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育成就労の送出機関規制|手数料上限・契約書様式・二国間取決めの強化

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結論から言えば、育成就労制度では、送出機関が外国人本人やその親族等から徴収できる全ての費用について、育成就労開始時の所定内賃金月額の2か月分を上限とする規制が設けられます。送出しに要する費用は送出機関・育成就労実施者・監理支援機関等の間で適切に分担し、外国人に上限を超える費用を負担させることはできません。あわせて、原則として二国間取決め(協力覚書・MOC)を作成した国の認定送出機関から受け入れる枠組みや、監理支援機関と送出機関との取次ぎ契約が導入されます。育成就労法(令和6年法律第60号)の施行日は令和9年4月1日です。行政書士は、在留資格認定・育成就労計画認定・監理支援機関の許可申請に関する書類作成等を行い、海外送出機関との職業紹介は許可を受けた有料職業紹介事業者、税務は税理士と連携して進めます。本記事では、現行の省令・運用要領を踏まえて送出機関規制の要点を整理します。

育成就労制度と送出機関規制の全体像

育成就労制度は、技能実習に代わる新たな受入れ制度として、令和6年6月14日に成立し同月21日に公布された「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第60号)によって創設されました。これにより技能実習法は「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)へと改められ、在留資格「技能実習」は廃止され、新たに「育成就労」が設けられます。施行日は一部の規定を除き令和9年4月1日です。

従来の技能実習制度では、来日前に母国の送出機関へ多額の費用を支払い、その多くを借金で賄っている実態が問題視されてきました。送出機関規制の強化は、こうした「来日前債務」を抑制し、外国人本人の経済的負担を軽減することを主眼に置いています。送出機関に関わる規制は、大きく分けて「手数料(費用)の上限」「契約・様式の整備」「二国間取決めの強化」の3点に整理できます。

技能実習で問題視された送出機関手数料の実態

出入国在留管理庁が令和4年7月26日に公表した「技能実習生の支払い費用に関する実態調査」の結果概要によれば、来日前に母国の送出機関や仲介者へ支払った費用の総額は平均約54万2,311円にのぼりました。このうち送出機関に支払った費用は平均約52万1,065円です。さらに、来日前に母国で借金をしていた技能実習生は約55%で、その平均借入額は約54万7,788円とされています。

来日した時点ですでに数十万円規模の借金を抱えているため、低賃金や長時間労働でも転職に踏み切れず、失踪や人権上の問題につながる一因と指摘されてきました。育成就労制度の費用上限規制は、この調査結果を踏まえた制度設計です。

手数料上限|送出機関に支払う費用は「月給2か月分」まで

育成就労制度では、送出機関が外国人本人やその親族等から徴収できる全ての費用の上限が、育成就労開始時の所定内賃金月額の2か月分とされます。2か月分はあくまで上限であり、外国人本人の負担は可能な限りゼロに近づけることが望ましいとされています。送出しに係る費用は送出機関・育成就労実施者・監理支援機関等の間で適切に分担しますが、送出機関が上限を超える費用を外国人から徴収することはできません。

具体的な上限額のイメージは、次の表のとおりです(所定内賃金月額は個別の雇用契約により異なるため、あくまで考え方の例示です)。

育成就労開始時の所定内賃金月額(例) 送出機関が外国人本人等から徴収できる費用の上限
18万円 36万円まで
20万円 40万円まで
22万円 44万円まで

上限算定の基礎となる「月給」は、育成就労開始時(1年目)の所定内賃金月額です。残業代等の所定外賃金は含まれません。具体的な算定では、雇用契約書や賃金規程に記載された賃金項目を現行の省令・運用要領に照らして確認する必要があります。

契約・様式の整備|監理支援機関と送出機関の取次ぎ契約

育成就労は、正式には「単独型育成就労」と「監理型育成就労」に区分されます。監理型育成就労で、監理支援機関が外国の送出機関から求職の申込みの取次ぎを受ける場合には、育成就労法施行規則の要件を満たす送出機関との間で、取次ぎに関する契約を締結している必要があります。

現行の省令・運用要領および申請様式では、送出機関、育成就労実施者、監理支援機関等が負担する費用や、外国人本人等が送出機関に支払った費用を申請時に確認する仕組みが示されています。取次ぎ契約の締結に当たっては、費用の内訳、負担関係、取次ぎ業務の内容および法令遵守に関する事項を、最新の運用要領と申請様式に沿って確認する必要があります。

  • 監理支援機関は送出機関との取次ぎ契約の締結が必要
  • 手数料等の内訳・分担を明確化し透明性を確保
  • 外部監査人の設置を許可要件とし、監理支援機関の独立性・中立性を担保
  • 受入れ機関と密接な関係を有する役職員を当該受入れ機関に対する監理業務に関与させない制限

二国間取決め(MOC)の強化と認定送出機関

育成就労制度では、悪質な送出機関を排除するため、原則として二国間取決め(協力覚書・MOC)を作成した国からのみ受け入れることができる仕組みとされています。二国間取決めは、送出国政府と協力し、不適正な送出機関の排除や、外国人が送出機関に支払う費用の基準の遵守などを内容として盛り込む予定とされています。

