Q10. 令和6年12月13日改正による営業所技術者等の現場兼務特例とは?
令和6年12月13日施行の改正建設業法第26条の5により、営業所技術者等が一定要件を満たす専任工事の主任技術者等を兼務できるようになりました。要件は当該営業所において締結された工事、請負金額1億円(建築一式工事の場合は2億円)未満、営業所と工事現場の距離が1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内、直接的かつ恒常的な雇用関係、連絡員の配置・情報通信技術の活用・人員配置計画書等です。後任技術者選任の柔軟性が向上しました。
Q11. 令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正の主任技術者専任要件は?
令和7年2月1日施行の改正により、主任技術者・監理技術者の専任要件金額が4,000万円→4,500万円(建築一式工事は8,000万円→9,000万円)に引上げられました。同時に、特定建設業許可を要する下請代金額の下限も4,500万円→5,000万円(建築工事業は7,000万円→8,000万円)に引上げられています。両者は別の論点なので混同しないよう注意が必要です。営業所技術者等の選任時は改正後の基準に基づいた配置体制の再検討が重要です。
Q12. JCIP電子申請に必要なGビズIDはどの種類ですか?
JCIP電子申請にはGビズIDプライム(または委任を受けたGビズIDメンバー)が必要です。GビズIDプライムは法人代表者・個人事業主が取得(印鑑登録証明書等が必要)し、GビズIDエントリー(簡易版)はJCIP電子申請には使用不可です。GビズIDプライムの取得には申請から1〜2週間程度かかるため、JCIP活用を検討する場合は事前取得を推奨します。
Q13. 健康保険証廃止(2025年12月2日)後の常勤性立証はどうなりますか?
2025年12月2日以降、健康保険証は廃止され、マイナンバーカードの健康保険証利用に統一されました(現行健康保険証は経過措置で2026年12月1日まで使用可能)。常勤性立証書類として、(1)マイナポータルからダウンロードした被保険者情報、(2)健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書、(3)住民税特別徴収税額通知書等が活用可能です。
行政書士法人Tree|建設業許可サポート
変更届27,500円(税込)/新規110,000円(税込/知事)/更新55,000円(税込/知事)。
標準的なサポート:
変更届・経審・業種追加までワンストップ対応。
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建設業許可申請でよくある不備事例は建設業許可申請でよくある不備事例、営業所技術者等の兼務ルールは営業所専任技術者の兼務ルール、決算変更届は建設業の決算変更届もあわせてご参照ください。
まとめ
- 営業所技術者等(旧・専任技術者)の変更届は建設業法第11条第4項により2週間以内(商号・営業所等の変更30日以内よりも厳格)
- 令和6年12月13日改正で「営業所技術者等」へ用語変更(同改正で専任現場兼務特例も導入)
- 未届出は事情説明・是正対応、指示処分・営業停止処分、罰則・過料等のリスク。罰則は建設業法第50条(6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)
- 営業所技術者等を欠く状態は許可要件不充足となり、許可取消し・一部廃業等のリスク
- 後任者の資格要件・常勤性確認が必須
- JCIP電子申請の活用が進む(GビズIDプライムの取得が必要)
- 変更届出書の法定手数料は無料
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。