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霊柩車の許可・届出と登録|普通・小型自動車の緑ナンバーと軽霊柩車の黒ナンバー

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結論から言えば、霊柩車でご遺体を有償搬送する事業を営むには、車両に「特種用途自動車(8ナンバー)」としての構造を備えさせる登録だけでは足りず、事業用の許可または届出を取得する必要があります。普通・小型自動車を使用する場合は、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第3条に基づく一般貨物自動車運送事業(霊きゅう)の許可を取得し、緑ナンバーで運行します。軽自動車を使用する場合は、同法第36条に基づく貨物軽自動車運送事業の経営届出を行い、黒ナンバーで運行します。「許可または届出」と「車両登録」は別物で、宮型・洋型といった外観だけで事業手続が変わるものではありません。当事務所は行政書士として、車両区分に応じた運輸局・運輸支局への申請・届出と自動車登録の手続をお手伝いします。なお、税務、登記、紛争対応など他士業の関与が必要な場面では、税理士・司法書士・弁護士と連携し、職域を越えない範囲で橋渡しいたします。本記事では、普通・小型自動車による霊柩運送を中心に、軽自動車を使用する場合の違い、事業手続と車両登録、宮型・洋型の特徴を整理します。

霊柩運送はなぜ「一般貨物自動車運送事業」なのか

ご遺体の搬送は、法律上は「貨物」の運送として扱われます。人は亡くなると民法上は権利の主体(人)ではなくなり、棺とともに運ぶ対象は「物」と評価されるため、他人の需要に応じ有償でご遺体を運ぶ事業は、旅客運送ではなく貨物自動車運送事業法上の一般貨物自動車運送事業に分類されます。

貨物自動車運送事業法第3条は「一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない」と定めており、実務上の窓口は各地方運輸局(運輸支局)です。霊柩運送はこの中の事業種別「霊きゅう」として申請します。第2条で一般貨物自動車運送事業が定義され、許可基準は第6条に置かれています。生存している傷病者を運ぶ民間救急(患者等搬送)とは根拠法令・許可体系がまったく異なる点に注意が必要です。

「許可」と「登録」は別物――二段構えを理解する

霊柩運送を始めるには、性質の異なる二つの手続が必要です。混同しやすいため、まず全体像を押さえてください。

区分 普通・小型自動車 軽自動車
事業手続 一般貨物自動車運送事業(霊きゅう)の許可/貨物自動車運送事業法第3条 貨物軽自動車運送事業の経営届出/貨物自動車運送事業法第36条
申請窓口 地方運輸局 運輸支局
車両登録 事業用(緑ナンバー)で登録 事業用(黒ナンバー)で登録
登録窓口 運輸支局 軽自動車検査協会

つまり、車を霊柩車仕様に架装し、柩または担架を収容する専用場所や確実な固定装置などの構造要件を満たして「特種用途自動車(いわゆる8ナンバー)」として登録するのは車両側の手続です。その車で有償運送を業として行うための事業側の手続は、普通・小型自動車では一般貨物自動車運送事業の許可、軽自動車では貨物軽自動車運送事業の届出となります。8ナンバーの自家用車を所有していても、他人の依頼でご遺体を有償搬送することはできません。必要な許可または届出を行い、普通・小型自動車は緑ナンバー(緑地に白文字)、軽自動車は黒ナンバー(黒地に黄色文字)へ変更して初めて適法に営業できます。

霊柩運送の許可要件と「5両未満の特例」

普通・小型自動車を使用する一般貨物自動車運送事業の許可は、本来、営業所ごとに事業用自動車を5両以上配置することが原則です。しかし国土交通省の公示する許可基準では、霊きゅう運送・一般廃棄物運送・需要の少ない島しょ地域の事業については最低車両数の基準が緩和されており、霊柩運送は1両から許可申請ができます。なお、軽自動車の霊柩車を使用する場合は、一般貨物自動車運送事業の許可ではなく、貨物軽自動車運送事業の経営届出を行います。個人事業主・法人のいずれでも事業を始めることができます。以下は、普通・小型自動車による一般貨物自動車運送事業の許可を受ける場合の主な要件です。

