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戸籍上の親子と実親子の違い|虚偽の出生届・藁の上からの養子の相続権と親子関係不存在確認

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結論から言えば、戸籍に「実子」と記載されていても、生物学上の親子関係がない場合には、その記載が相続の場面で覆される可能性があります。とくに、他人の子を実子として届け出る「藁の上からの養子」や虚偽の出生届は、養子縁組の効力を持たず、法律上の親子関係を当然には生じさせません。一方で、長年実の親子として暮らしてきた事情があれば、親子関係不存在確認請求が権利の濫用として退けられる場合もあります。行政書士法人Treeは、親子関係や相続人の範囲に争いがない場合に、戸籍の収集、戸籍に基づく相続関係の調査・整理、遺産分割協議書の作成を通じて相続手続を支援します。親子関係を争う訴訟は弁護士、相続登記は司法書士、相続税は税理士と連携し、適切な専門家へおつなぎします。

「戸籍上の親子」と「実親子」は同じではない

戸籍は身分関係を公証する公的な記録ですが、戸籍の記載が常に法律上の真実の親子関係を保証するわけではありません。相続において相続人となるのは、原則として法律上の親子関係(血縁に基づく実親子関係、または有効な養子縁組による親子関係)がある者です。

戸籍上は「実子」「長男」などと記載されていても、その記載の前提となる出生の事実が存在しない場合、法律上の親子関係そのものが存在しないと判断されることがあります。この食い違いが、相続の場面で「誰が相続人か」という争いを生む原因になります。

「藁の上からの養子」と虚偽の出生届とは

「藁の上からの養子」とは、他人が生んだ子を、養子縁組の手続を経ずに、自分たち夫婦の間に生まれた実子として出生届を提出し、戸籍上の実子として育てるケースを指す古くからの呼び名です。生まれたばかりの子を引き取る場面に由来する表現とされます。

出生の届出は、戸籍法第49条により、出生の日から14日以内(国外で出生したときは3か月以内)にしなければならないとされています。しかし、生物学上の親でない者が「自分の子が生まれた」として届け出る行為は、虚偽の届出です。事実と異なる届出によって戸籍に不実の記載をさせた場合、刑法第157条の公正証書原本不実記載等罪(5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)に該当しうる行為であり、推奨されるものではありません。

虚偽の出生届は「養子縁組」にはならない

「実子として育てたかった」という思いがあっても、虚偽の出生届には養子縁組の効力は認められません。判例・実務上、出生届には養子縁組をする意思の表示(縁組の届出)という形式が備わっておらず、これを養子縁組の届出に転換することはできないと考えられているためです。

つまり、虚偽の出生届をしても、法律上は「実子」でも「養子」でもない状態になりえます。結果として、戸籍の記載とは裏腹に、その子は法律上の相続人ではないと判断される余地が残ります。後述のとおり、この親子関係の不存在は「親子関係不存在確認の訴え」によって争われます。

適法に法律上の親子となる方法(普通養子と特別養子)

他人の子を法律上の自分の子とするには、虚偽の出生届ではなく、養子縁組によるのが正しい方法です。養子縁組には次の2種類があります。

項目 普通養子縁組 特別養子縁組
成立の方法 当事者の縁組意思と市区町村への届出 家庭裁判所による特別養子縁組成立の審判確定(その後、戸籍の届出を行う)
養親の要件 20歳に達した者(民法第792条) 原則として配偶者のある夫婦が共同で養親となり、一方が25歳以上、他方も20歳以上であること(民法第817条の3、第817条の4)
養子の年齢 養親より年長・尊属でないこと 原則として請求時に15歳未満(民法第817条の5。令和2年4月1日施行の改正で6歳未満から引上げ)
実親との関係 実親との親族関係は継続(戸籍に実親も並記) 実方の父母および血族との親族関係が終了(民法第817条の9)

普通養子は実親側・養親側の双方の相続人になりますが、特別養子は実方との親族関係が終了するため、原則として養親側のみの相続人となります。なお、養子縁組による親族関係は民法第727条に基づき縁組の日から生じます。法律上有効に親子となるには、これらの手続を踏むことが大切です。

相続権を争う手続――親子関係不存在確認の訴え

虚偽の出生届がされた事案で、戸籍上の親子関係と実態が食い違う場合、原則として、まず家庭裁判所に親子関係不存在確認調停を申し立てます。調停で合意に至らない場合などには、「親子関係不存在確認の訴え」によって争います。嫡出推定を受ける子の嫡出性を争う「嫡出否認の訴え」とは異なり、親子関係不存在確認には法律上の提訴期間の制限がなく、利害関係人が相続開始後でも手続を進められる点に特徴があります。

