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「家族滞在ビザで来日したが、自分も日本で正社員として働きたい」「家族滞在のままアルバイトを超える収入を得てしまい、就労ビザへ切り替えたい」「専門学校卒でも就労ビザに変更できるのか」——家族滞在から就労系在留資格への変更は、要件が厳しく不許可リスクもあります。本記事では、家族滞在ビザの法的根拠(入管法別表第一の四)、就労ビザへの変更(技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能等)、学歴・職歴要件、職務内容の専門性、雇用先企業のカテゴリー判定、資格外活動許可の運用、定住者・特定活動への変更パターンまで、行政書士が実務目線で解説します。
結論として、家族滞在ビザから就労系在留資格へ変更するには、学歴・職歴・職務内容・雇用契約の整合性を立証し、変更先の在留資格該当性・基準適合性を満たす必要があります。さらに、資格外活動の遵守状況、納税状況、在留状況などを踏まえ、変更を相当と認めるに足りる理由があるかも審査されます。日本人と同等以上の報酬・雇用先企業のカテゴリー(上場・規模等)も審査対象。資格外活動許可の超過(週28時間超)があると不許可リスクが高まります。学歴要件を欠く場合、原則として従事予定業務に関連する10年以上の実務経験が必要です。翻訳・通訳、語学指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾デザイン、商品開発等のいわゆる国際業務では、原則3年以上の実務経験が問題となりますが、大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合などは別途整理が必要です。
家族滞在から就労系への変更は、資格該当性・基準適合性・立証資料の整合が肝心です。行政書士法人Treeが変更申請を一貫サポートします。
根拠法令は出入国管理及び難民認定法もご参照ください。
目次
家族滞在ビザとは|対象者・就労制限・資格外活動の週28時間ルール
家族滞在は、出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第一の四の表に規定され、就労系在留資格・留学・文化活動等で在留する者の扶養を受ける配偶者・子としての活動を許す資格です。原則として就労は認められず、資格外活動許可を得て週28時間以内のアルバイトに限定されます。
家族滞在の対象
- 就労系在留資格者(教授、経営・管理、技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能2号等)の配偶者・子。なお、特定技能1号は原則として家族帯同の対象外であり、既に日本で家族滞在等により在留している家族の取扱いは個別確認が必要です。
- 「留学」資格を持つ者の配偶者・子
- 文化活動・一部の特定活動の配偶者・子。特定活動の場合は、本人の指定書の内容や告示該当性により家族滞在の対象となるかを個別に確認します。
家族滞在の対象外
- 短期滞在者の家族
- 研修、技能実習、特定技能1号の家族は、原則として家族滞在による新規帯同の対象外です。ただし、既に日本に在留している家族の在留継続等は、在留状況や指定書内容により個別に検討されます(例:①特定技能1号変更前から「家族滞在」等で在留していた配偶者・子、②日本で生まれた特定技能1号同士の子などは「告示外特定活動」として例外的に認められる場合があります)
就労ビザへの変更の法的根拠
就労系在留資格(技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能など)への変更は、入管法第20条第1項に基づく「在留資格変更許可申請」として行い、法務大臣が「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由」があるときに限り許可されます(入管法20条3項)。
家族滞在から変更できる就労ビザ|技人国・特定技能・技能・経営管理
| 在留資格 | 主な要件 |
|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 大学卒業、または日本の専門学校で専門士・高度専門士の称号を取得していること等が重要です。特に専門学校卒の場合は、専攻内容と従事予定業務との関連性が厳しく確認されます。 |
