結論から言えば、配偶者の仮想通貨(暗号資産)投機が原因で離婚を決意した場合でも、進め方の基本は他の離婚と変わりません。まずは財産分与・養育費・親権などの条件を当事者で取り決める「協議離婚」を目指し、合意できた内容を離婚協議書、できれば強制執行認諾文言を付した公正証書にしておくことが、後のトラブルを防ぐ最も確実な方法です。当事務所(行政書士法人Tree)は、離婚協議書・公正証書の原案作成と、保有資産や含み損益といった事実関係の整理を職務として担います。一方で、相手との交渉・慰謝料請求の代理や調停・裁判への対応は弁護士、不動産の名義変更登記は司法書士、年金分割の手続は年金事務所と、それぞれの専門家・窓口と連携しながら進めます。ここでは協議から公正証書化までの具体的な手順を、2026年4月1日施行の改正民法を踏まえて整理します。
目次
仮想通貨投機が離婚理由になるか
協議離婚は、夫婦が合意さえすれば理由を問わず成立します。したがって「仮想通貨投機をやめてくれない」「無断で家計の資金をつぎ込んだ」といった事情があれば、それだけで協議による離婚は可能です。問題となるのは、相手が離婚に応じず裁判離婚を検討する場合です。
裁判で離婚が認められるには、民法770条1項が定める法定離婚事由が必要です。投機そのものを直接定めた号はありませんが、家計を破綻させるほどの浪費・借金の積み重ねや、生活を顧みない態度が続いている場合には、同項の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当しうると考えられます。なお2026年4月1日に施行された令和6年法律第33号による改正により、従来の1項4号(強度の精神病)は削除され、旧5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」は現行民法770条1項4号となりました。条文番号が変わっている点に注意してください。該当性の最終判断や裁判・調停での主張は弁護士の職務であり、当事務所は事実関係の整理までを担います。
仮想通貨(暗号資産)の財産分与|資産と含み損益を見える化する
仮想通貨が絡む離婚で最初に取り組むべきは、財産の把握です。暗号資産は値動きが大きく、口座(ウォレット)が分散しがちで、第三者からは保有状況が見えにくいという特徴があります。協議を始める前に、次のような点を整理しておきます。
- 取引所アカウント・ウォレットの数と種類(国内取引所・海外取引所・自己管理ウォレット等)
- 別居日または離婚協議開始時点の評価額(基準日を決めておく)
- 取得時の投下資金と、現在の含み損・含み益
- レバレッジ取引・信用取引による負債の有無
- 家計の共有資金から拠出された分かどうか
財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築いた共有財産が対象です。婚姻期間中に取得した暗号資産は、名義が一方のものであっても原則として分与の対象になりえます。評価額は基準日の時価で算定するのが一般的ですが、価格変動が激しいため「いつの時価で評価するか」を協議書に明記しておくことが重要です。当事務所は、こうした資産・損益の一覧化と、協議書への落とし込みをサポートします。
仮想通貨離婚の協議で決める条件|財産分与・養育費・親権・親子交流
協議離婚で取り決める項目は、仮想通貨が絡む場合でも基本構成は同じです。代表的なものは次のとおりです。
- 財産分与(暗号資産・預貯金・不動産・負債の清算方法、評価基準日)
- 養育費(金額・支払期間・支払方法)
- 親権者の指定、または共同親権とするかの選択
- 親子交流(旧「面会交流」。方法・頻度)
- 慰謝料の有無(請求する場合は弁護士へ)
- 年金分割(合意分割の按分割合等)
2026年4月1日施行の改正民法では、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになり、従来「面会交流」と呼ばれていた制度は「親子交流」へと用語が改められました。また財産分与の請求期間は、改正民法768条により従来の「離婚の時から2年以内」から「離婚の時から5年以内」へ延長されました(2026年4月1日以後に成立した離婚に適用。同日前の離婚は従来どおり2年以内)。投機で資産状況の把握に時間がかかるケースでは、この期間延長が実務上の助けになる場合があります。
年金分割の請求期限も5年へ
厚生年金の年金分割についても、2026年4月1日以後に離婚等をした場合は、請求期限が離婚等をした日の翌日から起算して原則5年以内となりました(同日前に離婚等をした場合は従来どおり2年以内)。財産分与の期間延長に歩調を合わせた改正です。年金分割には、当事者の合意(または裁判手続)で按分割合を定める「合意分割」と、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間について当事者の合意なく2分の1ずつ分割できる「3号分割」があります。手続そのものは年金事務所(日本年金機構)の窓口で行うため、当事務所は協議書・公正証書に按分割合を記載する原案作成までを担当します。実際の標準報酬改定請求は、お客様ご自身で年金事務所に行っていただくか、対応可能な専門家にご相談ください。
離婚協議書から公正証書化までの手順
合意した内容は、口約束で終わらせず書面化します。手順の目安は次のとおりです。
| 段階 | 内容 | 主に担う専門家 |
|---|---|---|
| 1. 事実整理 | 資産・含み損益・収入の一覧化、基準日の確定 | 行政書士 |
