契約書

契約書の書き方完全ガイド|基本構成と必須条項を解説

更新: 約17分で読めます

企業間取引や個人間の取り決めで、契約書は不可欠な書類です。しかし、いざ自分で契約書を作成しようとすると「どの条項を盛り込めばよいのか」「書き方のルールがわからない」と手が止まってしまう方は少なくありません。民法(e-Gov法令検索)第522条第2項は「契約の成立には書面の作成を要しない」と定めていますが、書面化しなければ合意内容を客観的に証明することが極めて難しくなります。

この記事では、契約書作成の専門家の視点から、契約書の基本構成・必須条項・書き方の流れ・条項別のポイント・よくあるミスまでを網羅的に解説します。初めて契約書を作成する方でも、この記事を読めば基本的な契約書が作れるようになる構成です。

「契約書を自分で作りたいが正しい書き方がわからない」「取引先から提示された契約書の内容が妥当か判断できない」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。相談は何度でも無料・全国対応です。

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契約書の基本構成【全体像】

契約書には法律で定められた「決まった書式」はありません。しかし、実務上は以下のような構成で作成するのが一般的であり、この構成に従うことで当事者双方にとって内容が理解しやすく、紛争時の証拠としても機能する書類になります。

構成要素 内容 記載位置
表題(タイトル) 「○○契約書」「○○に関する合意書」など 冒頭
前文 当事者名、契約の趣旨・目的を記載 表題の直後
本文(条項) 権利義務の内容を条文形式で記載 中盤
後文 契約書の通数、保有方法を記載 条項の後
作成日・署名押印 作成年月日、当事者の署名(記名)・押印 末尾

表題(タイトル)

契約書の表題は「業務委託契約書」「売買契約書」「秘密保持契約書」のように、契約の種類を端的に示します。表題そのものに法的拘束力はなく、契約の性質は内容(本文の条項)によって判断されます。ただし、表題が内容と著しく異なると当事者の認識にズレが生じるため、内容を正確に反映する表題をつけることが重要です。

前文

前文は「甲(○○株式会社)と乙(△△株式会社)は、以下のとおり○○契約(以下「本契約」という。)を締結する。」のように記載します。ここで当事者を「甲」「乙」と略称で定義し、以降の条項では略称を使用するのが一般的です。前文には契約の目的や背景を簡潔に記載することで、条項の解釈に際しての参考情報となります。

後文・署名押印欄

後文には「本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各1通を保有する。」と記載するのが定型です。署名押印は契約書の真正な成立を推定するために重要であり(民事訴訟法第228条第4項)、契約当事者が自ら署名するか、記名押印をします。実印である必要はありませんが、重要な契約では実印+印鑑証明書の添付が推奨されます。

契約書の種類について全体像を把握したい方は「契約書の種類一覧」もあわせてご確認ください。

契約書に必要な必須条項一覧

契約書に盛り込むべき条項は契約の種類によって異なりますが、多くの契約に共通する「基本条項」があります。以下の一覧をチェックリストとして活用してください。

条項名 内容 重要度
目的条項 契約の目的・対象を特定する 必須
業務内容・対象物の特定 何を・どこまで行うのか(業務範囲、売買対象等) 必須
対価・支払条件 金額、支払時期、支払方法(振込先等) 必須
契約期間 契約の開始日・終了日、自動更新の有無 必須
秘密保持条項 契約に関連して知り得た秘密情報の取扱い 推奨
契約不適合責任 目的物が契約内容に適合しない場合の責任(旧:瑕疵担保責任)。売買・請負など引渡しを伴う契約で特に重要 売買・請負等で重要
損害賠償条項 債務不履行時の損害賠償の範囲・上限 推奨
解除条項 契約を解除できる事由と手続き 必須
反社会的勢力排除条項 反社会的勢力でないことの表明・保証 推奨
合意管轄条項 紛争時の裁判管轄を指定する 推奨
協議条項 契約に定めのない事項は誠意をもって協議する旨の規定 推奨

実務上見落としがちなのが秘密保持条項反社会的勢力排除条項です。秘密保持条項がないと、取引で知り得た情報を相手方が自由に第三者に開示しても法的に問題にならない可能性があります。反社会的勢力排除条項は、政府の指針に基づき企業間取引では事実上必須とされています。

損害賠償条項の書き方については「損害賠償条項の書き方」で詳しく解説しています。

契約書の書き方の流れ【6ステップ】

実際に契約書を作成する手順を6つのステップに分けて解説します。初めての方はこの流れに沿って進めてください。

Step 1:取引内容・条件を整理する

契約書を書き始める前に、取引の全体像を整理します。具体的には「誰と誰の間の取引か」「何を提供し、何を受け取るのか」「いつからいつまでか」「対価はいくらか」を明確にします。この段階で曖昧な点を残していると、完成した契約書にも曖昧さが反映されてしまいます。当事者間で取引条件を口頭やメールで確認し、合意した内容をリストアップしておくことが重要です。

