公開日:2026年5月18日
在留資格「経営・管理」は、外国人が日本で会社設立・事業経営を行う際に必要となる就労系在留資格ですが、2025年(令和7年)10月16日施行の基準省令改正(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号に基づく基準を定める省令の改正)により、資本金(事業の用に供される財産総額)500万円→3,000万円、経営または管理の実務経験3年以上または関連分野の修士・博士・専門職学位の要件新設、常勤職員1名以上の必須化(資本金との両方必須)、日本語B2相当(JLPT N2以上等)要件の新設、事業計画書の中小企業診断士・公認会計士・税理士による確認義務化等、大幅な要件強化が行われました。これにより、これまで「資本金500万円・小規模事務所・1名体制」で取得していた経営管理ビザは新規申請が事実上できなくなり、既存の経営・管理者も2028年(令和10年)10月16日までの3年間の経過措置期間後は新要件への適合が求められます。本記事では、改正後の新要件、経過措置、改正後の事業設計上の留意点、行政書士による申請取次の業務範囲を整理します。
本記事の結論
- 2025年10月16日施行の基準省令改正により、経営・管理ビザの資本金(事業の用に供される財産総額)は500万円から3,000万円へ大幅引き上げ、経営または管理の実務経験3年以上または関連分野の修士・博士・専門職学位の要件が新設、常勤職員1名以上の確保が必須(従来の2名以上または資本金500万円の選択制から1名以上+資本金3,000万円の両方必須に変更)、日本語B2相当(JLPT N2以上等)要件の新設、事業計画書の中小企業診断士・公認会計士・税理士による確認義務化が行われました。
- 常勤職員の対象は日本人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者(出入国管理及び難民認定法別表第二の在留資格)に限定。技術・人文知識・国際業務など別表第一の在留資格保有者は常勤職員要件の対象外。
- 事業所は自宅兼事務所・バーチャルオフィス原則不可。事業実態を伴う独立した事業所が必須。事業計画書には中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかによる確認書の添付が必要(弁護士・行政書士は確認者の対象外)。
- 既存事業者には2028年10月16日までの3年間の経過措置期間が設けられ、この期間中の更新は旧基準での個別判断が可能。3年経過後の更新は新基準充足が必須。経過措置期間中も事業実態の乏しさ等で不許可リスクあり。
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目次
根拠法令・制度
- 出入国管理及び難民認定法(入管法)第7条第1項第2号・別表第一の二「経営・管理」
- 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号に基づく基準を定める省令(上陸基準省令、2025年10月16日施行改正)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則第6条の2(届出済証明書交付による申請取次)・第19条第3項(申請の取次)
- 行政書士業務(官公署提出書類等の作成)・第1条の3第1項第1号(提出代理)
- 会社法(株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の設立規定)
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(令和7年10月公表)
2025年10月16日施行の経営管理ビザ改正で変わったポイント
令和7年10月16日施行の改正により、経営管理ビザでは、以下の点が新たな確認事項となりました。実務上、最も影響の大きい変更を整理します。
- 事業の用に供される財産の総額3,000万円以上(改正前500万円から6倍に引上げ)
- 1人以上の常勤職員の雇用(改正前は2名以上または資本金500万円の選択制。改正後は1名以上+資本金3,000万円の両方必須化)
- 日本語能力B2相当以上(JLPT N2以上等。申請者または常勤職員のいずれかが充足)
- 博士・修士・専門職学位、または経営・管理の3年以上の実務経験のいずれか
- 事業計画書の専門家確認の義務化(中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかによる確認)
- 自宅を事業所と兼ねることは原則不可(インキュベーションオフィス等の使用承諾書がある場合は別途検討)
- 既存事業者の経過措置は2028年10月16日まで(3年間)
1. 経営・管理ビザの2025年10月16日改正の概要
これまでの経営・管理ビザは、資本金500万円以上または常勤職員2名以上の確保のいずれかを満たし、事業所を確保すれば、比較的取得しやすい就労系在留資格でした。しかし、形式的な要件充足のみで実体のない法人設立、不適切な事業運営、移住目的のビザ申請(本来の経営活動の意図がない申請)の増加などが問題視され、2025年10月16日施行の基準省令改正により、要件が大幅に厳格化されました。
1-1. 改正前後の比較表
| 要件 | 改正前(〜2025年10月15日) | 改正後(2025年10月16日〜) |
|---|---|---|
| 資本金 (事業の用に供される財産総額) |
500万円以上 | 3,000万円以上 |