| 技能 | 分野別の実務経験+熟練技能(外国料理の調理師は10年以上、スポーツ指導者は3年以上、ソムリエは5年以上、航空機操縦は1,000時間以上等) |
| 特定技能1号 | 技能試験・日本語試験等に合格し、特定産業分野に該当する業務に従事すること。対象分野・試験・受入れ停止状況は制度改正により変動するため、最新情報を確認します。 |
| 特定技能2号 | 対象分野における熟練した技能を有することを、試験・実務経験等により立証します。分野ごとの要件、1号からの移行可否、家族帯同可否を確認します。 |
| 介護 | 介護福祉士資格 |
| 教育 | 大学卒+小中高等の教師 |
| 経営・管理 | 事業所の確保、事業の継続性・安定性、経営実態、事業規模等を立証します。資本金500万円以上または常勤職員2名以上等は重要な判断要素ですが、令和7年10月16日施行の経営・管理ビザ要件改正で見直されているため、申請時点の最新要件を確認の上で申請が必要です。 |
就労ビザ変更の要件|学歴・職歴・専攻と職務内容の関連性
- ✔ 学歴要件:大学卒業(本国含む)、または日本の専修学校専門課程を修了し専門士または高度専門士の称号を取得していること
- ✔ 職歴要件:学歴要件を欠く場合は当該職務内容に関する10年以上の実務経験。国際業務は3年以上の関連実務経験(ただし大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導等に従事する場合は実務経験不要)
- ✔ 職務内容の専門性:雇用契約書に記載された業務が単純労働ではなく、専攻・職歴との関連性を有すること
- ✔ 日本人と同等額以上の報酬
- ✔ 雇用先企業のカテゴリーに応じた安定性
雇用先企業のカテゴリー判定
入管はカテゴリー1〜4で雇用先企業を分類し、提出書類の量・審査の厳格度を変えます。
| カテゴリー | 対象 | 審査の特徴 |
|---|---|---|
| カテゴリー1 | 上場企業、公的機関、独立行政法人、一定の公益法人、一定のイノベーション創出企業等。詳細は出入国在留管理庁のカテゴリー表で確認 | 提出書類少・審査迅速 |
| カテゴリー2 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表における、給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人等 | カテゴリー1に準じる |
| カテゴリー3 | 前年の法定調書合計表提出企業(カテゴリー1・2を除く) | 標準的審査 |
| カテゴリー4 | 上記以外(新規設立等) | 厳格審査・追加立証必要 |
申請手続きの流れ
- 就職内定または雇用契約締結
- 必要書類の収集(学歴証明・雇用契約書・会社資料等)
- 住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請
- 審査(標準処理期間は一般に2週間〜1か月と案内されますが、案件内容、管轄、時期、追加資料の有無により長期化することがあります)
- 許可・不許可の通知
- 許可時:手数料納付(収入印紙6,000円。オンライン申請の場合は5,500円。2025年4月1日施行の入管法施行令改正後)・新在留カード交付
必要書類
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請書 | 在留資格変更許可申請書 |
| 雇用契約書 | 職務内容・報酬・期間を明記 |
| 学歴証明 | 卒業証明書、成績証明書 |
| 会社資料 | 登記事項証明書、決算書、法定調書合計表、会社案内、雇用理由書、事業内容資料等。カテゴリー4・新設会社では、事業計画書、取引先資料、売上見込み、事務所資料等の追加立証が重要です。 |
| 本人資料 | 履歴書、パスポート、在留カード、必要に応じて課税証明書・納税証明書、資格外活動の収入状況を確認する資料等。これまで扶養を受けていた場合は、課税資料がない理由も整理します。 |
| 専門性立証 | 業務説明書、職務記述書 |
| 手数料 | 2025年4月1日以降、在留資格変更許可は窓口申請6,000円、オンライン申請5,500円(許可時) |
料金
| 項目 | 料金(税込) |
|---|---|
| 在留資格変更許可申請(家族滞在→就労系在留資格) ミニマム/スタンダード | 89,800円 |
