建設業関連

石工事の下請発注チェックリスト|建設業許可・500万円基準・一括下請負の注意点

更新: 約9分で読めます

結論から言えば、建設業の「石工事」を下請に発注する際は、(1)下請業者が石工事業の許可を持っているか(500万円以上の工事の場合)、(2)書面で請負契約を交わしているか、(3)一括下請負(丸投げ)に該当しないか、の3点をまず確認することが要点です。行政書士法人Treeは、建設業許可の取得・業種追加・更新や、各種届出書類の作成・提出代行を職域とする行政書士事務所です。本記事では、石材を加工・積み上げて工作物を築造する「石工事」を下請発注する元請の立場で押さえるべきチェックポイントを、建設業法の条文に沿って整理します。なお契約紛争は弁護士、税務は税理士の職域となるため、必要に応じて各士業と連携してご案内します。

石工事とは何か|業種区分の確認

石工事は建設業許可29業種の一つ(業種コード060)で、国土交通省の業種区分上、「石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取り付ける工事」と定義されています。例示としては「石積み(張り)工事」「コンクリートブロック積み(張り)工事」が挙げられています。

下請発注で注意したいのは、似た作業が他業種に分類される場合がある点です。組積による「れんが・タイル・ブロック」工事や、とび・土工工事との切り分けが問題になることがあります。発注しようとしている作業がどの業種に当たるか曖昧なときは、施工内容で判断するのが原則で、許可行政庁(都道府県知事許可・国土交通大臣許可)の運用にも確認が必要です。

チェック1|許可の要否と業種の確認

下請業者が石工事を請け負うために建設業許可を要するかは、請負金額で決まります。建設業法第3条第1項ただし書および建設業法施行令第1条の2により、1件の請負代金が500万円(税込・材料費込)未満の「軽微な建設工事」であれば許可は不要です。逆に500万円以上の石工事を発注する場合は、下請業者が「石工事業」の許可を保有していることを確認します。

  • 請負代金は消費税込み・材料費込みで判定する。
  • 注文者が材料を支給する場合でも、材料の市場価格と運送費を請負代金に加算して判定する。
  • 1件の工事を2以上の契約に分割しても、各契約を合算した金額で判定する(分割による許可逃れは認められない)。
  • 建築一式工事ではない石工事は、500万円未満が軽微な工事の基準となる。

許可番号・業種・有効期間は、許可通知書の写しや各都道府県の建設業者検索システムで確認しておくと安全です。

チェック2|下請契約は必ず書面で(建設業法第19条)

建設業法第19条は、請負契約の当事者に対し、契約締結に際して法定の重要事項を記載した書面の交付(または電子契約による方法)を義務づけています。口頭発注や「工事着手後の契約」は建設業法違反となり得ます。令和6年12月13日施行の改正では、価格等の変動に基づく請負代金額又は工事内容の変更とその額の算定方法に関する定め(第8号)が法定記載事項として明確化されました。なお「工事を施工しない日又は時間帯の定め」(第4号)は令和2年10月1日施行の改正で既に追加されており、現在の法定記載事項は16項目で構成されています。石工事の下請契約書では、最低限、次の事項を確認してください。

  • 工事内容(石積みの範囲・使用石材・施工箇所など具体的に)
  • 請負代金の額と支払方法・支払時期
  • 工期(着手・完成の時期)、工事を施工しない日の定めがあればその内容
  • 当事者の一方が工事内容の変更・中止を申し出た場合の費用負担
  • 天災等の不可抗力による損害の負担
  • 検査・引渡しの時期、瑕疵(契約不適合)の取扱い

あわせて、近年の改正では資材価格の変動(価格転嫁)に関する協議の枠組みも整備されています。石材価格の高騰局面では、価格変動時の取扱いを契約書に明記しておくと安心です。

チェック3|一括下請負(丸投げ)の禁止(建設業法第22条)

建設業法第22条は、請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず一括して他人に請け負わせること(丸投げ)を原則として禁止しています。これは施工責任の所在を曖昧にし、中間搾取や手抜き工事を招くおそれがあるためです。石工事を下請発注する際は、元請が「実質的に施工に関与しているか」がポイントになります。

  • 元請が実質的に施工へ関与していない状態で、請け負った建設工事の全部又は主たる部分を一括して他人に請け負わせる場合は、一括下請負に該当し得る。
  • 工事の一部分であっても、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事を一括して請け負わせる場合も、一括下請負に該当し得る。
  • 元請自身が施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、下請業者への技術指導などを行い、実質的に関与していることが必要。

公共工事は、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律により一括下請負が全面的に禁止されます。また、共同住宅の新築工事は建設業法第22条第3項の承諾例外の対象外であり、発注者の書面承諾があっても一括下請負は認められません。

チェック4|不当に低い代金・短い工期の禁止

建設業法第19条の3は、注文者(元請)が自己の取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額で下請契約を締結すること(不当に低い請負代金の禁止)を定めています。さらに令和7年12月12日施行の改正により、建設業者側についても、正当な理由なく通常必要と認められる原価に満たない金額で請負契約を締結することが禁止されています。また、建設業法第19条の5では、注文者側・建設業者側の双方について、通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期での契約締結が禁止されています。

石工事は石材の加工・運搬・積み上げに相応の手間がかかる工種です。令和7年12月12日施行の改正後は、労務費に関する基準を踏まえ、著しく低い労務費等による見積り提出や、注文者からの見積り変更依頼も問題となります。労務費・資材費の高騰を反映しない買いたたきや無理な突貫工期は法令違反となり得るため、見積りの内訳(材料費・労務費・運搬費・法定福利費・安全衛生経費等)を確認し、適正な代金と工期で発注してください。

