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告訴状の提出から捜査開始までの流れ|告訴後に何が起こるか

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検察統計によると、告訴・告発事件の受理件数は年間1万件を超えます。しかし、告訴状を提出した後に「どのような流れで捜査が進むのか」「結果はいつ、どのように通知されるのか」を正確に把握している方は多くありません。告訴は受理された時点で一定の法的効果が発生し、捜査機関には法律上の義務が課されます。本記事では、告訴状の提出先の選び方から、受理後の捜査の流れ、検察官の処分決定、不起訴時の対抗手段まで、刑事訴訟法の規定に沿って時系列で解説します。

「告訴状を提出したいが、警察と検察のどちらに出すべきかわからない」「受理後の手続きが不安で踏み出せない」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。告訴状作成の専門家が、提出先の選定から記載内容の整理までサポートいたします。相談は何度でも無料・全国対応です。

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告訴状の提出先|警察署と検察庁の違い

告訴状の提出先は、警察署(司法警察員)と検察庁(検察官)のいずれかです。刑事訴訟法第241条第1項は「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない」と定めており、どちらに提出しても法的な効力に差はありません。

ただし、実務上はそれぞれに特徴があるため、事案の性質に応じて使い分けることが重要です。

比較項目 警察署(司法警察員) 検察庁(検察官)
提出先 犯罪地または告訴人の住所地を管轄する警察署 同管轄の地方検察庁
受理のしやすさ 事実上のハードルが高い場合がある 法律上の受理義務は同じだが窓口は限定的
初動捜査 現場捜査・証拠収集に強い 法律的な判断・複雑な事案に適している
捜査の流れ 警察が捜査→検察に送致 検察官が直接捜査または警察に捜査を指揮
適した事案 暴行・傷害・窃盗など現場証拠が重要な事案 詐欺・背任・経済犯罪など法律判断が必要な事案

一般的に、多くの告訴状は管轄の警察署に提出されます。警察は現場検証や関係者への聞き取りなど、初動捜査の体制が整っているためです。一方で、詐欺や横領など経済犯罪や、法的判断が複雑な事案では、検察庁に直接提出するほうが円滑に進む場合もあります。

告訴状の具体的な記載方法については、告訴状の書き方ガイドで詳しく解説しています。提出先にかかわらず、犯罪事実の特定と証拠の整理が受理の鍵を握ります。

告訴状受理後の捜査の流れ【時系列で解説】

告訴状が受理されると、捜査機関には捜査を遂げる義務が生じます。ここで重要なのは、告訴事件には刑事訴訟法上の特別な規定がいくつか適用される点です。とりわけ、告訴事件では微罪処分(刑事訴訟法第246条ただし書)が認められません。司法警察員が受理した告訴事件は、軽微な事案であっても必ず検察官に送付しなければならないのです。

ステップ1:捜査機関による受理

警察署に告訴状を提出した場合、まず担当の刑事課が内容を確認します。犯罪事実が特定されているか、証拠の裏付けがあるか、告訴権者による適法な告訴であるかが審査されます。形式面・実体面に問題がなければ受理となり、事件番号が付与されます。

なお、告訴が受理されない場合の原因や対策については、告訴状が受理されない理由と対策をご確認ください。

ステップ2:警察による捜査

受理後、警察は以下のような捜査活動を行います。

  • 被害者(告訴人)からの詳細な事情聴取
  • 被疑者の特定・所在確認
  • 関係者・目撃者への聞き取り
  • 物証・書証の収集と鑑定
  • 必要に応じた捜索差押え・検証
  • 被疑者の取調べ(任意出頭要請または逮捕)

捜査の過程で、告訴人に対して追加の事情聴取や証拠の提出を求められることがあります。この段階での告訴人の協力姿勢が、捜査の進展に少なからず影響します。

ステップ3:検察官への事件送致(送検)

刑事訴訟法第242条は、「司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない」と規定しています。これが全件送致の原則です。

通常の刑事事件では、軽微な犯罪について警察限りで処理する「微罪処分」が認められています(刑事訴訟法第246条ただし書)。しかし、告訴・告発事件にはこの例外が適用されません。告訴人が処罰を求めて告訴した事件である以上、最終的な処分の判断は検察官が行うべきだとする趣旨です。

ステップ4:検察官の捜査と処分決定

事件の送致を受けた検察官は、警察の捜査結果を精査したうえで、必要に応じて自ら補充捜査を行います。検察庁の公式ページによれば、検察官は被害者・目撃者からの事情聴取や被疑者の取調べを行い、証拠に基づいて起訴・不起訴を判断します。

検察官が下す処分は大きく分けて以下の3種類です。

処分の種類 内容
起訴(公判請求) 裁判所に起訴状を提出し、法廷での審理を求める。有罪・無罪が裁判で判断される
起訴(略式命令請求) 被疑者の同意を得て、法廷を開かず簡易裁判所が罰金・科料を言い渡す手続き
不起訴 起訴しない処分。嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予のいずれかの理由による

不起訴処分のうち最も多いのが「起訴猶予」です。犯罪の嫌疑は認められるものの、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の情況(示談成立や反省の態度等)を考慮して、起訴しないという判断がなされる場合です。

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告訴人への処分結果の通知|刑事訴訟法260条・261条

告訴事件が通常の刑事事件と異なるもう一つの重要な点が、告訴人に対する処分結果の通知義務です。被害届の場合、処分結果が被害者に通知される法的義務はありませんが、告訴の場合は刑事訴訟法に明文で規定されています。

刑事訴訟法第260条は、「検察官は、告訴、告発又は請求のあった事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない」と定めています。さらに第261条では、不起訴処分の場合に告訴人から請求があれば、検察官は不起訴の理由を告げなければならないと規定しています。

この通知義務の存在が、被害届ではなく告訴状を提出する実務上のメリットの一つです。告訴状と被害届の制度的な違いについては、告訴状と被害届の違いで詳しく比較しています。

捜査にかかる期間の目安

告訴状の受理から検察官の処分決定までにかかる期間は、事案の内容や複雑さによって大きく異なります。一般的な目安として、以下のような期間が想定されます。

段階 期間の目安 備考
告訴状提出→受理 即日〜数週間 補正を求められる場合は長期化する
受理→警察の捜査完了 数ヶ月〜1年程度 事案の複雑さ・証拠収集の難易度による
送検→検察の処分決定 1〜3ヶ月程度 補充捜査が必要な場合はさらに延びる
起訴→判決 2〜3ヶ月程度 否認事件や複雑な事案ではさらに長期化

被疑者が逮捕・勾留された場合は、逮捕から起訴・不起訴の判断まで最大23日間という時間的制約があります。一方、在宅事件(被疑者が逮捕されないまま捜査が進む場合)では、法律上の期限がないため、捜査が長期化する傾向にあります。在宅事件の場合、告訴状の受理から処分決定まで1年以上を要することも珍しくありません。

「いつまでに結論が出るのか」について法定の期限はないため、長期間にわたって何の連絡もないと感じた場合は、担当の捜査員に捜査の進捗状況を確認することが認められています。

不起訴処分への対応|検察審査会への申立て

告訴事件で不起訴処分となった場合、告訴人は処分結果に不服があれば検察審査会に審査を申し立てることができます。検察審査会は、くじで選ばれた11人の一般市民(審査員)が検察官の不起訴処分の当否を審査する機関です(検察庁:検察審査会)。

検察審査会の審査の流れ

検察審査会への申立ては、不起訴処分を知った後に、管轄の検察審査会事務局に審査申立書を提出することで行います。審査申立てに費用はかかりません。

審査の結果、検察審査会は以下の3種類の議決を行います。

  • 起訴相当:起訴すべきであるという議決(8人以上の多数決)
  • 不起訴不当:不起訴は不当であるという議決(過半数)
  • 不起訴相当:不起訴は相当であるという議決

「起訴相当」の議決がなされた場合、検察官は事件を再検討します。それでもなお検察官が不起訴とした場合、検察審査会が再度審査を行い、2回目の「起訴相当」議決(起訴議決)が出ると、裁判所が指定する弁護士によって強制的に起訴されます。この制度は2009年に導入されたもので、検察官の判断に対する民主的統制の仕組みとして機能しています。