| 在留資格変更許可申請 フルサポート | 100,000円 |
| ビザ更新 スタンダード | 33,000円 |
| ビザ更新 フルサポート | 49,800円 |
| 不許可後リカバリーオプション | +30,000円 |
| 特急オプション | +10,000円(弊所内での書類作成を優先対応するものであり、入管審査期間の短縮を保証するものではありません) |
資格外活動の週28時間超えは不許可になる?超過時のリカバリー資料
家族滞在中に資格外活動許可の範囲(週28時間以内)を超えて就労していた場合、在留状況に問題ありと評価され、就労ビザへの変更が不許可となるリスクが高まります。なお、雇用主側にも入管法73条の2第1項に基づく不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)が成立するリスクがあるため、超過の発覚は本人だけでなく勤務先にも影響します。以下の点に注意:
超過の確認方法
- 給与所得源泉徴収票、給与明細、雇用契約書、シフト表、勤怠記録、住民税課税証明書等を確認します。週28時間超過は年間収入だけでは判断できないため、勤務時間ベースの資料が重要です。
超過時の対応
- 是正状況の説明書(経緯・是正措置・再発防止)
- 税金・社会保険の未納がある場合は速やかに整理します。ただし、納税しただけで資格外活動違反が消えるわけではないため、超過の経緯、期間、時間数、是正措置、再発防止策を説明する必要があります。
- 不許可リスクを踏まえた申請戦略
家族滞在中に離婚・配偶者死亡した場合|14日以内届出と在留資格変更
家族滞在の基礎となる身分関係(配偶者関係)が失われた場合の対応:
- 14日以内に入管へ届出(入管法19条の16第3号)。届出書の作成・提出は当法人で代行可能(届出義務違反は20万円以下の罰金、入管法71条の5第3号)。
- 家族滞在の該当活動を継続していない場合の在留資格取消事由については、入管法22条の4の該当号(家族滞在を含む別表第一の在留資格は同条1項6号、3か月)を個別に確認します。日本人の配偶者等や永住者の配偶者等に関する取消事由(同条1項7号、6か月)とは条文・期間が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
- 就労系在留資格への変更検討
- 「定住者」資格への変更検討(一定の要件下)
- 子の親権者・監護者としての在留資格変更を検討する場合は、子の国籍・在留資格、監護実態、養育費、生活基盤、就労状況を整理します。事案により定住者・特定活動等の可能性を個別検討します。
定住者・特定活動への変更
定住者への変更(家族滞在からの直接変更は実務上極めて限定的)
- 離婚・死別後の定住者変更は、元配偶者の在留資格、子の有無・国籍、婚姻期間、日本での生活基盤等により判断されます
- 家族滞在保有者が日本人実子の親権者・監護者となるなどの特殊事情がある場合
- 長期間の在留歴・生活基盤の確立等が要件
- 告示で定められた定住者類型(日系人、再婚配偶者の連れ子等)に該当する場合
- 個別事案により判断
特定活動への変更
- 家族滞在から就労ビザへの直接変更が困難な場合の中間ステップ
- 就職活動目的の特定活動は、大学等を卒業した留学生の継続就職活動とは制度趣旨・対象者が異なります。家族滞在から就職活動目的で在留継続できるかは、個別事情により慎重に判断されます(告示外特定活動として運用)。
- 個別事案により判断
よくあるケース
- 家族滞在中に資格外活動許可の範囲を超えて就労
- 本国の大学卒業+日本企業への就職内定
- 日本の専修学校専門課程(専門士・高度専門士)修了後の就職
- 料理人としての10年以上の実務経験+技能ビザ
- 介護福祉士資格取得+介護ビザ
- 高度専門職の配偶者・家族の場合、通常の家族滞在とは別に、指定書に基づく特定活動や優遇措置が問題となることがあります。独立して就労系在留資格へ変更する場合は、通常の就労資格該当性・基準適合性を確認します
- 配偶者と離別後の在留資格再構築
よくある質問
Q1. 専門学校卒業でも就労ビザに変更できますか?
A. 日本の専修学校専門課程で専門士または高度専門士の称号を取得していれば、学歴要件を満たし得ます。ただし専攻と職務内容の関連性が厳しく審査されます。
Q2. 資格外活動の時間超過があると不許可ですか?