チェック5|施工体制台帳・施工体系図の作成義務

下請の規模や公共工事該当性によって、施工体制の整備が義務づけられます。建設業法第24条の8により、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者が、下請契約の請負代金の総額が政令で定める金額以上となるときは、施工体制台帳を作成して工事現場ごとに備え置き、施工体系図を現場の見やすい場所に掲げる必要があります。公共工事では、入札及び契約の適正化促進法により、下請契約を締結した時点で金額にかかわらず施工体制台帳の作成・写しの提出が必要です。

区分 作成義務が生じる目安
公共工事 下請契約があれば金額にかかわらず作成(写しを発注者に提出)
民間工事 下請契約の総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上

令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正により、この下限額は従来の4,500万円(建築一式工事7,000万円)から5,000万円(建築一式工事8,000万円)に引き上げられました。同じく特定建設業許可を要する下請代金額の下限も引き上げられています。石工事を多重下請で施工する大規模工事では、この金額要件と特定建設業許可の要否を改めて確認してください。

石工事 下請発注の実務チェックリスト

  • □ 下請業者の建設業許可(石工事業)・有効期間を確認したか(500万円以上の場合)
  • □ 請負金額は税込・材料費込で判定し、分割による許可逃れになっていないか
  • □ 書面(または電子契約)で請負契約を締結し、法定記載事項を満たしているか
  • □ 工事内容(石材・施工範囲)・代金・工期・変更時の取扱いを明記したか
  • □ 一括下請負(丸投げ)に該当せず、元請が実質的に施工管理しているか
  • □ 不当に低い代金・著しく短い工期になっていないか
  • □ 下請総額に応じて施工体制台帳・施工体系図の作成義務を確認したか
  • □ 再下請が発生する場合、各段階で一括下請負・許可の要否を確認したか

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、石工事業をはじめとする建設業許可の新規取得・業種追加・更新申請、および申請に必要な書類の作成・提出代行を承っています。「軽微な工事の範囲を超えて石工事を請け負うようになったので許可を取りたい」「既存の許可に石工事業を追加したい」といったご相談に、職域の範囲で対応します。

料金の目安は、「新規建設業許可申請代行(知事許可)」110,000円(税込)、「業種追加(知事許可)」55,000円(税込)、「建設業許可更新申請代行(知事許可)」55,000円(税込)です。大臣許可の場合は異なります。登録免許税・証紙代等の実費は別途必要です。詳細は料金一覧をご確認ください。許可取得後の各種変更届の作成代行もお引き受けします。詳しくは建設業許可サポートのご案内をご覧ください。なお、契約紛争は弁護士、税務は税理士、登記は司法書士の職域となるため、必要に応じて各士業と連携してご案内します。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

石工事の下請発注では、(1)許可の要否(500万円・税込基準)、(2)書面契約(建設業法第19条)、(3)一括下請負の禁止(第22条)、(4)不当に低い代金・短い工期の禁止(第19条の3・第19条の5)、(5)施工体制台帳・施工体系図の作成義務(第24条の8)が中心的なチェックポイントです。なお、特定建設業許可・施工体制台帳・監理技術者等の配置に関する金額要件は令和5年・令和7年の改正で引き上げられていますが、建設業許可が不要となる軽微な建設工事の500万円基準自体は本記事執筆時点で変更されていません。最新の運用は許可行政庁での確認が欠かせません。許可の取得・業種追加・更新でお困りの際は、書類作成・提出代行を職域とする当事務所にご相談ください。

石工事の下請発注に関するよくある質問

Q:500万円未満の石工事なら下請業者に許可は不要ですか。

A:建設業法第3条第1項ただし書・施行令第1条の2により、1件の請負代金が500万円(税込・材料費込)未満の軽微な建設工事であれば建設業許可は不要です。ただし金額判定は消費税込み・材料費込みで行い、契約を分割しても合算して判定されるため、実質500万円以上になる発注では石工事業の許可を確認してください。

Q:石工事を一社に全部任せると一括下請負になりますか。

A:請け負った工事の全部または主要部分を丸投げすると、建設業法第22条の一括下請負の禁止に該当し得ます。元請が施工計画・工程管理・品質管理・安全管理などを通じて実質的に施工へ関与していることが必要です。公共工事や共同住宅の新築工事では、原則として発注者の承諾があっても一括下請負は認められません。

Q:下請契約は口頭でも有効ですか。

A:契約自体は口頭でも成立し得ますが、建設業法第19条は法定事項を記載した書面の交付(または電子契約)を義務づけており、口頭発注は建設業法違反となり得ます。工事内容・代金・工期・変更時の取扱いなどを記載した契約書を、着工前に取り交わしてください。

Q:施工体制台帳はどんなときに作成が必要ですか。

A:公共工事では下請契約があれば金額にかかわらず必要です。民間工事では、発注者から直接請け負った特定建設業者が、下請契約の総額5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上で施工する場合に、施工体制台帳と施工体系図の作成義務が生じます(令和7年2月1日施行の金額要件)。

Q:石工事業の許可追加はどのくらいの料金で頼めますか。

A:料金一覧に掲載の「業種追加(知事許可)」は55,000円(税込)、「新規建設業許可申請代行(知事許可)」は110,000円(税込)、「建設業許可更新申請代行(知事許可)」は55,000円(税込)です。大臣許可の場合は異なる料金となります。登録免許税・証紙代等の実費は別途必要です。詳細は料金一覧をご確認いただくか、お気軽にご相談ください。ご相談は何度でも無料です。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree