告訴状関連

レストラン向け|顧客・取引先の犯罪行為に対する告発状の書き方

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結論から言えば、レストランが無銭飲食や悪質な営業妨害、取引先による代金の詐取といった犯罪行為の被害に遭ったとき、捜査機関に犯人の処罰を求める書面が告訴状・告発状です。刑事訴訟法241条は、告訴・告発は書面又は口頭で検察官又は司法警察員に対して行うと定めており、実務では、犯罪事実を日時・場所・金額まで具体的に特定した書面を用意できるかどうかが重要になります。行政書士は、権利義務又は事実証明に関する書類作成の専門家として、管轄警察署長(司法警察員)宛ての告訴状・告発状の作成をお手伝いできます。検察庁宛ての告訴状・告発状の作成は司法書士・弁護士の業務範囲です。一方で、提出先の選定に関する助言や受理後の捜査対応、示談交渉は弁護士の職域です。当事務所では書類作成に専念し、必要に応じて弁護士と連携する体制でご依頼をお受けしています。本記事では、レストラン経営者の方に向けて、顧客・取引先の犯罪行為に対する告発状の書き方を説明します。

告訴と告発の違い――お店が被害者なら「告訴」が基本

刑事訴訟法230条は「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる」と定め、同法239条1項は「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」と定めています。被害者本人が処罰を求める申告が告訴、被害者以外の第三者が行う申告が告発です。

無銭飲食や店内での器物損壊、取引先からの代金詐取では、被害者はレストラン(法人経営であれば法人)自身ですから、書面の表題は「告訴状」とするのが基本です。他方、取引の過程で仕入先の担当者による社内の横領を知った場合のように、自店が直接の被害者とはいえない犯罪を申告するときは「告発状」を用います。両者の記載事項はほぼ共通しているため、以下では「告発状」と表記しつつ、告訴状にもそのまま当てはまる内容として説明します。

レストランで想定される犯罪類型と条文

顧客・取引先との関係で問題になりやすい犯罪類型は次のとおりです。なお、2025年6月1日施行の改正刑法により、懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化されています。条文の正確な文言はe-Gov法令検索の刑法で確認できます。

想定される行為 罪名・条文 法定刑
支払う意思がないのに飲食する無銭飲食 詐欺罪(刑法246条) 10年以下の拘禁刑
大声での怒号・長時間の居座りによる営業妨害 威力業務妨害罪(刑法234条) 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
虚偽の口コミの流布・虚偽予約(無断キャンセル目的の大量予約など) 信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条) 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
食器・設備・店舗備品の破壊 器物損壊罪(刑法261条) 3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料
取引先による架空請求・前払金の詐取 詐欺罪(刑法246条) 10年以下の拘禁刑
預けた商品・売上金の着服 横領罪(刑法252条) 5年以下の拘禁刑
取引先担当者が任務に背き自店に損害を与える行為 背任罪(刑法247条) 5年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

無銭飲食は、注文の時点で代金を支払う意思がないのに飲食した場合に詐欺罪が問題となります。食事の後に持ち合わせがないことに気づいたような場合は詐欺罪の成立が争われることがあり、罪名の最終的な判断は捜査機関・裁判所が行います。書面上は、罪名の断定よりも事実の特定を優先してください。

告発状の基本構成――8つの記載事項

告発状に法定の書式はありませんが、実務では次の要素を盛り込むのが通例です。

  • 表題(「告訴状」又は「告発状」)
  • 宛先
  • 告発人の表示(法人の場合は名称・主たる事務所の所在地・代表者の資格と氏名)
  • 被告発人の表示(氏名・住所。不明なら「氏名不詳」)
  • 告発の趣旨(「被告発人を〇〇罪で処罰されたく告発する」という結論)
  • 告発事実(犯罪事実の具体的な記載)
  • 立証方法(添付する証拠の一覧)
  • 作成年月日・署名押印・添付書類の目録

被告発人の氏名が分からないときは「氏名不詳」とした上で、人相・体格・来店日時・使用車両のナンバーなど、特定につながる情報を書き添えます。氏名が不明でも告訴・告発は可能です。

核心は「告発事実」――六何の原則(いつ・どこで・誰が・誰に対し・何を・どのように)で具体的に書く

書面の出来を分ける最大のポイントは告発事実の書き方です。いつ・どこで・誰が・誰に対して・何を・どのような方法で行い・どのような結果が生じたかを、評価ではなく事実で記載します。「ひどいクレームを受けた」ではなく、「令和〇年〇月〇日午後〇時ころ、〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号の当店店内において、約2時間にわたり大声で従業員を怒鳴り続け、その間に他の客4名が退店した」のように書きます。

被害金額は、伝票・レシート・POSデータに基づき税込金額で特定します。詐欺であれば、欺く行為、相手方の誤信、財物の交付、損害の発生という刑法246条の構成要件の流れが文面から読み取れるよう、時系列で整理することが大切です。

添付する証拠資料と保全のポイント

告発状には、告発事実を裏付ける資料の写しを添付し、本文の「立証方法」欄に一覧を記載します。レストランで有力な証拠は次のとおりです。

  • 防犯カメラ映像(多くの機器は一定期間で上書きされるため、直ちに別媒体へ保存する)
  • 伝票・レシート・POSデータ(被害金額の特定)
  • 予約台帳・予約サイトの管理画面・着信履歴(虚偽予約の立証)
  • 電話や店内での録音(悪質クレームの態様)
  • 契約書・納品書・請求書・振込記録(取引先の詐欺・横領・背任)
  • 対応した従業員の陳述書(体験した事実を時系列でまとめたもの)