  • 営業所・休憩施設:業務に必要な広さがあり、都市計画法・農地法・建築基準法等に抵触しない物件であること(睡眠を要する場合は睡眠施設も)。
  • 車庫(駐車場):原則として営業所に併設、困難なら一定距離内。車両との間に必要な間隔を確保できる広さがあること。
  • 車両:霊柩車(または寝台車)1両以上。リース車両も計画に含められます。
  • 運行管理者・整備管理者:専ら霊きゅう運送を行う5両未満の営業所では、有資格の運行管理者・整備管理者の選任を要しません(管理体制の整備は必要)。
  • 資金計画:人件費・燃料費・車両費・保険料等の所要資金を確保し、自己資金がこれを上回ること(残高証明で確認)。
  • 損害賠償能力:自賠責に加え任意保険(対人・対物)に加入すること。

役員法令試験(申請者の法令知識確認)

霊柩運送の許可申請でも、申請者(個人事業主は本人、法人は常勤役員のうち1名)が法令試験を受験し合格する必要があります。試験は申請後に運輸局で実施され、一般に試験時間50分・出題30問・正答24問(8割)以上で合格とされています。出題範囲は貨物自動車運送事業法や道路運送車両法、労働関係法令など事業運営に必要な法令です。1回目で不合格でも再試験の機会がありますが、所定の回数内に合格できない場合は申請を取り下げることになります。

改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)の留意点

物流の適正化を目的とした改正貨物自動車運送事業法が令和7年4月1日に施行されました。霊柩運送も一般貨物自動車運送事業である以上、改正の枠組みに含まれます。主な内容は次のとおりです。

  • 運送契約締結時等の書面交付義務:運送を引き受ける際に真荷主(葬儀社など)との間で、また他の事業者へ委託する際に、運賃・料金、附帯業務の内容などを記載した書面を相互に交付します。電磁的方法による交付も可能です。
  • 運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任:前年度の利用運送量が一定規模以上となる特別一般貨物自動車運送事業者などが対象です。
  • 実運送体制管理簿の作成・保存:真荷主から引き受けた貨物の運送を他の貨物自動車運送事業者へ委託する場合など、法定の要件に該当するときに作成し、1年間保存します。
  • 荷待時間・荷役作業等の記録対象の拡大:従来の大型車両に限らず、すべての事業用貨物自動車が記録義務の対象となりました。

自社の霊柩車だけで運送を完結する場合でも、葬儀社など真荷主からの有償搬送依頼を受ける場合は書面交付義務が適用されます。また、業務記録義務も全車両対象となったため、小規模運営でも改正法への対応が必要です。繁忙期に他社へ搬送を委託する場合は、委託書面の相互交付、委託先管理、実運送体制管理簿の作成要件についても確認が必要です。

宮型と洋型――霊柩車の種類と登録上の扱い

霊柩車は外観・構造により主に次の4タイプに分かれます。いずれも棺を安置・固定する装置を備える点は共通で、特種用途自動車(8ナンバー)として登録されるのが一般的です。種類の違いは許可の要否を変えるものではなく、許可・緑ナンバー化の手続は共通です。

種類 特徴
宮型(みやがた) 唐破風(からはふ)の屋根や彫刻・金箔を施した伝統的な装飾車。かつての主流。近年は景観・近隣配慮から市街地での運行が減少。
洋型(リムジン型) 国産高級車や外国車をベースにした装飾の少ない車。近年の主流で、葬列が目立ちにくい。
バン型 ワゴン・バンをベースにした簡素な外観。寝台車(搬送)と兼用されることが多い。
バス型 マイクロバス等をベースに、柩または遺体を収容・固定する構造を備えた大型の霊柩車。会葬者等の旅客を有償で運送する場合は、霊柩運送とは別に道路運送法上の取扱いを確認する必要があります。

宮型は装飾上の制約はあっても法的に運行が禁じられているわけではなく、自治体や火葬場の運用・近隣への配慮から洋型が選ばれる場面が増えています。なお寝台車は、ご遺体を病院から安置先へ搬送する用途であれば霊柩運送(一般貨物・霊きゅう)として、患者の搬送に用いるなら別制度(道路運送法・民間救急等)として扱われ、用途によって必要な許可・登録が変わります。