Step 2:契約書のひな形を選定する

取引内容に合った契約書のひな形(テンプレート)を選びます。業務委託、売買、賃貸借、秘密保持など、契約の種類ごとに条項の構成は異なるため、取引内容に最も近い類型のひな形をベースにすると効率的です。ただし、ひな形はあくまで参考であり、自社の取引に合わない条項が含まれていたり、必要な条項が抜けていたりする場合は加筆・修正が必要です。

Step 3:必須条項を盛り込んで本文を起案する

前述の必須条項一覧を参考に、条文を起案します。条項は「第○条(条項名)」の形式で、1条ずつ独立した内容を記載するのが基本です。文体は「甲は、乙に対し、本件業務を委託し、乙はこれを受託する。」のように、主語と述語を明確にした簡潔な書き方を心がけてください。曖昧な表現(「できるだけ早く」「相当な範囲で」等)は紛争の原因になるため、可能な限り具体的な期日・数値・条件を記載します。

Step 4:条項の過不足をチェックする

起案が完了したら、必須条項に漏れがないか、不要な条項が混在していないかを確認します。特に以下の観点でチェックすると効果的です。

  • 契約期間の開始日・終了日が明記されているか
  • 支払金額・支払期日・支払方法が具体的に記載されているか
  • 解除事由が網羅されているか(債務不履行、破産申立て、反社該当等)
  • 契約不適合責任の請求期限は適切か
  • 秘密保持義務の範囲と存続期間が定められているか

Step 5:相手方に提示し、修正交渉を行う

作成した契約書案を相手方に提示し、内容の確認・修正を行います。実務上は、契約書案のWord文書を送付し、変更履歴機能(Track Changes)を使って修正箇所をやり取りするのが一般的です。修正交渉で注意すべき点は、自社に不利な条項を相手方から提示された場合に、その意味と影響を正確に理解してから合意することです。不明な点があれば、専門家にリーガルチェックを依頼することを検討してください。

リーガルチェックの流れについては「契約書のリーガルチェックとは?」で詳しく解説しています。

Step 6:署名押印・製本して保管する

双方の合意が得られたら、最終版を印刷し、署名押印(または記名押印)します。通常は2通作成し、甲乙各1通を保有します。複数ページにわたる場合は、各ページの綴じ目に割印(契印)を押して差し替え防止を図ります。また、契約内容によっては印紙税の貼付が必要な場合がありますので、国税庁の印紙税額一覧表を確認してください。

契約書の書き方に自信がない方へ

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条項別の書き方ポイント

ここでは、契約書で特に重要度の高い条項について、書き方のポイントを解説します。

対価・支払条件の書き方

金額は消費税を含むのか含まないのかを必ず明記します。「金○○円(税別)」または「金○○円(消費税込み)」と記載し、曖昧さを排除してください。支払時期は「毎月末日締め・翌月末日払い」のように具体的に定め、支払方法は「甲が指定する銀行口座への振込みとし、振込手数料は乙の負担とする」のように記載します。振込手数料の負担者を決めていないと後からトラブルになるケースがあります。

契約期間・自動更新条項の書き方

契約期間は「本契約の有効期間は、2026年4月1日から2027年3月31日までの1年間とする。」のように明記します。自動更新を設ける場合は「期間満了の○か月前までに書面による解約の申入れがない限り、同一条件で1年間自動更新されるものとし、以後も同様とする。」と記載するのが一般的です。2020年4月施行の改正民法では、定型約款に関するルールも追加されたため、消費者との契約では約款の内容変更手続きにも留意が必要です。

解除条項の書き方

解除条項では「どのような場合に解除できるか(解除事由)」と「解除の方法(書面による通知・催告の要否)」を明確にします。一般的な解除事由としては、債務不履行(催告後の解除)、重大な契約違反(催告不要の即時解除)、破産手続開始の申立て、手形不渡り、差押え等の信用不安事由、反社会的勢力であることの判明、などが挙げられます。解除条項の詳細は「解除条項の書き方」で詳しく解説しています。

契約不適合責任条項の書き方

2020年4月の民法改正で「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。目的物が契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して「修補請求」「代替物の引渡請求」「代金減額請求」「損害賠償請求」「契約の解除」を行えます(民法第562条〜564条)。任意規定であるため、契約で責任の範囲や期間を制限・拡張することが可能です。検査期間(「引渡しから○日以内に通知しなければ契約不適合を主張できない」等)を明記しておくと、双方にとって予見可能性が高まります。

秘密保持条項の書き方

秘密保持条項では「何が秘密情報に該当するか」の定義が最も重要です。一般的には「本契約に関連して開示された技術上又は営業上の情報で、開示の際に秘密である旨を明示したもの」と定義し、例外(公知の事実、受領者が独自に開発した情報等)を列挙します。秘密保持義務の存続期間は契約終了後も一定期間(2〜5年が多い)継続させるのが通常です。NDAの書き方については「秘密保持契約書(NDA)の書き方」で詳しく解説しています。