証拠は原本を店で保管し、写しを添付するのが原則です。証拠が乏しい段階でも、上記のうち確保できるものから集めておくと、書面の説得力が大きく変わります。

提出の方式と提出後の流れ(法制度の概要)

刑事訴訟法241条1項により、告訴・告発は書面又は口頭で検察官又は司法警察員に対して行います。司法警察員が告訴・告発を受けたときは、速やかに関係書類及び証拠物を検察官に送付しなければなりません(同法242条)。検察官が起訴・不起訴の処分をしたときは、その旨が告訴人・告発人に通知され(同法260条)、不起訴の場合には、請求すれば理由の告知を受けられます(同法261条)。条文はe-Gov法令検索の刑事訴訟法で確認できます。

もっとも、個別の事案でどの機関にどのように持ち込むかという提出先の選定・助言、受理に向けた捜査機関との折衝、受理後の対応は弁護士の職域です。行政書士である当事務所はこれらを行いませんので、必要な場合は弁護士にご相談ください。

作成時の注意点――虚偽告訴罪と告訴期間

事実と異なる内容の告訴・告発をすると、刑法172条の虚偽告訴等罪(3月以上10年以下の拘禁刑)に問われるおそれがあります。推測にすぎない部分を断定的に書かないこと、証拠と整合しない誇張をしないことが重要です。

また、器物損壊罪は親告罪であり(刑法264条)、虚偽の口コミが名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(同231条)に当たる場合もこれらは親告罪です(同232条)。親告罪の告訴は犯人を知った日から6か月を経過するとできなくなります(刑事訴訟法235条)。防犯カメラの上書きの問題もあるため、被害に気づいたら早めに準備へ着手してください。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、権利義務又は事実証明に関する書類の作成業務として、レストラン経営者の方からの聞き取りと資料の確認をもとに、警察署長宛ての告訴状・告発状を作成しています。検察庁宛ての書面の作成は司法書士・弁護士の業務範囲となるため、当事務所では承っておりません。料金は告訴状・告発状の作成38,280円(税込)からで、事案の複雑さや分量により変動します。お見積りは着手前に提示します。

行政書士がお手伝いできるのは書類の作成までです。提出先の選定に関する助言、受理後の捜査対応、相手方との示談交渉、刑事手続の代理は弁護士の業務であり、当事務所では行いません。これらが必要な事案では弁護士へのご相談をご案内し、書類作成の面から連携してサポートします。詳しいサービス内容と料金は告訴状・告発状作成サポートのご案内をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

告訴状・告発状の作成でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、警察署(司法警察員)に提出する告訴状・告発状について、事実関係と証拠を整理した書面の作成を承ります。書類作成に関するご相談は何度でも無料です。※検察庁に提出する書類の作成は司法書士・弁護士の業務です。また、提出先の選定に関する法的助言、告訴の代理、受理後の捜査対応や示談交渉は弁護士の業務であり、当法人では取り扱いません。

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まとめ

レストランが遭いやすい被害のうち、無銭飲食や取引先の代金詐取は刑法246条の詐欺罪、悪質な居座りは234条の威力業務妨害罪、虚偽の口コミや虚偽予約は233条、備品の破壊は261条の器物損壊罪が問題となります。告発状は刑事訴訟法239条により誰でも提出できる書面ですが、受け取る捜査機関を動かすのは、日時・場所・税込金額まで特定した告発事実と、それを裏付ける証拠の整理です。器物損壊のような親告罪には6か月の告訴期間もあるため、被害に気づいたら証拠の保全と書面の準備を早めに進めてください。

レストランの告発状に関するよくある質問

Q:無銭飲食をされたら必ず詐欺罪で告訴できますか?

A:注文の時点で代金を支払う意思がなかった場合に刑法246条の詐欺罪が問題となります。食後に持ち合わせがないと気づいたようなケースでは成立が争われることがあり、罪名の判断は捜査機関・裁判所が行います。書面では罪名の断定より事実の特定を優先し、法的評価に迷う場合は弁護士にご相談ください。

Q:犯人の名前が分からなくても告訴・告発できますか?

A:できます。被告発人欄を「氏名不詳」とした上で、来店日時、人相・服装、防犯カメラ映像、使用車両のナンバーなど、特定の手がかりになる情報をできる限り記載します。

Q:告訴状と告発状のどちらを作ればよいですか?

A:自店(法人経営なら法人)が被害者であれば告訴状、被害者以外の立場で犯罪を申告するなら告発状です(刑事訴訟法230条・239条)。無銭飲食・器物損壊・取引先詐欺の多くは自店が被害者のため告訴状になります。記載事項は両者でほぼ共通です。

Q:提出した後、結果はどのように知らされますか?

A:検察官が起訴・不起訴の処分をしたときは、その旨が告訴人・告発人に通知されます(刑事訴訟法260条)。不起訴の場合、請求すれば理由の告知を受けられます(同法261条)。提出後の個別の対応が必要な場合は弁護士の職域となります。

Q:店の食器や看板を壊された場合、告訴に期限はありますか?

A:器物損壊罪は親告罪のため(刑法264条)、告訴は犯人を知った日から6か月以内に行う必要があります(刑事訴訟法235条)。防犯カメラ映像は上書きされる前に保存し、早めに準備することをおすすめします。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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