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補助金の収益納付とは?計算方法・控除額・納付上限を具体例で解説

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結論から言えば、補助金の「収益納付」とは、補助事業の成果によって相当の収益が生じた場合に、交付を受けた補助金を上限として、その収益に対応する額を国に納める仕組みです。基準納付額は「(本事業に係る本年度収益額 − 控除費用)× 補助金確定額 ÷ 本年度までの支出額」で計算し、累積してもなお補助金確定額を超えることはありません。行政書士は、収益納付の要否や金額の考え方を含め、交付規程・公募要領に沿った実績報告書などの作成をお手伝いする立場にあります。収益の計上額や税務上の取扱いは税理士、賃上げ要件など労務に関わる部分は社会保険労務士と連携し、当事務所は書類作成の面から支援します。なお、ものづくり補助金や新事業進出補助金のように収益納付を求めない補助金も増えており、収益納付が残る補助金でも、決算が赤字の場合や十分な賃上げを行った場合には免除されることがあります。本記事では、収益納付の計算方法を、収益額・控除費用・納付上限の三点に分けて整理したうえで、廃止・免除の最新動向まで解説します。

収益納付の法的な根拠

収益納付は、補助金全般の基本ルールを定める「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(昭和30年8月27日法律第179号。いわゆる補助金適正化法)を根拠としています。同法第7条第2項は、次のように定めています。

「各省各庁の長は、補助事業等の完了により当該補助事業者等に相当の収益が生ずると認められる場合においては、当該補助金等の交付の目的に反しない場合に限り、その交付した補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すべき旨の条件を附することができる。」

つまり収益納付は、法律が一律に義務づけるものではなく、各補助金の交付決定に「条件」として付されるかどうかで決まります。納付を求めるか、どう計算するかは、各補助金の交付規程・交付要綱や公募要領に具体的な計算式として書き込まれています。ご自身が採択された補助金の交付規程・公募要領を確認することが出発点です。

基準納付額の計算式

以下は、ものづくり補助金などで採用されてきた計算式の一例です。記号や計算方法は交付規程ごとに異なるため、ご自身が採択された補助金の交付規程で必ず確認してください。

記号 項目 意味
E 基準納付額 その年度に納付の基準となる額
A 補助金確定額 実績報告後に確定した補助金の額
B 本事業に係る本年度収益額 補助事業から生じた本年度の収益
C 控除費用(控除額) 自己負担分など差し引ける額
D 本年度までの補助事業に係る支出額 補助事業に要した経費の累計

計算式は次のとおりです。

E =(B - C)× A ÷ D

言い換えれば、収益額から控除費用を差し引いた額に、投資額全体に対する補助金の割合(A÷D)を掛けたものが、その年度の基準納付額です。補助金は事業投資の一部を国が負担したものですから、生じた収益のうち国の負担割合に相当する部分を返す、という発想です。収益がそのまま全額返還になるわけではなく、補助金が寄与した割合の範囲にとどまります。たとえば、補助事業に要した経費が1,000万円、補助金確定額が500万円(自己負担500万円)で、本年度収益額が600万円だった場合、基準納付額は(600万円 − 500万円)× 500万円 ÷ 1,000万円 = 50万円となります。収益が自己負担額の500万円以下にとどまる限り、基準納付額は生じません。

「本事業に係る収益額(B)」の考え方

収益納付でいう「収益」は、決算書上の利益とは別物です。交付規程では、補助事業の実施成果の事業化、知的財産権等の譲渡または実施権の設定、その他補助事業の成果を他へ供与したことによる本年度の総収入額から、その総収入を得るために要した額を差し引いた額として定義されるのが一般的です。

  • 対象は、あくまで「補助事業に係る」収益に限られます。会社全体の売上ではなく、補助事業で導入した設備・開発した製品・サービスに起因する部分を切り分けます。
  • 「総収入を得るに要した額」を差し引くため、原材料費・人件費・販売経費など、その収益を上げるためにかかった費用は控除できます。
  • 補助事業とは無関係な既存事業の収益は、原則として算定に含めません。

収益額の切り分けや裏づけとなる帳簿・会計処理は税務・会計の判断が伴うため、税理士と相談しながら整理することをおすすめします。当事務所は、その結果を交付規程の様式に落とし込む書類作成の面からサポートします。

「控除費用(C)」で差し引けるもの

控除費用(控除額)は、収益納付の負担を過大にしないための調整項目です。交付規程では、控除額を「補助事業に要した経費のうち、補助事業者が自己負担によって支出した額」と定めるのが一般的です。まず自己負担分を回収したうえで、それを超える収益が生じた場合に納付を考える、という順序になります。

そのため、自己負担額の範囲内で収益が推移している間は、基準納付額が生じにくい構造になっています。もっとも、控除額は毎年同じ額を差し引けるわけではありません。交付規程では、補助事業終了の翌々年度以降の控除額は「自己負担額 − 前年度までの収益の累積額」とされ、収益の累積が自己負担額に達すると控除額は0になります。自己負担分を回収し切った後は、生じた収益がそのまま基準納付額の計算対象になる点に注意が必要です。控除できる範囲は交付規程ごとに定義が異なるため、どこまでが控除対象かは必ず該当する補助金の規程・要領で確認してください。範囲を取り違えると、納付額を過大にも過少にも算定してしまうおそれがあります。

納付上限と年度ごとの調整(本年度納付額)

収益納付には明確な上限があります。納付額の累計は、補助金確定額(A)を超えることはありません。補助金として受け取った額以上を返すことはない、という点が制度の核心です。