A. 自動的に不許可ではありませんが、在留状況の要素としてマイナス評価されます。超過の経緯・是正状況を書面で説明する必要があります。
Q3. 申請中に離婚した場合はどうなりますか?
A. 家族滞在の基礎となる身分関係が失われるため、速やかに就労系への変更または他の在留資格への検討が必要です。配偶者に関する届出は14日以内(入管法19条の16第3号)に行う必要があります。
Q4. 高度専門職帯同家族から就労ビザへの変更は?
A. 高度専門職の配偶者・家族には、指定書に基づく就労可能な特定活動など、通常の家族滞在とは異なる制度が適用される場合があります。ただし、独立して技術・人文知識・国際業務等へ変更する場合は、その在留資格の該当性・基準適合性を改めて審査されます。
Q5. 申請中も家族滞在のままアルバイトできますか?
A. 在留期限内に変更申請を行い、申請が受理されている場合は、結果が出るまで又は在留期限から最長2か月の特例期間中、従前の在留資格に基づく活動を継続できる場合があります。資格外活動許可を受けている場合は、その範囲内(週28時間以内)でアルバイトが可能です。
Q6. 不許可になった場合は?
A. 不許可となった場合は、不許可理由の確認、追加立証資料の整理、業務内容・学歴関連性・在留状況の見直しを行ったうえで再申請を検討します。不許可理由聴取への同席可否は入管運用によります。退去強制手続や争訟対応が必要な場合は弁護士へご相談ください。
Q7. 内定先のカテゴリーが4の場合の対策は?
A. カテゴリー4は会社の安定性・継続性の立証が重くなります。事業計画書、収益見通し、取引資料、事務所資料に加え、本人の職務内容、専門性、学歴・職歴との関連性、雇用理由を丁寧に説明する必要があります。
Q8. 在留期限が迫っている場合の対応は?
A. 在留期限満了前に必ず変更申請を提出します。通常、在留期間内に申請が受理されれば、結果が出るまで又は在留期限から最長2か月の特例期間中は在留できる場合があります。ただし、在留期間30日以下の場合など、特例期間の適用には注意が必要です。
行政書士法人Tree|家族滞在から就労ビザへの変更申請
ビザ認定・変更89,800円〜100,000円(税込)/更新33,000円〜49,800円(税込)。要件判定から立証資料の整備、理由書作成まで一貫対応。申請取次行政書士による申請代行(本人の入管出頭は原則不要)。無料相談時には、在留カード、履歴書、卒業証明書・成績証明書、雇用契約書、職務内容説明、勤務時間・収入資料をご準備いただくとスムーズです。離婚紛争、親権・養育費交渉、退去強制手続等は弁護士業務となります。
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- 資格外活動許可とは|家族滞在・留学生の週28時間ルール
- 留学ビザから就労ビザへの変更手続き
- 技術・人文知識・国際業務ビザの要件と必要書類
- ビザ不許可後の再申請戦略
まとめ
- 家族滞在は入管法別表第一の四、原則就労不可
- 就労ビザへの変更は学歴・職歴・職務内容・雇用契約の整合性に加え、在留状況等も審査
- 雇用先企業のカテゴリー1〜4で審査の厳格度が異なる
- 資格外活動許可超過(週28時間超)は不許可リスク。雇用主にも不法就労助長罪リスク
- 学歴要件を欠く場合は原則10年以上の実務経験が必要。国際業務は原則3年以上(業務類型・学歴により個別確認)
- 離婚・配偶者死亡時は14日以内に入管へ届出。家族滞在は入管法22条の4第1項6号(3か月)に注意(同7号6か月は日本人配偶者等のみ)
- 標準処理期間は一般に2週間〜1か月とされますが、案件内容、管轄、追加資料の有無により長期化することがあります。在留期限内申請の場合、要件を満たせば特例期間が適用される場合があります
- 在留資格変更許可手数料は2025年4月1日改定後、窓口6,000円・オンライン5,500円
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


