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ネット犯罪の告訴ガイド|SNS誹謗中傷からネット詐欺まで

更新: 約15分で読めます

SNSでの誹謗中傷、フィッシング詐欺、なりすまし、ネットオークション詐欺——インターネットを介した犯罪被害は年々多様化し、被害者が「どこに相談すればよいのか」「どの罪名で告訴できるのか」と判断に迷うケースが増えています。ネット犯罪は証拠がデジタルデータであるため、時間の経過とともにアカウント削除やログの消失によって証拠が失われるリスクが高く、被害に気づいた段階での迅速な証拠保全と法的対応が極めて重要です。本記事では、告訴状作成の専門家である行政書士が、ネット犯罪の主な類型ごとの罪名整理から、告訴手続きの流れ、デジタル証拠の保全方法までを体系的に解説します。

「ネット上で被害を受けたが、告訴できるのかわからない」「証拠の集め方がわからず対応が進まない」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。告訴状作成の専門家が、状況を伺い適切な対応方針をご提案いたします。相談は何度でも無料・全国対応です。

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ネット犯罪の主な類型と適用される罪名【一覧表】

ネット犯罪は多岐にわたりますが、告訴状を作成する際にはどの罪名に該当するかを正確に特定する必要があります。以下の表で主な犯罪類型と適用される罪名を整理します。

犯罪類型 適用される主な罪名 根拠条文 親告罪/非親告罪
SNS誹謗中傷(事実の摘示あり) 名誉毀損罪 刑法第230条 親告罪
SNS誹謗中傷(事実の摘示なし) 侮辱罪 刑法第231条 親告罪
ネット詐欺(通販・オークション) 詐欺罪 刑法第246条 非親告罪
フィッシング詐欺 不正アクセス禁止法違反・詐欺罪 不正アクセス禁止法第4条等 非親告罪
不正アクセス 不正アクセス禁止法違反 不正アクセス禁止法第3条 非親告罪
リベンジポルノ 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反 リベンジポルノ防止法第3条 親告罪
ストーカー行為(SNS等) ストーカー規制法違反 ストーカー規制法第18条 非親告罪
脅迫メッセージ 脅迫罪 刑法第222条 非親告罪
ウイルス配布 不正指令電磁的記録に関する罪 刑法第168条の2 非親告罪

親告罪の場合は犯人を知った日から6か月以内に告訴しなければ告訴権が消滅します(刑事訴訟法第235条第1項)。名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪であるため、発信者情報開示請求で加害者の身元を特定した場合は速やかに告訴の準備を進める必要があります。非親告罪の場合でも、告訴することで捜査機関に被害事実を正式に申告し、捜査の端緒とすることができます。

SNS誹謗中傷への法的対応

名誉毀損罪と侮辱罪の使い分け

SNSでの誹謗中傷に対して告訴を検討する場合、まず「事実の摘示」があるかどうかで適用される罪名が変わります。「○○は横領で解雇された」のように具体的な事実を示す投稿は名誉毀損罪(刑法第230条)、「○○はバカ」「死ね」のような抽象的な罵倒表現は侮辱罪(刑法第231条)に該当します。

2022年の刑法改正で侮辱罪の法定刑は大幅に引き上げられ、1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料(改正前は拘留又は科料のみ)となりました。SNSでの誹謗中傷が社会問題化したことを背景とした厳罰化であり、侮辱罪での告訴が実効性を持ちやすくなっています。

名誉毀損罪と侮辱罪の違いの詳細は「名誉毀損・侮辱罪の告訴状の書き方」で解説しています。

発信者情報開示請求と告訴のタイミング

匿名アカウントによる誹謗中傷の場合、告訴に先立って加害者の身元を特定するための発信者情報開示請求が必要です。2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法により、従来2段階だった手続きが1回の裁判手続(発信者情報開示命令事件)で完結できるようになりました。

ただし、開示請求にはプロバイダが保有するログの存在が前提となります。多くのプロバイダはアクセスログの保存期間を3か月〜6か月程度としているため、投稿から時間が経過するとログが消失し、発信者の特定が困難になります。被害に気づいたら速やかに弁護士に相談のうえ、ログの保存請求を行うことが重要です。