契約書作成時の注意点・よくあるミス

契約書の作成で実際に起こりがちなミスと、その防止策を整理します。

1. 当事者の表記が統一されていない

前文で「甲」「乙」を定義したにもかかわらず、本文の途中で会社名や個人名が混在しているケースがあります。呼称は全条項を通じて統一してください。複数の関係者が登場する契約では「丙」「丁」も使用しますが、当事者が多い場合は「委託者」「受託者」「利用者」のような役割名称のほうが読みやすくなります。

2. 曖昧な期限表現を使っている

「速やかに」「遅滞なく」「相当な期間内に」といった表現は、法律上は一定の意味を持ちますが、当事者間の認識にズレを生みやすい表現です。可能な限り「○営業日以内」「○日以内」のように具体的な日数で記載することが、紛争予防の観点から望ましいといえます。

3. 合意管轄の指定がない

紛争が発生した場合の裁判管轄を定めていないと、民事訴訟法の一般原則(被告の住所地の裁判所)が適用されます。取引先が遠方の場合、訴訟のたびに遠距離の裁判所へ出向くことになりかねません。「本契約に関する紛争については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」と明記しておくことを強く推奨します。

4. 電子契約の場合の法的有効性を確認していない

電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)第3条は、一定の要件を満たす電子署名がなされた電磁的記録について真正に成立したものと推定すると定めており、書面における署名・押印の推定効(民事訴訟法第228条第4項)と同様の機能が認められています。ただし、すべての契約が電子契約で対応できるわけではありません。たとえば、事業用定期借地権設定契約(借地借家法第23条第3項)は公正証書による締結が必要です。他方、一般定期借地権(同法第22条)や定期建物賃貸借(同法第38条)は、現在は一定の要件のもと電磁的記録にも対応しています。電子契約を導入する前に、対象の契約類型が電子化可能かを確認してください。

5. 印紙の貼付忘れ

請負契約や不動産売買契約など、印紙税法で定められた課税文書に該当する契約書には収入印紙の貼付が必要です。印紙を貼らなくても契約自体は有効ですが、過怠税(本来の印紙税額の3倍)が課される場合があります(税務調査前に自主的に申し出た場合は1.1倍に軽減されます)。なお、電子契約には印紙税が課税されないため、印紙税の節約目的で電子契約を選択する企業も増えています。印紙税の詳細は「契約書の印紙税」をご確認ください。

よくある質問

Q. 契約書と合意書・覚書の違いは何ですか?

法律上は、表題が「契約書」「合意書」「覚書」のいずれであっても、当事者間の権利義務を定めた文書であれば同等の法的効力があります。「覚書」は既存の契約を補足・変更する場合に使われることが多く、「合意書」は紛争解決時の合意内容を書面化する場合に使われることが多い傾向ですが、厳密な使い分けのルールはありません。

Q. 契約書に印鑑は必ず必要ですか?

法律上、契約書に押印がなくても契約は有効です。2020年に政府が「契約書に押印は必要ない」との見解を示しており、電子署名による締結も認められています。ただし、民事訴訟法第228条第4項では、署名又は押印がある文書は真正に成立したものと推定されるため、訴訟における証拠力の観点からは押印があるほうが有利です。重要な契約では押印(できれば実印+印鑑証明書)を推奨します。

Q. 契約書をWordで作成しても問題ありませんか?

問題ありません。実務上はWord形式で作成するのが最も一般的であり、修正交渉時には変更履歴機能を活用して効率的にやり取りできます。最終合意後に印刷・署名押印する運用が標準的ですが、電子契約サービスを利用してPDF形式で電子署名する方法も増えています。

Q. 行政書士に契約書の作成を依頼するメリットは?

行政書士は行政書士法第1条の2に基づき、権利義務に関する書類の作成を業として行う専門家です。取引内容に応じた適切な条項設計、法改正への対応、相手方に不利な条項の見落とし防止など、リスクを軽減した契約書を作成できる点が最大のメリットです。契約書作成の依頼費用の詳細は「契約書作成を行政書士に依頼するメリット」で解説しています。

Q. 契約書の保管期間はどのくらいですか?

法律上の保管義務は契約の種類によって異なります。法人税法では帳簿書類(契約書を含む)の保存期間は7年間(欠損金がある場合は10年間)です。ただし、契約に関する紛争は契約終了後に発生する場合もあるため、実務上は契約終了後も少なくとも5〜10年間は保管しておくことが推奨されます。

まとめ

  • 契約書の基本構成は「表題→前文→本文(条項)→後文→署名押印」の5つ
  • 必須条項として目的・業務内容・対価・契約期間・解除条項は必ず盛り込む(売買・請負等では契約不適合責任も重要)
  • 書き方の流れは「取引内容の整理→ひな形選定→起案→チェック→交渉→署名押印・保管」の6ステップ
  • 曖昧な期限表現の回避、合意管轄の指定、印紙の貼付確認など、よくあるミスへの対策を忘れずに
  • 自分で作成することも可能だが、リスク軽減のためには専門家のリーガルチェックを推奨

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※ 2026年4月時点の民法・商法に基づく一般的な解説です。個別の契約内容については専門家にご相談ください。

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