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キッチンカー・移動販売車の構造変更|8ナンバー、設備固定と乗車定員変更を解説

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軽トラックやバンをベースに、押し車(手押し移動販売台車を積載・展開する車)や移動店舗車(キッチンカー・移動販売車)へ仕立てるとき、車内に調理台・流し・棚といった設備を作り付け、その分だけ座席を減らすケースが多くあります。結論から言えば、車内設備を固定して乗車定員や車体形状・用途を変えたときは、原則として運輸支局等で構造等変更検査を受け、車検証の記載を改める必要があります(道路運送車両法第67条)。座席の取り外しによる乗車定員の変更や、特種設備の占有面積が一定以上となる場合の8ナンバー(特種用途自動車)への用途変更がその典型です。本記事では、行政書士の立場から、移動店舗車の設備固定と乗車定員変更にともなう構造等変更検査の要否と手続を整理して解説します。

構造等変更検査とは|根拠は道路運送車両法第67条

すでに登録・検査を受けている自動車について、車両の長さ・幅・高さ、乗車定員、最大積載量、車体の形状、原動機の型式、燃料の種類、用途などに変更を生じる改造をしたときは、使用者は使用の本拠の位置を管轄する運輸支局等に自動車を提示し、保安基準に適合するかどうかの検査を受けなければなりません。これが構造等変更検査です。

その根拠は道路運送車両法第67条(自動車検査証記録事項の変更及び構造等変更検査)にあります。同条では、自動車検査証の記録事項に変更があったときは、その事由があった日から15日以内に国土交通大臣(運輸支局等)が行う変更記録を受けなければならないとされ、その変更が保安基準に適合しなくなるおそれのある一定の事由に該当するときは、構造等変更検査を受けることが求められます。移動店舗車への改造は、座席撤去による乗車定員の減少、設備固定による車体形状・用途の変更をともなうため、この検査の対象になるのが通常です。

移動店舗車・押し車仕様で「変更」となる主な項目

押し車や移動店舗車に仕立てる改造で、構造等変更検査・変更記録の対象になりやすい項目は次のとおりです。すべてが該当するとは限らず、改造内容によって組み合わせは変わります。

変更項目 移動店舗車・押し車仕様での典型例
乗車定員 後部座席を撤去して荷台・販売スペースにする/調理スペース確保のため座席を減らす
車体の形状 「バン」「トラック」から、改造内容に応じて「販売車」「加工車」等の車体形状に変わる
用途 「貨物」「乗用」から「特種」へ用途区分が変わる
最大積載量 設備の固定・架装により積載できる貨物の量が変わる
車両重量 調理設備・給排水タンク・発電機等の搭載で重量が増える
長さ・幅・高さ ルーフ拡張・庇(販売窓)・収納の張り出し等で外寸が変わる

なお、いわゆる「押し車」を車外で使う手押し台車として積み下ろしするだけで、車両側の構造を恒久的に変えないのであれば、車両自体の構造変更にはあたらないこともあります。一方、台車を展開・固定する架装や、車内で調理・販売できる設備を作り付ける場合は、車体形状・用途・乗車定員の変更として検査の対象になり得ます。判断は実際の架装内容によりますので、設計段階での確認が欠かせません。

車内設備の「固定」が要件|なぜ作り付けが必要か

移動店舗車として車検を通すうえで重要なのが、調理台・流し(シンク)・収納棚・給排水タンクなどの設備を、走行中に動かない状態で車両に固定(作り付け)することです。ボルト締結や溶接、専用ブラケットなどで車体に確実に取り付けられていることが、保安基準適合と特種用途自動車該当性の判断の前提になります。単に積み込んだだけの取り外し可能な什器は「設備」として評価されにくく、用途区分の判断材料になりません。

