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重国籍と国籍選択届の手続|22歳までの選択期限・国籍法14条・重国籍解消方法を解説

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「子どもが日本国籍と外国国籍を両方持っている」「22歳の誕生日が近づいたが国籍選択届を出していない」「もう一方の国籍を離脱したいが手続が分からない」――重国籍は出生・婚姻・帰化など複数の原因で生じ、国籍法は一定の年齢までに国籍選択を求めています。国籍選択を怠ると、(a) 法務大臣からの催告、(b) 催告後1か月以内に選択しなければ日本国籍喪失、(c) 外国公務員に就任した場合の問題など、不利益を被るおそれがあります。本記事では、重国籍の発生原因、国籍選択届の手続、選択期限(22歳まで)、外国国籍の離脱方法、国籍法14条の選択義務を、申請取次行政書士の業務範囲で実務目線で解説します。

本記事の結論:

  • 重国籍者は国籍法14条1項により、重国籍となった時が20歳未満なら22歳に達するまで、20歳以上なら2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
  • 日本国籍を選択する方法は、(1)外国国籍の離脱、または(2)市区町村・在外公館への「国籍選択届」の提出のいずれか。届出は本人の意思表示で完結する。
  • 選択を怠ると法務大臣の催告(国籍法15条)を受け、1か月以内に日本国籍を選択しなければ自動喪失するリスクがある。
  • 当所は申請取次行政書士として国籍選択届・帰化申請書類の作成、戸籍取得に対応。外国国籍の離脱手続は相手国の主権事項のため、在外公館・領事館をご案内します。

国籍選択届・帰化申請のサポート

国籍選択届の記入支援、必要書類の整理、出生地主義国の国籍状況確認、帰化申請(日本国籍取得)など、申請取次行政書士として国籍に関する書類作成業務をサポートします。外国側の国籍離脱手続は当該国の法制度に従い、必要に応じて在外公館・領事館をご案内します。

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根拠法令

  • 国籍法11条(日本国籍の喪失・自己の志望による外国国籍取得)
  • 国籍法12条(出生による外国国籍取得と国籍留保)
  • 国籍法14条1項・2項(国籍の選択義務・選択期限)
  • 国籍法15条(法務大臣の催告)
  • 国籍法16条(選択宣言後の外国国籍行使制限)
  • 戸籍法102条・104条の2(国籍選択届・国籍喪失届)

重国籍の発生原因

日本人が重国籍となる主な原因は次のとおりです。

  • (1) 国際結婚した日本人夫婦の子が、出生により父母の国籍と出生地国籍(米国・カナダ・ブラジル等の出生地主義国)を取得
  • (2) 日本人と外国人の夫婦の子が、両親の血統主義により両国籍を取得
  • (3) 日本人が外国人と婚姻し、相手国の法制度により自動的に相手国国籍を取得(例:イラン等)
  • (4) 日本人が外国に帰化したが、日本側に国籍喪失届を提出せず日本戸籍が残っている状態
  • (5) 日本人が外国国籍を取得したが、本人の自己の志望でない(婚姻による自動取得等)場合

国籍法11条1項は「自己の志望によって外国の国籍を取得したとき」は日本国籍を喪失すると定めており、自己の意思で外国に帰化すれば日本国籍は自動的に喪失します。一方、出生・婚姻による自動取得は重国籍状態となり、選択義務の対象になります。

国籍法14条の選択期限

国籍法14条1項は、重国籍者に対し以下の期限までに国籍選択をすべきと定めています。

  • 重国籍となった時が20歳未満:22歳に達するまで
  • 重国籍となった時が20歳以上:その時から2年以内

選択期限を過ぎて選択届を出していない場合、法務大臣は書面により国籍選択を催告でき(国籍法15条)、催告を受けた者が1か月以内に日本国籍を選択しなければ、その期間経過時に日本国籍を喪失します。実務上、催告は限定的な運用とされていますが、近年は重国籍把握の徹底傾向にあるため、期限内の選択が望ましい状況です。

令和4年の成年年齢引下げと選択期限

令和4年4月1日施行の改正民法で成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、国籍法14条の選択期限「20歳・22歳」基準も実質的な見直しが議論されてきました。令和4年9月以前の改正で経過措置が整備され、現行の選択期限は依然として「20歳未満なら22歳まで」「20歳以上なら2年以内」が原則となっています(成年年齢引下げに伴う特例的経過措置あり)。最新運用は法務省・在外公館にご確認ください。

国籍選択の方法

日本国籍を選択する方法は、国籍法14条2項により次の2通りです。

(1) 外国国籍の離脱

外国側の法律手続で外国国籍を離脱する方法です。離脱の可否・手続・要件は国により大きく異なり、(a) 申請のみで離脱可能な国(韓国・ブラジル等)、(b) 兵役完了が条件の国(韓国男性等)、(c) 離脱を認めない国(イラン・モロッコ等)、(d) 重国籍を認める国(米国・英国・カナダ・フランス等)と様々です。離脱手続は当該国の法制度に基づき、相手国の在日領事館または現地役所で行います。

(2) 国籍選択届(日本側)

日本の市区町村役場または在外公館に「国籍選択届」を提出することで、日本国籍の選択と外国国籍の放棄を宣言する方法です。届出書には「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する」旨の宣言を記載します。この届出は日本国内の手続で完結しますが、外国国籍が消滅するわけではなく、相手国の法制度上は依然として外国国籍が残る場合があります。