| 2. 条件の協議 | 財産分与・養育費・親権等の合意形成 | 当事者(交渉代理は弁護士) |
| 3. 離婚協議書の作成 | 合意内容を文書化(原案作成) | 行政書士 |
| 4. 公正証書化 | 公証役場で公正証書を作成 | 公証人 |
| 5. 離婚届の提出 | 本籍地・住所地の市区町村へ | 当事者 |
養育費や金銭の支払を伴う取り決めは、公正証書にしておくことを強くおすすめします。「支払を怠ったときは直ちに強制執行に服する」という強制執行認諾文言を付した公正証書(執行証書)にしておけば、不払いが生じた際に、改めて調停や裁判を経ることなく、給与や預貯金の差押え(強制執行)を申し立てられます。仮想通貨投機で家計が不安定だった相手に対しては、この担保が特に意味を持ちます。公正証書の作成手数料は、目的価額に応じて公証人手数料令で定められており、2025年10月1日にこの手数料令が改正されています。具体的な金額は目的価額や条項構成によって変わるため、最終的には管轄の公証役場でご確認ください。
離婚届・不受理申出について
協議が整い公正証書を作成したら、離婚届を提出します。離婚届の様式・提出先・添付書類は戸籍法に基づきます。なお、相手が勝手に離婚届を出してしまう、あるいは逆に合意前に届出されることを防ぎたい場合には、戸籍法上の「不受理申出」を本籍地等の市区町村に提出しておく方法があります。これにより、申出をした本人が窓口で届出しない限り受理されなくなります。届出書類そのものの作成は当事者が行うものですが、当事務所は手続の流れについてご案内します。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeでは、仮想通貨投機をはじめとする財産関係が複雑な離婚について、保有資産・含み損益の整理と、離婚協議書・公正証書の原案作成を行います。評価基準日の設定や暗号資産の取扱い条項など、後日の紛争を避けるための文言を一緒に組み立てます。料金は、離婚協議書 ミニマム21,780円/スタンダード27,500円、公正証書作成サポート32,780円(いずれも税込)です。お急ぎの場合は超特急対応+5,000円(税込)、公証役場へ出向くことなく公正証書作成を進められる代理人作成サポート+15,000円(税込・1名追加につき)も承ります。相手との交渉・慰謝料請求の代理や調停・裁判は弁護士、不動産登記は司法書士、年金分割の手続は年金事務所と連携し、ワンストップで進められるよう調整します。詳しくは離婚協議書・公正証書作成サポートのページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
仮想通貨投機を理由とする離婚でも、進め方は「資産の見える化 → 条件の協議 → 離婚協議書 → 強制執行認諾文言付き公正証書 → 離婚届」という流れが基本です。暗号資産は評価基準日や含み損益の扱いが争点になりやすいため、書面に明確な文言を残すことが何より重要です。2026年4月1日に施行された改正民法で財産分与・年金分割の請求期限が5年へ延び、共同親権の選択や「親子交流」への用語変更も加わりました。職域を守りながら各専門家と連携し、ご自身に合った形で新たな生活へ進めるよう、当事務所がお手伝いします。
仮想通貨投機による離婚に関するよくある質問
Q:配偶者名義の仮想通貨も財産分与の対象になりますか。
A:名義が一方であっても、婚姻中に夫婦の協力で取得した資産であれば、原則として財産分与の対象になりえます。評価は基準日の時価で算定するのが一般的で、価格変動が大きいため「いつの時点の時価で評価するか」を協議書に明記しておくことをおすすめします。具体的な分与額の妥当性をめぐる交渉は弁護士の職務となります。
Q:投機で大きな含み損を抱えている場合はどうなりますか。
A:婚姻生活のために夫婦が共同で負った負債は、財産分与の中で考慮されることがあります。一方で、共有資金とは無関係に一方が独断で行った投機の損失をどこまで分担するかは、事案によって評価が分かれます。資産と負債を一覧化したうえで、協議書に清算方法を明確に書き込むことが大切です。
Q:相手が仮想通貨の保有を隠していそうです。調べてもらえますか。
A:当事務所は、ご本人から提供された資料の整理や保有状況の一覧化をお手伝いします。もっとも、相手方に対する法的な開示請求、離婚調停・訴訟での調査嘱託等の裁判所手続、債務名義取得後の財産開示手続・第三者からの情報取得手続は、行政書士の業務範囲外です。隠匿が疑われる場合は、弁護士・司法書士等の専門家と連携して対応します。
Q:必ず公正証書にしなければなりませんか。
A:法律上の義務ではありませんが、養育費や金銭支払の取り決めがある場合は強くおすすめします。強制執行認諾文言を付した公正証書にしておけば、不払い時に調停や裁判を経ずに差押えを申し立てられます。家計が不安定だった相手に対しては、この担保が特に有効です。
Q:2026年4月の法改正で、急いだほうがよいですか。
A:財産分与・年金分割の請求期限が5年へ延びるのは2026年4月1日以後に成立した離婚です。同日前に離婚が成立した場合は従来どおり2年以内のため、過去に離婚済みの方は期限にご注意ください。これから離婚する方は、期限延長の恩恵を受けられますが、資産の評価は時価変動の影響を受けるため、早めの整理が望ましいといえます。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


