告訴状関連

ギフトカード詐欺で番号を教えた場合|刑法246条・246条の2どちらで告訴するか

更新: 約9分で読めます

結論から言えば、コンビニでギフトカード(プリペイドカード)を買わせ、その番号を電話やメールで送らせる「番号要求型」の被害は、原則として刑法246条2項の詐欺罪(人を欺いて財産上不法の利益を得させる利益詐欺)で構成し、246条の2の電子計算機使用詐欺罪は当てはまらない場面が多い、というのが実務上の整理です。番号を読み上げさせる時点で「人(被害者)」がだまされているため、コンピュータを直接欺く類型である246条の2とは成立場面が異なるからです。行政書士法人Treeは、こうした被害について、警察署長宛ての告訴状・告発状の書面作成を通じてサポートします。ただし、行政書士が行えるのは警察署長宛ての書類作成までで、検察庁宛ての告訴状・告発状の作成は司法書士・弁護士の業務であり、提出先の選定に関する法的助言、受理後の捜査対応、示談交渉、刑事代理は弁護士の業務です。事案の見立てや受理に向けた折衝が必要な場合は、弁護士と連携してご案内します。

ギフトカード(プリペイドカード)番号要求型詐欺とはどのような手口か

典型的には、有料サイトの未納料金・サブスクリプションの未払い・当選金の手数料などを口実に、「本日中に連絡しなければ法的手続に移行する」などと不安をあおり、コンビニで特定ブランドのギフトカードを購入させたうえで、カード裏面の番号(10数桁の英数字)を電話で読み上げさせる、あるいは裏面を撮影した画像を送らせる、という流れをとります。サーバ型のプリペイドカードは、カード現物がなくても番号さえあればオンライン上で価値を利用できるため、番号を伝えることは事実上、金銭価値そのものを渡すことと同義です。

近年は、サポート詐欺(偽の警告画面)や国際ロマンス詐欺、なりすましメールなど、入口の口実が多様化しています。番号がいったん相手に渡ると換金・転売が一瞬で完了するため、返金はきわめて困難です。消費生活相談の現場でも、偽の警告表示にだまされてプリペイド型電子マネーで支払わされる被害が繰り返し注意喚起されています(独立行政法人国民生活センター「消費生活相談に関連する刑法」https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202404_13.pdf)。

刑法246条の詐欺罪(1項・2項)の構成と番号要求型の構成

刑法246条1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する」と定めます。同条2項は、財物ではなく「財産上不法の利益」を得た場合(利益詐欺)を同じ刑で処罰します。詐欺罪の成立には、一般に①欺く行為(欺罔)、②相手方の錯誤、③錯誤に基づく交付行為、④財産の移転、という一連の因果の流れが必要とされます。

ギフトカード番号要求型の被害では、犯人の虚偽の口実(欺罔)→被害者が「支払わなければならない」と誤信(錯誤)→カードを購入し番号を伝える(交付行為)→価値の移転、という流れが認められやすく、番号が表章する電子マネーの利用権という「財産上不法の利益」を得る行為として246条2項(利益詐欺)で構成するのが基本線です。もっとも、カード現物そのものを郵送させるなど財物の交付が認められる事案では246条1項で構成することもあります。なお、令和7年6月1日施行の刑法改正により「懲役」と「禁錮」が「拘禁刑」に一本化されており、現在の法定刑表記は「拘禁刑」です。条文の最新表記はe-Gov法令検索でご確認ください(https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045)。

刑法246条の2(電子計算機使用詐欺罪)の適用可否

刑法246条の2は、「前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」を10年以下の拘禁刑に処すると定めます。昭和62年改正で新設された、コンピュータ犯罪に対処するための類型です。

ポイントは、詐欺罪が「人」を欺くのに対し、電子計算機使用詐欺罪は「機械(電子計算機)」に虚偽の情報等を与える点にあります。両者は欺かれる対象が人か機械かで切り分けられます。ギフトカード番号要求型では、まさに「人である被害者」が欺かれて番号を伝えているため、犯人が被害者をだます局面は246条1項の問題であり、246条の2が当てはまる典型ではありません。

もっとも、だまし取った番号やデータを犯人がその後どのように使うかによっては、別の局面で246条の2が問題になり得ます。たとえば、不正取得したカード情報・残高情報を決済会社のシステムに入力して電子マネーの利用権を取得したような事案を電子計算機使用詐欺と評価した裁判例もあります。どの条文で構成するかは、事実関係を時系列で分解して検討する必要があります。

区分 刑法246条1項・2項(詐欺) 刑法246条の2(電子計算機使用詐欺)
欺かれる対象 人(被害者など) 電子計算機(機械)
典型場面 番号を読み上げさせる・送らせる システムに虚偽情報を入力して利益取得
法定刑 10年以下の拘禁刑 10年以下の拘禁刑

告訴と告発の違い・どちらで申し立てるか

「告訴」は、犯罪により害を被った被害者など告訴権者が、捜査機関に対し犯罪事実を申告して処罰を求める意思表示で、刑事訴訟法230条が根拠です。これに対し「告発」は、犯人でも被害者でもない第三者が行うもので、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」と刑事訴訟法239条1項が定めます。公務員はその職務上犯罪を認知したとき告発義務を負います(同条2項)。

  • 刑事訴訟法上、告訴・告発は書面または口頭で検察官または司法警察員に対して行えます(刑事訴訟法241条1項)。ただし、行政書士法人Treeが作成できるのは警察署長宛ての告訴状・告発状に限られ、検察庁宛ての告訴状・告発状の作成は司法書士・弁護士の業務範囲となります。
  • 親告罪の告訴には、犯人を知った日から6か月という期間制限があります(刑事訴訟法235条1項)。詐欺罪は原則として親告罪ではないため、この6か月の制限は及びませんが(もっとも、犯人が配偶者・直系血族・同居の親族以外の親族である場合は、刑法251条・244条2項により親告罪となります)、証拠の散逸を防ぐため早期の申立てが望まれます。

