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同時死亡の推定と代襲相続|民法32条の2で相続人・相続分はどうなる?

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結論から言えば、親子や夫婦が同じ事故・災害で亡くなり「どちらが先に亡くなったか分からない」ときは、民法32条の2により同時に死亡したものと推定され、その者どうしの間では相続が起こりません。ただし、被相続人の子が被相続人と同時に死亡し、その子に直系卑属(被相続人から見た孫など)がいる場合、または被相続人の兄弟姉妹が同時に死亡して甥・姪がいる場合には、代襲相続が発生し、相続人の範囲と取り分は大きく変わります。行政書士法人Treeでは、戸籍の収集と法定相続人の確定、遺産分割協議書の作成を職域として承ります。登記は司法書士、相続税は税理士、相続人間の紛争は弁護士と連携し、複雑な相続関係でも一つの窓口から手続を整理できる体制を整えています。

民法32条の2「同時死亡の推定」とは

民法第32条の2は、「数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」と定めています。この条文は昭和37年法律第40号によって民法に追加されたもので、交通事故・水難・火災・台風などの危難で複数の親族が同時に亡くなり、死亡の前後関係を立証できない場面に対応するために設けられました。

相続は「人の死亡」によって開始し(民法882条)、誰が誰の遺産を相続するかは、各人の死亡時刻の前後で決まります。たとえば1秒でも先に亡くなった人の財産は、後に亡くなった人へいったん相続され、さらにその人の相続人へと連鎖していきます。死亡時刻が判明しない場合に相続関係が宙に浮くのを避けるため、法律が「同時に死亡したものとみなす」のではなく「推定する」という形で一律の出発点を用意したのが本条です。

「推定」だから反証で覆せる

条文は「みなす」ではなく「推定する」という言葉を使っています。これは、死亡時刻の前後を示す確かな証拠(生存を裏づける目撃、医師の所見、通信記録など)があれば、その反証によって推定を覆せることを意味します。一方、家庭裁判所の手続を経る失踪宣告は、危難失踪で1年、普通失踪で7年の期間を要件として「死亡したものとみなす」効果を生じさせ、反証だけでは覆らず取消しの審判が必要になる点で性質が異なります。

  • 同時死亡の推定(民法32条の2):死亡時刻の前後が不明なとき。反証で覆せる。
  • 認定死亡(戸籍法89条):水難・火災等で死亡が確実な場合に官公署が認定。死亡が推定される。
  • 失踪宣告(民法30条・31条):生死不明が一定期間続いたとき。家庭裁判所が宣告し、死亡とみなされる。

これらは死亡を扱う制度という点で共通しますが、要件・手続・効果が違うため、戸籍の記載がどの制度に基づくものかを確認したうえで相続関係を読み解く必要があります。

同時死亡だと当事者どうしの間では相続が起きない

同時死亡が推定されると、その者どうしの間では相続が発生しません。なぜなら、相続するには相続開始(被相続人の死亡)の時点で相続人が生存していることが必要であり(同時存在の原則)、同時に死亡したと推定される以上、互いに「相手の死亡時に生きていた」とは言えないからです。

具体例で考えます。夫Aと、Aの父Bが同じ事故で同時死亡したと推定された場合、AはBの遺産を相続できず、BもAの遺産を相続できません。したがって、Bの遺産がいったんAを経由してAの妻へ流れることもありません。Aの遺産についても同様にBへは渡らず、それぞれの財産は、それぞれに固有の相続人へ直接承継されることになります。死亡の前後で結論が180度変わるため、戸籍上どのように死亡が記録されているかの確認が出発点になります。

同時死亡でも「代襲相続」は発生する

ここが本テーマの最重要ポイントです。同時死亡で当事者どうしの相続は起きませんが、被相続人の子が被相続人と同時に死亡し、その子に被相続人の直系卑属となる子(被相続人から見た孫など)がいる場合には、代襲相続が発生します。

民法第887条第2項は、「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。」と定めています。条文が「相続の開始以前に死亡したとき」と規定している点が鍵で、「以前」には相続開始と同時の死亡(=同時死亡)も含まれると解されています。そのため、子が被相続人と同時に死亡したと推定されるケースでも、その子の子(孫)が代襲相続人となります。

先ほどの例で、夫Aと父Bが同時死亡し、AにC(Bから見て孫)がいたとします。Bの相続では、Aは相続できませんが、AにCがいるため、CがAを代襲してBの遺産を相続します。仮にBに配偶者(Aの母)Dがいれば、子の地位を代襲するCが第一順位の相続人となるので、法定相続分は配偶者Dが2分の1、代襲相続人Cが2分の1となります(民法900条1号・901条)。このとき、子(およびその代襲者)という第一順位の相続人がいる以上、Bの兄弟姉妹(第三順位)は相続人になりません。逆に、もしAに子がいなければAについての代襲は起こりません。さらに、BにA以外の子や他の代襲相続人もいない場合には、配偶者DとBの直系尊属が相続人となり、直系尊属もいない場合には配偶者DとBの兄弟姉妹が相続人となります。孫の存在を見落とすと、相続人の範囲そのものを誤ることになります。

兄弟姉妹が同時死亡した場合は甥・姪が代襲することがある

被相続人に子や直系尊属がおらず、兄弟姉妹が相続人となる場面で、その兄弟姉妹が被相続人と同時に死亡した場合には、兄弟姉妹の子である甥・姪が代襲相続人となることがあります。ただし、兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の一代限りであり、甥・姪の子への再代襲は認められません。

