入管・ビザ関連

登録支援機関 vs 自社支援|切り替えの条件と手続きマニュアル

更新: 約12分で読めます

「登録支援機関と自社支援、どちらを選べばいいの?」「途中から自社支援に切り替えることはできる?」

特定技能外国人を受け入れる企業にとって、支援体制の選択は避けて通れない重要な判断です。登録支援機関に委託すれば手間は省けますが、月額コストがかかります。一方、自社支援に切り替えれば費用を削減できますが、厳しい要件を満たす必要があります。

結論から言うと、過去2年以内に外国人の受入れ実績があり、支援責任者・担当者を選任できる企業は自社支援への切り替えが可能です。それ以外の企業は登録支援機関への委託が現実的な選択肢です。

この記事では、入管届出済行政書士として特定技能の支援計画に関する手続きを多数取り扱う行政書士法人Treeが、登録支援機関と自社支援の違い・切り替えの条件・具体的な手続きの流れを徹底比較します。

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登録支援機関と自社支援の違い【一覧表で比較】

特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、義務的支援10項目を実施する義務があります。この支援を「登録支援機関に委託する」か「自社で行う」かが最大の選択ポイントです。

比較項目 登録支援機関への委託 自社支援
支援の実施主体 登録支援機関が代行 受入れ企業が自ら実施
費用 月額2〜3万円程度/人 人件費のみ(委託費なし)
受入れ実績の要件 不要(委託すれば可) 過去2年以内に中長期在留者の受入れ実績が必要
支援責任者・担当者の選任 登録支援機関側で対応 自社で選任が必要
事前ガイダンス・生活オリエンテーション 登録支援機関が実施 自社で外国人が理解できる言語で実施
定期面談・届出 登録支援機関が対応 自社で3か月に1回以上の定期面談を実施・年1回の定期届出を提出
多言語対応 機関側で通訳を確保 自社で外国人が十分に理解できる言語での対応体制が必要
入管への届出 支援委託契約の届出 支援計画変更の届出

結局どちらがいい?初めて特定技能外国人を受け入れる企業は、まず登録支援機関に委託するのが安全です。受入れ実績を積んだ後に自社支援へ切り替えることで、コスト削減と支援品質の両立を図ることができます。

登録支援機関への委託が向いているケース

初めて特定技能外国人を受け入れる企業

自社支援を行うには「過去2年以内に中長期在留者の受入れ・管理を適正に行った実績」が必要です。この実績がない場合は、登録支援機関への委託が事実上の必須条件となります。

詳しくは出入国在留管理庁の公式ページで特定技能制度の最新情報をご確認ください。

多言語対応が難しい企業

義務的支援の多くは、外国人が十分に理解できる言語で行う必要があります。社内に外国語対応できるスタッフがいない場合は、通訳体制を備えた登録支援機関への委託が現実的です。登録支援機関の費用相場については別記事で詳しく解説しています。

人事・労務の専任担当者がいない中小企業

支援責任者・支援担当者の選任に加え、定期面談や四半期報告書の作成など、継続的な業務負担が発生します。少人数で運営する中小企業では、専門機関に任せるほうが効率的なケースが多いです。

自社支援が向いているケース

受入れ実績があり、コストを抑えたい企業

特定技能外国人を複数人雇用している企業の場合、登録支援機関への委託費は月額で大きな負担になります。例えば10名を雇用していれば月額20〜30万円程度のコストが発生します。自社支援に切り替えることで、この費用を大幅に削減できます。

外国人スタッフとの直接コミュニケーションを重視する企業

自社支援では、支援業務を通じて外国人スタッフとの信頼関係を深めることができます。定期面談を自社で行うことで、現場の課題を直接把握しやすくなるメリットがあります。

自社支援に切り替えるための4つの要件

自社支援への切り替えを検討する前に、以下の4つの要件をすべて満たしているか確認しましょう。1つでも欠けると切り替えは認められません。

要件1: 過去2年以内の中長期在留者の受入れ実績

特定技能外国人に限らず、技能実習生や就労ビザの外国人など、中長期在留者の受入れ・管理を適正に行った実績が過去2年以内にあることが必要です。

要件2: 支援責任者・支援担当者の選任

支援責任者と支援担当者をそれぞれ選任する必要があります。いずれも、過去2年以内に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験があるか、それと同等以上の支援業務の知識・経験があることが求められます。なお、支援担当者は事業所ごとに1名以上を選任し、安定した支援のために常勤であることが望ましいとされています。