| 経営経験/学歴 | 明示要件なし | 経営または管理の実務経験3年以上(起業準備期間を含む)、または関連分野の修士・博士・専門職学位 |
| 常勤職員 | 2名以上 または 資本金500万円 (選択制) |
1名以上 かつ 資本金3,000万円以上(両方必須)。常勤職員は日本人・特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者に限定(技人国等の就労ビザ保有者は対象外) |
| 日本語能力 | 要件なし | 申請者または常勤職員のいずれかがB2相当(JLPT N2以上、BJT 400点以上、日本の大学等卒業、日本の義務教育修了かつ高校卒業等) |
| 事業計画書 | 提出・形式審査中心 | 中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかによる確認が義務(弁護士・行政書士は確認者の対象外)。収益見通し・市場分析・資金計画等の実態審査 |
| 事業所 | 賃貸契約等の形式確認 | 事業実態を伴う独立した事業所(自宅兼事務所・バーチャルオフィスは原則不可。インキュベーションオフィス等は使用承諾書で別途検討) |
2. 改正の背景と政策意図
経営・管理ビザの厳格化は、以下のような背景に基づきます。
- 形式的な500万円出資・実体のない会社設立による在留資格取得事例の増加
- 事業の継続性・収益性が立証できないまま長期にわたり在留資格を更新する事例
- 移住目的のビザ申請(本来の経営活動の意図がない申請)の増加
- 「実体を伴った経営活動のみを許可する」方針の明確化(出入国在留管理庁公式発表)
- 「日本で実際に事業を経営・管理する外国人」を本来の制度趣旨に沿って受け入れるための見直し
- 日本社会との関係構築(日本語能力・日本社会で就労できる常勤職員雇用)を要件化
- 諸外国(シンガポール・米国EB-5・カナダ等)の投資家ビザとの要件水準の調整
3. 改正後の主要新要件の詳細
3-1. 資本金(事業の用に供される財産総額)3,000万円
改正後は、申請に係る事業の用に供される財産の総額が3,000万円以上であることが必要です。法人の場合は、株式会社の払込済資本の額、合名会社・合資会社・合同会社の出資総額が基本となります。個人事業の場合は、事業所確保費用、職員給与、設備投資経費など、事業を営むために必要なものとして投下されている総額で確認されます。
- 資金の出所が明確に立証できること(贈与・借入の場合は契約書・送金記録)
- 違法な資金(マネーロンダリング・脱税等)でないこと
- 事業計画における運転資金として実際に使用される計画であること
3-2. 経営経験3年以上または関連分野の修士・博士・専門職学位
申請者本人について、(A)経営または管理の実務経験を3年以上有すること(起業準備活動期間(特定活動の起業準備活動)を含む)、または(B)経営管理または申請事業に必要な技術・知識に係る分野の博士・修士・専門職学位を有することのいずれかが必要となりました。これは経営・管理ビザを「経験豊富な事業家または高度な専門教育を受けた事業家」向けの制度として位置づける改正の核心部分です。
(A)実務経験3年以上の立証
- 会社経営者(代表取締役・代表社員・社長等)としての経験
- 事業部長・部門責任者等の管理職としての経験
- 同業種・関連業種での経験が望ましい(異業種転換の場合は事業計画の説得力強化が必要)
- 起業準備活動期間(特定活動の起業準備活動)も算入可能
- 立証書類:在職証明書、職務経歴書、法人登記簿(経営者の場合)、税務申告書類
(B)学歴による代替
- 経営または関連分野の修士号・博士号・専門職学位の取得証明書
- 日本国内・海外大学院いずれも可
- 実務経験が3年未満の若手起業家・大学院卒業者にとって重要な代替ルート
3-3. 常勤職員1名以上の必須化(資本金との両方必須)
改正前は「常勤職員2名以上 または 資本金500万円以上」の選択制でしたが、改正後は「常勤職員1名以上 かつ 資本金3,000万円以上」の両方の充足が必要となりました。人数は2名から1名に緩和されたものの、資本金要件と併せて両方必須化されたため、実質的なハードルは上がっています。
常勤職員にカウントできる対象在留資格
- 日本人
- 特別永住者
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
すなわち入管法別表第二の在留資格を有する外国人に限定されます。技術・人文知識・国際業務など別表第一の在留資格を有する外国人は常勤職員要件の対象外です(これにより「外国人だけの会社」は認められなくなりました)。なお、日本語能力要件の確認における常勤職員には、別表第一の在留資格者が含まれる場合があります。
常勤職員の判断基準
- 雇用契約書、社会保険加入記録、給与支払実績による立証
- 勤務日数、年間労働日数、週労働時間、給与水準、年次有給休暇、雇用保険加入状況等から総合的に確認
- 派遣社員・業務委託・在籍出向・請負の形態で業務に従事する労働者は常勤職員に含まれない
- 申請者本人(経営者)は常勤職員1名にカウントされない
3-4. 日本語能力要件(B2相当・JLPT N2以上)の新設
改正後、申請者本人または常勤職員のいずれかが、相当程度の日本語能力(「日本語教育の参照枠」におけるCEFR B2相当)を有することが新たに必要となりました。日本人・特別永住者以外の場合、以下のいずれかにより確認されます。
- JLPT(日本語能力試験)N2以上の合格
- BJT(ビジネス日本語能力テスト)400点以上