「相続放棄」は代襲原因ではない点に注意

代襲相続が発生する原因は、被代襲者の「死亡(同時死亡を含む)」「相続欠格(民法891条)」「廃除」の3つに限られます。相続放棄はこの代襲原因に含まれません。民法第939条により、相続を放棄した者は「初めから相続人とならなかったもの」とみなされるため、放棄した人の子へ相続が引き継がれることもありません。

つまり、同時死亡による代襲は「亡くなった親に代わって孫が相続する」という形で連鎖しますが、ある相続人が自ら相続放棄を選んだ場合は、その子へ相続権が移らず、同順位の他の相続人や次順位の相続人に承継先が移ります。同じ「相続できない」でも、死亡・欠格・廃除と放棄では、後続する相続人の決まり方がまったく違うため、戸籍と各人の意思(放棄の有無)を正確に押さえることが欠かせません。なお、相続放棄の申述は家庭裁判所への手続であり、行政書士が代理して行うことはできません。期間・手続については弁護士または司法書士にご確認ください。

手続を進めるうえでの実務上の注意

同時死亡が絡む相続では、被相続人が複数になりがちで、戸籍の収集量も増えます。代襲相続人(孫など)まで含めて法定相続人を確定し、漏れのない遺産分割協議書を作成することが、その後の不動産の名義変更や預貯金の解約をスムーズに進める前提になります。

不動産については、相続登記の申請が令和6年(2024年)4月1日から義務化されています。相続により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったこと、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となり得ます。施行日前に開始した相続も対象で、原則として令和9年(2027年)3月31日までに対応する必要があります。ただし、相続による所有権取得を知った日が施行日より後である場合などは、具体的な期限を個別に確認する必要があります。また、遺産分割が成立した場合には、基本的義務とは別に、遺産分割成立日から3年以内にその内容を反映した登記を申請する義務があります。同時死亡の事案では相続人が複層的になり登記が後回しになりがちなので、早めの着手をおすすめします。なお、登記申請の代理は司法書士の職域です。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、同時死亡や代襲相続が関係する相続でも、戸籍謄本等の収集、法定相続人(代襲相続人を含む)の確定、相続関係説明図の作成、そして遺産分割協議書の作成までを一括してお手伝いします。死亡の前後関係や戸籍の記載を一つひとつ確認し、誰が相続人になるのかを明確にしたうえで書面に落とし込みます。

料金は、遺産分割協議書作成のミニマムプラン43,780円スタンダードプラン87,780円、戸籍収集から協議書作成までまとめてお任せいただける丸投げプラン217,800円(いずれも税込)をご用意しています。相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人間で争いがある場合は弁護士と連携し、必要な専門家へおつなぎします。詳しくは遺産分割サポートのご案内ページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

民法32条の2は、死亡の前後が不明なとき全員を同時死亡と「推定」する規定で、反証があれば覆ります。同時死亡した者どうしの間では相続が起きませんが、亡くなった子に孫がいれば、民法887条2項の「相続の開始以前に死亡したとき」に同時死亡が含まれるため代襲相続が発生します。一方、相続放棄は代襲原因ではなく、放棄した人の子へ相続は引き継がれません。相続人の範囲が通常と大きく異なるため、戸籍の確認と相続人の確定を丁寧に行うことが、その後の登記・税務・分割を円滑に進める鍵となります。

同時死亡と代襲相続に関するよくある質問

Q:親子が同じ事故で亡くなり、どちらが先か分かりません。相続はどうなりますか。

A:民法32条の2により親子は同時に死亡したと推定され、その親子の間では相続が発生しません。ただし、亡くなったお子さまに子(被相続人から見て孫)がいれば、代襲相続によりその孫が相続人となります。戸籍を確認して相続人の範囲を確定する必要があります。

Q:同時死亡の「推定」は絶対に覆らないのですか。

A:いいえ。「推定」であるため、死亡時刻の前後を示す確かな証拠(生存を裏づける記録など)があれば反証によって覆すことができます。家庭裁判所の手続で「死亡とみなす」失踪宣告とはこの点で性質が異なります。

Q:同時死亡でも代襲相続が起きるのはなぜですか。

A:民法887条2項が「相続の開始以前に死亡したとき」と定めており、この「以前」には相続開始と同時の死亡が含まれると解されているためです。したがって、子が被相続人と同時に死亡しても、その子の子(孫)が代襲して相続人になります。

Q:相続放棄をした場合も、その子が代襲相続できますか。

A:できません。相続放棄は代襲原因ではなく、民法939条により放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされます。そのため、放棄した方の子へ相続権が移ることはありません。代襲が起きるのは死亡・相続欠格・廃除の場合に限られます。

Q:遺言で財産を渡す相手(受遺者)が遺言者と同時に死亡した場合、遺贈はどうなりますか。

A:民法994条1項により、受遺者が遺言者の死亡以前に死亡したときは遺贈は効力を生じません。この「以前」には同時死亡も含まれると解されるため、遺言者と受遺者が同時に死亡したと推定される場合、その受遺者への遺贈は効力を生じず、原則としてその目的物は遺言者の相続人に帰属します(民法995条)。

Q:相続人の確定や遺産分割協議書の作成だけお願いできますか。

A:はい。当事務所は戸籍の収集、法定相続人(代襲相続人を含む)の確定、相続関係説明図や遺産分割協議書の作成を承ります。相続登記は司法書士、相続税は税理士、紛争がある場合は弁護士と連携してご対応します。ご相談は何度でも無料です。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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