なお、告訴状の作成は行政書士にご依頼いただけますが、発信者情報開示請求に伴う裁判手続きは弁護士の業務範囲となります。

ネット詐欺・フィッシング被害の告訴

ネット通販・オークション詐欺

代金を振り込んだのに商品が届かない、偽ブランド品が届いたなどのケースは詐欺罪(刑法第246条)に該当し得ます。詐欺罪は非親告罪であるため告訴がなくても捜査は可能ですが、被害届の提出や告訴によって捜査が本格的に動き出すのが実態です。

告訴状には、欺罔行為(嘘の内容)・錯誤(それを信じたこと)・処分行為(代金の振込み)・財産的損害の4要素を具体的に記載する必要があります。振込記録・取引のやりとり・商品説明のスクリーンショットなどが証拠となります。

フィッシング詐欺

金融機関や大手企業を装ったメール・SMSで偽サイトに誘導し、ID・パスワード・クレジットカード情報を窃取する手口は、不正アクセス禁止法違反詐欺罪の適用対象となります。フィッシング行為自体が不正アクセス禁止法第4条(不正アクセス目的の識別符号の取得行為)に抵触し、そこから不正送金等が行われれば詐欺罪も成立し得ます。

フィッシング被害に遭った場合は、以下の対応を速やかに行うことが重要です。

  • 当該金融機関やカード会社への即時の連絡と口座凍結・カード停止
  • フィッシングメール・偽サイトのURL・画面のスクリーンショットの保存
  • 警察庁サイバー犯罪対策への通報・相談
  • 被害届の提出または告訴

告訴状の基本的な書き方については「告訴状の書き方ガイド」で詳しく解説しています。

ネット犯罪の告訴手続きの流れ

ネット犯罪で告訴状を提出する場合の基本的な流れを整理します。通常の告訴手続きと大枠は同じですが、デジタル証拠の保全や匿名アカウントの特定といった、ネット犯罪特有のステップが加わります。

Step 1: 証拠の保全

被害に気づいた段階で、関連するデジタルデータを可能な限り保全します。スクリーンショット、URL、メールのヘッダ情報、取引履歴、振込記録などが該当します。保全方法の詳細は次のセクションで解説します。

Step 2: 被害内容と罪名の整理

前述の一覧表を参考に、被害事実がどの罪名に該当するかを整理します。複数の犯罪行為が絡み合うケースも多いため(例: 誹謗中傷 + 脅迫、不正アクセス + 詐欺)、すべての被害事実を漏れなく洗い出すことが重要です。

Step 3: 告訴状の作成

告訴状には、告訴人の情報・被告訴人の情報(判明している範囲で)・告訴の趣旨・犯罪事実・立証資料の一覧を記載します。ネット犯罪の場合、被告訴人が匿名であることも多いため、「氏名不詳」として投稿内容やアカウント情報等の特定可能な情報を詳細に記載します。

Step 4: 告訴状の提出

作成した告訴状を、被害者の住所地を管轄する警察署または検察庁に提出します。サイバー犯罪の場合は、各都道府県警察本部のサイバー犯罪対策課に直接相談することも有効です。告訴状の提出時には証拠資料の写しもあわせて提出します。

Step 5: 捜査機関による受理・捜査

告訴状が受理されると、捜査機関は捜査を開始します。ただし、受理までに補正を求められる場合があります。犯罪事実の記載が曖昧であったり、証拠が不十分と判断されたりすると、告訴状の修正や追加資料の提出を求められることがあるため、最初から正確かつ具体的な内容で作成することが受理率を高めるポイントです。

証拠の集め方の詳細は「告訴状に必要な証拠の集め方」で解説しています。

告訴状の作成に不安がある方へ

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デジタル証拠の保全方法

ネット犯罪の証拠はデジタルデータであるため、投稿の削除・アカウントの閉鎖・ログの期限切れなどによって簡単に失われます。被害に気づいた時点で速やかに保全を行うことが、告訴の成否を左右します。

スクリーンショットの撮影

最も基本的な保全方法はスクリーンショットです。ただし、単にスクリーンショットを撮るだけでは不十分な場合があります。証拠としての信頼性を高めるため、以下の情報が含まれるよう撮影してください。

  • 投稿内容の全文が読める状態
  • 投稿者のアカウント名・プロフィールURL
  • 投稿の日時
  • ブラウザのアドレスバー(URLが表示された状態)
  • 撮影日時の記録(端末の日時表示が写り込むとなお可)

Webページの保存

スクリーンショットに加え、Webページそのものを保存しておくことも有効です。ブラウザの「ページを保存」機能でHTML形式で保存する方法や、Wayback Machine(Internet Archive)などのWebアーカイブサービスにURLを登録して保存する方法があります。ただし、Wayback Machineでの保存はログイン後のページ等には対応していない点に注意が必要です。

メール・メッセージの保全

フィッシングメールや脅迫メッセージなどは、ヘッダ情報を含む形で保存することが重要です。メールのヘッダには送信元のIPアドレスや経由したサーバの情報が含まれており、捜査の手がかりとなります。多くのメールソフトでは「ソース表示」や「ヘッダの表示」機能からヘッダ情報を確認・コピーできます。

取引記録・振込記録の保全

ネット詐欺の場合は、振込明細書・ネットバンキングの取引履歴のスクリーンショット・注文確認メール・出品ページのスクリーンショットなどを保全します。振込先口座の情報は、犯人の特定や口座凍結の申請にも使用されるため、正確に記録しておく必要があります。

犯罪被害の法的手続きの全体像

ネット犯罪への法的対応は告訴だけにとどまりません。民事上の損害賠償請求や、プロバイダへの発信者情報開示請求など、複数の手続きを並行して進めるケースもあります。犯罪被害者が利用できる法的手続きの全体像については「犯罪被害者の法的手続き完全ガイド」をご参照ください。

よくある質問

Q. 匿名アカウントによる誹謗中傷でも告訴はできますか?

できます。告訴状は犯人が特定されていない段階でも「氏名不詳」として提出可能です。ただし、名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪であり、犯人を知った日から6か月以内に告訴しなければなりません。匿名の場合は発信者情報開示請求で身元を特定する必要がありますが、ログの保存期間の問題があるため、被害発覚後は速やかに対応を開始する必要があります。

Q. SNSの投稿が削除されてしまった場合、告訴はできなくなりますか?

投稿が削除されても、保全した証拠(スクリーンショット・Webアーカイブ等)があれば告訴は可能です。逆に、証拠を何も保全していない状態で投稿が削除されてしまうと、犯罪事実の立証が困難になります。被害に気づいた時点で直ちに証拠を保全することが重要です。

Q. ネット詐欺の被害額が少額でも告訴できますか?

法律上、被害額の多寡にかかわらず告訴は可能です。詐欺罪は非親告罪であるため、告訴がなくても捜査は行われ得ますが、告訴によって被害事実を正式に申告することで捜査が進展しやすくなります。ただし、実務上は被害額が極めて少額の場合、捜査機関のリソースの関係で優先順位が下がる可能性がある点は理解しておく必要があります。

Q. 行政書士に告訴状の作成を依頼できますか?

依頼できます。行政書士は官公署に提出する書類の作成を業として行うことができ、告訴状は刑事訴訟法に基づく捜査機関への書類に該当します。行政書士法人Treeでは、被害事実のヒアリングから告訴状の完成まで対応いたします。なお、発信者情報開示請求に伴う裁判手続きや、示談交渉・損害賠償請求などは弁護士の業務範囲となります。

Q. 告訴状が受理されないことはありますか?

捜査機関は適法な告訴を受理する義務がありますが、実務上、犯罪事実の記載が不明確であったり、証拠が著しく不足していたりする場合には、補正を求められたり、被害届での対応を促されたりすることがあります。告訴状を最初から正確かつ具体的に作成し、証拠を整理して添付することが、スムーズな受理につながります。

まとめ

ネット犯罪は証拠がデジタルデータであるため、時間の経過とともに失われるリスクが高い点が最大の特徴です。被害に気づいたら迅速に証拠を保全し、適切な罪名で告訴状を作成することが、法的対応の第一歩となります。

  • 罪名の特定:誹謗中傷→名誉毀損罪/侮辱罪、詐欺→詐欺罪、フィッシング→不正アクセス禁止法違反 等
  • 証拠保全:スクリーンショット(URL・日時を含む)、メールヘッダ、取引記録を速やかに保存
  • 告訴期限:親告罪(名誉毀損・侮辱・リベンジポルノ等)は犯人を知った日から6か月以内
  • 相談先:警察署のサイバー犯罪対策課、告訴状作成は行政書士、裁判手続きは弁護士

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。
※ 2026年4月時点の刑事訴訟法に基づく解説です。告訴・告発の受理判断は捜査機関の裁量による部分があります。具体的な事案は弁護士にもご相談ください。


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