二国間取決めに基づき、各送出国政府が自国の送出機関の適格性を審査し、適正な機関を認定する仕組みです。受入れに当たっては、相手国との二国間取決めの作成状況と、利用する送出機関が認定送出機関リストに掲載されているかを確認する必要があります。令和8年7月11日現在、タイおよびウズベキスタンとの間で育成就労に関する二国間取決めが作成されており、外国人技能実習機構は複数国について暫定送出機関リストを公表しています。暫定リストへの掲載だけでは監理支援機関の許可が確定するものではなく、正式な二国間取決めの作成と認定送出機関リストの提出後に許可されます。契約前には、出入国在留管理庁および外国人技能実習機構の最新情報を確認してください。

制度移行のスケジュール

育成就労制度の運用開始は令和9年4月1日ですが、関連する申請受付はそれに先立って始まる予定とされています。出入国在留管理庁が示すスケジュールでは、監理支援機関の許可申請の受付開始が令和8年4月15日、育成就労計画の認定申請の受付開始が令和8年9月1日とされています。送出機関との契約や二国間取決めの整備状況によって、受入れ可能な国・職種・人数が変わってくるため、受入れを検討する企業は早めに準備を進めることが望まれます。

技能実習制度から育成就労制度への移行には経過措置が設けられています。施行日時点の在留資格、技能実習の段階、技能実習計画の認定時期等によって取扱いが異なるため、外国人技能実習機構が公表する経過措置の案内、現行の省令・運用要領および分野別運用方針を確認する必要があります。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、育成就労・特定技能をはじめとする就労ビザ、登録支援機関としての支援体制構築、在留資格認定証明書交付申請、各種変更・更新申請といった出入国在留管理庁関連の書類作成・申請取次を承っています。育成就労計画の認定申請や監理支援機関の許可申請に向けた要件整理・必要書類の準備についても、最新の運用要領・政省令を踏まえてご案内します。海外の送出機関との人材あっせん・紹介に関する実務は、グループの株式会社TreeGlobalPartners(有料職業紹介事業許可13-ユ-317879)が担当し、ビザ・支援の行政手続と人材紹介を切り分けて適正に進めます。税務処理は税理士、労務は社会保険労務士など、必要に応じて他士業と連携します。

特定技能1号の登録支援機関サービスや育成就労に関する料金は、支援内容・対象人数等により異なるため、個別にご案内しております。まずはお気軽にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。詳しくは就労ビザ申請代行・外国人雇用サポートのご案内をご覧ください。

まとめ

育成就労制度の送出機関規制は、(1)送出機関が外国人本人等から徴収できる全ての費用を、育成就労開始時の所定内賃金月額の2か月分以下に制限する、(2)監理支援機関と送出機関の取次ぎ契約や費用負担の透明化を図る、(3)原則として二国間取決め(MOC)を作成した国の認定送出機関を通じて受け入れる、という仕組みにより来日前債務の軽減を目指すものです。育成就労法(令和6年法律第60号)の施行日は令和9年4月1日で、監理支援機関の許可に係る施行日前申請は令和8年4月15日、育成就労計画の認定に係る施行日前申請は令和8年9月1日から受け付けられます。二国間取決めの作成状況、認定送出機関、申請様式および運用要領は随時更新されるため、公式の最新版をご確認ください。

育成就労の送出機関規制に関するよくある質問

Q:外国人が送出機関に支払える費用の上限はいくらですか。

A:送出機関が外国人本人やその親族等から徴収できる全ての費用は、育成就労開始時(1年目)の所定内賃金月額の2か月分までです。これはあくまで上限であり、外国人本人の負担は可能な限り軽減することが望ましいとされています。送出しに必要な費用は関係当事者間で適切に分担し、送出機関が上限を超える費用を外国人本人等から徴収することはできません。

Q:送出しに必要な費用は誰が負担するのですか。

A:送出機関が外国人本人やその親族等から徴収できる費用は、育成就労開始時の所定内賃金月額の2か月分が上限です。送出しに必要な費用は、送出機関、育成就労実施者、監理支援機関等の間で契約に基づき適切に分担します。上限を超える金額を外国人本人等から徴収することはできません。

Q:二国間取決め(MOC)を結んでいない国からは受け入れられないのですか。

A:育成就労制度では、原則として二国間取決め(協力覚書・MOC)を作成した国からのみ受け入れることができる仕組みとされています。対象国や認定送出機関は出入国在留管理庁・外国人技能実習機構(施行に伴い外国人育成就労機構へ改組予定)の公表情報で更新されるため、契約前に最新の一覧をご確認ください。

Q:監理支援機関は送出機関とどのような契約が必要ですか。

A:監理型育成就労で外国の送出機関から求職の申込みの取次ぎを受ける場合、育成就労法施行規則の要件を満たす送出機関との間で、取次ぎに関する契約を締結している必要があります。契約内容や費用負担については、現行の省令、運用要領および監理支援機関許可申請の様式に沿って確認してください。

Q:育成就労制度はいつから始まりますか。

A:育成就労法(令和6年法律第60号)の施行日は、一部の規定を除き令和9年4月1日です。これに先立ち、監理支援機関の許可申請は令和8年4月15日、育成就労計画の認定申請は令和8年9月1日から受付が始まる予定とされています。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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