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特定技能「宿泊」とは?ホテル・旅館で外国人を雇用する方法

更新: 約12分で読めます

観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、日本国内の延べ宿泊者数はコロナ禍からの回復が顕著で、訪日外国人旅行者数も過去最高水準で推移しています。一方で、ホテル・旅館の現場では深刻な人手不足が続いており、客室稼働率を上げたくてもスタッフが足りないという声が少なくありません。こうした状況を受けて注目されているのが、特定技能「宿泊」の在留資格です。フロント業務から接客、企画・広報まで幅広い宿泊サービスに従事できるこの制度は、宿泊業界の人材確保策として活用が広がっています。この記事では、特定技能「宿泊」の対象業務・受入れ要件・試験・採用の流れを整理します。

結論:特定技能「宿泊」は、フロント・接客・企画広報・レストランサービスの業務に従事できる在留資格で、宿泊業技能試験センターの評価試験と日本語試験に合格した外国人を、フルタイム・直接雇用で受け入れる制度です。

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特定技能「宿泊」とは?制度の基本

特定技能「宿泊」は、2019年4月に創設された在留資格の一つで、人手不足が深刻な宿泊業において即戦力となる外国人材を受け入れるための制度です。所管は国土交通省(観光庁)で、出入国在留管理庁が在留資格の審査を行い、観光庁が分野別の運用方針や協議会の運営を担っています。

2023年6月の閣議決定により、宿泊分野は特定技能2号の対象にも追加されました。1号では通算5年の在留が上限ですが、2号に移行すれば在留期間の更新に上限がなくなり、配偶者や子の帯同も認められます。特定技能制度全体の仕組みについては「特定技能とは?1号・2号の違いと16分野を解説」で体系的にまとめていますので、あわせてご確認ください。

宿泊分野の在留外国人数

出入国在留管理庁の統計によると、宿泊分野の特定技能在留外国人数は制度開始当初こそ低水準でしたが、コロナ禍の収束と訪日客の急回復に伴い増加傾向にあります。宿泊業は他の分野と比べると在留者数がまだ少なく、制度の活用余地が大きい分野といえます。

どんな業務に従事できる?対象業務の範囲

特定技能「宿泊」で外国人が従事できるのは、宿泊施設におけるフロント業務・企画広報業務・接客業務・レストランサービス業務の4つです。これらを主たる業務として行うことが求められ、館内販売や備品点検といった関連業務に付随的に従事することも認められています。

業務区分 具体的な業務内容
フロント業務 チェックイン・チェックアウト、予約管理、宿泊料金の精算、周辺観光情報の案内 など
企画・広報業務 キャンペーンや宿泊プランの立案、館内案内チラシの作成、ウェブサイト・SNSの情報発信 など
接客業務 館内案内、宿泊客からの問い合わせ対応、荷物の搬送手配、周辺施設への送迎手配 など
レストランサービス業務 宿泊施設内レストラン・宴会場での配膳、料理の提供、食器のセッティング・片付け など

注意すべき点として、上記の業務に付随しない単純作業だけに従事させることは認められていません。たとえば、客室清掃のみに従事させるような運用は制度の趣旨に反します。宿泊サービスの提供に関わる主たる業務と関連業務を組み合わせて従事させることが必要です。

対象となる宿泊施設

旅館業法の許可を受けた施設が対象です。具体的には、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業の許可を受けた施設で特定技能外国人を雇用できます。民泊(住宅宿泊事業法に基づく届出住宅)については、旅館業の許可を受けていない場合は対象外となる点に注意が必要です。

受入れに必要な試験は何がある?