- 日本の大学・大学院・専門学校等の高等教育機関を卒業
- 日本の義務教育修了かつ高等学校卒業
- 20年以上の中長期在留歴
実務的にはJLPT N2合格証の提出が最も一般的になる見込みです。経営者本人がN2要件を満たさない場合は、雇用予定の常勤職員にN2保持者を配置することで体制として要件充足する選択肢も現実的です。
3-5. 事業計画書の精緻化と専門家確認の義務化
改正後は、事業計画書について、計画の具体性・合理性・実現可能性が認められるかを評価するものとして、中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかによる確認が義務付けられました(弁護士・行政書士は確認者の対象外)。これにより事業計画書は形式的なものではなく、市場分析・競合分析・収益見通し・資金繰り計画・雇用計画を含む実態のあるものが求められます。
事業計画書の必須内容
- 3〜5年間の収益見通し(売上・原価・営業利益)
- 市場規模・競合分析・差別化戦略
- 資金繰り計画(運転資金・設備投資・人件費)
- 雇用計画(採用時期・職種・人数・社会保険費用)
- 収益化までのマイルストーン
- 許認可の取得見通し(該当事業の場合)
専門家確認の進め方
- 中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかに事業計画書のレビュー・確認書の作成を依頼
- 確認内容には収益モデル、採用・社保費、資金繰り表、許認可取得見通しの実現可能性評価を含める
- 当事務所では提携の中小企業診断士・公認会計士・税理士をご紹介可能
3-6. 事業所の実態確認強化
賃貸借契約書等の形式確認に加え、事業実態を伴う独立した事業所であることが確認されます。改正後は、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められません。バーチャルオフィス、レンタルオフィスの一部利用も原則として認められなくなりました。一方、JETRO等のインキュベーションオフィスや、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されている施設については、使用承諾書等の提出により、事業所確保要件に適合するものとして扱われる場合があります。
4. 既存事業者向けの経過措置(2028年10月16日まで3年間)
2025年10月16日の改正前に経営・管理ビザを取得していた方には、施行日から3年間(2028年〔令和10年〕10月16日まで)の経過措置が設けられています。具体的には次のとおりです。
- 施行日(2025年10月16日)前に受け付けた申請は原則旧基準を適用
- 既に「経営・管理」で在留中の方の更新は、2028年10月16日までに行う申請に限り、改正後の基準に適合していない場合でも、経営状況や新基準に適合する見込み等を踏まえて許否判断(旧基準での個別判断が可能)
- 2028年10月16日経過後の更新申請は、原則として改正後の基準に適合する必要がある
- 経過措置期間中も、事業実態が乏しい・赤字継続・雇用がない等の状況では不許可リスクあり
つまり、現在の経営・管理ビザ保持者は2028年10月16日までの3年間に、新要件(資本金3,000万円・常勤1名以上・日本語N2・事業計画書専門家確認)への適合準備を進める必要があります。楽観視は禁物です。
5. 改正後の事業設計上の留意点
5-1. 資金調達計画
3,000万円の資本金確保に向け、申請者本人の自己資金、贈与(家族・親族)、借入(金融機関・本国送金)、投資(ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家)等の選択肢を組み合わせる戦略が必要です。資金の出所立証は重要審査ポイントで、贈与契約書・送金記録・借入契約書・残高証明書等の整備が求められます。
5-2. 雇用計画
常勤職員1名以上の必須化により、人件費負担が事業計画の重要要素となります。雇用予定者の確保見通し、人件費の収益への影響、採用方法を事業計画書に明記する必要があります。常勤職員にカウントできるのは日本人・特別永住者・別表第二の在留資格保有者に限定されるため、採用市場へのアクセス計画も検討します。
5-3. 経営経験・学位の立証
申請者本人の経営経験を、本国の在職証明書・職務経歴書・税務申告書類等で立証します。学位による代替を選ぶ場合は、修士号・博士号・専門職学位の取得証明書(日本語訳・領事認証付)を準備します。本国の書類は領事認証または翻訳証明が必要となることが多く、提出書類の準備期間に時間を要します。
5-4. 日本語能力の確保
申請者本人がJLPT N2を保有していない場合、常勤職員にN2保持者を配置する体制で要件充足を図ります。逆に、申請者本人が日本の大学卒業や20年以上の中長期在留歴等で要件を満たす場合は、常勤職員の日本語能力は問われません。事業計画段階で「誰が日本語要件を満たすか」を明確化することが重要です。
5-5. 事業計画書の専門家確認
中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかに事業計画書のレビュー・確認書の作成を依頼します。確認書には、計画の具体性・合理性・実現可能性に関する評価コメントが記載される必要があります。確認の依頼は申請の2〜3か月前に行い、計画書のブラッシュアップ期間を確保します。
6. FAQ|よくあるご質問
Q1. 既に経営・管理ビザを取得しています。次回更新時に新要件を満たさないとどうなりますか?
2028年10月16日までの3年間は経過措置期間であり、この期間中の更新申請については、改正後の基準に適合していない場合でも、経営状況や新基準に適合する見込み等を踏まえて許否判断されます(旧基準での個別判断が可能)。2028年10月16日経過後の更新は新基準充足が必須です。経過措置期間中も、事業実態が乏しい・赤字継続・雇用がない等の状況では不許可リスクがあるため、この3年間で新要件への適合準備を進める必要があります。
Q2. 3,000万円の資本金は法人設立時に全額払い込まなければなりませんか?
経営・管理ビザの申請時点で「事業の用に供される財産の総額」が3,000万円以上であることが必要です。法人の場合は払込済資本の額が基本ですが、運転資金として借入・贈与による現金が事業に投下されている場合も「事業に投下される総額」に含まれます。資本金登記そのものは3,000万円である必要はありませんが、事業計画上「3,000万円が事業に投下される」ことを資金計画書で立証する必要があります。
Q3. 個人事業主としての経営・管理ビザ取得は可能ですか?
個人事業主による経営・管理ビザ取得は形式的には可能ですが、3,000万円の事業財産確保・常勤職員1名以上の確保・事業所の独立性・日本語要件・事業計画書専門家確認の各要件を充足する必要があり、実務的には法人化が現実的です。法人化により会社設立登記費用・税務処理が発生しますが、信用力向上・取引拡大の観点でも有利です。
Q4. 常勤職員1名は外国人でも構いませんか?
改正後、常勤職員の対象は「日本人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者」(入管法別表第二の在留資格保有者)に限定されました。技術・人文知識・国際業務など別表第一の就労ビザ保有外国人は常勤職員1名の対象外です。これは改正の趣旨である「日本社会との関係を築く雇用を要件化」を反映したもので、「外国人だけの会社」は認められなくなりました。雇用契約書・社会保険加入記録・給与支払実績による立証が必要です。なお、日本語能力要件の確認における常勤職員には、別表第一の在留資格者が含まれる場合があります。
Q5. 改正後の新要件(資本金3,000万円・経営経験3年または修士号・常勤1名・日本語N2)を満たせない場合、どうすればよいですか?
改正後の要件のいずれかを満たせない場合、以下の代替的在留資格を検討します。
- スタートアップビザ(特定活動の起業準備活動):地方公共団体の支援を受けた外国人起業活動促進事業。短期滞在中の起業準備を可能にする制度(起業準備期間は経営・管理ビザの経営経験3年にも算入可能)
- 高度専門職ビザ(1号ハ):ポイント計算70点以上の高度人材向け。経営・管理活動を伴う場合に利用。ただし、改正後の経営・管理の許可基準に適合していない場合は、経営・管理活動を前提とする高度専門職1号ハ・2号や、これらからの永住許可にも影響するため注意が必要
- 技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国):自社の管理職としての就労(経営者ではなく従業員的立場)
- 家族滞在ビザの就労外活動:配偶者の在留資格に依拠した滞在
事案により最適な選択肢は異なるため、申請取次行政書士に相談して総合的な戦略を立てることが推奨されます。
Q6. 事業計画書の専門家確認は弁護士や行政書士でもできますか?