告訴人が捜査中に注意すべきこと

告訴状が受理された後、告訴人自身の振る舞いが捜査の行方に影響を及ぼすことがあります。やるべきことと避けるべきことを整理しておきましょう。

捜査中にすべきこと

  • 捜査機関への協力:追加の事情聴取や証拠提出の求めには速やかに応じる
  • 新たな証拠の保全:捜査中に新たな証拠が見つかった場合は、速やかに捜査担当者に報告する
  • 連絡先の変更通知:住所や電話番号を変更した場合は、担当捜査員に連絡する
  • 進捗確認:長期間連絡がない場合は、捜査の進捗状況を問い合わせることは問題ない

捜査中に避けるべきこと

  • 被疑者への直接接触:被疑者に直接連絡を取ったり、脅迫的な言動をすることは厳禁。証拠隠滅や口裏合わせの疑いを招き、捜査に悪影響を与える
  • SNS等での事件の公表:捜査中の事件について具体的な内容をSNS等で公開すると、捜査の妨げとなり得る。加えて、被疑者から名誉毀損で反訴されるリスクもある
  • 証拠の改変・廃棄:提出前の証拠を改変したり、都合の悪い証拠を廃棄する行為は、証拠隠滅罪(刑法第104条)に問われる可能性がある
  • 告訴の安易な取消し:親告罪の告訴は一度取り消すと再度の告訴ができない(刑事訴訟法第237条)。示談交渉の圧力で安易に取り消すことは避けるべき

なお、詐欺被害で告訴を検討している方は詐欺罪の告訴状の書き方を、横領被害の場合は横領罪の告訴状の書き方もあわせてご参照ください。

よくある質問

Q. 告訴状を提出したら必ず捜査してもらえますか?

告訴状が正式に「受理」されれば、捜査機関には捜査を行い、事件を検察官に送致する義務があります(刑事訴訟法第242条)。ただし、告訴状の提出と受理は別の段階です。犯罪事実の特定が不十分な場合や、証拠が乏しい場合には受理そのものが見送られることがあります。受理を確実にするためには、犯罪事実を具体的に記載し、裏付けとなる証拠を添付して提出することが重要です。

Q. 告訴後、捜査の進捗状況は教えてもらえますか?

捜査の秘密保持の観点から、捜査の具体的な内容や被疑者の供述内容を告訴人に逐一報告する義務は捜査機関にはありません。ただし、最終的な処分結果(起訴・不起訴)については、刑事訴訟法第260条により告訴人に通知する義務があります。捜査中の進捗については、担当捜査員に問い合わせれば、差し支えない範囲で状況を教えてもらえる場合もあります。

Q. 告訴を途中で取り下げることはできますか?

告訴は、公訴の提起(起訴)があるまで取り消すことができます(刑事訴訟法第237条第1項)。ただし、親告罪の場合、一度取り消した告訴を再度行うことはできません(同条第2項)。被疑者側から示談を持ちかけられた場合でも、取消しの判断は慎重に行う必要があります。

Q. 不起訴になった場合、もう何もできないのですか?

不起訴処分に不服がある場合は、検察審査会に審査の申立てを行うことができます。検察審査会で「起訴相当」の議決が2回なされると、強制起訴の制度が適用されます。また、不起訴の理由が「嫌疑不十分」であれば、新たな証拠を発見して改めて告訴し直すことも法的には可能です。

まとめ

告訴状の提出から処分決定までの流れを、改めて整理します。

  • 告訴状の提出先は警察署または検察庁。事案の性質に応じて使い分ける
  • 受理された告訴事件は、微罪処分が認められず、必ず検察官に送致される(刑事訴訟法第242条)
  • 検察官は起訴・不起訴の処分を行い、その結果を告訴人に通知する義務がある(同法第260条・第261条)
  • 不起訴処分に不服がある場合は検察審査会への申立てが可能
  • 捜査期間は事案により数ヶ月〜1年以上。告訴人は捜査機関に協力しつつ、被疑者への直接接触は避ける

告訴状の記載内容や証拠の整理の仕方によって、受理のされやすさや捜査の進みやすさが変わります。告訴は被害を法的に追及するための重要な手段ですが、提出前の準備が結果を左右するといっても過言ではありません。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

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