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重国籍と国籍選択届の手続|20歳までの選択期限・国籍法14条・重国籍解消方法を解説

更新: 約11分で読めます

「子どもが日本国籍と外国国籍を両方持っている」「20歳の誕生日が近づいたが国籍選択届を出していない」「もう一方の国籍を離脱したいが手続が分からない」――重国籍は出生・婚姻・帰化など複数の原因で生じ、国籍法は一定の年齢までに国籍選択を求めています。2022年(令和4年)4月1日施行の成年年齢引下げに伴う改正国籍法により、現行法では「重国籍となった時が18歳未満なら20歳まで、18歳以上なら重国籍となった時から2年以内」に国籍選択が必要です。国籍選択を怠ると、(a) 法務大臣からの催告、(b) 催告後1か月以内に選択しなければ日本国籍喪失、などの不利益を被るおそれがあります。本記事では、重国籍の発生原因、国籍選択届の手続、選択期限(20歳まで又は重国籍となった時から2年以内)、外国国籍の離脱方法、国籍法14条の選択義務を、実務目線で解説します。

本記事の結論:

  • 重国籍者は国籍法14条1項により、2022年4月1日施行の改正法に基づき、重国籍となった時が18歳未満なら20歳に達するまで、18歳以上なら重国籍となった時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
  • 日本国籍を選択する方法は、(1)外国国籍の離脱、または(2)市区町村・在外公館への「国籍選択届」の提出のいずれか。届出は本人の意思表示で完結する。
  • 選択を怠ると法務大臣の催告(国籍法15条)を受け、1か月以内に日本国籍を選択しなければ自動喪失するリスクがある。
  • 当所は申請取次行政書士として国籍選択届・帰化申請書類の作成、戸籍取得に対応。外国国籍の離脱手続は相手国の主権事項のため、在外公館・領事館をご案内します。

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根拠法令

  • 国籍法3条1項(認知された子の国籍取得・2022年4月1日改正で18歳未満に変更)
  • 国籍法11条1項(自己の志望による外国国籍取得による日本国籍喪失)・11条2項(外国法令によりその外国国籍を選択した場合の喪失)
  • 国籍法12条(出生による外国国籍取得と国籍留保)
  • 国籍法14条1項・2項(国籍の選択義務・選択期限/2022年4月1日改正で18歳・20歳基準に)
  • 国籍法15条1項・3項(法務大臣の催告・1か月不選択時の日本国籍喪失)
  • 国籍法16条1項(選択宣言後の外国国籍離脱努力義務)・16条2項(外国公務員就任時の日本国籍喪失宣告)
  • 国籍法17条1項(国籍再取得・2022年4月1日改正で18歳未満に変更)
  • 戸籍法103条(国籍喪失届)・104条(国籍留保)・104条の2(国籍選択届)・104条の3(重国籍者に関する管轄法務局等への通知)
  • 「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号、2022年4月1日施行)による国籍法の整備

重国籍の発生原因

日本人が重国籍となる主な原因は次のとおりです。

  • (1) 国際結婚した日本人夫婦の子が、出生により父母の国籍と出生地国籍(米国・カナダ・ブラジル等の出生地主義国)を取得
  • (2) 日本人と外国人の夫婦の子が、両親の血統主義により両国籍を取得
  • (3) 日本人父と外国人母の婚外子について、日本人父からの認知により国籍法3条1項に基づき日本国籍を取得した場合(届出は18歳の誕生日の前日までに必要・2022年4月1日改正後)
  • (4) 日本人が外国人と婚姻し、相手国の法制度により自動的に相手国国籍を取得(例:イラン等)
  • (5) 日本人が外国に帰化したが、日本側に国籍喪失届を提出せず日本戸籍が残っている状態
  • (6) 日本人が外国国籍を取得したが、本人の自己の志望でない(婚姻による自動取得等)場合

国籍法11条1項は「自己の志望によって外国の国籍を取得したとき」は日本国籍を喪失すると定めており、自己の意思で外国に帰化すれば日本国籍は自動的に喪失します。一方、出生・婚姻による自動取得は重国籍状態となり、選択義務の対象になります。

国籍法14条の選択期限|20歳まで・18歳以上は2年以内

国籍法14条1項は、2022年(令和4年)4月1日施行の改正により、重国籍者に対し以下の期限までに国籍選択をすべきと定めています。

  • 重国籍となった時が18歳未満:20歳に達するまで
  • 重国籍となった時が18歳以上:その時から2年以内

選択期限を過ぎて選択届を出していない場合、法務大臣は書面により国籍選択を催告でき(国籍法15条1項)、催告を受けた者が1か月以内に日本国籍を選択しなければ、その期間経過時に日本国籍を喪失します(同条3項)。法務省は、これまで国籍法15条1項の催告が実際になされた事例は確認されていないと説明していますが、運用は法改正・行政方針により変わり得るため、期限内の選択が安全です。