要件3: 外国人が理解できる言語での支援体制

事前ガイダンスや生活オリエンテーション、定期面談などを外国人が十分に理解できる言語で実施できる体制が必要です。通訳の外部委託は可能ですが、いつでも対応できる態勢を確保しなければなりません。

要件4: 支援の中立性の確保

定期面談などでは、外国人が自由に相談できる環境を確保する必要があります。支援責任者・支援担当者は、外国人に対して指揮命令権を持たない者(異なる部署の職員等)であることが求められます。

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登録支援機関から自社支援への切り替え手続きの流れ

要件を満たしていることが確認できたら、以下の手順で切り替えを進めます。

Step 1: 支援計画書の変更案を作成する

現在の支援計画書をベースに、支援の実施主体を「登録支援機関への委託」から「自社支援」に変更した新たな支援計画書を作成します。支援責任者・支援担当者の氏名・役職・経験年数も明記します。

Step 2: 登録支援機関との委託契約を解除する

現在委託している登録支援機関に切り替えの旨を通知し、委託契約の解除手続きを行います。解除のタイミングは、自社支援体制の準備が整ってからにしましょう。支援の空白期間が生じないよう注意が必要です。

Step 3: 入管へ届出を行う

支援計画の変更に伴い、以下の届出を出入国在留管理庁に提出します。

  • 支援計画変更に係る届出書(特定技能所属機関が届出)
  • 支援委託契約に係る届出書(委託契約の終了を届出)

届出期限は、変更が生じた日から14日以内です。届出を怠ると、受入れ企業としての適格性に影響する可能性がありますので、期限内に確実に提出しましょう。

Step 4: 自社支援を開始し、定期報告を行う

切り替え後は、自社で義務的支援10項目を確実に実施します。3か月に1回以上の定期面談を行い、年1回(毎年4月1日〜5月31日)の定期届出を入管に提出します。※2025年4月より、定期届出の頻度が四半期ごとから年1回に変更されています。

よくある質問

Q. 登録支援機関から自社支援への切り替えにかかる期間はどのくらい?

要件を満たしている場合、支援計画書の変更作成から入管への届出完了まで、通常2〜4週間程度です。委託契約の解除交渉や社内体制の整備に時間がかかる場合もあるため、余裕をもって準備することをおすすめします。

Q. 自社支援に切り替えた後、再び登録支援機関に委託できる?

はい、可能です。自社支援を開始した後でも、支援体制の維持が難しくなった場合は登録支援機関への委託に戻すことができます。その際も支援計画の変更届出が必要です。

Q. 自社支援と登録支援機関への一部委託を併用できる?

はい、義務的支援の一部のみを登録支援機関に委託し、残りを自社で行うことも可能です。例えば、多言語対応が必要な事前ガイダンスのみを委託し、定期面談は自社で行うといった形も認められています。

Q. 自社支援に切り替える際、外国人本人の同意は必要?

支援計画の変更にあたっては、外国人本人に対して変更内容を説明し、理解を得ることが重要です。支援計画書には外国人本人の署名欄もあるため、事前に十分な説明を行いましょう。

Q. 支援責任者と支援担当者は兼任できる?

支援責任者と支援担当者を同一人物が兼任することは可能です。ただし、その場合でも支援業務に十分な時間を確保できることが前提となります。外国人の人数が多い場合は、複数の担当者を配置することが望ましいです。

Q. 登録支援機関と自社支援で、入管への届出内容に違いはある?

どちらの場合も年1回の定期届出(毎年4月1日〜5月31日に提出)が必要です。届出内容は基本的に同じですが、自社支援の場合は受入れ企業自身が届出書を作成・提出する必要があります。登録支援機関に委託している場合は、機関が作成を代行してくれることが一般的です。

Q. 自社支援の要件を満たさない場合のペナルティはある?

要件を満たさない状態で自社支援を行った場合、支援計画の不履行として指導や改善命令の対象になる可能性があります。最悪の場合、特定技能外国人の受入れができなくなるリスクもあるため、要件の確認は慎重に行いましょう。

まとめ

登録支援機関と自社支援の違い、切り替えの条件と手続きについて解説しました。ポイントを整理します。

  • 初めて特定技能外国人を受け入れる企業は、まず登録支援機関への委託が安全
  • 自社支援への切り替えには、過去2年以内の受入れ実績・支援責任者の選任・多言語対応体制が必要
  • 切り替え手続きは、支援計画書の変更作成→委託契約の解除→入管への届出(14日以内)の流れ

どちらの支援体制が最適かは、企業の規模・受入れ人数・社内リソースによって異なります。判断に迷われた場合は、入管届出済行政書士として特定技能制度に精通した当事務所にご相談ください。

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