また、特種用途自動車(8ナンバー)として認められるには、依命通達「自動車の用途等の区分について」に定める車体形状・構造要件を満たす必要があります。車体の形状を「販売車」または「加工車」等とする場合は、該当する区分ごとの要件として、特種な設備(調理設備等)の占有する面積が、運転者席より後方の床面積(客室・物品積載設備・特種設備の合計)の2分の1を超えること、特種な設備の占有面積が1㎡以上(軽自動車は0.6㎡以上)あること、その設備が当該目的のために有効に使用できる構造であること等が求められます。設備の配置・面積・固定方法が要件を満たして初めて、特種用途自動車への用途変更が認められます。

8ナンバーの根拠について補足すると、分類番号(8で始まる番号)の区分は自動車登録規則別表第二に、車体形状・用途の具体的要件は前述の依命通達に基づきます。「道路運送車両法施行規則別表第二が8ナンバーの根拠」という説明を見かけることがありますが、これは正確ではありません。

乗車定員の変更|座席撤去と保安基準

移動店舗車では、販売・調理スペースを確保するために後部座席を撤去し、乗車定員を「2名」などへ減らす改造がよく行われます。乗車定員は自動車検査証の記録事項であり、これを変更する場合は構造等変更検査・変更記録の対象です。座席を撤去した跡のシートレール・取付部の処理、撤去後の座席取付部や乗車設備、車室・荷室の状態などについて、適用される保安基準への適合が確認されます。

反対に、座席を増設して乗車定員を増やす改造は、シートアンカーの強度やシートベルト・頭部後傾抑止装置(ヘッドレスト)などの基準適合が厳しく問われ、認められないケースもあります。移動店舗車では定員を減らす方向が一般的ですが、いずれにしても定員の増減は検査を要する変更である点を押さえておく必要があります。定員を変えずに荷室へ設備を固定するだけでも、車体形状や用途、重量が変われば検査の対象になり得ます。

手続の流れと必要書類・費用の目安

構造等変更検査の一般的な流れは次のとおりです。改造(架装)を完了させてから検査を受けるのが原則です。

  • (1) 事前確認:改造内容が保安基準・特種用途の要件を満たすか、設計・架装段階で確認する。
  • (2) 書類準備:自動車検査証、改造内容を示す書類(改造概要等説明書・外観図・諸元の変更がわかる資料)、本人確認書類等を準備する。架装の内容によっては強度計算書等が必要になることがある。
  • (3) 検査の予約・受検:使用の本拠を管轄する運輸支局等へ自動車を提示し、構造等変更検査を受ける。寸法・重量・乗車定員・装置の取付状態などが確認される。
  • (4) 検査証の交付:適合すれば、変更後の乗車定員・車体形状・用途等が記録された自動車検査証が交付される。

費用面では、検査手数料・自動車重量税(重量が変わると税額も変わり得る)・自動車損害賠償責任保険料などの実費がかかります。具体的な金額は車種・重量・地域によって異なるため、運輸支局等で確認してください。移動店舗の場合、車両の手続とは別に、食品を扱うのであれば保健所の飲食店営業等の営業許可が必要で、シンクの数・給排水タンク容量・手洗い設備などの基準は自治体ごとに定められています。車両の構造要件と営業許可の設備基準は別物ですが、両方を満たすよう設計しないと「車検は通ったが営業許可が出ない(またはその逆)」となりかねないため、両にらみでの確認が重要です。