特定技能1号「宿泊」の在留資格を取得するには、外国人本人が宿泊業技能測定試験日本語試験の両方に合格する必要があります。なお、宿泊分野は2020年2月に技能実習2号の対象職種(接客・衛生管理作業)に追加されており、同職種の技能実習2号を良好に修了した方は技能測定試験と日本語試験が免除されます。

宿泊分野特定技能1号評価試験

一般社団法人宿泊業技能試験センターが実施する評価試験は、学科試験と実技試験で構成されています。

試験区分 出題範囲 問数・形式
学科試験 フロント業務・企画広報業務・接客業務・レストランサービス業務・安全衛生その他基礎知識 30問・3択式
実技試験 判断試験(イラスト等から適切な対応を選択)・計画立案 6問・3択式

合格基準は、学科試験・実技試験それぞれの正答率が65%以上です。受験資格は試験日時点で満17歳以上かつ在留資格を保有していること。試験は国内のほか、海外(フィリピン・インドネシア・ベトナム・ネパール・ミャンマー等)でも実施されています。

日本語能力の要件

日本語能力については、以下のいずれかに合格する必要があります。

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格

宿泊業はフロント対応や宿泊客とのコミュニケーションが日常業務の中心です。制度上の最低要件はN4ですが、接客品質の観点からN3レベル以上の外国人を採用する施設が多い傾向にあります。

受入企業(宿泊施設)の要件

特定技能「宿泊」で外国人を受け入れる施設には、特定技能制度の共通要件と、宿泊分野固有の要件の両方を満たすことが求められます。

共通要件

  • 直接雇用であること(宿泊分野では派遣は認められていない)
  • 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
  • 社会保険・労働保険に適切に加入していること
  • 過去5年以内に入管法違反や労働関係法令違反がないこと
  • 外国人への支援計画を策定し、適切に実施すること
  • 保証金の徴収や違約金契約を行わないこと

支援計画の実施については、自社で支援体制を構築するか、登録支援機関に委託するかのいずれかを選択します。宿泊業では24時間シフトの施設も多く、支援体制の確保が難しいケースが少なくないため、登録支援機関への委託を選ぶ施設が多いです。

宿泊分野の固有要件:宿泊分野特定技能協議会への加入

宿泊分野で特定技能外国人を受け入れる事業者は、宿泊分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。この協議会は国土交通省(観光庁)が設置しており、制度の適正な運用と外国人材の保護を目的としています。

加入手続きはe-Gov電子申請システムからオンラインで行います。審査には概ね1ヶ月程度かかります。入会金・年会費は不要です。協議会への加入義務は受入企業だけでなく、登録支援機関にも課されている点にご注意ください。特定技能の協議会制度全般については「特定技能とは?1号・2号の違いと16分野を解説」で各分野の加入方法を紹介しています。

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特定技能「宿泊」で外国人を採用するには?手続きの流れ

Step 1:人材を確保する

海外から呼び寄せる方法と、国内に在留している外国人を採用する方法があります。国内の場合、留学生が宿泊業技能測定試験に合格して在留資格を変更するケースや、「技術・人文知識・国際業務」から特定技能に切り替えるケースがあります。

Step 2:宿泊分野特定技能協議会に加入する

初めて宿泊分野で特定技能外国人を受け入れる場合、観光庁が設置する協議会への加入が必要です。e-Gov電子申請から手続きを行い、審査完了後に構成員証明書が交付されます。

Step 3:雇用契約を締結する

外国人と直接雇用のフルタイム雇用契約を結びます。報酬は日本人と同等以上であることが要件です。雇用契約書は外国人が理解できる言語での作成または翻訳の添付が求められます。外国人雇用の手続き全般は「外国人雇用の手続き完全ガイド」で詳しく解説しています。

Step 4:支援計画を策定する

特定技能1号外国人の受入れにあたり、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談対応などを含む支援計画を策定します。自社での実施が難しい場合は登録支援機関に委託できます。

Step 5:在留資格を申請する

必要書類を揃え、出入国在留管理庁に申請します。海外から呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」、国内で在留資格を切り替える場合は「在留資格変更許可申請」を行います。審査期間は1〜3ヶ月程度です。