確認の結果、親子関係の不存在が確定すると、その子は法律上の相続人ではないことになり、戸籍の訂正へと進みます。逆に、他の相続人から「あなたは実子ではない」と争われ、相続分が否定されるおそれもあります。DNA鑑定などの科学的証拠が決め手となることもあります。

長年の養育がある場合――権利濫用となることも

もっとも、親子関係の不存在が形式的に認められる場合でも、確認請求が常に通るわけではありません。最高裁判所第二小法廷平成18年7月7日判決(平成17年(受)第833号、民集60巻6号2307頁)は、戸籍上の親子が長期間にわたり実の親子と同様の生活の実体を有していた事案で、親子関係不存在確認請求が権利の濫用にあたり許されない場合があることを示しました。

同判決は、権利濫用にあたるかどうかを、(1)実の親子と同様の生活の実体があった期間の長さ、(2)不存在を確定することにより子やその関係者が受ける精神的苦痛・経済的不利益、(3)請求するに至った経緯や動機・目的、(4)ほかに著しい不利益を受ける者の有無、などの諸般の事情を総合して判断するとしています。長年の養育の実態は、結論を大きく左右する要素です。判断は事案ごとに異なるため、見通しについては弁護士にご相談ください。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeは、親子関係や相続人の範囲に争いがない場合に、相続手続の入口となる戸籍の収集、戸籍に基づく相続関係の調査・整理、遺産分割協議書の作成をサポートします。「藁の上からの養子」や虚偽の出生届が疑われる相続では、古い戸籍(除籍・改製原戸籍)を確認するとともに、法律上の親子関係に争いがある場合は弁護士へご案内します。親子関係不存在確認の調停・訴訟は弁護士、相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士へと、それぞれの職域の専門家と連携してご案内します。なお、相続放棄の申述は家庭裁判所での手続であり、行政書士は申述書の作成や代理を行うことができません。

遺産分割協議書の作成は、必要書類の収集状況やご事情に応じて次の料金でご用意しています(いずれも税込)。

  • ミニマムプラン:43,780円
  • スタンダードプラン:87,780円
  • すべて丸投げお任せプラン:217,800円

くわしくは遺産分割協議書作成サービスのご案内ページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

戸籍上「実子」と記載されていても、虚偽の出生届や「藁の上からの養子」では法律上の親子関係が当然には生じず、養子縁組の効力も認められません。相続権の有無は親子関係不存在確認の訴えで争われ、利害関係人が相続後でも提起できます。一方で、長年にわたり実の親子と同様に暮らしてきた事情がある場合には、最高裁平成18年7月7日判決のように請求が権利濫用として退けられることもあります。判断は事案ごとに大きく異なるため、戸籍の整理は行政書士、訴訟は弁護士、登記は司法書士、税は税理士と、適切な専門家へ早めにご相談ください。なお、相続登記は2024年(令和6年)4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内(施行前の相続は令和9年3月31日まで)の申請を怠ると10万円以下の過料の対象となりえます。

戸籍上の親子と相続に関するよくある質問

Q:戸籍に「実子」と書いてあれば、必ず相続人になれますか。

A:必ずしもそうとは限りません。相続人となるのは法律上の親子関係がある者です。虚偽の出生届などで戸籍上だけ実子とされている場合、親子関係不存在確認の訴えで法律上の親子関係が否定され、相続人ではないと判断されることがあります。

Q:「藁の上からの養子」は、後から養子縁組として有効になりますか。

A:原則として有効にはなりません。出生届には養子縁組をする意思の表示という形式が備わっておらず、養子縁組の届出に転換することはできないと考えられています。法律上有効に親子となるには、改めて普通養子縁組または特別養子縁組の手続が必要です。

Q:何十年も実の子として育てられた場合でも、相続権を否定されますか。

A:必ずしも否定されるとは限りません。最高裁平成18年7月7日判決は、長期間にわたり実の親子と同様の生活の実体があった場合などに、親子関係不存在確認請求が権利の濫用として許されないことがあるとしています。生活実体の期間や請求の動機などを総合して判断されます。

Q:親子関係不存在確認の訴えは、相続が始まった後でも起こせますか。

A:起こせます。嫡出否認と異なり提訴期間に法律上の制限がなく、相続の利害関係人が相続開始後に提起することも可能です。具体的な提訴の可否や見通しは弁護士にご確認ください。

Q:特別養子縁組をすると、実の親の相続はどうなりますか。

A:特別養子縁組では、民法第817条の9により実方の父母および血族との親族関係が終了します。そのため、原則として実親の相続人にはならず、養親側の相続人となります。普通養子縁組の場合は実親側・養親側の双方の相続人になりうる点で異なります。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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