令和4年(2022年)成年年齢引下げと選択期限の改正経緯

2022年(令和4年)4月1日施行の改正民法で成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、同日施行で国籍法14条1項も改正され、本則の年齢基準が「20歳未満・22歳まで/20歳以上・2年以内」から「18歳未満・20歳まで/18歳以上・2年以内」へ変更されました。

なお、改正法附則により経過措置が定められており、施行日(2022年4月1日)時点で(a) 既に20歳以上であった重国籍者は22歳に達するまで(20歳に達した後に重国籍となった場合は重国籍となった時から2年以内)に、(b) 18歳以上20歳未満であった重国籍者は施行日から2年以内に、それぞれ国籍選択をすれば足ります。経過措置の本則と現行の本則を混同しないよう注意が必要です。最新運用は法務省・在外公館にご確認ください。

国籍選択の方法

日本国籍を選択する方法は、国籍法14条2項により次の2通りです。

(1) 外国国籍の離脱

外国側の法律手続で外国国籍を離脱する方法です。離脱の可否・手続・要件は国により大きく異なり、(a) 申請のみで離脱可能な国(韓国・ブラジル等)、(b) 兵役完了が条件の国(韓国男性等)、(c) 離脱を認めない国(イラン・モロッコ等)、(d) 重国籍を認める国(米国・英国・カナダ・フランス等)と様々です。離脱手続は当該国の法制度に基づき、相手国の在日領事館または現地役所で行います。

(2) 国籍選択届(日本側)

日本の市区町村役場または在外公館に「国籍選択届」を提出することで、日本国籍の選択と外国国籍の放棄を宣言する方法です。届出書には「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する」旨の宣言を記載します。この届出は日本国内の手続で完結しますが、外国国籍が消滅するわけではなく、相手国の法制度上は依然として外国国籍が残る場合があります。

国籍選択届を提出しても外国国籍が法的に残る場合、国籍法16条により外国国籍の積極的行使(外国旅券での出入国・外国公務員就任等)を控える義務(努力義務)が生じます。

国籍選択届の必要書類と提出先

国籍選択届の提出先は、(a) 届出人の本籍地、(b) 所在地(住所地)の市区町村役場、または (c) 在外公館(在外居住の場合)です。必要書類は次のとおりです。

  • 国籍選択届(市区町村窓口・在外公館で入手)
  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
  • 戸籍謄本(令和6年3月1日施行の戸籍法改正による戸籍証明書等の広域交付制度開始に伴い、本籍地以外の市区町村窓口での届出でも戸籍謄本の添付は原則不要。ただし、戸籍が電算化されていない場合や在外公館での届出時には別途求められる場合があるため、提出先に事前確認すると確実です)

法務省の国籍選択届の案内では、外国国籍を有することを証する書面は法令上の添付書類として明示されていません(窓口運用で参考資料として外国旅券等の提示を求められる場合はあります)。届出は本人または法定代理人が行います。15歳以上は本人が単独で届出可能、15歳未満は法定代理人が代理します(国籍法18条)。

国籍法12条の国籍留保届

外国で出生した日本人の子が出生により外国国籍を取得した場合、出生から3か月以内に「国籍留保届」を出さないと、出生時に遡って日本国籍を失います(国籍法12条)。国籍留保届は出生届と同時に在外公館または日本の市区町村役場に提出します。

国籍留保を失念して日本国籍を喪失した場合、2022年4月1日施行の改正国籍法17条1項により、18歳未満で日本に住所を有するときは「国籍再取得届」により再取得できます。18歳以上の場合は、原則として帰化(国籍法5条)による取得を検討することになります。

外国国籍離脱の実務(国別の傾向)

外国国籍の離脱手続は国により大きく異なり、以下は2026年5月時点の概要です。最新の手続は当該国の在日大使館・領事館にご確認ください。

  • 米国:国籍離脱宣誓(renunciation of US citizenship)など米国法上の手続を米国大使館・領事館で確認。米国の出国税(expatriation tax)の有無も併せて確認が必要
  • 韓国:国籍喪失申告・国籍離脱許可等、年齢・性別・兵役状況により取扱いが異なるため、駐日大韓民国大使館・領事館で要確認
  • 中国:中国国籍法上の取扱い(外国国籍取得時の中国国籍消滅の有無等)について駐日中国大使館・領事館で要確認
  • ブラジル:ブラジル法上の国籍離脱可否・手続を在日ブラジル大使館・領事館で要確認
  • フィリピン:フィリピン共和国法第9225号(Citizenship Retention and Re-acquisition Act of 2003)等により制度変更の経緯があるため、在日フィリピン大使館・領事館で最新運用を要確認
  • イラン:国籍離脱の可否・要件についてイラン側当局・在日イラン大使館で要確認(離脱が制限される運用との指摘あり)