実際に納める「本年度納付額」は、基準納付額をそのまま納めるとは限らず、過年度の納付実績と突き合わせて調整します。一般的には次のとおりです。

  • 基準納付額と、これまでの納付累計額(累積納付額)の合計が補助金確定額を超えない場合 … 基準納付額がそのまま本年度納付額になります。
  • その合計が補助金確定額を超える場合 … 補助金確定額から累積納付額を差し引いた残額が本年度納付額となり、これを納めれば以後の納付は不要になります。

収益納付の報告が求められる期間(事業化状況報告の対象年数など)も補助金ごとに定められています。また、収益納付が条件として付されている補助金でも、事業化状況等報告の該当年度の決算が赤字の場合や、給与支給総額を年率平均3%以上増加させるなど十分な賃上げにより公益に相当程度貢献した場合には、収益納付が免除される取扱いが設けられていることがあります(旧ものづくり補助金の公募要領など)。加えて、補助事業で取得した機械等のうち、経済産業省所管の補助金などでは、取得価額または効用の増加額が1件あたり税抜50万円以上の財産が「処分制限財産」とされる場合があり、処分制限期間内の売却・譲渡等には事務局の承認が必要になる点も、あわせて押さえておきたい実務です。財産処分の承認手続や返還・加算金のリスクについては、事案ごとに取扱いが異なるため、手続を進める前に専門家へご確認ください。

収益納付を求めない補助金の広がり(ものづくり補助金・新事業進出補助金)

収益納付は補助金適正化法上の「条件」であるため、政策判断で付さないこともできます。近年は、中小企業の成長を後押しする観点から、主要な補助金で収益納付を求めない扱いが広がっています。

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)は、令和6年度補正予算に基づく第19次公募以降、収益納付を求めない運用とされています。
  • 事業再構築補助金の後継として創設された中小企業新事業進出補助金でも、収益納付は求められない扱いとされています。

ただし、これは「補助金を返さなくてよい」という意味ではありません。ものづくり補助金の賃上げに関する基本要件や、新事業進出補助金の給与支給総額・事業場内最低賃金に関する要件などが未達成の場合には、別途、補助金の返還を求められることがあります。収益納付の有無・要件は公募ごとに変わり得るため、申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。なお、IT導入補助金は2026年公募から「デジタル化・AI導入補助金2026」へ改称されており、制度改編に伴う条件変更にも注意が必要です。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、補助金申請書類の作成を行政書士の業務として承ります(行政書士法に基づき、官公署に提出する補助金申請関係書類の作成を取り扱います。ただし、申請者本人による作成を求める公募では、その要領に従います)。収益納付については、交付規程・公募要領で定められた計算式に沿って、実績報告書や事業化状況報告書といった書類の作成面からご支援します。収益額の切り分けや控除費用など税務・会計の判断が必要な部分は税理士と、賃上げ要件など労務に関わる部分は社会保険労務士と連携し、越権のない形で進めます。

収益納付が生じる可能性や、そもそも収益納付の対象となる補助金かどうかの見極めは、申請の段階から把握しておくことが大切です。料金や進め方は個別にお問い合わせいただければご案内します。

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補助金の申請でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、公募要領の確認から事業計画書・申請書類の作成、交付決定後の各種手続までサポートします。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

収益納付は、補助金適正化法第7条第2項を根拠に、交付決定の「条件」として付される仕組みです。基準納付額は「(本事業に係る本年度収益額 − 控除費用)× 補助金確定額 ÷ 本年度までの支出額」で計算し、自己負担分を控除費用として差し引けること、納付累計が補助金確定額を超えないことが要点です。近年は収益納付を求めない補助金も増えていますが、賃上げ要件の未達成などによる返還リスクは残ります。交付規程・公募要領で計算式と条件を確認し、判断に迷う場合は専門家にご相談ください。実績報告書・事業化状況報告書の作成でお困りの方は、補助金申請サポートのご案内もあわせてご覧ください。

補助金の収益納付に関するよくある質問

Q:収益納付は、補助金をもらったら必ず発生しますか。

A:必ず発生するものではありません。収益納付は補助金適正化法第7条第2項に基づき、交付決定に「条件」として付された場合に生じます。近年はものづくり補助金や新事業進出補助金のように収益納付を求めない補助金も増えています。ご自身が採択された補助金の交付規程・公募要領で、条件の有無を確認してください。

Q:収益が出たら、その全額を返すのですか。

A:全額ではありません。基準納付額は「(本年度収益額 − 控除費用)× 補助金確定額 ÷ 本年度までの支出額」で計算し、投資額全体に対する補助金の割合に相当する部分だけが対象です。さらに納付の累計は補助金確定額が上限で、受け取った補助金を超えて返すことはありません。

Q:ここでいう「収益」は、決算の利益と同じですか。

A:同じではありません。会社全体の利益ではなく、補助事業に起因する収入から、その収入を得るために要した費用を差し引いた「補助事業に係る収益額」を指します。既存事業の収益は原則として含めません。収益額の切り分けは会計判断を伴うため、税理士と相談しながら整理することをおすすめします。

Q:控除費用(控除額)としては何を差し引けますか。

A:一般的には、補助事業に要した経費のうち補助事業者が自己負担で支出した額が控除の対象とされます。まず自己負担分を回収し、それを超える収益に対して納付を考える構造です。ただし控除の範囲は交付規程ごとに定義が異なるため、必ず該当する補助金の規程・要領で確認してください。

Q:収益納付がない補助金なら、返還のリスクはまったくないのですか。

A:収益納付がなくても、別の返還リスクは残ります。たとえばものづくり補助金の賃上げに関する基本要件や、新事業進出補助金の給与・最低賃金に関する要件が未達成の場合、補助金の返還を求められることがあります。収益納付の有無だけでなく、各補助金の要件全体を確認することが大切です。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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