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営業所技術者等の常勤性立証|健康保険・住民票・賃金台帳・出勤簿の整備実務

更新: 約12分で読めます

建設業許可の維持・取得において、営業所技術者等(旧:専任技術者)の常勤性立証は、行政庁による審査でも極めて厳格にチェックされる項目です。令和6年12月13日改正建設業法(令和7年2月1日施行建設業法施行令改正)により、従来の「専任技術者」は「営業所技術者等」へと名称・要件が整理され、常勤・専任の証明手続きも見直しが進んでいます。さらに2025年12月2日の健康保険証廃止に伴い、常勤性立証書類の取り扱いも実務上アップデートが必要です。

本記事では、健康保険・住民票・賃金台帳・出勤簿などを軸に、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の知事許可で求められる常勤性立証の整備ポイントを、行政書士法人Treeが実務目線で解説します。

結論:営業所技術者等の常勤性は「健康保険・厚生年金保険資格確認書(または資格情報のお知らせ/マイナポータル画面)」を主たる証明とし、住民票・賃金台帳・出勤簿・雇用契約書で補完する多層的な立証が必須です。虚偽申告は建設業法第50条により6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、さらに監督処分(指示・営業停止・許可取消)の対象となるため、書類整備は新規・更新・変更のいずれの局面でも厳格に行ってください。

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根拠法令・参考通達

  • 建設業法第7条第2号(一般建設業の許可基準・営業所技術者等の設置)
  • 建設業法第15条第2号(特定建設業の許可基準・営業所技術者等の設置)
  • 建設業法第50条(虚偽記載・虚偽申告の罰則)
  • 建設業法施行規則(令和6年12月13日改正・令和7年2月1日施行令改正)
  • 国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」
  • 各都道府県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)建設業許可申請の手引き
  • 健康保険法・厚生年金保険法(2025年12月2日健康保険証廃止に伴う改正)
  • 2025年6月施行 改正刑法(懲役・禁錮の「拘禁刑」一本化)

営業所技術者等とは何か(令和6年12月13日改正後の整理)

従来「専任技術者」と呼ばれていた建設業許可の人的要件は、令和6年12月13日改正建設業法および令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正により、「営業所技術者」「特定営業所技術者」として整理されました。本記事では総称として「営業所技術者等」と表記します。

営業所技術者等は、建設業法第7条第2号(一般建設業)または第15条第2号(特定建設業)に基づき、すべての営業所ごとに置かれていなければならず、許可後も常時その要件を満たす必要があります。新規許可時のみならず、決算変更届・更新申請の段階でも、常勤性は再度確認の対象となります。

「常勤」「専任」の定義と実務基準

常勤の定義

建設業許可における「常勤」とは、原則として営業時間中、その営業所に勤務していることを意味します。週の所定労働時間が当該会社の正社員と同等であり、雇用契約上もフルタイム勤務であることが必要です。短時間勤務やパートタイムは原則として常勤とは認められません。

専任の定義

「専任」とは、他の営業所の営業所技術者等と兼務していないこと、また他社の役職員と兼務していないことを意味します。同一企業内であっても、複数営業所の専任技術者を一人で兼ねることはできません。

テレワーク・リモートワーク時代の運用

近年はテレワーク導入も進んでいますが、建設業許可上の常勤性は「営業所に物理的に勤務できる体制」が前提です。テレワーク主体であっても、必要に応じて営業所に出社できる距離・体制であることが求められます。完全リモート・遠隔地居住の場合は、別途行政庁ヒアリングで疎明資料を求められるケースが増えています。

常勤性立証書類の全体像(2025年12月2日健康保険証廃止後)

2025年12月2日に健康保険証が廃止され、マイナ保険証への一本化が進んでいます。これに伴い、建設業許可申請における常勤性立証書類も、従来の「健康保険被保険者証の写し」から、以下の書類群に切り替わっています。

主たる立証書類(いずれか)

  1. 健康保険・厚生年金保険資格確認書(健康保険証廃止後、マイナ保険証を持たない方等に交付される書類)
  2. 資格情報のお知らせ(協会けんぽ・健保組合等から本人へ通知されるA4書面)
  3. マイナポータルの資格情報画面(PDF出力またはスクリーンショット)
  4. 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(事業主控)

事業所名(許可申請者名)と本人氏名、被保険者資格取得日が確認できることが必須です。マイナポータルの画面コピーを使う場合は、事業所名・氏名・資格取得日が表示されている画面を提出してください。