税の取扱い|環境性能割の廃止と種別割の名称変更

用途や車体形状が変わると、課される自動車税の区分や金額が変わることがあります。なお、自動車税・軽自動車税の環境性能割は2026年(令和8年)3月31日をもって廃止されました。これは取得時に課されていた税で、取得時の負担軽減と車体課税の簡素化を目的として廃止されたものです。一方、毎年課税される自動車税・軽自動車税(従来の「種別割」)は環境性能割の廃止後も引き続き課税されますが、令和8年4月1日から「自動車税種別割」は「自動車税」に、「軽自動車税種別割」は「軽自動車税」に名称が変更され、「種別割」という名称は用いられなくなりました。移動店舗車として用途・形状が変わった場合の税区分や税額は、管轄の都道府県税事務所・市区町村で確認してください(税額の計算・申告に関する個別判断が必要な場合は税理士と連携してご案内します)。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、押し車・移動店舗車(キッチンカー・移動販売車)への改造にともなう名義変更・車庫証明・各種変更手続に関する書類作成と申請代行を、行政書士の職域の範囲で承っています。構造等変更検査そのものは運輸支局での受検(架装・整備の確認)が中心となりますが、改造後の所有者・使用者・使用の本拠の変更にかかる手続や、保管場所の確保・車庫証明の取得など、書類面からのサポートが可能です。車庫証明は5,500円(税込)〜、名義変更は7,000円(税込)〜で、個人・法人の別や多摩地域・23区など地域により料金は変動します。移動店舗の開業に向けた車両手続でお悩みの方は、車庫証明・自動車手続サポートのご案内ページをご覧ください。なお、紛争・法的代理が必要な事案は弁護士、登記は司法書士、税務の計算・申告は税理士と、必要に応じて連携してご案内します。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

押し車・移動店舗車への改造で、車内設備を固定して乗車定員・車体形状・用途を変えたときは、原則として道路運送車両法第67条に基づく構造等変更検査を受け、変更があった日から15日以内に車検証の変更記録を受ける必要があります。8ナンバー(特種用途自動車)として認められるには、依命通達「自動車の用途等の区分について」の構造要件(特種設備が運転者席より後方の床面積の2分の1を超えて占めること等)を満たし、設備を確実に固定することが前提です。食品を扱う場合は保健所の営業許可も別途必要となり、車両の構造要件と営業許可の設備基準は両方を満たす設計が求められます。検査・税の取扱いは改正で動くため、最新の運用に基づく確認が重要です。

キッチンカー・移動店舗車の構造変更に関するよくある質問

Q:座席を外して乗車定員を減らすだけでも構造等変更検査は必要ですか。

A:乗車定員は自動車検査証の記録事項であり、これを変更する場合は構造等変更検査・変更記録の対象です。座席撤去後の取付部の処理や床・荷室の強度など、保安基準への適合が確認されます。基準範囲内の軽微な変更にとどまる場合を除き、原則として運輸支局等での受検が必要です。

Q:キッチンカーは必ず8ナンバー(特種用途自動車)にしなければなりませんか。

A:必ずしも8ナンバーが必要というわけではありません。設備の占有面積など依命通達「自動車の用途等の区分について」の要件を満たす場合に特種用途自動車として登録でき、要件を満たさない場合は貨物(4ナンバー等)のまま運用することもあります。どの区分が適切かは架装内容により異なるため、設計段階での確認をおすすめします。

Q:車内の調理台や棚は固定しなければいけませんか。

A:はい。走行中に動かないよう車体へ確実に固定(作り付け)されていることが、保安基準適合と特種用途該当性の前提です。単に積み込んだだけの取り外し可能な什器は設備として評価されにくく、用途区分の判断材料になりません。

Q:車検(構造等変更検査)が通れば、すぐに移動販売を始められますか。

A:車両の手続と、食品を扱う場合の保健所の営業許可(移動営業)は別の制度です。シンクの数・給排水タンク容量・手洗い設備などの基準は自治体ごとに定められており、車検が通っても営業許可の設備基準を満たさなければ営業できません。両方の基準を満たすよう設計する必要があります。

Q:構造変更にともなう名義変更や車庫証明は行政書士に依頼できますか。

A:はい。改造後の名義変更・使用の本拠の変更・車庫証明の取得など、官公署へ提出する書類の作成・申請代行は行政書士の業務です。構造等変更検査そのものの受検(整備・架装の確認)は運輸支局での手続が中心となりますが、その前後の書類面のサポートが可能です。登記は司法書士、税務は税理士など他士業の領域は必要に応じて連携してご案内します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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