国籍離脱は外国の主権事項であり、日本側の行政書士が代行することはできません。日本側の手続(国籍選択届等)と外国側の手続(離脱届)を併行して進めます。

国籍選択を怠るリスク

選択期限後も国籍選択届を提出しない場合、以下のリスクがあります。

  • 市町村長から管轄法務局・地方法務局への通知(戸籍法104条の3)の対象となること
  • 法務大臣からの催告(国籍法15条1項)と、1か月以内に日本国籍を選択しないときの日本国籍自動喪失(同条3項)
  • 日本国籍を選択宣言した後も外国国籍が残る場合、国籍法16条1項に基づき外国国籍の離脱に努める必要があること(努力義務)
  • 選択宣言後、外国国籍を失っていない者が自己の志望で外国公務員職に就任した場合、その職務内容により国籍法16条2項に基づき法務大臣から日本国籍喪失宣告を受けるリスク
  • 相続・年金・パスポート更新等の各種手続での国籍状況確認時の混乱

催告制度は実務運用が限定的とされてきましたが、近年は法務省の重国籍把握強化の傾向があり、期限内の選択が安全です。

業務範囲の整理

申請取次行政書士業務として対応可能な範囲:

  • 国籍選択届の記入支援・必要書類整理
  • 帰化申請書類の作成(行政書士業務)
  • 戸籍取得・出生証明書の翻訳整理
  • 在留資格変更・更新申請の取次(申請取次行政書士)
  • 国籍状況に関する事実証明書類の作成(行政書士業務)

業務範囲外:

  • 外国国籍の離脱手続代行(外国の主権事項・現地法務専門家)
  • 国籍喪失をめぐる訴訟・行政不服審査の代理(弁護士業務)
  • 国籍取得に関する家庭裁判所手続書類の作成(司法書士業務)
  • 外国の税務(離脱に伴う出国税等)に関する助言(外国税理士業務)

FAQ|重国籍・国籍選択届のよくあるご質問

Q1. 選択期限(原則20歳まで)を過ぎても国籍選択届を出していません。どうすればよいですか。

期限を過ぎていても、速やかに市区町村または在外公館に国籍選択届を提出してください。法務大臣の催告(国籍法15条1項)前であれば、届出により国籍選択の義務を履行したことになります。

Q2. 国籍選択届を出せば外国国籍は消滅しますか。

日本側では選択が確定しますが、外国国籍は相手国の法律で消滅するわけではなく、別途相手国での離脱手続が必要です。

Q3. 米国出生の子は何歳までに選択しますか。

2022年4月1日施行の改正国籍法により、18歳未満で重国籍となった場合は20歳に達するまでに選択します。米国は出生地主義のため、外国(米国)で出生し出生時に米国籍も取得した場合は、出生から3か月以内の国籍留保届を忘れないことも極めて重要です(届出を怠ると出生時に遡って日本国籍を喪失)。

Q4. 外国国籍を離脱できない国の場合はどうなりますか。

日本側で国籍選択届を出せば日本国籍は維持されます。国籍法16条で外国国籍の積極的行使を控える努力義務が生じます。

Q5. 国籍選択届に外国側の同意は必要ですか。

不要です。日本側の単独行為で完結します。ただし外国国籍の法的消滅には相手国の手続が別途必要です。

Q6. 帰化申請と国籍選択届の違いは何ですか。

帰化は外国人が日本国籍を新たに取得する手続、国籍選択届は既に重国籍の人が日本国籍を選ぶ手続で、性質が全く異なります。

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まとめ

重国籍と国籍選択は、出生・婚姻・帰化など多様な原因で発生し、2022年4月1日施行の改正国籍法14条の選択期限(重国籍となった時が18歳未満なら20歳まで、18歳以上なら重国籍となった時から2年以内)の遵守が不可欠です。日本側の国籍選択届は本人の意思表示で完結する一方、外国国籍の完全な離脱には相手国の法制度に従った別途の手続が必要となります。重国籍を放置すると法務大臣の催告・日本国籍自動喪失等のリスクがあり、期限管理と選択方法の判断は慎重に行う必要があります。国籍選択届の作成・帰化申請・国籍状況の整理について、申請取次行政書士として書類作成業務をサポートします。まずは無料相談で状況をお聞かせください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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