補助金関連

ものづくり補助金の概算払(旧制度)と資金繰り対策|第18次公募までの取扱い

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ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、原則として「後払い」の補助金です。事業者がいったん自己資金で機械装置などを購入・支払いし、実績報告と確定検査を経てから補助金が入金されるため、設備投資から入金までの資金繰りが大きな負担になります。本記事は、旧公募回(第18次公募まで)の「概算払(がいさんばらい・中間払)」について解説するものです。概算払は補助事業の完了を待たずに、確定前の補助金の一部をあらかじめ受け取れる制度で、交付決定額のおおむね9割(90%)が上限であり、原則として申請は1回のみ、納品・支払いが済んだ経費が対象でした。ただし、令和6年度補正予算による現行のものづくり補助金(第19次公募以降)には概算払の制度は設けられておらず、交付規程第17条により支払方法は精算払のみとなっています。最新の公募要領と補助事業の手引きで制度内容をご確認ください。本記事では、行政書士の立場から、概算払の上限割合・申請できるタイミング・必要書類・資金繰り上の注意点を整理して解説します。なお、補助金の対象経費に関する消費税・会計処理の判断は税理士の領域ですので、必要に応じて提携税理士と連携してご案内します。

概算払(中間払)とは|後払いの補助金における資金繰り対策

ものづくり補助金は、「交付申請 → 交付決定 → 発注・契約 → 納品・支払い → 実績報告 → 確定検査 → 補助金額の確定 → 入金(精算払)」という流れをたどります。原則として交付決定前に発注・契約した経費は補助の対象外であり、補助金が実際に振り込まれるのは、補助事業がすべて完了して実績報告・確定検査が終わったあとです。

つまり事業者は、数百万円から数千万円にのぼる機械装置などの代金を、補助金が入る前にいったん全額立て替える必要があります。この立替期間が長く、当面の資金繰りを圧迫することが、ものづくり補助金を活用するうえで最大の悩みどころです。

概算払(中間払)は、この立替負担を軽くするための制度です。補助金額が確定する前であっても、すでに納品・支払いが完了した経費について、補助金の一部を先に受け取ることができます。なお、事業再構築補助金など他の経済産業省・中小企業庁系の補助金にも概算払制度がある場合があり、本記事で解説するのはものづくり補助金の第18次公募までの概算払の仕組みです。

概算払で請求できる上限割合|交付決定額の9割(90%)

概算払の核心は、その上限割合です。概算払で請求できる金額は、補助金交付決定額の90%(9割)が上限とされています。第18次公募までの取扱いでは、概算払額は「支払済み補助対象経費×補助率」で算定され、その全体が交付決定額の90%以内という上限制約を受けていました。

たとえば補助対象経費として150万円を支払い、補助率が3分の2(小規模事業者等)であれば、本来の補助金相当額は100万円です。第18次公募までの概算払では、この100万円が対象となります(ただし全体で交付決定額の90%が上限)。残りは補助事業の完了後に実績報告・確定検査を経て精算されます。

項目 内容
概算払の上限 補助金交付決定額の90%(9割)が上限
計算の考え方 支払済みの補助対象経費 × 補助率(全体の上限は補助金交付決定額の90%)
残りの1割 補助事業完了後の実績報告・確定検査を経て精算(精算払)
補助率の目安 通常2分の1、小規模事業者・再生事業者等は3分の2(枠・要件により異なる)

補助率や補助上限額、対象経費の下限(機械装置・システム構築費は50万円以上が一般的)などは、適用される公募回の公募要領によって異なります。実際の概算払の上限額は、ご自身の交付決定通知書に記載された交付決定額をもとに計算してください。

概算払を申請できるタイミングと条件

概算払は、いつでも好きなときに請求できるわけではありません。次の条件を満たした経費についてのみ、補助事業実施期間内に請求できます。

  • 交付決定後に発注・契約した経費であること:交付決定前の発注は補助対象外のため、概算払の対象にもなりません。
  • 納品・検収まで完了していること:機械装置などが実際に納入され、検収が済んでいる必要があります。
  • 支払いまで完了していること:事業者が先に代金の支払いを終えた経費が対象です。「これから支払う分」を前借りする制度ではありません。
  • 補助事業実施期間内の計画内容が完了していること:その経費に対応する事業計画上の取組が完了している必要があります。

ものづくり補助金の補助事業実施期間は、交付規程第5条により、製品・サービス高付加価値化枠は交付決定日から10か月以内、グローバル枠は交付決定日から12か月以内とされています。遂行状況報告は、事務局から提出の指示があった場合に対応する手続であり、概算払はこうした補助事業の途中段階で、確定前の途中精算として位置づけられます。

概算払の必要書類と申請手続き(jGrants)

概算払の請求は、補助金の電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」から行います。gBizIDプライムでログインし、交付決定を受けた事業の画面から概算払請求の手続きに進みます。

概算払では「実際に納品・支払いが完了した」ことを書類で証明する必要があるため、提出書類は実績報告に準じた内容になります。一般的に求められる書類は次のとおりです(公募回・事務局の運用により異なります)。

  • 概算払請求書(jGrants上の様式)
  • 見積書・発注書・契約書(発注・契約の事実を示す書類)
  • 納品書・検収書・納品時の写真(納品・検収の事実を示す書類)
  • 請求書
  • 銀行振込金受領書・支払証明書・通帳の写しなど(支払いの事実を示す書類)
  • 出納帳など経理書類
  • 振込先口座情報