申請から開業までの流れ

  • 事前準備:営業所・車庫の確保、車両選定、資金計画・残高証明の準備。
  • 許可申請:地方運輸局へ事業計画書等を提出。
  • 法令試験:申請者が受験・合格。
  • 審査・許可:標準処理期間はおおむね申請から3〜5か月程度(地域・繁忙により変動)。
  • 登録時の手続:許可後、運輸開始前の確認、車両の事業用登録(緑ナンバー化)、運賃料金・運送約款の設定届出など。
  • 運行開始:運輸開始届の提出後に営業開始。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、普通・小型自動車による霊柩運送の一般貨物自動車運送事業許可申請や、軽自動車による霊柩運送の貨物軽自動車運送事業届出、許可・届出後の事業用自動車登録に関する手続をお手伝いします。営業所・自動車車庫の適法性確認、資金計画・事業計画書の作成、法令試験の準備案内、運賃・料金の設定届出など、車両区分と事業内容に応じて対応します。車庫証明・名義変更を含む自動車手続の詳細は車両・自動車手続きのご案内ページをご覧ください。費用は申請内容、車両区分、営業所や車庫の状況によって異なるため、個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。税務、登記、紛争対応など税理士・司法書士・弁護士の関与が必要な場面では、職域を越えない範囲で適切な専門家へお繋ぎします。

まとめ

普通・小型自動車の霊柩車でご遺体を有償搬送するには、車両を霊柩車仕様で登録するだけでなく、貨物自動車運送事業法第3条に基づく一般貨物自動車運送事業(霊きゅう)の許可を取得し、緑ナンバーで運行する必要があります。軽自動車の霊柩車を使用する場合は、同法第36条に基づく貨物軽自動車運送事業の届出を行い、黒ナンバーで運行します。普通・小型自動車による霊柩運送は1両から許可申請ができ、申請者は法令試験への合格が必要です。令和7年4月1日施行の改正法による書面交付義務や業務記録義務にも留意しましょう。宮型・洋型などの外観だけで事業手続が変わるものではありませんが、普通・小型自動車と軽自動車では許可・届出とナンバーの体系が異なります。

霊柩車の許可・登録に関するよくある質問

Q:8ナンバーの霊柩車を自分で持っていれば、葬儀社の依頼で搬送してもよいですか。

A:いいえ。8ナンバー(特種用途自動車)は車両側の登録区分であり、それだけでは他人の依頼による有償搬送はできません。普通・小型自動車の場合は一般貨物自動車運送事業(霊きゅう)の許可を取得して緑ナンバーへ変更し、軽自動車の場合は貨物軽自動車運送事業の届出を行って黒ナンバーへ変更する必要があります。

Q:車両1台でも霊柩運送の許可は取れますか。

A:普通・小型自動車による一般貨物自動車運送事業(霊きゅう)は、最低車両数の特例により1両から許可申請できます。専ら霊きゅう運送を行う5両未満の一般貨物の営業所では、運行管理者および整備管理者の選任義務はありませんが、事業者による適切な運行・整備管理は必要です。軽自動車の霊柩車1台で始める場合は、一般貨物の許可ではなく貨物軽自動車運送事業の経営届出を行います。

Q:宮型の霊柩車は今でも登録・運行できますか。

A:法的に禁止されているわけではなく、登録・運行は可能です。ただし火葬場の運用や近隣・景観への配慮から、市街地では装飾の少ない洋型が選ばれる傾向にあります。種類の違いで許可の要否や手続が変わることはありません。

Q:寝台車も同じ許可が必要ですか。

A:用途と車両区分によります。病院から安置先へご遺体を有償搬送する寝台車は霊柩運送に該当し、普通・小型自動車では一般貨物自動車運送事業(霊きゅう)の許可と緑ナンバー、軽自動車では貨物軽自動車運送事業の届出と黒ナンバーが必要です。一方、生存している患者を搬送する場合は、道路運送法や消防機関の患者等搬送事業認定など別の制度が関係します。

Q:許可が下りるまでどのくらいかかりますか。

A:標準処理期間はおおむね申請から3〜5か月程度が目安ですが、地域や運輸局の混雑状況、書類の補正、法令試験の日程により前後します。営業所・車庫の確保や資金準備に要する事前期間も見込んで計画してください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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