ギフトカード番号要求型詐欺は、ご自身が被害者であれば告訴、第三者の立場で被害を把握した場合は告発という整理になります。

ギフトカード詐欺の告訴状に書くべき内容と必要な証拠資料

告訴状は、捜査機関が事案を把握しやすいよう、犯罪事実を5W1Hで具体的に特定することが重要です。番号要求型では、次のような要素を時系列で整理します。

  • 連絡の経緯(最初に届いたメール・SMS・電話の内容と日時)
  • 購入を指示されたギフトカードのブランド・金額・購入店舗・購入日時
  • 番号を伝えた方法(電話で読み上げ/画像送信など)と回数・合計金額
  • 相手の連絡先(電話番号・メールアドレス・SNSアカウント等)
  • 該当し得る罪名(刑法246条2項等)と処罰を求める意思の表示

あわせて、購入時のレシート、カードのパッケージ、相手とのメール・SMS・通話履歴、振込やチャージの記録、画面のスクリーンショットなどを保全してください。これらは事実の裏づけとして極めて重要です。被害直後は、ギフトカード発行会社のサポート窓口や、最寄りの警察、消費生活センター(消費者ホットライン188)への相談も並行して検討してください。

ギフットカード詐欺の告訴状・告発状作成サポート

行政書士法人Treeでは、ギフトカード(プリペイドカード)番号要求型詐欺をはじめとする詐欺被害について、告訴状・告発状の作成をお手伝いします。お客様からお聞きした事実関係と保全資料をもとに、犯罪事実を時系列で整理し、刑法246条2項などの条文を踏まえた書面を作成します。料金は、告訴状・告発状の作成38,280円(税込)からで、事案の複雑さや資料の量により変動します。

行政書士が行えるのは、警察署長宛ての告訴状・告発状の書類作成までです。検察庁宛ての告訴状・告発状の作成は司法書士・弁護士の業務であり、提出先の選定に関する法的助言、受理に向けた折衝、受理後の捜査対応、相手方との示談交渉、刑事手続の代理は弁護士の業務であって、当事務所では行いません。これらが必要な場合は、弁護士等の専門家と連携してご案内します。ご相談内容に応じて適切な専門家へおつなぎしますので、まずは状況をお聞かせください。詳しくは告訴状・告発状作成サポートのご案内(告訴状・告発状作成サポート)をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

ギフトカード番号要求型の詐欺は、被害者という「人」がだまされて番号を伝える点で、原則として刑法246条2項の詐欺罪(利益詐欺)で構成し、機械を欺く類型である246条の2(電子計算機使用詐欺罪)が当てはまる典型ではありません。ただし、だまし取った情報のその後の使われ方によっては246条の2が問題になる場面もあり、条文の選択は事実を時系列で分解して検討する必要があります。告訴・告発の別、書くべき事実、保全すべき資料を押さえ、早めに動くことが大切です。書面作成は行政書士、受理折衝や捜査対応・示談は弁護士という職域を踏まえ、行政書士法人Treeは弁護士と連携してサポートします。

ギフトカード詐欺の告訴に関するよくある質問

Q:ギフトカード番号を伝えてしまった被害は、刑法246条の2(電子計算機使用詐欺)で告訴すべきですか。

A:番号を読み上げさせる・送らせる行為は、被害者という「人」をだます局面であり、原則として刑法246条2項の詐欺罪(人を欺いて財産上不法の利益を得させる利益詐欺)で構成します。246条の2は機械(電子計算機)を欺く類型で、適用される典型ではありません。ただし、だまし取った情報のその後の使われ方によっては246条の2が問題になる場合もあるため、事実関係を時系列で確認したうえで罪名を検討します。

Q:詐欺罪に告訴の期間制限はありますか。

A:6か月の告訴期間(刑事訴訟法235条1項)は親告罪に課される制限です。通常の第三者による詐欺罪は親告罪ではないため、この6か月制限は及びません。もっとも、親族間の詐欺では刑法251条が244条を準用するため、親族関係によっては告訴が要件となる場合があります。時間が経つほど証拠が散逸し、犯人の特定も難しくなるため、被害に気づいたらできるだけ早く資料を保全し、相談されることをおすすめします。

Q:行政書士に告訴状の作成を頼むと、提出や警察対応もしてもらえますか。

A:行政書士が行えるのは、警察署長宛ての告訴状・告発状などの書類作成までです。検察庁宛ての告訴状・告発状の作成は司法書士・弁護士の業務であり、提出先の選定に関する法的助言、受理に向けた折衝、受理後の捜査対応、示談交渉、刑事手続の代理は弁護士の業務であって、行政書士は行えません。これらが必要な場合は、弁護士等の専門家と連携してご案内します。

Q:被害者本人ではなく、家族の被害に気づいた場合はどうすればよいですか。

A:ご自身が被害者であれば告訴、被害者でない第三者の立場であれば告発という整理になります。告発は「何人でも、犯罪があると思料するとき」に行えます(刑事訴訟法239条1項)。家族の被害を把握された場合は、本人の意向も確認しつつ、資料の保全と早めの相談を進めてください。

Q:番号を伝えてしまったお金は取り戻せますか。

A:サーバ型のプリペイドカードは番号さえあればオンラインで利用できるため、換金・転売が早く、返金はきわめて困難というのが実情です。被害直後はギフトカード発行会社のサポート窓口、警察、消費生活センター(消費者ホットライン188)への相談を急いでください。なお、被害回復のための民事的な手続は弁護士の業務範囲です。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree