公開日:2026年5月18日
在留資格「経営・管理」は、外国人が日本で会社設立・事業経営を行う際に必要となる就労系在留資格ですが、2025年10月の基準省令改正により、資本金(出資総額)500万円→3,000万円、経営経験3年以上の要件新設、常勤職員2名以上の必須化等、大幅な要件強化が行われました。これにより、これまで「資本金500万円・小規模事務所・1名体制」で取得していた経営管理ビザは、新規申請が事実上できなくなり、既存の経営・管理者も更新時に新要件への適合が求められる可能性があります。本記事では、2025年10月改正後の経営・管理ビザの新要件、既存事業者向けの経過措置、改正後の事業設計上の留意点、行政書士による申請取次の業務範囲を整理します。
本記事の結論:
- 2025年10月改正により、経営・管理ビザの資本金(出資総額)は500万円から3,000万円へ大幅引き上げ、経営経験3年以上の要件が新設、常勤職員2名以上の確保が必須となりました。
- 既存の経営・管理ビザ保持者には更新時の経過措置が設けられていますが、事業の継続性・収益性・適正経営性の立証強化が求められます。
- 新規申請では事業計画書の精緻化、資金調達計画、雇用計画、収益見通しが厳格に審査されるため、設立段階から行政書士への相談が現実的です。
- 当事務所は申請取次行政書士として、経営・管理ビザの新規申請・更新・変更を、入管法施行規則6条の2・19条第3項に基づき取次申請します。会社設立登記は司法書士、税務は税理士をご紹介します。
経営・管理ビザ(2025年10月改正対応)申請取次サポート
次のようなお悩みは、申請取次行政書士(行政書士法人Tree)にご相談ください。
- これから日本で会社を設立して経営・管理ビザを申請したい
- 2025年10月改正後の資本金3,000万円・経営経験3年・常勤2名要件を充足できるか確認したい
- 既存の経営・管理ビザを保持しているが、更新時の経過措置・新要件への対応が不安
- 家族滞在ビザから経営・管理ビザへの変更を検討している
- 外国本国の経営経験を立証する資料の整え方が分からない
- 事業計画書・収益見通し・雇用計画の精緻化サポートを受けたい
申請取次行政書士として地方出入国在留管理局への取次申請に対応します(行政書士法1条の3、出入国管理及び難民認定法施行規則6条の2・19条第3項)。会社設立登記は司法書士、税務申告・税額計算は税理士、労務管理規程の作成は社会保険労務士をご紹介します。
目次
根拠法令(2026年5月時点)
- 出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第一の二(経営・管理)
- 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号に基づく基準を定める省令(基準省令)の「経営・管理」項(2025年10月施行の改正)
- 2025年10月施行 基準省令改正:資本金(出資総額)3,000万円以上、経営経験3年以上、常勤職員2名以上、事業計画書要件強化
- 出入国管理及び難民認定法施行規則6条の2(申請取次の対象)・19条第3項(申請取次の対象手続)
- 行政書士法1条の3(申請取次行政書士の業務範囲)
- 会社法(株式会社・合同会社の設立要件)
- 出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に関する基準(令和7年10月版)」
1. 経営・管理ビザの2025年10月改正の概要
これまでの経営・管理ビザは、資本金500万円以上または常勤職員2名以上の確保のいずれかを満たし、事業所を確保すれば、比較的取得しやすい就労系在留資格でした。しかし、形式的な要件充足のみで実態のない法人設立、ペーパーカンパニーの設立、不適切な事業運営などの事例が問題視され、2025年10月施行の基準省令改正により、要件が大幅に厳格化されました。
改正前後の比較
| 要件 | 改正前(〜2025年9月) | 改正後(2025年10月〜) |
|---|---|---|
| 資本金(出資総額) | 500万円以上 | 3,000万円以上 |
| 経営経験 | 明示要件なし | 3年以上の経営または管理経験 |
| 常勤職員 | 2名以上 または 資本金500万円 | 常勤2名以上が必須(資本金との選択不可) |
| 事業計画書 | 提出・形式審査中心 | 収益見通し・市場分析・資金計画等の実態審査強化 |
| 事業所 | 賃貸契約等の形式確認 | 事業実態を伴う独立した事業所であることの確認強化 |
2. 改正の背景と政策意図
経営・管理ビザの厳格化は、以下のような背景に基づきます。
- 形式的な500万円出資・ペーパーカンパニー設立による在留資格取得事例の増加
- 事業の継続性・収益性が立証できないまま長期にわたり在留資格を更新する事例
- マネーロンダリング・違法な資金移動の温床となるリスク指摘
- 「日本で実際に事業を経営・管理する外国人」を本来の制度趣旨に沿って受け入れるための見直し
- 諸外国(シンガポール・米国EB-5・カナダ等)の投資家ビザとの要件水準の調整
この改正は、経営・管理ビザを「真に事業経営の意思と能力を有する外国人」のための制度として再定義するものです。
3. 改正後の新要件詳細
3-1. 資本金(出資総額)3,000万円以上
株式会社の場合は資本金、合同会社の場合は出資総額が3,000万円以上であることが必要です。資本金は申請時に銀行口座への入金が確認でき、設立登記簿に記載されている必要があります。
- 自己資金による出資が原則(借入金による出資は実態審査の対象)
- 資金の出所(合法な収入源・贈与・相続等)を立証する書類が必要
- 海外送金による出資の場合は送金記録・税関申告書の確認
- 名目だけの増資(後日減資予定の出資)は不適切と判断されるリスク
3-2. 経営経験3年以上
申請者本人が、本国または日本国内で経営・管理職としての実務経験を3年以上有することが新たに必要となりました。これは、経営・管理ビザを「経験豊富な事業家」向けの制度として位置づける改正の核心部分です。
- 会社経営者(代表取締役・代表社員・社長等)としての経験
- 事業部長・部門責任者等の管理職としての経験
- 同業種・関連業種での経験が望ましい(異業種転換の場合は事業計画の説得力強化が必要)
- 立証書類:在職証明書、職務経歴書、法人登記簿(経営者の場合)、税務申告書類
3-3. 常勤職員2名以上の必須化
改正前は「常勤職員2名以上 または 資本金500万円以上」のいずれかでしたが、改正後は両方の充足(資本金3,000万円以上 かつ 常勤2名以上)が必要となりました。
- 常勤職員は日本人、永住者、特別永住者、または就労制限のない在留資格保有者
- 雇用契約書、社会保険加入記録、給与支払実績による立証
- 派遣社員・業務委託は常勤職員に含まれない
- 申請者本人(経営者)は常勤職員2名にカウントされない
3-4. 事業計画書の精緻化
形式的な事業計画書ではなく、市場分析・競合分析・収益見通し・資金繰り計画・雇用計画を含む実態のある事業計画書が求められます。
- 3〜5年間の収益見通し(売上・原価・営業利益)
- 市場規模・競合分析・差別化戦略
- 資金繰り計画(運転資金・設備投資・人件費)
- 雇用計画(採用時期・職種・人数)
- 収益化までのマイルストーン
3-5. 事業所の実態確認強化
賃貸借契約書等の形式確認に加え、事業実態を伴う独立した事業所であることが確認されます。自宅兼事務所、バーチャルオフィス、レンタルオフィスの一部利用は原則として認められなくなる可能性があります。
4. 既存事業者向けの経過措置
2025年10月の改正前に経営・管理ビザを取得していた方には、更新時の経過措置が設けられています。ただし、経過措置の内容は申請者の事業実態・継続性により個別判断されるため、楽観視は禁物です。
更新時の主な確認事項
- 事業の継続性(直近3年間の売上・利益の推移)
- 納税状況(法人税・消費税・源泉所得税の納付状況)
- 常勤職員の雇用継続状況
- 事業所の継続使用状況
- 事業計画の達成状況と今後の見通し
更新時に事業実態が乏しい、赤字継続、雇用がない等の状況であれば、新要件への適合を求められるか、不許可となるリスクがあります。既存の経営・管理ビザ保持者は、更新時期が近づく前に事業実態の整備を進めておくことが重要です。
5. 改正後の事業設計上の留意点
5-1. 資金調達計画の精緻化
資本金3,000万円の確保は、多くの外国人申請者にとって大きなハードルです。資金の出所を明確に立証できる調達計画が必要となります。
- 自己資金:本国での収入・蓄積・贈与・相続の証明書類
- 共同出資者:日本人・在日永住者等の共同出資による資本充実
- 金融機関からの融資:日本政策金融公庫・地銀の創業融資(ただし融資による資本金充当は実態審査対象)
5-2. 経営経験の立証強化
経営経験3年以上の立証は、本国の在職証明書・職務経歴書のみでは不十分なケースもあります。法人登記簿の写し、税務申告書類、ビジネス上の実績資料(売上証明・取引先証明等)を組み合わせた立証が求められます。
5-3. 雇用計画の現実性
常勤2名以上の必須化により、人件費負担が事業計画の重要要素となります。雇用予定者の確保見通し、人件費の収益への影響、採用方法を事業計画書に明記する必要があります。
5-4. 事業所の独立性
自宅兼事務所・バーチャルオフィスは原則として認められなくなる可能性が高く、独立した事業所の賃借(または購入)が必要です。事業所の所在地・面積・設備が事業内容に見合っていることも確認されます。
6. 改正後の代替的な在留資格選択肢
3,000万円・経営経験3年・常勤2名の要件を満たせない場合、以下の代替的な在留資格を検討します。
- スタートアップビザ(特定活動):地方公共団体の支援を受けた外国人起業活動促進事業。短期滞在中の起業準備を可能にする制度
- 高度専門職ビザ:ポイント計算70点以上の高度人材向け。経営・管理活動を伴う場合は1号ハ
- 技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国):自社の管理職としての就労(経営者ではなく従業員的立場)
- 家族滞在ビザの就労外活動:配偶者の在留資格に依拠した滞在
事案により最適な在留資格は異なるため、申請取次行政書士に相談して総合的な戦略を立てることが推奨されます。
7. 申請の流れ(新規・更新)
新規申請の流れ
- 事業計画策定(市場分析・収益見通し・雇用計画)
- 会社設立(株式会社または合同会社、資本金3,000万円以上):登記は司法書士
- 事業所の確保(賃貸借契約書)
- 常勤職員の雇用契約・社会保険手続き
- 申請書類の整備(事業計画書、経営経験立証、資金出所立証等)
- 地方出入国在留管理局への申請(在留資格認定証明書交付申請または変更申請)
- 標準処理期間:おおむね1〜3か月(事案により変動)
- 許可後、本邦上陸または在留資格変更完了
更新申請の流れ
- 直近の事業実績整理(決算書・税務申告書)
- 納税状況の確認(法人税・消費税・源泉所得税)
- 雇用継続状況の整理(給与支払実績・社会保険記録)
- 事業所継続使用の確認(賃貸借契約・実態確認)
- 申請書類の整備(更新申請書、事業の継続性・収益性立証)
- 在留期間満了日の3か月前から申請可能
8. 業務範囲の整理
行政書士の業務範囲(申請取次)
- 経営・管理ビザの新規申請・更新申請・変更申請の取次(行政書士法1条の3、入管法施行規則6条の2・19条第3項)
- 事業計画書・経営経験立証資料・資金出所立証資料の作成・整備
- 常勤職員雇用契約書の文案作成サポート
- 事実証明書類としての事業実態整理
業務範囲外(連携先専門家)
- 会社設立登記(株式会社・合同会社)→ 司法書士業務
- 税務申告・税額計算・節税相談 → 税理士業務
- 労務管理規程・就業規則・社会保険手続 → 社会保険労務士業務
- 事業計画策定の経営助言・収支シミュレーションの数値根拠 → 中小企業診断士・税理士
- 不許可後の取消訴訟・行政事件 → 弁護士業務
FAQ|よくあるご質問
Q1. 2025年10月以前に経営・管理ビザを取得しています。次回更新で不許可になる可能性はありますか?
A. 経過措置が設けられていますが、事業実態が乏しい・赤字継続・雇用がない等の場合は不許可リスクがあります。直近3年間の事業継続性・収益性・納税状況・雇用状況の整理を進め、更新申請前に申請取次行政書士へご相談ください。
Q2. 資本金3,000万円は全額を本国から送金する必要がありますか?
A. 全額を本国から送金する必要はなく、共同出資者(日本人・永住者等)の出資、日本国内での借入による調達等も可能です。ただし、資金の出所を明確に立証できる資料が必要となります。
Q3. 経営経験3年は本国での会社経営でも認められますか?
A. 認められます。ただし、法人登記簿の写し、税務申告書類、職務経歴書等で本国での経営経験を立証する必要があります。同業種・関連業種での経験が望ましく、異業種の場合は事業計画の説得力強化が必要です。
Q4. 常勤職員2名は外国人でも構いませんか?
A. 常勤職員は日本人、永住者、特別永住者、または就労制限のない在留資格保有者(定住者・日本人配偶者等・永住者の配偶者等)が望ましいです。技術・人文知識・国際業務ビザ等の就労ビザ保有者でも要件を満たし得ますが、雇用継続性・適正な労働条件が確認されます。
Q5. 資本金3,000万円の要件を満たせない場合、どうすればよいですか?
A. スタートアップビザ(特定活動)、高度専門職ビザ、技人国ビザ(自社の管理職としての就労)等の代替的在留資格を検討します。事案により最適な選択肢は異なるため、申請取次行政書士に相談することが推奨されます。
Q6. 自宅兼事務所でも経営・管理ビザは取得できますか?
A. 改正後は事業所の独立性が確認されるため、自宅兼事務所での申請は原則として認められなくなる可能性が高いです。独立した事業所(賃借または購入)の確保が必要です。
Q7. 経営・管理ビザの取得後、すぐに資本金を減資できますか?
A. 形式的に資本金3,000万円で設立し、取得後すぐに減資する行為は、実態審査により不適切と判断され、次回更新時に不許可となるリスクが高いです。資本金は事業継続のために維持される必要があります。
Q8. 会社設立から在留資格取得までの期間はどれくらいかかりますか?
A. 会社設立(登記)に2〜4週間、事業所確保・雇用契約・申請書類整備に1〜2か月、入管審査に1〜3か月で、合計3〜6か月程度を見込みます。事業計画の精緻化・資金準備の時間も考慮すると、全体で6か月〜1年の準備期間が現実的です。
関連記事
- スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)とは?経営管理ビザとの違い・申請の流れ・注意点
- 高度専門職ビザとは?ポイント計算・優遇措置・申請方法を解説
- 永住許可申請代行サービス|不許可時返金保証・短縮要件・理由書作成サポート
- 帰化許可申請と永住許可の違い2026年版|要件・国籍・税金・選択基準を解説
経営・管理ビザ(2025年10月改正対応)申請取次サポート
2025年10月改正後の経営・管理ビザ(資本金3,000万円・経営経験3年以上・常勤2名以上)の新規申請・更新申請・変更申請を、申請取次行政書士(行政書士法人Tree)が地方出入国在留管理局への取次申請として対応します(行政書士法1条の3、出入国管理及び難民認定法施行規則6条の2・19条第3項)。事業計画書の精緻化、経営経験・資金出所の立証資料整備、既存事業者の更新時経過措置対応まで、トータルでサポートします。会社設立登記は司法書士、税務申告は税理士、労務管理は社会保険労務士と連携します。
まとめ
在留資格「経営・管理」は、2025年10月の基準省令改正により、資本金(出資総額)3,000万円以上、経営経験3年以上、常勤職員2名以上の必須化、事業計画書の精緻化、事業所の独立性強化等、大幅な要件厳格化が行われました。これは経営・管理ビザを「真に事業経営の意思と能力を有する外国人」のための制度として再定義する改正で、形式的な500万円出資・ペーパーカンパニー設立による在留資格取得が事実上できなくなりました。既存の経営・管理ビザ保持者にも更新時の経過措置が設けられていますが、事業の継続性・収益性・雇用継続状況の確認が強化されるため、楽観視は禁物です。新規申請を検討する方は、設立段階から事業計画の精緻化・資金調達計画・経営経験の立証準備を進める必要があり、申請取次行政書士への早期相談が現実的なアプローチとなります。3,000万円要件を満たせない場合は、スタートアップビザ・高度専門職ビザ・技人国ビザ等の代替的在留資格も選択肢となるため、事案に応じた総合的な戦略立案が重要です。会社設立登記は司法書士、税務は税理士、労務管理は社会保険労務士と連携し、各専門家チームで対応することが安全で確実な事業立ち上げにつながります。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