Step 6:就労開始・届出を行う

在留資格が許可されたら就労開始です。受入企業はハローワークへの「外国人雇用状況の届出」と、出入国在留管理庁への届出が必要になります。2025年4月の制度改正により、届出の頻度は従来の四半期ごとから年1回の定期届出に変更されました。届出の負担は大幅に軽減されていますが、提出を怠ると罰則の対象となるため期限管理は欠かせません。

宿泊業で特定技能を活用する際の注意点

派遣雇用は認められない

特定技能制度で派遣形態が認められているのは農業と漁業の2分野のみです。宿泊分野では必ず直接雇用が必要であり、人材派遣会社を通じて特定技能外国人を就労させることはできません。

在留期間の通算ルール

特定技能1号の上限は通算5年です。転職して別の施設で働いた期間や一時帰国の期間も含めて通算されます。ただし、2025年9月の制度改正により、妊娠・出産・育児や病気・労災による休業期間は通算から除外されるようになりました。1号の5年が終了した後は、特定技能2号への移行を目指すか、他の在留資格への変更を検討することになります。

転職の可能性がある

特定技能外国人は同一分野内での転職が認められています。宿泊分野の1号を持つ外国人が別のホテルや旅館に転職することは制度上可能です。技能実習とは異なり転職の自由があるため、受入施設は外国人材に長く働いてもらえるよう、適正な処遇と良好な職場環境の整備が重要になります。

よくある質問

Q1. 旅館で仲居業務に特定技能外国人を就かせることはできますか?

旅館業法の許可を受けた施設であれば、仲居業務は「接客業務」に該当するため、特定技能「宿泊」の対象業務として従事可能です。客室への案内、お茶出し、食事の配膳なども接客業務やレストランサービス業務の範囲に含まれます。

Q2. 宿泊施設内のレストランだけで働かせることはできますか?

宿泊施設内のレストランでの業務は「レストランサービス業務」として認められています。ただし、レストランサービスだけでなくフロントや接客等の業務にも従事させるのが望ましい運用です。なお、宿泊施設から独立した飲食店で働かせる場合は、特定技能「外食業」の在留資格が必要になります。

Q3. 特定技能「宿泊」と「技術・人文知識・国際業務」はどう使い分けますか?

「技術・人文知識・国際業務」は、ホテルの通訳やマーケティング、システム管理など、専門的な知識を活かす業務に適した在留資格です。一方、特定技能「宿泊」は、フロント対応・接客・配膳など現場業務に幅広く従事できます。外国人に現場の実務を担ってもらいたい場合は特定技能、専門的な事務業務を担ってもらいたい場合は技人国、と考えるのが基本的な使い分けです。

Q4. 特定技能2号「宿泊」に移行するための要件は何ですか?

特定技能2号「宿泊」に移行するには、宿泊分野特定技能2号評価試験に合格することに加え、宿泊施設において複数の従業員を指導しながら業務に従事した2年以上の実務経験を満たす必要があります。宿泊分野では日本語能力試験の合格は2号の必須要件とはされていません。2号に移行すれば在留期間の更新に上限がなくなり、家族帯同も可能になります。

Q5. 宿泊分野に対応する技能実習の職種はありますか?

あります。2020年2月に技能実習2号の対象職種として「宿泊(接客・衛生管理作業)」が追加されました。同職種の技能実習2号を良好に修了した方は、技能測定試験と日本語試験の両方が免除され、特定技能1号「宿泊」に移行できます。

まとめ

特定技能「宿泊」は、ホテル・旅館のフロント・接客・企画広報・レストランサービスといった幅広い宿泊サービスに外国人が従事できる在留資格です。要点を整理します。

  • 対象施設は旅館業法の許可を受けた宿泊施設。フルタイム・直接雇用が必須
  • 外国人本人は宿泊業技能測定試験(学科30問+実技6問、正答率65%以上)と日本語試験に合格が必要
  • 受入施設は宿泊分野特定技能協議会への加入が必要(入会金・年会費なし)
  • 2号への移行が可能(2023年6月に対象分野に追加済み)

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※ 本記事の内容は2026年3月時点の入管法令に基づきます。制度・手数料・様式は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。

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