あらかじめjGrantsに自社の口座情報を登録しておくと、概算払請求や精算払請求のたびに口座情報を入力する手間が省けます。なお、補助対象経費の会計処理や消費税の取扱い(補助金の益金算入・圧縮記帳の可否など)については税理士の業務分野ですので、当事務所では判断せず、必要に応じて提携税理士と連携してご案内します。

概算払の注意点|「原則1回」と審査の厳しさ

概算払を活用するうえで、特に押さえておきたい注意点が3つあります。

  • 原則として申請は1回のみ:概算払は何度も小刻みに請求できる制度ではなく、原則として1回しか申請できません。「いつ・いくらを請求するか」を、資金繰りの山場を見極めて慎重に決める必要があります。
  • 審査があり、必ず認められるとは限らない:概算払は、資金繰り上やむを得ない事情があるかどうかも含めて審査されます。請求すれば自動的に支払われるものではありません。
  • 入金まで一定の期間がかかる:概算払が認められても、請求から実際の振込までには相応の期間を要します。資金が必要なタイミングから逆算して、早めに準備することが大切です。

これらを踏まえると、概算払はあくまで「補助金の後払いを前提に、立替期間の負担を一部やわらげる手段」と位置づけるのが現実的です。当面の運転資金は、概算払をあてにしすぎず、自己資金やつなぎ融資で手当てする前提で計画を立てておくと安全です。融資による資金調達そのものは金融機関の領域ですが、事業計画の整理は補助金申請と共通する部分が多く、あわせて準備しておくとスムーズです。

概算払を使わない場合の資金繰り対策

概算払は便利な制度ですが、申請の手間や審査の負担もあるため、すべてのケースで使うべきとは限りません。概算払以外にも、立替負担をやわらげる方法があります。

  • つなぎ融資の活用:補助金の交付決定通知を受けたあと、入金までの期間を金融機関のつなぎ融資でカバーする方法です。日本政策金融公庫や地域の信用金庫などで、補助金の入金を前提とした融資が扱われることがあります。融資の可否・条件は金融機関の判断によります。
  • 支払サイトの調整:設備の納入業者と支払時期を相談し、補助金の入金時期に近づける方法です。ただし交付決定後・実施期間内に支払いを完了させる必要がある点に注意してください。
  • 自己資金の確保:補助金は補助対象経費の全額が返ってくるわけではなく、補助率の範囲(2分の1や3分の2)にとどまります。自己負担分と立替分を合わせた資金を、あらかじめ確保しておくことが基本です。

当事務所がサポートできること

行政書士は、行政書士法に基づき、官公署に提出する補助金申請書類の作成や提出手続の代理を取り扱うことができます。行政書士法人Treeでは、ものづくり補助金をはじめとする経済産業省・中小企業庁系の補助金について、公募要領の読み解き、事業計画書・交付申請書類の作成支援、交付決定後の遂行状況報告・実績報告・精算払請求といった補助事業の手続きまで、行政書士の職域の範囲でサポートしています。

「概算払を使って資金繰りを楽にしたいが、いつ・いくら請求すればよいか分からない」「必要書類の準備が煩雑で本業に手が回らない」といった段階からのご相談も歓迎です。なお、補助金にかかる税務・会計処理は税理士、雇用関係助成金は社会保険労務士、登記は司法書士の業務分野となりますので、これらが関わる場合は提携する専門家と連携してご案内します。

ものづくり補助金の申請・概算払の手続きをご検討の方は、補助金申請サポートのご案内ページをご覧ください。料金や進め方については、案件の内容に応じて個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

ものづくり補助金は原則後払いのため、設備投資から入金までの立替期間の資金繰りが大きな課題になります。令和6年度補正予算による現行のものづくり補助金(第19次公募以降)には概算払の制度がなく、交付規程第17条により支払方法は精算払のみです。本記事で解説した概算払は第18次公募までの取扱いで、交付決定額の90%を上限に補助事業期間中1回だけ、納品・支払いが完了した経費について請求できるものでした。資金繰り対策としては、つなぎ融資や自己資金とあわせて計画を立てることが必要です。要件・上限・対象経費は公募回ごとに変わるため、申請前には必ず事務局の最新の公募要領・交付規程をご確認ください。

ものづくり補助金の概算払に関するよくある質問

Q:概算払では補助金の全額をもらえますか。

A:いいえ。概算払で請求できるのは補助金交付決定額の90%(9割)が上限です。残りの1割は、補助事業がすべて完了したあとの実績報告・確定検査を経て精算(精算払)されます。また、概算払の対象になるのは、すでに納品・支払いが完了した経費に限られます。

Q:概算払は何回でも申請できますか。

A:原則として1回のみです。小刻みに何度も請求できる制度ではないため、「いつ、いくらを請求するか」を資金繰りの状況に合わせて慎重に判断する必要があります。請求のタイミングと金額を見極めることが重要です。

Q:まだ支払っていない経費でも、概算払で前借りできますか。

A:できません。概算払は、事業者がいったん自己資金で支払いを済ませ、納品・検収まで完了した経費について、補助金の一部を先に受け取る制度です。これから支払う代金を前借りするものではないため、いったんは立替えが必要になります。

Q:概算払を申請すれば必ず認められますか。

A:必ず認められるとは限りません。概算払には審査があり、資金繰り上の事情なども含めて判断されます。認められた場合でも、請求から振込までには一定の期間がかかります。資金が必要な時期から逆算して、早めに準備を進めてください。

Q:概算払の税務上の取扱いも相談できますか。

A:補助金の益金算入や圧縮記帳の可否など、税務・会計処理の判断は税理士の業務分野です。当事務所では行いませんが、提携税理士をご紹介し、補助金の申請書類・実績報告の作成など行政書士の職域と連携して進めます。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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