国籍選択届を提出しても外国国籍が法的に残る場合、国籍法16条により外国国籍の積極的行使(外国旅券での出入国・外国公務員就任等)を控える義務(努力義務)が生じます。

国籍選択届の必要書類と提出先

国籍選択届の提出先は、(a) 届出人の本籍地、(b) 所在地(住所地)の市区町村役場、または (c) 在外公館(在外居住の場合)です。必要書類は次のとおりです。

  • 国籍選択届(市区町村窓口・在外公館で入手)
  • 外国国籍を有することを証する書面(外国旅券・出生証明書等)
  • 戸籍謄本(本籍地以外で届け出る場合)
  • 本人確認書類

届出は本人または法定代理人が行います。15歳以上は本人が単独で届出可能、15歳未満は法定代理人が代理します。

国籍法12条の国籍留保届

外国で出生した日本人の子が出生により外国国籍を取得した場合、出生から3か月以内に「国籍留保届」を出さないと、出生時に遡って日本国籍を失います(国籍法12条)。国籍留保届は出生届と同時に在外公館または日本の市区町村役場に提出します。

国籍留保を失念して日本国籍を喪失した場合、20歳未満であれば「国籍再取得届」(国籍法17条1項)により再取得できますが、要件として日本に住所を有することが必要です。20歳以上の場合は帰化(国籍法5条)による取得となります。

外国国籍離脱の実務(国別の傾向)

外国国籍の離脱手続は国により大きく異なり、以下は2026年5月時点の概要です。最新の手続は当該国の在日大使館・領事館にご確認ください。

  • 米国:国籍離脱宣誓(米国大使館・領事館で実施)、出国税の課題
  • 韓国:国籍喪失申告または国籍離脱許可申請、男性は兵役完了が条件
  • 中国:中国は重国籍を認めず、外国国籍取得時に中国国籍を自動喪失
  • ブラジル:国籍離脱手続あり
  • フィリピン:従前は離脱必要、近年制度変更傾向
  • イラン:国籍離脱を認めない

国籍離脱は外国の主権事項であり、日本側の行政書士が代行することはできません。日本側の手続(国籍選択届等)と外国側の手続(離脱届)を併行して進めます。

国籍選択を怠るリスク

選択期限後も国籍選択届を提出しない場合、以下のリスクがあります。

  • 法務大臣からの催告(国籍法15条1項)と1か月後の日本国籍自動喪失
  • 外国旅券での出入国による国籍法16条違反の可能性
  • 外国公務員就任による国籍法11条2項の喪失リスク(外国国籍を選択した場合)
  • 相続・年金・パスポート更新等の各種手続での国籍状況確認時の混乱

催告制度は実務運用が限定的とされてきましたが、近年は法務省の重国籍把握強化の傾向があり、期限内の選択が安全です。

業務範囲の整理

申請取次行政書士業務として対応可能な範囲:

  • 国籍選択届の記入支援・必要書類整理
  • 帰化申請書類の作成・代行(行政書士法1条の3)
  • 戸籍取得・出生証明書の翻訳整理
  • 在留資格変更・更新申請の代行(申請取次行政書士)
  • 国籍状況の事実関係整理書面の作成

業務範囲外:

  • 外国国籍の離脱手続代行(外国の主権事項・現地法務専門家)
  • 国籍喪失をめぐる訴訟・行政不服審査の代理(弁護士業務)
  • 国籍取得に関する家庭裁判所手続書類の作成(司法書士業務)
  • 外国の税務(離脱に伴う出国税等)に関する助言(外国税理士業務)

FAQ|よくあるご質問

Q1. 22歳を過ぎても国籍選択届を出していません。どうすればよいですか。
A. 速やかに市区町村または在外公館に国籍選択届を提出してください。法務大臣の催告前であれば日本国籍は維持されます。

Q2. 国籍選択届を出せば外国国籍は消滅しますか。
A. 日本側では選択が確定しますが、外国国籍は相手国の法律で消滅するわけではなく、別途相手国での離脱手続が必要です。

Q3. 米国出生の子は何歳までに選択しますか。
A. 20歳未満で重国籍となった場合、22歳に達するまでに選択します。出生から3か月以内の国籍留保届を忘れないことも重要です。

Q4. 外国国籍を離脱できない国の場合はどうなりますか。
A. 日本側で国籍選択届を出せば日本国籍は維持されます。国籍法16条で外国国籍の積極的行使を控える努力義務が生じます。

Q5. 国籍選択届に外国側の同意は必要ですか。
A. 不要です。日本側の単独行為で完結します。ただし外国国籍の法的消滅には相手国の手続が別途必要です。

Q6. 帰化申請と国籍選択届の違いは何ですか。
A. 帰化は外国人が日本国籍を新たに取得する手続、国籍選択届は既に重国籍の人が日本国籍を選ぶ手続で、性質が全く異なります。

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まとめ

重国籍と国籍選択は、出生・婚姻・帰化など多様な原因で発生し、国籍法14条の選択期限(22歳までまたは2年以内)の遵守が不可欠です。日本側の国籍選択届は本人の意思表示で完結する一方、外国国籍の完全な離脱には相手国の法制度に従った別途の手続が必要となります。重国籍を放置すると法務大臣の催告・日本国籍自動喪失等のリスクがあり、期限管理と選択方法の判断は慎重に行う必要があります。国籍選択届の作成・帰化申請・国籍状況の整理について、申請取次行政書士として書類作成業務をサポートします。まずは無料相談で状況をお聞かせください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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