補完書類

  1. 住民票(本籍・続柄不要、申請営業所と通勤可能な範囲に居住していること)
  2. 賃金台帳(直近3か月〜6か月分。月額賃金・控除内容・勤務日数)
  3. 出勤簿(タイムカード、勤怠管理システムの出力でも可)
  4. 雇用契約書または辞令(常勤・フルタイム勤務であることが明示されているもの)
  5. 源泉徴収票(前年分。給与所得として一定額以上の支払いが確認できること)
  6. 住民税特別徴収税額通知書(事業所宛てに送付された写し。事業所名と本人氏名の紐付け)

常勤性が問題となりやすい5つのケース

(1) 他社との兼務

許可申請会社以外の法人で役員・従業員として在籍している場合、原則として常勤性は否認されます。前職の社会保険資格喪失(離職票・健康保険被保険者資格喪失等確認通知書)まで確認されます。

(2) 遠隔地勤務

住所地と営業所の距離が片道2時間を大きく超える、または交通機関上通勤困難なケースは、別途疎明(住宅賃貸借契約書・社宅契約書など)が必要です。

(3) テレワーク主体

完全在宅勤務・リモートワーク主体の場合、「営業所に常時勤務している」要件をどう満たすかが問題となります。営業所に専用デスク・固定電話・PC等が整備され、必要に応じて出社できる体制を疎明する必要があります。

(4) 非常勤役員

取締役であっても、非常勤・社外取締役の場合は常勤性を満たしません。常勤役員であれば、取締役会議事録(常勤役員として選任した記録)や報酬の支給状況も併せて確認されます。

(5) 個人事業主の経営者

個人事業主本人が営業所技術者等を兼ねる場合、確定申告書(事業所得)・所得税納税証明書・国民健康保険被保険者資格確認書等で立証します。法人成りした直後で社会保険加入手続き中の場合、加入手続中であることの疎明資料を求められます。

通勤可能性の判断基準

住民票上の住所と営業所の距離は、行政庁が「常勤性が物理的に可能か」を判断する重要な要素です。一般的な目安としては、片道おおむね2時間以内を目安としていますが、行政庁ごとの運用差があります。新幹線通勤・遠距離通勤の場合は、定期券の写し・交通費支給規程・社宅契約書等の追加疎明を準備しておくと審査がスムーズになります。

健康保険被扶養者・後期高齢者・役員・個人事業主の特殊論点

健康保険被扶養者の取り扱い

営業所技術者等本人が他者の健康保険の被扶養者となっている場合、「常勤の従業員(被保険者)」と認めにくくなります。被扶養者となる年収要件(130万円未満等)を超えて勤務する実態があるなら、被保険者として加入し直したうえで常勤性を立証することが原則です。

後期高齢者医療制度被保険者(70歳以上)

70歳以上で後期高齢者医療制度に加入している場合、健康保険資格確認書では立証できません。代替として厚生年金保険70歳以上被用者該当届、賃金台帳、出勤簿、雇用契約書、住民票、源泉徴収票等の重層的な書類で常勤性を疎明します。

役員(取締役)の常勤性

常勤役員として営業所技術者等を兼ねる場合、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)取締役会議事録(または株主総会議事録)で常勤役員として選任された事実を確認します。役員報酬の支給状況、健康保険・厚生年金加入状況も併せてチェックされます。なお、役員変更登記は司法書士業務範囲のため、登記が必要な場合は提携司法書士をご紹介します。

個人事業主本人の常勤性

個人事業主が自ら営業所技術者等を務める場合は、所得税確定申告書(事業所得が計上されていること)、所得税納税証明書、国民健康保険被保険者資格確認書等で立証します。

虚偽申告のリスクと監督処分

常勤性に関する虚偽申告は、建設業法第50条により6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(2025年6月施行の改正刑法により、懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化されました)。

さらに行政処分として、以下のリスクがあります。

  • 指示処分
  • 営業停止処分(最長1年)
  • 許可取消処分(許可要件を満たさないことが判明した場合)

取消後は5年間、新たに建設業許可を取得できなくなります。「在籍だけ」「名義借り」は絶対に行わないでください。

営業所ごとの専任性と他営業所兼務不可

建設業許可では、営業所ごとに営業所技術者等を置く必要があり、同一会社内であっても複数営業所の営業所技術者等を一人で兼ねることはできません。本店・支店・営業所ごとに、要件を満たす常勤・専任の技術者を配置する必要があります。新規営業所の開設・営業所の所在地変更を行う場合は、変更届と併せて常勤性立証書類の更新が必要です。

JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)での提出方法

2023年1月から運用が開始されたJCIPでは、常勤性立証書類もPDFアップロードで提出します。以下のポイントに留意してください。

  • マイナポータル画面のスクリーンショットは、事業所名・氏名・資格取得日が判別できる解像度で出力する
  • 賃金台帳・出勤簿は「直近3か月〜6か月分」を1つのPDFに結合して提出
  • 住民票はマイナンバー記載なし・本籍記載なしの最新のものを取得
  • JCIPの入力項目と添付書類の整合性(被保険者番号・資格取得日等)に注意

各都道府県の運用差もあるため、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県のいずれの知事許可かに応じて、最新の手引きに沿って整備してください。

料金表(建設業許可・行政書士法人Tree)

サービス内容 料金(税込)
建設業許可(知事・新規) 110,000円
決算書確認(新規申請時) 22,000円
建設業許可 更新 55,000円
各種変更届(営業所所在地・技術者・役員等) 27,500円〜

※ 別途、申請手数料(知事許可・新規 90,000円、更新 50,000円)が必要です。

FAQ(よくあるご質問)

Q1. 健康保険証はもう使えないのですか?

A. 2025年12月2日をもって新規発行は終了し、現行証も順次無効化されます。建設業許可申請では、資格確認書・資格情報のお知らせ・マイナポータル画面のいずれかで代替します。

Q2. マイナポータル画面はスクリーンショットで足りますか?

A. 事業所名・本人氏名・資格取得日が明瞭に表示されていれば、PDF出力やスクリーンショットでも受理されることが多いです。ただし行政庁の運用差があるため、事前に管轄窓口へ確認するのが安全です。

Q3. 常勤役員の場合、どの書類で立証しますか?

A. 健康保険・厚生年金資格確認書、登記事項証明書、取締役会議事録(常勤役員選任)、役員報酬の支払いがわかる賃金台帳・所得証明等を組み合わせて立証します。

Q4. 個人事業主本人が営業所技術者等になれますか?

A. 可能です。確定申告書(事業所得)・所得税納税証明書・国民健康保険資格確認書・住民票等で常勤性を立証します。

Q5. 70歳を超えても営業所技術者等になれますか?

A. 年齢制限はありません。70歳以上は健康保険資格確認書での立証ができないため、厚生年金70歳以上被用者該当届・賃金台帳・出勤簿等で立証します。

Q6. 出勤簿はタイムカードでも構いませんか?

A. タイムカード、勤怠管理システムの出力、手書きの出勤簿のいずれも可です。直近3か月〜6か月分を準備してください。

Q7. 遠隔地に住んでいる技術者でも認められますか?

A. 通勤可能であれば認められますが、片道2時間を超える等の場合は、社宅契約書・賃貸借契約書・新幹線定期券等の追加疎明が必要となります。

Q8. テレワーク主体で営業所にほぼ出社しない技術者は?

A. 営業所に専用席・連絡手段が整備され、必要時に出社できる体制であれば認められる余地はありますが、行政庁の個別判断となります。事前協議をおすすめします。

Q9. 他社の非常勤役員を兼務している場合は?

A. 他社で報酬を受けている、または社会保険に加入している場合、常勤性が否認されることがあります。事前に兼務先の状況を整理してください。

Q10. 虚偽申告した場合、どうなりますか?

A. 建設業法第50条により6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、さらに営業停止・許可取消等の監督処分の対象となります。取消後5年間は再取得できません。

Q11. 営業所を新設する場合、常勤性立証はどう変わりますか?

A. 新設営業所ごとに別途、常勤・専任の営業所技術者等を配置し、その者の常勤性立証書類一式を変更届に添付します。

Q12. 税務関係(源泉徴収・所得税)について相談したいのですが?

A. 税務相談・税務代理・税務書類作成は税理士独占業務(税理士法第2条)のため、行政書士法人Treeでは提携税理士をご紹介します。

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まとめ

営業所技術者等の常勤性立証は、令和6年12月13日改正建設業法・令和7年2月1日施行令改正・2025年12月2日健康保険証廃止という3つの大きな制度変更を踏まえ、書類整備の考え方をアップデートする必要があります。健康保険・厚生年金保険資格確認書(または資格情報のお知らせ/マイナポータル画面)を主たる立証とし、住民票・賃金台帳・出勤簿・雇用契約書で重層的に補強する。これが現在の実務スタンダードです。

虚偽申告は建設業法第50条による拘禁刑・罰金、さらに営業停止・許可取消の監督処分という重大な結果を招きます。「常勤性は形式書類だけ整えれば良い」という発想ではなく、実態と書類を一致させた誠実な申請を心がけてください。常勤性立証や書類整備でお困りの際は、行政書士法人Treeへお気軽にご相談ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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