できません。改正後の事業計画書の専門家確認は、中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかに限定されています(弁護士・行政書士は確認者の対象外)。これは事業計画の収益モデル・財務計画・実現可能性評価が経営・財務の専門領域であることを踏まえた制度設計です。当事務所では提携の中小企業診断士・公認会計士・税理士をご紹介可能ですので、申請取次と併せてご相談ください。
Q7. 自宅兼事務所での経営・管理ビザ取得は可能ですか?
改正後は、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められません。レンタルオフィスの個室・一区画利用、コワーキングスペース等も「独立した事業所」要件を満たさない場合が多くなっています。一方、JETRO等のインキュベーションオフィスや、地方公共団体の起業支援施設で使用承諾書がある場合は事業所要件に適合するものとして扱われる場合があります。事業所選定は申請前に十分に検討する必要があります。
7. 代替的在留資格の検討
7-1. スタートアップビザ(特定活動の起業準備活動)
地方公共団体(自治体)の支援を受けた外国人起業活動促進事業として、短期滞在中の起業準備を可能にする制度です。改正後の経営・管理ビザ要件への適合準備期間として活用できます。起業準備期間(特定活動の起業準備活動)は経営・管理ビザの経営経験3年にも算入可能です。
7-2. 高度専門職ビザ(1号ハ・2号)
ポイント計算70点以上の高度人材向け在留資格で、経営・管理活動を伴う場合は1号ハが問題になります。ただし、令和7年10月16日施行後、改正後の経営・管理の許可基準に適合していない場合は、経営・管理活動を前提とする高度専門職1号ハ・2号や、これらからの永住許可にも影響するため、改正後の要件確認が必要です。
7-3. 技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国)
自社の管理職として就労する場合の選択肢です。経営者(代表取締役・代表社員)ではなく、従業員的立場(事業部長・部門責任者等)として活動する場合に検討します。
8. 業務範囲の整理
8-1. 行政書士業務(申請取次)
- 経営・管理ビザの新規申請書類・更新申請書類・変更申請書類の作成(行政書士業務:官公署提出書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成)
- 地方出入国在留管理局への申請取次(行政書士業務:作成することができる官公署提出書類を官公署に提出する手続の代理、出入国管理及び難民認定法施行規則第6条の2に基づく届出済証明書交付による申請取次)
- 事業計画書・経営経験立証資料・学位立証資料・資金出所立証資料・日本語能力立証資料・常勤職員関係資料・許認可取得状況資料の作成・整備
- 常勤職員雇用契約書の文案作成サポート
- 事実証明書類としての事業実態整理
8-2. 業務範囲外(連携先専門家)
- 事業計画書の専門家確認(2025年10月16日改正により義務化)→ 中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれか(弁護士・行政書士は確認者の対象外)
- 会社設立登記(株式会社・合同会社)→ 司法書士業務
- 税務申告・税額計算・節税相談 → 税理士業務(税理士法第2条)
- 労務管理規程・就業規則の作成・改定 → 社会保険労務士業務(社労士法第2条第1項第2号:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成)
- 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・労働基準監督署等への提出代行 → 社会保険労務士業務(社労士法第2条第1項第1号・第1号の2)
- 不許可後の取消訴訟・行政事件 → 弁護士業務(弁護士法第72条)
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まとめ
在留資格「経営・管理」は、2025年10月16日施行の基準省令改正により、資本金(事業の用に供される財産総額)3,000万円以上、経営または管理の実務経験3年以上または関連分野の修士・博士・専門職学位、常勤職員1名以上の必須化(資本金との両方必須・対象は別表第二の在留資格保有者に限定)、日本語B2相当(JLPT N2以上等)の新設、事業計画書の中小企業診断士・公認会計士・税理士による確認義務化、事業所の独立性強化等、大幅な要件厳格化が行われました。
これは経営・管理ビザを「真に事業経営の意思と能力を有する外国人」のための制度として再定義する改正で、形式的な500万円出資・実体のない会社設立による在留資格取得が事実上できなくなりました。
既存の経営・管理ビザ保持者には2028年10月16日までの3年間の経過措置が設けられていますが、事業の継続性・収益性・雇用継続状況の確認が強化されるため、この3年間で新要件への適合準備を進める必要があります。
新規申請を検討する方は、設立段階から事業計画の精緻化・資金調達計画・経営経験または学位の立証準備・日本語能力要件の充足戦略を進める必要があり、申請取次行政書士への早期相談が現実的なアプローチとなります。要件を満たせない場合は、スタートアップビザ・高度専門職ビザ・技人国ビザ等の代替的在留資格も選択肢となるため、事案に応じた総合的な戦略立案が重要です。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


